第306話 京都旅行
「京都ってなんかイメージと違う…」
京都に入り、車の運転をしながらまゆが呟く。まあ、言いたいことはわかるが、京都全てが僕たちよそ者がイメージする京都というわけではないだろう。
あらかじめ調べておいた場所にあるコインパーキングに車を停めて、4人で京都の道を歩く。京都の道と言っても、今僕たちがいる場所はかなり栄えていて、京都と言うよりも大阪とかにいる気分だった。
だが、しばらく歩いて、新京極の辺りまで来ると少しずつ僕たちがイメージする京都に近づいてくる。そして、新京極通付近にあるお店に僕たちは入る。
「じゃあ、りょうちゃん、しばらくそこら辺1人でぶらぶらしてきて」
そう言ってまゆは春香とゆいちゃんを連れてお店に入る。1人になった僕は適当に新京極通を歩く。新京極通は繁華街みたいな感じで、なんか、京都感薄い…でも、賑わいはすごく外国人とか観光客も多い印象を受けた。
しばらく1人で適当に歩いているとまゆから連絡が来たので先程、まゆたちと別れたお店に戻る。
「どう?まゆ、似合ってる?」
「りょうくん、かわいい?」
「りょうちゃん…変じゃない?」
お店の前で待っていた着物姿の3人が一斉に僕に尋ねる。3人ともかわいすぎます。
「まゆ、めちゃくちゃかわいいしめちゃくちゃ似合ってるよ。ゆいちゃんもめちゃくちゃかわいいしめちゃくちゃ似合ってる。春香もめちゃくちゃかわいくてめちゃくちゃ似合ってる」
「りょうくんがめちゃくちゃかわいいとめちゃくちゃ似合ってるしか言えないbotになっちゃった…」
いや、だって、3人ともめちゃくちゃかわいくてめちゃくちゃ似合ってるんだもん。それ以外何と言えばいいの?
「じゃあ、行こうか。りょうちゃん、手繋いで」
「あ、まゆちゃんずるい」
「そうですよ。私もりょうくんと手繋ぎたいです」
まゆが僕と手を繋ぐと競うように僕と手を繋ごうとする春香とゆいちゃん。かわいすぎます。この様子が滑稽だったのか近くにいた外国人に指を刺されて笑われた。まあ、周囲から見たら何してるんだろう?って感じだよな。
「ほら、まゆちゃん、じゃんけん、早くりょうちゃんから手離して」
春香に言われてまゆは渋々僕から手を離す。4人で一緒にいる時の約束として、3人が揉めたらじゃんけんで解決する。というルールを作った。(そうしないとゆいちゃんがめちゃくちゃ駄々を捏ねるから……)
「やった。まゆの勝ち」
3人でじゃんけんをして勝ったまゆはさっそく僕と手を繋ぐ。もう、片方の手を争い春香とゆいちゃんがじゃんけんをする。
「りょうくん……」
じゃんけんで負けたゆいちゃんが涙目で何かを訴えかけてくる。やめてよ。その表情はずるい…
「え、えっと、じゃ、じゃあ、時間決めてローテーションに……」
「りょうちゃん、ゆいちゃんを甘やかしすぎ。ゆいちゃんも、泣き顔作るのやめなさい。また、後でじゃんけんするから」
「えへへ。ごめんなさい」
ゆいちゃん…いつから泣き顔作れるようになったの…やめてよ。僕、本当にその表情には弱いんだから……
「じゃあ、私は春香ちゃんと手繋ぎたい。いいですか?」
「うん。いいよ」
「えーまゆとは繋いでくれないの?」
「りょうくんにネタバラシされた恨みがあるので嫌でーす」
そう言いながらゆいちゃんは春香の片手を握りしめて4人で並んで歩く。広い道のりなので許されるけど、普通の道では危ないので真似しないでください。
着物姿になって、目指す目的地は四条大橋だ。四条大橋の近くには京都を訪れるカップルの聖地のような場所があるので、まずはそこに行きたい。というまゆの要望に応えた形になる。4人で京都の雰囲気を味わいながら僕たちは四条大橋へと向かった。
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