第103話新連隊そして新装備
「ディアス大佐、これは」
「ひっ!来るな!来るなぁぁぁ!」
「ランバース大佐、君は一体何をしたんだ?」
「ん?大佐?あぁ、そうですね」
ソルジャーは非常時は佐官待遇で軍に徴用される。僕はクラス1stだから大佐か。確かに間違いはないな。
「総員、私はバロ・ランバース大佐だ。貴官らの指揮官は第13師団にて工作員として潜入任務を行っていた一人である。連隊員の諸君、これを聞け」
僕は彼等にサラ・リードルム・グッシードの告白を流した。レン技術准将、ディアス大佐も驚愕した顔だ。
「これを聞いてもなお半減するのなら、、、今すぐ王都に帰還せよ。もしセリエ様を信じるのなら、残れ。以上だ」
「ディアス・ミュンベルガー大佐だ。連隊員諸君、私は君達の裏切り者だ。恨んでくれて構わない、、、だが、ここで死なんでくれ」
ディアス大佐は涙ながらに語っていた。そして、部下の助命を依頼し自らも部下に生きるよう伝えた。ここまでの人材とは思わなかったが、更に素晴らしいのは脱落者が連隊3000名のうち146名しか出なかった事だ。
連隊長であるディアス大佐の賜物と言った所か。だが残った2854名の優秀な兵士が仲間になった。バレタニア連合軍は着々と兵力を強めている。よい傾向だ。
「ランバース大佐、貴方に渡したい物がある。一緒に来てくれるか?」
「了解です。レン技術准将」
レン技術准将、本名レン・ブライト。第3師団司令サミュエル・ブライトの御息女で僕の目的の一人。彼女を確保すればブライト中将との交渉に使える。
「貴方に上官として扱われるとはね」
「以外ですか?レン技術准将、僕は別に良いですよ。ソルジャーが軍属には違いありませんし」
「いえ、変わり身の速さがね」
「味方に何時までも傲慢な態度はとりませんよ。まぁ、敵になれば死よりも恐ろしい物を見せますがね」
「肝に命じておくわ。それじゃあ向かいましょう。軍需工場の私のラボにね」
ディアス連隊(名前が解らなかった)の駐屯地からは軍需工場の地下施設に通じる通路があった。恐らくだが、この要塞都市にある全ての軍事拠点に軍需工場からの出口が設営されているのだろう。ただ、軍事施設が一方面に片寄っているふざけた設計で助かった。だって出口である軍事拠点の大半を破壊できたのでから。
そして、軍需工場に付き地下に20m程降りた所で、見た。作りかけの戦車や戦闘挺に、魔導船の部品。恐ろしい。
「此方よ。、、、ここよ」
「Len's laboratory keepout♥️
(レンのラボ 立ち入り禁止♥️)
随分可愛らしい警告ですね」
ファンシーな絵柄で♥️マークがついた立ち入り禁止。レン技術准将とのイメージギャップがありすぎる。
「はいってね」
「了解です、、、ほぉ」
散乱した白衣。食べかけの食事、地面に散らばった設計図。更に作業台は既に埋もれ施設としての価値はない、、、ダメだ落ち着かない。こんなの無理だ。
「レン技術准将、少しお待ちを」
「は?」
地面の設計図を近くのファイルにアルファベット順に閉じ、食べかけの食事は片付ける。レン技術准将に確認を取りながら、部品の片付けを行った。
「、、、凄い。久し振りに綺麗になった」
「さて、落ち着きましたね。それで、僕に渡したい物とは?」
「これよ」
そう言ってレン技術准将が渡して来たのは腕に装着するタイプのアンカーでした。
「2つとは両腕に?」
「そう、その武装の名前はデバイスチェーン。自分の意思で自由に動かせる鎖よ。先端部をアンカー、クロー、マグネットに選択可能そして装着させるデバイスによって性能も変化するわ。市販のデバイスだと性能の向上はなく、軍用かそれ以上の性能を持ったデバイスが必要になるの。チェーンは魔力によって実体化させるもので、魔力が続く限り伸びる。更にはとある形状で固定させる事も可能。見てて」
レン技術准将はそう言うと、自分のデバイス(携帯端末)である軍用のM2Tsを装着した。(このsはspecialの略)すると、
「アンカー」
先端部が錨状になり、何回か屈折し壁に当たる。そして、魔力を切ったのだろう。チェーンはすぐに消失した。そしてすぐに
「クロー」
今度は爪だが、どちらかと言うと何かを掴むためのクローアームが先端部についている。それも先程と同じように動き、消失する。
「クローだと何かを掴むためだから、途中で魔力を切ると」
「途中でその何かを落とす事になる」
「正解よ、そしてマグネットだけど強力な魔導磁石よ。魔力が流れ続ける限りくっつく。それだけ、最後に」
いきなりデバイスチェーンは熊の形になり、形状を留めている。
「なぜ、熊で?」
「複雑な物も可能だという例よ。このデバイスチェーンなら武器が無いときに戦えるわ。まぁ、チェーンを鞭のようにしても良いけどね。」
話を聞く限り有能な武装だ。でも、おかしい。何故、いきなり持ちかけたんだ?
「貴方にこれを渡す条件がある。これを文字通り鎖にするわ。貴方が厄災にならない為の。だからこのデバイスチェーンには貴方の変身能力を抑制する能力が入っている」
正直、驚いた。いつそんな物を?僕がレン技術准将と話している間、そんな様子はなかった。
「私はね。これを元々厄災を捕らえる為に作ったの。だから、、、」
その目は正直だった。俺は自由に龍になる力を失う変わりに人材と武装を得る。元々、セリエに嫌われた力だ。今更、惜しくはない。
「解った!力を」
良い終えようとした瞬間、至るところからガスが噴出された。
「くっ、、、時間かけすぎたか」
レン技術准将を支えながら、そして消え行く意識を保ちながら出口へと向かった。
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