Day17

2025/8/1誤字修正

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おはようございます、私です。


今朝もすっきり起きれたので、気分爽快で朝食摂りました。

そろそろ生鮮食料品、買いに行きたいな。

あ、鍛冶屋さんに剣、見せに行かなきゃ。

午後は村行くかな。


では、本日も整地作業です。

せっせとレンガ作ってしゅるしゅる滑らせて…。

………

……

ふう。

つみつみつみつみ…


あ、ソード君来た。

手伝ってくれるの?ありがとー。

つみつみ終わって、いつものホットドッグかじりながらお茶タイムです。

最近、お昼食べることに慣れてきたなー。


「なあお嬢、聞きたいことがあるんだが…」

「ん?何?」

「昨日、王都の兵士の祝福の話してた時、暗算してたよな」

「へ?そうだっけ?」

「ああ、返事が早かったからな」

「覚えてないけど、暗算がどうしたの?」

「実は俺、午前中は家庭教師の勉強、頑張るって父上と約束したんだ。だけど、算学の勉強でつまずいててさ。お嬢が出来るならコツとか教えてもらえないか」

「どんなことやってるのかによるよ。私じゃ無理かもしんないし」

「あー、軍の人員配分や兵站の計算」

「ふーん、私で解るかな」

「例えば12人の隊が12隊あったら全部で何人必要?」

「144人」

「めっちゃ計算早いじゃん。天才か!」

「ちがうよ。努力したの!12の隊が10隊だったら?」

「120人」

「じゃあ2隊は」

「えっと…………24人?」

「さっきの120人と足したら?」

「ん?…144人か?」

「正解。誰でも出来るじゃん。私、天才違う、凡才」

「え?あれ?…いや、ちょっと待て。俺でも暗算出来る方法考えたのはお嬢だろ!やっぱ天才じゃん!」

「だから違うって。凡才な私はそんな暗算出来なかったから、努力して出来るようになったの!」

「いや、努力って、普通は何度も暗算して地道に覚えるんじゃねえの!?」

「出来ないのを努力して出来るようになったんだよ。私の努力、否定しないで!」

「まって!納得いかないのに反論できねえ!しかも俺が非難されてる!?」

「ごめんごめん。悪乗りしちゃった。で、計算って掛け算でいいの?」

「ほとんどそう。でも、桁が多くて…」

「あー、一桁の掛け算は大丈夫なんだよね?」

「…時間を掛ければ何とか」

「だめじゃん。そこが大事なのに。一桁は暗算しなくてもよくしないと、桁数が多くなったら対応できないよ」

「は?暗算しないでどうすんだよ。答え出ねーじゃん」


あー、この世界って、九九無いのかな?


「ちょっと待ってて」


紙とペンを取り出して、せっせと九九表を作ります。ただし斜め左上半分だけ。2x2から始まって9の段は9x9だけ。


「この表、覚えるの。例えば3x8は?」

「ここか?24」

「8x6は」

「…無いぞ」

「6x8とおんなじだよ」

「48だ」

「計算してなくても答え出るでしょう」

「いや、そうじゃなくて桁の多い計算が…」

「これで出来るのよ。桁が多かったら紙とか使っていいんでしょ?」

「ああ、使っても無理なんだけど…」


筆算の仕方、教えました。


「じゃあ、試しにやってみて。863x32」

「えっと、位置を揃えて2段に書いて、2x3が6で………全部足して……27616って、これ、ほんとに合ってんのか?」

「1000人の部隊が3つあったら?」

「3000人?」

「じゃあ30部隊は?」

「0が増えるから30000人」

「さっきの計算はそれよりちょっと少ないよね」

「…まじか。合ってる気がする」

「しかもこの表、わりと簡単に覚えられるよ」

「は?こんなにか?」

「ほんとは81個あるのよ。ズルして36個にしてるのよ」

「いや、でも…」

「素振りの練習って、振り方何通りあるの?」

「えっと、下段中段が左右有って、上段は正面も有って、突きもあるから基本は8つか?」

「下段左、掛け声はににんがし。ににんがで構え、しで振るの。下段右はにさんがろく。3の段は下段右からさざんがきゅう。最後はくくはちじゅういちで突き1回だけ。これで素振り36回。いつも何回振ってるの?」

