第267話 ぐだぐだ
「お昼寝ってやっぱいいね〜」
「うん。最高」
お昼が終わり、春香とまゆに許してもらえた?後は特に予定がなかったので部屋でぐだぐだしていた。ベッドで横になり気づいたら3人でお昼寝していておやつの時間くらいに目を覚ます。昔から暇な時はこうやってお昼寝をしていた春香が懐かしそうに呟いた言葉に僕は同意する。僕の部屋は日が当たっていてなかなかに昼寝の寝心地が良い。
「まゆもずっとこうやってぐだぐだしてたーい」
「「ぐだぐだ〜」」
「ぐだぐだ〜………って!違うよね!?何でわざわざ遠出して来たのにぐだぐだしてるの!?」
完全にぐだぐだ人間になってぐだぐだしていた僕と春香にまゆがそう言った。
「まゆ、落ち着いて、そもそもだよ。今回の目的は帰省だからね。帰省なんだから実家でゆっくりぐだぐだしないと」
「わけわかんないこと言わないの!ほら、起きて」
「起きて何するのさ」
「えっと、な、何するかは任せるけど何かしたい!せっかくりょうちゃんと春香ちゃんの地元来たのにぐだぐだして1日過ごすのもったいない感じするし…」
「じゃあ、散歩とかする?それ以外本当に何もないど田舎だし…ちょっと遠くまで行けば大きめのショッピングセンターとかあるけど、僕たちがバイトしてるとこの方が普通にでかいし何もないから行っても退屈だよ」
「りょうちゃんの言う通りなんだよね〜だから、やることない時はこうやってぐだぐだしてるのが1番なんだよ」
昔からこのど田舎で育った春香は僕の意見に全面的に同意してくれるが、まゆは納得できないみたいで頬を膨らませて不満アピールをしている。かわいいなぁ。でも、田舎に過度な期待をされても本当に何もなくて地元民が困るだけだからやめていただきたい。本当に何もないから。
「ほら、まゆも一緒にもう一眠りしよう」
「ぐだぐだ〜」
若干間抜けな声でぐだぐだ〜と言うのにハマったらしい春香はぐだぐだ〜と言い続ける。めちゃくちゃかわいい。
「ほら、まゆも…」
「ぐだぐだ〜」
「ぐ、ぐだぐだぁ…」
渋々と言った様子で僕の隣で横になるまゆ、まゆがベッドの上で横になるとすぐに僕はまゆを抱きしめた。
「まゆまゆ〜」
「ぐだぐだ〜」
「ちょっ、りょうちゃん、まゆの名前をぐだぐだっぽく言うのやめてよ」
とそんなバカみたいなやり取りをしながらようやく3人でぐだぐだできる。と思ったら僕の部屋の扉がノックされた。入っていいよ。と言うとお母さんが部屋に入ってくる。
「まあ、真っ昼間からいちゃいちゃしちゃって…まあまあまあ…」
ベッドで横になってぐだぐだしていた僕たちを見てお母さんがテンション高めに言う。
「要件は?」
「あ、そうそう。まゆちゃんにお客さん?が来てるのだけど……」
お母さんがちょっと困った様子で言う。まゆにお客さん?僕か春香じゃなくてなんでまゆにお客さん?僕と春香の地元にまゆが来たのは今回が始めてのはずなのに…
「あ、えっと、ありがとうございます。えっと、まゆのお客さんはどちらに?」
「玄関で待ってくれているけれど…」
まゆは困惑した表情でベッドから起き上がる。
「まゆ、僕もついて行っていいかな?」
「うん。むしろ一緒に来てほしい…」
「わかった。春香は?」
「待ってる」
てっきり春香も一緒に来るって言うと思っていたから意外な返事に驚きながら僕はまゆと一緒に部屋を出て玄関に向かう。玄関についてすぐに、何故、春香が来なかったのかを理解した。
「あれれぇ。私が呼んだのはそちらの泥棒猫さんだけなんだけどなぁ。なになに?彼氏同伴で見せつけですか?」
「まゆ、春香のところに戻ってて…」
「りょう君に用はないから。私はまゆさんとお話に来たの」
みのり先輩は淡々と要件を伝えてまゆの腕を掴む。まるで、逃がさない。と言うようにギュッとまゆの細い腕を掴んだ。
「みのり先輩、まゆを離してください」
「離さない。さて、まゆさん、少しお話しましょう。りょう君は春香ちゃんの側にいてあげて」
「この状況でまゆを放っていけるわけないでしょう」
まゆから離れる気はないことをしっかりと示しながら僕はみのり先輩の腕を掴んでまゆの腕を離させた。
「まゆ、春香の側にいて…」
「りょうちゃん、いいから、みのりさん、お話は聞きます。そのかわり、りょうちゃんを側にいさせてもらうことが条件です」
「わかりました」
みのり先輩はあっさり承諾したので僕たち3人で少し場所を変えて話すことになった。
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