第72話僕の本職

髪を上げ、元通りの髪型に直しホテルをチェックアウトします。フロントには奇怪な目で見られましたが、刀をちらつかせたら泣いて謝って来ましたよ。


「さっきは酷くない?」


「フロントのカツラを切り飛ばしただけですよ。ホテルに実害は無いので賠償も出ませんし、もし敵になるならあらゆる工作をさせて貰いますけどね。」


「あら、黒い顔。」


「貴女程ではないですがね。」


2日間話さないだけでも楽しいものですね。そして、カール市長からの報酬に辿り着きました。そこは見るからに豪邸、いったい誰が住んでいたのでしょうか。


「先代のフォレスタ市長の散財の結果らしいわよ。これの維持費で金がかかって、、、。」


「公費にてを出したと?馬鹿ですね。しかし、好都合です。ここの地下に鉄騎隊の基地を繋げれば完璧です。」


「魔力は?」


「セリエとマリンの魔力で足ります。むしろ、それ以上来たら今度こそ僕は死ぬでしょう。頼むから止めてね。」


何時もの冗談めいたトーンではなく、マジのトーンでセリエに話しかけると、神妙な顔でコクりと頷いてくれました。


「あっ、バロ様おか、、、どうしたんですかその姿!」


「管理人殿、どうやら熾烈な戦いをしたようだな。」


「やぁ、マリン、副長殿。いやね、ターゲットの他に厄災まで現れてさ。左腕と右目を失う結果になっちゃいましたよ。ハッハッハ」


マリンと副長殿は絶句してちょっと面白い顔をしています。


「そうだ、セリエにマリン。これはどういう事ですか?」


セリエとマリンに刀を見せると、絶句していたのが嘘の様に話し始めました。


「私は関係ありません。セリエ様です!」


「はぁ?!マリン貴女も共犯でしょうが!」


あー、これはアレですね。勘違いされています。刀を捨てたのに送られてくる、カーヴィー師も着いてきた。それで怒っていると思われたのでしょう。


「ありがとうございます、この刀が無ければ今頃、幻覚に苛まれ野垂れ死にしていたでしょう。所で、この刀の銘は?あるのでしょう?」


「えっと、、、」


「煉獄(れんごく)よ。貴方に相応しいと思うけど。」


「いえ、折角お二人のプレゼントなんだ。もっと、、、そうだ。天世(あまつよ)にしましょう。」


「意味だけ見れば煉獄の反対、管理人殿。中々いいセンスをしているではないか。」


「何時も、ダガーで殺してましたが。刀が増えた事で僕の戦闘スタイルは変化可能になりました。双短剣術、刀術、魔法、組合せは最高ですね。まぁ、ソルジャーの仕事は当分休業ですが。」


「確かにな、その怪我で」


「違います」


「違うの(か)(ですか)?」


「いや色々あって第4棟の管理人業務を疎かにしているので、本業を全うしようとしているだけですが?この程度の怪我でやすんでる暇はない。花壇、馬の世話、掃除、やることは沢山あるんだ。、、、なんでその顔を?」


「あぁ、うん。そうですね、バロ様は怪我とか気にしませんものね」


「管理人殿、我等鉄騎隊の為にしてくれるのは解るが、休みも必要だぞ?」


「ワォン!」「キャン!」


「アインスとツヴァイもそう言ってるわよ。今日は帰って寝てなさい。そしてターシェ王国第2王女の名において、バロ・ランバース。貴方に2日間、休暇を与えます。ゆっくりしててね。」


「やれやれ、主様からのご命令だ。休むしかないですね」


少しのお土産をかって、僕たちはバレタニアへと転移しました。

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