第93話万策尽きて

「プロトエネルギーカノン照射」


地面に線を描きながら、俺へと近づいてくるエネルギー体。一瞬のはずが、それが何秒にも感じた。だからだろう、生きる足掻きができた。


「多重障壁」


エネルギーカノンがかすっただけで障壁が破壊される。照射時間は約1分、その時間で数百枚の障壁が粉々になった。


「ガトリングポット発射」


地面を転がりながら障壁を展開して回避する。この回るのにも疲れてきた。攻撃するしかない


「龍化」


しかし、何時もの姿にはなれなかった。大きさは精々3メートル。姿も龍(ドラゴン)ではなく竜(ワイバーン)だ。人型戦車の半分もない。だが、四枚の龍翼はある。鱗も龍鱗だ。

龍我天成よりも防御力はある。


「対空戦闘モードを開始します」


(なに!)


俺は上空から人形戦車に向け、火炎弾を放つ。しかし、人型戦車は上半身を上空へと向け、俺に対空放火を浴びせてきた。幸い今の俺は小型竜だ。ガトリングポットは回避できる。そう、思っていたが、そんな甘くはなかった。人型戦車は俺の進む方向を予測するだけでなく、俺を追い込む様にガトリングを撃ってくる。


「プロトエネルギーカノン、拡散照射します」


(な!)


言葉はなかった。今までレーザーの様に一本のエネルギーが照射されていたのが、発射口から出たエネルギー体は俺と同じ高度までくると、全方位にむけて拡散した。


(ぬ!)


火力は下がっているが、かするだけで龍鱗が貫かれた。しかも、それが連写されている。もう何発避けただろうか、そろそろ飛んでいるのも辛くなってきた。人間時に魔力を使いすぎたようだ。そして、速度が緩んでしまったとき


「GAAAAAA!!!」


遂に翼の一枚を貫かれた。俺は激しい痛みに悶え、そのまま墜ちている。体勢を何とか整えたいが、翼の感覚がない。それでも翼を広げ、墜ちるその身に風を受けた。翼膜に穴が空いてはいるが、飛べなくはないはずだ。俺は、ただ信じて羽ばたいた。


「GURAAAA」


羽ばたきはしたが、墜ちる身にくる衝撃を和らげるだけだった。羽ばたいたところをもう一度うたれ、背中から墜ちた。腹にエネルギーカノンがあたり、既に動けない。


(リジェネジェーション)


治療魔法を行うが、魔力がどっと減った感覚があり、酷い怠さがある。俺は龍化をとき、人間の姿に戻った。腕は再生したが、魔力の殆どを再生に持っていかれた。残ったのはほんの少しだ。


「天世を壊したうえ、俺の翼も折りやがって、、、壊れろよ木偶の坊」


エレメントダガーとドラゴンダガーを構え、残った魔力を流す。そして、改めて人型戦車に向け、走り出した。


「疾!」


速度を緩めてはいけない。緩めた瞬間、ガトリングが当たる。今でもかすっているんだ。誰も死にたくはないからな。


「セイ!」


エレメントダガーを人型戦車のエネルギーカノンに向けて投げる。案の定、魔力を流して切れ味を上げたダガーはまるでパンを切るように砲身にのまれていった。音もない、だがきっと刺さったそう思ってエレメントダガーを呼び寄せた。


「第4ラウンドかな?人型」





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