残飯その11 恐い
『消さないで!』
子どものぼくはいつも、
母にそう言っていた。
明かりがないと眠れなかった。
夜が恐かったのだ。
何も見えないのがひどく不安で。
みんなぼくを忘れてしまって。
どこかへ行ってしまって。
そうしてひとりになる気がした。
大人になったぼく。
今も暗闇を恐れている。
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