第198話 休憩ハプニング
「りょうちゃん、セクション練習お疲れ様!」
低音セクションの練習が終わると、まゆが低音セクションの部屋に入ってきて僕の元に駆け寄ってくる。かわいすぎかよ。
「りょうちゃん成分補充したくて中低音セクションの練習終わってからすぐ来ちゃった〜まゆが着いた瞬間に丁度終わってくれてタイミング最高だよ〜」
「もう、まゆは甘えん坊さんだなぁ」
「えへへ〜りょうちゃんにしか甘えないよぉ〜」
天使ですね。周りの目線がちょっと気になるけど…こら、りっちゃんさん、すぐに写真撮るのやめてください。僕は椅子に座っていた僕に抱きついてきたまゆを優しく受け止めながらまゆの頭を撫でてあげる。見慣れている方々はまたやってる。みたいな反応だったが、こう君とゆうなちゃんの視線が…水月先輩はめっちゃニヤニヤしているし…やっぱりちょっと恥ずかしい……
「…………」
無言で春香もまゆの横から僕に抱きついてくる。あぁ…かわいい。癒される。こう君とゆうなちゃんの表情が凄いことになってるけど…
「りょうちゃん、春香ちゃん、まゆちゃん、いちゃいちゃするのはいいけど合奏遅刻しないでよ」
りっちゃんさんは僕たちにそう言って、楽器や荷物を持って部屋を出て行く。今から30分休憩なのだが、りっちゃんさんは今からセクション練習の報告会があるみたいだ。
この後、基礎合奏と通し合奏を行い、夕食、夕食後は課題曲の合奏練習で、21時までには楽器の片付けを含めた練習終了で、その後入浴、この後のスケジュールも割とハードだ。僕も春香成分とまゆ成分を補充しておかないともたないなぁ……
「まゆちゃん…なかなかやるねー大胆だねー」
「みーちゃん、今すぐそのスマホで撮ったものを消さないとまゆ、怒るよ」
「文恵さんに送っとく?まゆちゃんとりょうちゃん、合宿頑張ってます!って」
「絶対やめて」
「みはね先輩、僕からもお願いします……」
みはね先輩が撮った写真を文恵さんに送られたらとんでもないことになる。次、バイト行った時にニヤニヤした表情で文恵さんに「合宿でもいちゃいちゃしちゃって〜」って言われる未来が見える。店長とか他のパートさんとかにいろいろ言われそうだし……
「あはは。大丈夫大丈夫、そんなことしないから。今度シフト入った時に文恵さんに見せるくらい」
「絶対やめて!」
「絶対やめてください!」
「えー、だって文恵さんからの指令だもん。上司命令には歯向かえないよぅ…」
僕たちのバイト先、超ブラックだった。労基に相談しないと……
「それにしても、春香ちゃんもまゆちゃんも本当に幸せそうな表情するねぇー2人ともいつも以上にすごくかわいい」
と、水月先輩が春香とまゆを交互にスマホのカメラに収めながら言う。気づいたら部屋の中からこう君とゆうなちゃんが居なくなっていた。
「じゃあ、水月も〜後輩君に癒やしてもらう〜」
その瞬間、空気が凍りついた。無邪気な表情で水月先輩は春香とまゆの間に入り込んで僕に抱きついた。春香とまゆはすごく怖い表情を…みはね先輩と陽菜は怯えた表情をする。たぶん、みはね先輩はまゆの表情を見て怯えて陽菜は春香の表情を見て怯えた。春香とまゆ、怒るとどちらも怖いらしいから…春香は…うん。めっちゃ怖い。まゆも…怒るとやばいらしい。
そんな2人の殺意に気付かず水月先輩はえへへ。と天然感満載で僕を抱きしめている。
「水月ちゃん、ダメだよ。いちゃいちゃしているカップルの邪魔しちゃ…」
「そ、そうですよ。ほら、りょうちゃんは春香ちゃんとまゆ先輩のものなんですから、離れてください」
みはね先輩と陽菜は慌てて水月先輩を僕から引き離そうとみはね先輩と陽菜が水月先輩を引っ張る。
「あ、え…ちょっと……」
急に体を引っ張られた水月先輩に引っ張られて僕は体のバランスを崩して椅子から落ちてしまう。結果…僕は春香とまゆ、水月先輩と陽菜、みはね先輩を押し倒したような状況になっている。
右手に柔らかい感触が…
「私の胸、何度も揉むのやめてくれないかな?後輩君」
左手は床に当たっているのか…
「りょうちゃん、床じゃないからね」
僕の体の下に小さな体が…
「りょう君、重いよぅ…」
倒れた時、顔はクッションに当たったのかな…
「りょうちゃん、私の胸、枕みたいにしないで…」
なんか、もう、いろいろとやばいことになっていた。状況を理解した僕は慌てて起き上がり、その場に正座して、頭を床にめり込む勢いで土下座した。
「急に押し倒されてびっくりしちゃったよ〜」
その場にいた全員が思った。お前のせいでこうなったんだよ!!と……
その後は大変だった。陽菜とみはね先輩に本気で謝罪して、春香とまゆのご機嫌を取る。
幸い、陽菜とみはね先輩はあっさり許してくれて春香とまゆのご機嫌も合奏までには回復したが……
すごく疲れた。天然恐るべし……
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