失敗した男
志央生
失敗した男
いつも通りの手順でデータを保存するだけだった。何回も繰り返して、慣れたはずの作業だったはず。なのに、カーソルの位置がズレて新規作成ボタンをクリックしていた。
その瞬間、私は時間を戻そうと必死になった。あの手この手で、データを取り戻そうとする。だが、現実は無慈悲なもので私には失ったものを取り戻す術を失った。
「万策尽きた」
私はパソコンの前で絶望に伏した。同じものを再び作ることは、想像以上に難しく、もはや体力的に不可能だ。
なにより、精神面が多大なるダメージによりグロッキー状態に近かいのだ。私はそっと、パソコンの電源を落とし、ため息を吐く。
今日はもう、ここまでにしよう。そう思い、私はその場を後にした。
了
失敗した男 志央生 @n-shion
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます