第23話 私は天使(妹)を突き放す。
「みゆは…ずっとここでお姉ちゃんと一緒にいたい。それで、お姉ちゃんや宇佐美さんと一緒にユーフォ吹いたりしたい」
「みゆ…」
天使(妹)は迷うことなく私の質問に答えた。私と一緒にいたい。と…
「みゆは今年で中学校卒業なんだよ。わかってる?高校はどうするの?」
「みゆはお姉ちゃんと一緒にいれればいい。みゆ、お姉ちゃんのお手伝いとか何でもするから、みゆをお姉ちゃんの側にいさせて…」
「私が、みゆをこの家にいさせてあげるのは今年までだからね。中学校卒業するまではここにいていい。私と一緒にいれればいいから高校は行かないとかいう考えなら考え直しなさい。私は来年、みゆと一緒にはいないから」
私は妹を突き放すように言った。私の言葉を聞いた妹は目に涙を浮かべていた。とても悲しそうな顔で、とても辛そうな表情で私を見つめていた。きっと私から優しい言葉が出てくるのを待っているのだろう。だが、私は何も言わない。今、言葉を発したらきっと妹を甘やかしてしまうから…そしてそれは妹のためにならないと思うから…
妹は泣きながらトイレに向かいしばらく引き籠った。これでよかったのだろうか…と私が考えていると宇佐美先輩からLINEで連絡があった。
「みゆちゃんから連絡もらったんだけど大丈夫?」
「お疲れ様です。少しみゆにきつく言ってしまって…ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ないです」
私は先程起こった出来事を宇佐美先輩にLINEで話した。
「なるほどね。みゆちゃんの為を思っての行動だね。みことちゃんの行動は正しいと思うよ。でもね、今のみゆちゃんにみことちゃんは絶対に必要な存在だと思うんだ。みゆちゃん賢いからみことちゃんが自分のために言ってくれたってことは理解してると思うんだよね…でも、やっぱりいきなり言われるのは辛いと思う。みことちゃんはみゆちゃんの心の拠り所なんだよ。今、みゆちゃんは私とは普通に関わってくれるようになってる。それを見てみことちゃんは私がいなくても大丈夫って思ったのかもしれないけど、それはみことちゃんがすぐ近くにいるって安心感があってのことだと思うの」
「そうですね…私、急ぎすぎていたのでしょうか…」
「うーん。でも、みゆちゃんが今年大切な時期ってことは変わらないからね。遅かれ早かれ言わないといけないことだったのは事実だよ。ところでさ…」
宇佐美先輩は私が思いつかないような提案をしてくれた。私は宇佐美先輩にお礼を言いすぐに親に連絡する。
親に最近の妹の様子などを報告し、宇佐美先輩が提案してくれたことを妹に伝えていいかを尋ねる。親は私に任せる。と言ってくれた。たぶん私よりみことの方がみゆちゃんのことをわかっているだろうから…と言い残して電話は終わった。
そして私は妹が閉じこもっているトイレの扉の前に立った。
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