Day9

翌日、西や中央の森は採取状況を考えるとこれ以上採るわけにもいかず、かといって東の森には行くのがためらわれたので、今日は採取をお休みすることにした。

昨日作ったポーションを持って、村にいるはずの隊長さんに会いに行こう。


でも、その前に、排水管掘ります。

まずは換気してと思ったら、羽根壊れました。

多分だけど、ダクトが長くなったので引く力が多く必要になり、羽根に負荷が掛かりすぎたのかも。

とりあえず羽根の根元の接着面積を多くして、回転数を落として対応。

長めに回しておきました。


やっと穴掘り。

ズゴゴゴゴゴ

そろそろ魔力が危ないかなってころで、開通しました!!


でも、喜びもつかの間、横に1.5m、下に50cmもズレてるよ!

わたしには測量士の才能は無いね。


でも、土にしみ込ませる形で排水した方がバレなさそうだよね。

上部を半分閉じて偽装して、一応完成かな。

だって、テスト排水、水が無くて出来ないんだよ。

水球何個か作って流したいけど、魔力枯渇寸前なんだよ。

汲んで来い?枯渇してるとめっちゃだるいんだよ!


はい、おとなしく小屋で休憩です。

あー、お茶温かいわー。

一応出来たつもりなので、一仕事終えたまったりモードです。


魔力が少し回復するまで休憩して、朝食食べて村へ出発です。

今日は少し買い物もしたいので、採取スタイルのまま村を目指します。


途中で討伐に向かうお兄ちゃんたちと会った。

昨日の騎士様との話し方をどこで覚えたのか聞かれた。


あー、やっちゃったよね。

あの時はどうしたら許可貰えるかで、頭がいっぱいになっちゃてたからなぁ…。

騎士様だから仇討とかを貴族っぽく言ったら、ちょっとは考えてくれるかと思ってやったんだけど、周り気にしてる余裕なかったな。

ごめん、母ちゃん。娘の為に名前貸して。


「あー、あれは母ちゃんに教えてもらったんだ。母ちゃん結婚する前、他の街にいて、そこで貴族のお嬢様の長期療養手伝ってたんだって」

「それだけで覚えられるのか?」

「貴族女性にはおかしな言葉遣いしちゃいけないらしいんだよ」

「うげ、俺、無理そう」

「貴族女性に惚れられたら、玉の輿じゃん。ガンバ!!」

「無茶言うな!」


ちょっと掛け合い漫才してから、隊長さんの居場所を聞きました。

今日は兵士詰め所にいるそうです。

よかった。


みんなと別れ、村に着いたので、まずはお買い物。

食料と、鉄インゴット多めで!

実は昨日の討伐で考えた剣、作ってみようと思って。

槍ってさ、片手が塞がるのが嫌で背負ってると、採取でしゃがんだ時につっかえるんだよ。

いつも邪魔だなあって思ってたんだけど、スライムの核に当てられないことが前提で、ある程度の距離からぶっ刺して縫い止めるためのものなんだよ。

でも、核を確実に捉えられるなら、近くで切り裂いても問題ないよね。

だからお試しで作ってみようと思ったんだ。


買い物を済ませ、背負い籠に荷物を入れて詰め所へ。

あ、隊長さん、いたいた。


「隊長さん、昨日はダンジョン入れてくれてありがとう」

「おお、嬢ちゃん。こっちこそ討伐助かった。で、今日はどうした?」

「ちょっとポーションのことで相談があって」

「うん、なんだ?」

「ポーションいっぱい必要だろうと思って、薬草摘み頑張ったんだけど、殆ど採りつくしちゃって。また増えるように少しは残してあるんだけど、一か月くらいは採らない方がいいんだよね」

「そうなのか…。まあ、嬢ちゃんが頑張ってくれたおかげでポーション不足もほぼ解消したし、足りなきゃ他の村や町から取り寄せる時間的余裕はあるな」

「うん。出来たら一か月お休みしてから再開したいんだ」

「ああ、よく考えたら嬢ちゃん一人に頼っちまってたよな。今のうちに取り寄せとくよ」

「うん、お願いします。じゃあ、今日の分これだけ渡しときます」


よかった。一か月ポーション作らないと足りなくなるかと思ったけど、ちゃんと仕入れられるんだ。


ポーションを買い取ってもらい、お礼を言って詰め所を出た。

あ、知らない男の子が立ってる。

この村の子供は殆どが顔見知りだし、なんか良さそうな服着てるから騎士様の関係者かな。

こっち見てたので、一応会釈してから小屋に向かった。


小屋に戻ったら魔力復活してたので排水テストしてみた。

にゅふふ、ちゃんと流れたよ。

これで心置きなく洞窟掘り進めるよ。

今後の目標は水脈探しだね。

地下室居住スペース?換気の事考えて無かったんだよ。

まあ、物置くらいにはするけどね。

でも、水が手軽に手に入れば、遠くの湧き水汲みにいかなくて済むし、豊富に出たらお風呂や水洗トイレも夢じゃない。

にゅふふ。


魔力が余ってたので、洞窟の床面に少し登り勾配つけて、端に溝を掘りました。

まだ魔力残ってるけど、この後、剣作るからね。


小屋に戻って休憩しながら、どんな剣にするか考え中です。

まず長さ。

私の身長から考えると、刃渡り60cm、柄は両手持ちも考えて20cmくらい?

