私に彼氏ができないのは天使(妹)のせい!?
りゅう
第1話 私の家に天使(妹)が降臨した!
その日…私はとても疲れていた。
地元から離れた大学に進学することになり、大学の近くで下宿生活を始めたばかりの私は家事にバイトで疲れきっていた。もうすぐ始まる大学生活と家事、バイトを全てきちんとこなせるのかとても不安だった。
バイトが終わり下宿先のアパートへと帰宅をするために電車に乗り数駅、電車の中から外の真っ暗な景色を見つめる。特に何もない田んぼばかりの田舎だ。
最寄りの駅に着き、電車から降りると強風に襲われる。海が近いため風もかなり強いのだ。春になり暖かくなってきたのだが、風の寒さが春の暖かさを全て打ち消してしまっていた。早く部屋に入りたいと思い早歩きでアパートへと向かった。
アパートの階段を部屋の鍵を鞄から取り出しながら登り通路へ到達すると、私の目の前には天使がいた。
「お姉ちゃん、お帰りなさい」
天使は私に向かって満面の笑みで言った。一瞬、疲れで頭がおかしくなってしまったのかと思ったがそうではないみたいだ。目の前にいるのは本物の天使、状況の理解ができていない私は天使の顔に手を伸ばした。天使の顔に手が触れると天使の顔はとても冷たかった。
「お姉ちゃん、寒いよ…家の扉早く開けて」
天使は上目遣いで私に言う、あざとい…そう思うほどの可愛さだった。
下宿を始めて約1週間、我が家に天使がやってきたのだった。
天使のお望み通り私は慌てて部屋の鍵を開けて天使を部屋の中に入れた。ちょっとだけ茶色がかったミディアムレングスのウェーブボブという天使にふさわしいような可愛らしい容姿の天使が我が家に降臨したのだった。
「お姉ちゃん急に来ちゃってごめんなさい」
部屋に入ると早々に天使が私に抱きついて謝ってきた。私はそっと天使を抱きしめて優しく包み込んだ。
「急に来てどうしたの?何かあったの?」
「お姉ちゃんに会いたくて来ちゃったの…ごめんなさい」
またも上目遣いで私に謝ってくる天使が可愛いすぎて私は死んでしまいそうだった。
「来るならちゃんと来るって連絡してよ」
「ごめんなさい。行くって言ったらママに止められると思って言えなかったの…電車乗ってから連絡しようとしたけどみゆのタブレットWi-Fi繋がってないと使えなかったから連絡できなかったの…」
ふぅ…可愛すぎる…姉として怒らないといけないとは思う。だが、こんな可愛い天使を怒るなんて私にはできないよ……などと思っていた時ふと気になることを天使が言っていたことに気づいた。
「え、待って、ママに来るって言ってないの?」
「うん。言ってない…」
時刻は現在22時前、地元からここまで電車で5時間はかかる。やばい。と思った私は慌ててスマホを手に取り親へ電話をする。
通話ボタンを押してからすぐに親に繋がった。
「もしもし、みこと?ごめん。今ちょっと電話してる場合じゃないの。また、後で連絡するから切るね」
「待って、ママ!みゆなら私の部屋に来てるよ」
「え、みことの部屋にいるの?」
「うん。なんか、ママに言うと止められると思って勝手に来たみたい」
「そうなのね…とりあえず無事でよかった…ちょっとみゆちゃんに変わってもらえる?」
ママは慌てた様子から落ち着きを取り戻し優しい声で私にそう言った。だが、ママが今現在とても怒っているのが私にはよくわかった。私の天使にスマホを向けると私の天使はすごい勢いで首を横に振った。
仕方がないのでママに変われないと言い、私の天使に部屋の中にいるよう言い部屋の外へでるとあなたが甘やかすからみゆちゃんが勝手にそっちに行ったりするのよ!と私がめちゃくちゃ怒られた。
数分間、一方的に怒られ続けてとりあえず無事でよかったと安堵したママとの電話を終える。ママと電話した結果、私の天使はママが迎えに来れる日まで私の部屋にいることになった。
「電話終わった?」
ママとの電話を終えて部屋に入ると私の天使が私に尋ねる。終わったよ。と返事をすると私の天使がお姉ちゃんありがとう大好きと言ってくれたので叱られた甲斐がある。
「ねーお姉ちゃん、実はさ…みゆ、お姉ちゃんの家に来るまでにお小遣い全部使っちゃったからまだ、夜ご飯食べれてないの…」
天使の言葉を聞き私は慌てて冷蔵庫を開ける。すぐに料理の準備を始め、私がバイトの間の数時間ずっと部屋の前で待ってたせいで体が冷え切っていた天使をお風呂に入れさせてその間に冷蔵庫の中身でチャーハンを作る。
お風呂上がりの天使が私が作ったチャーハンを美味しそうに食べてくれている間、私はドライヤーで天使の髪の毛を乾かす。
そしてしばらく私の部屋にいていいよ。と天使に言うと天使は満面の笑みで嬉しいと答えてくれたのだった。
「みゆ、今日は疲れたでしょ?お姉ちゃんちょっとやらないといけないことあるからさ、先に寝てていいよ。お姉ちゃんはソファーで寝るからベッド使っていいよ」
私が妹(天使)に言うと妹は不満そうにほっぺたを膨らませてパソコンを開いて大学の事前課題に取り組もうとしてた私の横に座る。
「お姉ちゃんが寝るまでみゆも起きてる。それに、みゆ、久しぶりにお姉ちゃんと一緒に寝たいな…」
ふう…可愛すぎかよ。私の妹が可愛すぎる。妹は私のパジャマの袖を掴んで眠たそうに目を擦りながら私の肩にもたれかかってくる。もう、事前課題なんてどうでもいいや。また明日やろう。
私はパソコンの電源を切って眠たそうな妹と一緒にベッドに横になる。ベッドで横になってすぐに妹は私の腕に抱きついてきた。私の腕は完全に妹の抱き枕にされている。可愛すぎかよ。
数分で妹は寝ついてしまい私は妹の寝顔を堪能する。可愛すぎて抱き枕にされている腕とは別の腕を妹の頭に伸ばして妹の頭を撫でる。めちゃくちゃ触り心地のいいふわふわな髪を撫でていると本当に1日の疲れが吹き飛ぶようだった。
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