第376話 19歳
「りょうちゃん…起きて……」
頭痛い…眠い…今、何時?たしか…朝の6時くらいまで…春香とまゆとゆいちゃんと起きていた記憶はあるのだけど…うん。疲れた。けど、すごく幸せだったのは覚えてる。ただ、めちゃくちゃ眠い。
「りょうちゃん、もう19歳なんだからしっかりしないと…だよ…」
そう言って僕を起こしてくれた春香がギュッと僕の腕を抱きしめる。
「えへへ、でも、春香とまゆとゆいちゃんがずっと一緒にいてくれるから大丈夫だもん」
「朝、ゆいちゃんはあてにしちゃダメだよ…」
た、たしかに…ゆいちゃんは朝めちゃくちゃ弱いからなぁ…まゆもちょっと、朝はぬけちゃってる感じするから頼れるのは春香しかいない……
「僕が朝起きれないのは昔から春香に甘やかされてたからだ…責任とってこれからも朝甘やかして…」
何言ってるんだろう自分…で、でも、そうだよ。僕が朝起きれないのは昔から春香に起こしてもらってばかりだったからだ。
昔からお泊まりの日は春香に起こしてもらってたし、寝坊した時はいつも一緒に通学していた春香が迎えに来て起こしてくれたし、スマホを持ってからは毎朝モーニングコールしてくれてたし…そうだ。春香がずっと僕を甘やかしてきたから悪い…そのせいで春香が下宿し始めた年は寝坊で高校遅刻したりして大変だったんだからね。
「仕方ないから…これからもずっと、起こしてあげる…」
「うん。これからもずっと、側にいてね」
「うん」
朝から完全なバカップルモードで幸せすぎる。春香をギュッと抱きしめ返してそっとキスをしてから、僕の隣で何故か下着姿で布団を被って眠っているまゆとゆいちゃんを起こす。
まゆはすぐに起きて顔を真っ赤にして慌てて服を着るために春香とまゆの部屋に駆け込んで行った。
「りょうちゃん、私、朝ごはんの用意してくるからゆいちゃん起こしてあげて…朝から…ゆいちゃんに変なことしたらダメだからね……」
「うん。わかってるよ」
僕の返事を聞いた後、春香は台所に向かった。僕はリビングで何故か下着姿でちょっとだけよだれをたらしながら幸せそうな表情で眠るゆいちゃんを頑張って起こそうとする。
「ゆいちゃん、起きて、朝だよ」
「まぁだ眠ぃのぉ…まぁだ寝る……」
甘え声で僕を抱きしめて幸せそうな表情でそう言ってゆいちゃんはぐっすりもう一眠りを始める。かわいい。かわいいけど、起きて!遅刻だよ!
「ゆいちゃん、起きないと遅刻だよ」
「まぁだ眠ぃのぉ…」
「おーきーて!」
「夜のぉ…続きしてくれるならぁ…起きてあげるぅ…」
そう言って、僕をさらに強く抱きしめて誘惑してくるゆいちゃん…かわいすぎるよ。
「ゆ、ゆいちゃん…だめ…だよ……」
「えへへぇ。りょうくん、顔赤いよぅ。本当はぁ、昨日の続きしたいんじゃないのぉ?」
やばい…誘惑が強すぎる…かわいすぎて抗えない。春香、まゆ、助けて……
「まゆも…続きしたい……」
ちょうどいいタイミングでリビングに戻ってきたまゆだったが…はい。逆効果でした。ゆいちゃんとは反対側から僕に抱きついてきた。それを見た春香が慌てて僕の方に来て、ずるい。と言い出してまゆとゆいちゃんに便乗する。
朝から、幸せでしたよ。はい。眠くて、疲れたけど、というわけで19歳初日、講義に遅刻しました。19歳なのに…もう大人なのに…遅刻、しちゃった…
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