槍が120cmだから半分くらいにしたいな。

だと、刃渡り50cm、柄15cmくらいかな。

刃はどうしよう。

両刃か片刃か…あ、反りを先に考えなきゃ。

切ることが前提だから、反りは有った方がいいよね。

スライム以外に弾性あるから、刃が当たる面積は小さくした方がいいもんね。

そうなると片刃だね。

さすがに反りの有る両刃剣って、あんましかっこよくないし。

刃幅はどうしよう。

あんまり広いと摩擦抵抗とか大きくなりそうだから、槍と同じ3cmくらいか。

刃先は…。一応刺すかもしれないし片刃だと…。

うわ、まるで日本刀の小太刀か大脇差じゃん。

やっぱり日本刀って切るための形ってことなのかな。


では、頑張って作ります。

まずはインゴットを縦長の板状にして、切っ先と刃を形作ります。

うわー、さすがに刃の部分はむずい。

今は直剣状態だから何とかなるけど、それでも刃が蛇行しちゃうよ。

蛇行部分をちまちま調整します。


茎(なかご:柄に入る部分)には穴二つ開けて、後で木のグリップ付けよう。


では、次の用意。

まず、土を固めて長方形のプランターみたいなのを作って焼き入れ用の水を張ります。ホントはお湯がいいらしいので、暖炉前に設置。


次に登場するのは粘土君。

刃だけ焼き入れしたいから、刃以外の部分を粘土で厚く覆います。

刃の部分は薄ーくね。


次に登場するのは、何とスライムの核の粉末!

実はこの核、買取してもらえるの。

お小遣い程度だけど。

買い取られる理由は、炎に入れると火力が上がるから。

だから製鉄関連で炉に入れるために買い取りしてくれます。

でも、不思議なことに核を火にくべても核は燃えないんだよね。

でもなぜか火は大きくなります。

あと、核はちっちゃくなります。

何なんでしょうね、この不思議物質。

酸素でも放出してるの?


まあ、そんなわけで家の暖炉の火力アップに使います。

では、たっぷり薪を入れてファイヤー!

薪がちょろっと炭火っぽくなったところで、スライム核粉投入!

おお!炎が青白くなってる!

でも、顔熱い!

良い子はマネしちゃだめだよー。

お姉ちゃんとの約束だよー。


魔法で刀身浮かせながら、暖炉に投入です。

刀身が赤くなるまでスライム核粉追加投入。

あ、焼き入れの色ってなんだっけ?

オレンジ色がいい温度だっけ?

忘れちゃった。

まあ一応オレンジでやってみよう。

あー、だめね。

オレンジにならないや。


一応全体的に赤くはなってるから、これで試そう。

では、お水に投入です。

てい!

うわー、なんか表現しがたいすごい音してる。

そろそろ上げてみよう。

ん?あんまり反り入ってないよ。

見た目で反ってるのは分かるけど、ちょっと反ってます程度。

プチ反抗期か!


まあ、一応思ってたのに近い刃物の原型は出来たね。

じゃあ、研がなきゃ…って、大きくて平らな砥石なんて無かった。

槍のメンテナンス用のちっちゃいのしかない。

うーん、せっかく原型出来たんだから研ぎたいよ。

あ、あるじゃん!大量の素焼きレンガ!

あれをもう少し滑らかになるまで圧縮すれば砥石になりそう。

うん、さっそく作ろう。


………ダメだこれ。

あ、砥石じゃないよ。

刃を研ぎ始めて分かったんだけど、刃のおなか?の部分(日本刀だと波紋があるとこね)、微妙に凸凹してるみたいでね、研いだ部分と研げない部分がはっきりして、何かぶち模様なんだよ。


今更魔法で肉厚いじったら、焼き入れの意味無くならない?

誰か私に卓上グラインダーをお与え下さい!

はあ…、凸凹無くすまで研ぐのか…。

………

……

結局、とんでもない荒砥をすることにしました。

素焼きレンガを二つ並べ、刃の角度になるようV字に固定します。

刀身を挟み込み、前後にごしごし。

これで凸凹は修正される。長年使って研ぎすぎた包丁みたいに、刃幅が細るけどね!


でね、気付いたの私。

グラインダー作れるじゃん!

ダンベル状の左右砥石作って、真ん中軸受けにすれば、魔法で回せるよね。

換気の羽根作ったじゃん私!

何やってんだよ私!


さらにね、コンパス手作りして紙に円書いて、その上で丸い砥石作ればほぼ真円じゃん。

中心部に穴開けておけば、コンパスの中心と合わせられるから心出しもできるし。

多少の凸凹は回しながら砥石同士でこすれば真円になるよね。

荒砥終わってから気付いたよ。

流石に本研ぎでグラインダー使う訳にもいかないから、完全に手遅れだよ。


何か疲れた。

今日は夕食食べてふて寝しよう。

あ、今日、スライム狩ってない。

なんだか散々だな。全部自分が悪いんだけど…。グスン。

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