残飯その6 目撃


 嫌でも視線は吸い込まれ、

 激しく脈打つ鼓動に息苦しさを感じた。


 夜の街を次々に走り抜ける車。

 ヘッドライトが壁に反射して、

 何度も二人を照らし出していた。


 頭上を電車が通過する。

 高架下はひどく響くはずなのに、

 どうやらわたしの耳は壊れたようだ。


 どうせなら眼の前の光景も、

 幻であって欲しかった。

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