第496話 新年のお願い
「春香ちゃん、ひま〜」
りょうちゃんとまゆちゃんがアパートを出てからしばらくするとゆいちゃんがソファーに座っていた私を背後からギュッと抱きしめながら言う。もうね。めっちゃかわいいのよ。
「こっちおいで」
「いく〜」
私がゆいちゃんを呼ぶとゆいちゃんはソファーにやってきて横になって頭を私の膝に乗せて甘えてくる。めっちゃかわいい。
「お菓子食べる?」
「食べる〜」
ソファーの前にある小さなテーブルに置かれていたいくつかのお菓子が入ったお皿からゆいちゃんが大好きなポッキーを取ってあげてゆいちゃんに食べさせてあげる。リスみたいにポッキーを少しずつ齧るゆいちゃんがめちゃくちゃかわいい。
「もっと食べたい」
「太っちゃうよ」
こんなグダグダした体制でお菓子を食べまくったら本当に太っちゃいそうだからゆいちゃんを心配してしまう。
「太ってもりょうくんは私のこと嫌いになったりしないから大丈夫だもん」
まあ、たしかに、そうだよね。ゆいちゃんが少し太ったくらいでりょうちゃんがゆいちゃんのこと嫌いになるわけないし…いや、でも、だからと言って太っていいのか?まあ、ゆいちゃんかわいいから少しくらい甘やかしていいか。
「じゃあ、ほら、もっとお食べ」
「わーい」
あーもう。かわいいなぁ。めっちゃ笑顔でお菓子頬張ってるよ。リスみたいにちまちま齧っていたと思ったら今度はリスみたいにほっぺいっぱいにお菓子食べてるし…ほっぺギュッて押してみたい…
「ねー春香ちゃん」
「なぁに?」
「お願いがあるのぉ」
私の膝の上から上目遣いで私を見つめて甘い声でお願いしてくるゆいちゃん。こんな彼女がいたらお願いなんでも聞いちゃうわ。りょうちゃん大変だなぁ。
「なぁに?」
こんなかわいくお願いされるとなんでもお願い聞いてあげたくなるわぁ。
「お餅食べたい」
「それ、私に言う?」
「春香ちゃんならお餅作れたりしないかなぁ。って思って…」
どんな無理難題だよ。いや、たしかにね。うん。実家で餅つきしたことあるし作り方知ってるけど餅つきの材料も道具もないのよ。
「流石に無理…」
「えー」
「えーって言われても…」
無理難題すぎて困る。せめて何日か前から言っておいてくれればお餅買っておいたのに。りょうちゃんとまゆちゃんにお願いして買ってきてもらうか。とか考えながらスマホを開く。
「りょうちゃんとまゆちゃんに買ってきてもらうようにお願いするからそれで我慢して…」
「するー」
少しわがままな妹みたいなゆいちゃんの頭を撫でながらりょうちゃんに連絡する。ゆいちゃんは気持ちよさそうな表情をしながら眠ってしまう。自由人め…
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