第495話 内緒のもの





「もう、勝手に入ってくるならインターホン鳴らさないでよ。りょうくん、あけましておめでとう。今年もまゆのことお願いね」


僕とまゆがまゆのご実家に入るとまゆのお母さんが呆れた様子で出迎えてくれた。


「あけましておめでとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願い致します」

「まゆはどう?迷惑かけてない?」

「いつも助けられてます」

「そう、ならよかった。とりあえず中入って。お茶淹れるから少しゆっくりしていって」

「ありがとうございます。お邪魔します」


そう言って僕はまゆと一緒にまゆのご実家のリビングに向かった。


「ごめんなさいね。わざわざ来てもらったのにお父さん急な仕事が入って今留守なの」

「えー、そうなんだ。残念だけど仕方ないか…じゃあ、まゆはまた今度お父さんに挨拶するね」

「そうしてあげて…お父さん、まゆにすごく会いたがってたから」


そんな感じのやり取りをしながらお茶とお菓子をいただいて近況報告をしながらお茶を楽しむ。


「春香ちゃんは元気?あと、もう1人の…ゆいちゃん、だっけ?」

「うん。春香ちゃんもゆいちゃんも元気だよ。まゆと一緒に、りょうちゃんに幸せにしてもらってるから」


迷いなく答えてくれたまゆの表情を見ると本当に幸せそうで安心した。


「春香ちゃんとゆいちゃんにも今度一緒に来てゆっくりしていってって伝えておいてね」

「うん。今度4人で一緒に来るね」


しばらくまゆのお母さんと話をして、最後に4人で来る約束をして、そろそろアパートに帰ることにした。


「りょうくん、本当に出来の悪い娘だけど…これからもよろしくお願いします」

「もちろんです」


まゆのお母さんに返事をして、お邪魔しました。と言って、まゆに行こう。と言ってまゆの手をそっと握る。


「あ、そうだ。あれ持ってっていい?」

「あれ?なんのこと?」


まゆのお母さんがまゆに尋ねるとまゆはまゆのお母さんに耳打ちして僕に聞こえないようにヒソヒソ話していた。まゆの話を聞いたお母さんはいいわよ。と言っていたので何か持ってくみたいだ。何か持ってくなら手伝おうか?と聞くと大丈夫。先車乗ってて!と言われて先に車の助手席に座らされた。


しばらくするとまゆがトランクに何か入れたみたいだけど何かはわからなかった。


「何持って帰るの?」

「えへへ。まだ内緒!」


まゆは笑顔でそう言って車の運転を始める。何かすごく気になったけど、まゆがまだ内緒にしていたいなら今は聞かないようにしよう。






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