真野てん渾身のハイファンタジーの続編。
今回のテーマは「受け継がれていく思い」。
精霊物語りの本来のテーマ「歴史にあらがう人々の群像」に、過去の思い出・未来を信じた人々の思いが年を経ることでいびつになり、また変化していく様子を真野てんらしい乾いた、冷静な筆致で描きだす。
今回はゴトーという男を中心に物語が回るののであるが、その男の本来の思いがどんどんいびつになっていき、その思いに主人公メイルゥ含めたくさんの人が巻き込まれる。そのいびつになった思いをどうとらえるか。これはすなわち、現代の日本においても1960年代からの高度経済成長からバブルを経て崩壊し閉塞してしまった今の日本と重ね合わせられる。我々は何の夢見たのか、そしてその思いはどこにたどり着いているのか。そんな思いをはせてしまう。
残念だったのは『白猫』のお話がとってつけたようなものになってしまっていることであろう。作者の人となりを存じてるので途中でポイと出てきたキャラクターであるのは間違いないのだが、第1章から伏線として出てこさせたうえでホムンクルスの話を徐々に出していけばもっと物語に深みが出たであろうということ。これだけが残念でならない。
そういえば伏線回収というか、おいしそうな人物がまた新登場している。この世界、まだまだかけるのではないか? 次回『精霊物語りⅢ』もぜひ期待したい。