第266話 意地悪会
「あれもこれも女の子同士がいちゃいちゃするやつばかりだねー」
「ねぇ、りょうちゃん、もしかしてりょうちゃんが私とまゆちゃんと付き合ってるのって……」
部屋に入れてもらうと春香とまゆはベッドに並んで腰をかけて、僕は僕の同人誌コレクションの前で正座させられていた。何これどういう状況?
「いや、春香、そうじゃないよ。春香とまゆにそういうことさせたことないでしょう?」
「りょうちゃんのエッチ…変態……」
問答無用で春香に罵倒された。泣きそう。春香とまゆにそう言うことして。ってお願いしたことすらないのにそんなに言わなくても…そもそも、僕が百合好きって設定、2人と付き合い始めてから出来た後付け設定だからね!?こんな設定付けてふざけんなよ。
「他にもりょうちゃんが恥ずかしがりそうなものいろいろ見ちゃおうかなぁ」
まゆはそう言って僕の小学校の卒業アルバムや中学、高校の卒業アルバム、小学校の卒業文集などなど僕があまり見られたくないものをニヤニヤしながら僕の前で春香と一緒に見始める。恥ずかしいのでやめてください。
「りょうちゃんの卒業文集やば…笑」
まゆがそう言いながら春香に卒業文集を見せる。それだけはやめて。本当に!と、僕が止めに入ろうとする頃には春香の手に僕の小学校時代の卒業文集が渡されていた。
「っ……っ………」
春香がめちゃくちゃ顔を赤くするのをまゆはニヤニヤしながら見つめた後、春香から卒業文集を受け取り……
「将来の夢。僕には今、好きな人がいます。将来、その人と結婚したいくらいその人のことが好きです。だから、僕は将来、素敵な旦那さんになりたいです。安定した暮らしができて、好きな人と幸せに暮らせるようになって、好きな人と支え合って生きていけるような素敵な旦那さんになりたいです…………………」
今にして思うと、よくそんなこと書いたな!?って思うような文書をまゆは全て音読した。めちゃくちゃ恥ずかしい。昔、春香に見せて!って言われた時意地でも見せなかったのに、まさか、今になって見られることになるとは……めちゃくちゃ恥ずかしい。
「りょうちゃん、すごく素敵な作文だね。春香ちゃんだけずるいなぁ…今から、まゆの分も書いてもらおうかなぁ」
作文の音楽を終えた後、まゆはめちゃくちゃ意地悪な表情で僕に言う。小学生の先を考えない無邪気な心を忘れてしまった僕にはもう書けないです。
まゆが意地悪な表情で僕に作文を要求している横で春香はパシャリと僕の作文をスマホのカメラで収めていた。やめて。恥ずかしいじゃん……
「あの…もう、許して……」
僕のコレクション漁りや、卒アル漁り、作文漁りを一通り楽しんだ春香とまゆに僕は泣きそうな表情で言う。これ以上は僕のメンタルがもたない……
「まゆちゃん、そろそろ可哀想だから許してあげよう」
「うーん。そうだね。まゆも楽しめたしこれくらいで許してあげるか…」
「りょうちゃん、私もまゆちゃんもね。りょうちゃんと一緒にいられてすごく幸せなの。だからさ、放置は寂しかったなぁ…寂しくていろいろ意地悪しちゃってごめんなさい」
「まゆも、ごめんね」
そう言って春香とまゆは絨毯の上に正座していた僕に抱きついてきたので僕は2人を受け止める。
「いいよ。寂しい想いをさせてごめんね」
僕は春香とまゆに謝る。
「じゃあ、これから、いちゃいちゃしちゃう?」
「え、ちょっ…まゆちゃ……ん……変なとこ…触らないでぇ……」
僕から離れるといきなりまゆが変なこと言いだして春香の胸を揉み始めた。それを見て僕は戸惑いながらもドキドキしてしまう。
「「………りょうちゃん、やっぱり変態だわ」」
僕の反応を見て春香とまゆが冷たい声で言う。
「今、まゆが春香ちゃんの弱いところいじり始めたの見て興奮してたでしょう?」
「りょうちゃんの変態…」
「ごめんなさい……」
「明日、アパート帰ったらゆっくりそういうところ見せてあげようか?まゆ、春香ちゃんの弱いところちゃんと覚えてるから見せてあげられるよ」
「わ、私も…まゆちゃんの弱いところ覚えてるからできるよ……」
春香とまゆは顔を真っ赤にしながらそう言う。反射的に、僕はその姿を想像してしまい、顔が赤くなる。
「「やっぱ、りょうちゃん変態だわ…」」
僕の反応を見て春香とまゆに真顔でそう言われた。すみません。僕は変態でした。僕の百合好きは後付けの設定なんかじゃなかったです。百合大好きです。先程はこんな設定付けてふざけんなよ。と暴言を言ってしまい大変失礼いたしました。反省いたします。
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