「お嬢に無理するなって言われたから100回にしてる」

「じゃあ108回にすれば3セットね」

「まじで覚えられんの?」

「ソード君次第。身体と連動させてリズムを刻むと覚えやすいのよ」

「わかった、稽古の時試して見る」

「よし、じゃあスライムぷすろうか。でも16匹はいないから2回に分けないとね」


スライムぷすってから鍛冶屋さんに行きたいと話したら、案の定、目をきらきらさせて同行するって。


王都のことや勉強の話を聞いたりしながら、鍛冶屋さんに着いた。


「こんにちわー」

「おう、いらっしゃい」


げ、鍛冶屋さん、目の下にすごい隈できてるよ。


「ど、どうしたの?病気?ポーション飲む?」

「あ?ああ、これは仕事がらみの単なる寝不足だ。気にするな」

「そうなの?無理しないでね」

「おう、それより、今日はどうした?」

「えへへ、出来たよ、これ」


腰の剣を鞘ごと鍛冶屋さんに渡す。


「おお!抜いていいか?」

「うん」


私の返事と同時に抜いてるよ。

鍛冶屋さんと、寄ってきたソード君が食い入るように剣を見つめてる。


「…すごいな。武器なのに美術品みたいだ」

「ああ。だがこの圧倒されるような重厚感が、自分は武器、いや切るために存在してるんだと主張してやがる」

「おお、確かに。王都で見た儀礼剣には、きれいさは有ったけど、この力強さは無かったな」


おー、剣ちゃん2号、べた褒めされてるよ。お母さんは嬉しいよ。

でも、二人とも、見すぎじゃない?私、暇なんだけど。


「なあ、この溝は何のためだ?飾りじゃねえだろ?」

「うん、重さ調整と重心調整」

「なるほどな、長い方で軽くして、短い方で重心を先に持ってくってか。普通は肉厚と叩きで調整するもんだが、こんな方法もあんのか…」

「へー、剣ってそんな風に調整するんだ。すごいな」

「硬い鋼を柔い鉄で包んでんのもすごいぞ。刃は切るために硬く、刃が受けた衝撃は周りで吸収。とんでもなく考えられてやがる」

「そうなのか。お嬢、やっぱすげーな」

「えへへ、でもその剣、まだ試し切りもしてないんだ。出来たら一緒にしようと思って」

「まじで?普通こんな剣持ったら即座に試すだろ!」

「俺たちの為に待っててくれたってことか。感謝するぜ。裏に試し切り用の木が立ててある。使ってくれ」


みんなでぞろぞろ移動。

でも、これだけ褒められると心苦しいね。

異種金属の結合や炭素量の調整なんて、考えたの私じゃないし。

言えないけど。


ちょっと罪悪感に身悶えしながら鍛冶屋さんの裏に到着。

高さ2m、太さ15cmくらいの丸太が地面に埋めて立ててある。

何度も使われてるらしく、上の方は結構傷だらけだね。


「やってみてくれ」


へいへい。

鍛冶屋さんから剣を渡され、木の前で左下段に構えます。

こんだけ太いのを斜めに切り上げるから、切断は無理だよね。

どこまで切れるかなー。

身体に巻き付けるような体制から一閃。


「うわ!切れた!?」


木の真ん中あたりを、斜めに切断できちゃいました。

剣に肉厚があるからなのか、上半分が上方向にぴょんって感じで飛びました。

ギャラリー二人は目玉剥いてます。私もびっくりだよ。


「すげー、ピュカって音して木が飛んだ!」


お、ソード君、私の振り、よく見てるから、さすがに復活が早い。

鍛冶屋さんは?


「…切り飛ばした奴、初めて見た。しかも、無傷の部分を斜めに。切断面も、折ったじゃなく切った面だ」


おー、再始動したね。

なんか淡々としてるけど。

私は剣ちゃん2号を確認。

うん、刃こぼれもつぶれも無く、刀身にゆがみも無いね。良かった。


「なあ、お嬢。俺も――」

「よせ、気持ちは分かるが、あれは嬢ちゃんの剣だ。嬢ちゃんが命を預けるものを、簡単に借りるな」

「そ、そうだ。当たり前のことがすっ飛んでた。申し訳ない。謝罪する。できれば忘れてほしい」


おろ?確かに愛着は持ってるけど、大事に使うなら貸すよ?

でも、二人ともマジっぽくて、なんか言い出せない雰囲気だね。

剣って、簡単に貸し借りしちゃいけないんだね。

覚えとくよ。

鍛冶屋さんは、すっ飛んだ方の木を持ったまま動かないから、挨拶だけして出た。


次に雑貨屋さんに寄って、私用の3WAYバッグ注文しました。

腰ベルトも付けられるようにしてもらいました。

あと、生鮮食品買って、詰め所によって自宅のことを相談して戻ろうとしたら、ソード君が食堂に誘ってきた。

また奢るそうです。


「嬉しいけど、いつも奢ってもらっちゃ悪いよ」

「なあ、お嬢。他人の話として聞いて欲しいんだが、両親亡くしたのに自分で仕事して生活してる子供見たら、余裕のある辺境人はどうするんだ?」

「そんなの決まって…。うわ、私、辺境人ほいほいだ!」

「ほいほいってなんだよ!意味はなんとなく分かるけど。まあ、そういうことだから、諦めて奢られてくれ」

「うーん、わかった。ありがとうね」


そうか、私って他人から見ると健気な少女なんだ。

そんな少女に遠慮されたら、私なら押し付けてでも優しくしたくなるよ。

これからは、あんまり遠慮しない方がいいのかな。

ちょっと食べすぎて、お腹ポッコリ状態で小屋に戻ってきました。


時刻は夕方ですが、暗くなるまで整地作業です。

せっせと作業しましたが、ここに来て作業ストップです。

まさかの水です。

崖との境目を掘ってたら、水が染み出してきました。

なぜに?

行先小山しか無いじゃん。

小山、どっからも水、出てなかったよ。

あたりは既に薄暗いので、このまま作業するのはまずい。

仕方ないので、固められるだけ固めて明日に持ち越しです。

せっせとレンガ片づけて、小屋に戻りました。


いやーさすが大自然。思い通りにはいってくれませんね。

あれほど洞窟掘っても出てこなかったのに、あんな高い位置(小屋の地面から10mほど上)に出ちゃって、滝にでもなったら砂が流出して地盤沈下するよね。難儀だなー。どないしよー。

色々工事方法考えながら、おやすみなさい。

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