第15話 初合奏
「あ、りょうちゃん来てたんだ。やっぱりチューバで確定した?」
僕と春香が少し休憩しているとタイミングよくりっちゃんさんが話しかけてきた。手にはバストロンボーンを持っていてかっこいいイメージのあるりっちゃんによく似合っている。横には明るそうな感じの女の子がトロンボーンを持って立っている。おそらく僕と同じ一年生だろう。
「はい。やっぱり拒否権なかったです」
「そっか〜じゃあ、同じ低音仲間としてよろしくね!あ、春香ちゃん、もうすぐ基礎合奏するからステージ集まってって、1年生も吹ける子は混ざって欲しいって言われてるからりょうちゃんも楽器持って来てね」
りっちゃんさんは僕と春香にそう言い残してホールのステージに向かった。りっちゃんさんに続いてりっちゃんさんの横にいた女の子も一緒に移動した。
「じゃあ、私たちも行こうか。あ、伝えとくことあるんだけど、チューバは私以外に3年生の先輩がいるんだけど3年生の先輩は学生指揮者をやってるから基礎合奏とかは基本私とりょうちゃんだけになるから把握よろしくね」
「了解」
「じゃあ、ステージ行こうか」
僕と春香はチューバと譜面台、そして課題曲の楽譜を持ってステージに移動を始める。
ステージに到着して楽器を置いて用意された椅子に座る。チューバはステージの端っこに席が用意されている。僕と春香は並んで座り少し雑談をしながら人が揃うのを待つ。しばらくするとステージにだいぶ人が集まってきた。楽器初心者の一年生たちは客席に座って基礎合奏の見学をするようだった。
人が集まってからチラチラと視線を感じるような気がしていた。なんかヒソヒソ話しをされているような気がして耳を澄ましてみるとあれが春香ちゃんの男?とかはるちゃんが男連れてきたの?とかいろいろ言われている。なんかめっちゃ恥ずかしいのだが…
「春香ちゃん、その子が新しくチューバに入ってくれる子?」
すごい明るい感じの男性が春香に話しかける。明るい感じだが、チャラい印象はなくスマートな感じの明るさだった。
「あ…はい。そうです…私の幼馴染みの子で…」
なんとなく春香は苦手そうな感じで関わっていた。
「そっか〜1年生入ってくれてよかったよ。私はチューバパートの3年生で学生指揮の及川です。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「あ、もう時間だから挨拶はこのくらいで…合奏楽しみにしてるからよろしくね」
そう言って及川さんは指揮台に登る。指揮台に及川さんが立ったのを見てステージにいた人たちの話し声は収まり全員楽器を構える。
「学生指揮の及川です。基礎合奏や顧問の先生が来れない時の合奏を担当します。担当パートはチューバです。よろしくお願いします。それではさっそく基礎合奏を始めましょうか」
及川さんがそう言い基礎合奏が始まった。そして基礎合奏が終わりマーチの合奏をする。年始めなのでかなり合っていないところが目立つ合奏だった。この合奏で僕が抱いた感情がバストロンボーン怖い…だった。マーチではチューバが表打ちをやりバストロンボーンが裏打ちをやっていたのだがもっとテンポ上げてと煽ってくるような裏打ちが怖かった。りっちゃんさん上手すぎ…
あっという間に合奏の時間は終わり今日の練習・仮入部は終了し、片付けをして解散となった。
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