全力で落としにくる学園の女神に俺は全力で対抗します

ななし

初戦 宣戦布告


「好きです。付き合ってください」


ここは校舎裏、俺は目の前の美少女に告白されていた。この女の子は学園一の美少女、桜井三咲である。数多くの男どもを虜にし、それを


「好きな人がいるので」


と、振りまくった女。

その好きな人がまさか俺とは驚きだ。

そしてその気持ちは感謝する。

が、

残念ながら、俺は恋愛には無関心。

どちらかと言えば見る専である。

今回は相手が悪かった、桜井三咲さん。


俺は言う。




「ごめんな、今は恋愛する気はないんだ」




桜井は、悲しむというより驚いたように顔をあげる。

まさか振られるとは思わなかったのだろう。

俺は、そのまま翻して歩き出す。


「ちょっ、待って…」


泣きそうな声で呼び止めるが、

俺は振り返らない。

振り返ったら罪悪感で死ぬからな。


もう一度言う。


俺は恋愛に興味はない。


俺は孤独を極めし者。


ガールフレンドは必要としないんだよ。


◇◆◇◆

翌日

俺はいつものように読書(ラノベ)に浸る。

俺は北山秀。高校2年生。孤独を極めし者。

とは言え、友達はいる。

孤独を極めし者というのは女。

すなわち彼女である。

それを俺は必要としない。

理由は簡単。

必要ないからだ。

学校という場所で恋愛の必要性を俺は感じない。

しかし、

友達というものは学校生活を送る上で必要性があると思う。

教科書忘れたらどうするんだ?

ストレスが溜まったらどうするんだ?

勉強苦手だったらどうするんだ?

そこで必要となるのが友達だ。

これらは全部、友達がいれば解決出来る。

なんとも素晴らしい存在なんだ。

こんな素晴らしい存在がいるなら、


彼女なんていらないだろ?


だから俺は彼女を作らない。

必要最低限しか欲しない。

残念だったな桜井。


すると突然、

俺の読書ラノベタイムを邪魔するものが現れた。


「ごめんね北山くん!ちょっとこれ重くてさ、手伝ってもらえるかな?」


俺は顔をあげる。

黒髪ロングで大きな瞳。そして小さくて整った美形の女性。スタイルも抜群で誰もが一目惚れしてしまうであろう、

俺が昨日振った女、


桜井三咲がそこにはいた。


こいつ、なかなか強いメンタルしてるな。

この顔の角度と、純粋に申し訳なさそうな顔。

こいつ、俺が昨日振ったのにまだアプローチする気か。

めんどくさいな。どうしようか。

素直に持ってあげてもいいが、それはやめとけと俺の本能が止めている。

まぁいい、ここは…


「悪ぃ!俺見ての通り文系だから筋肉ないんだよ」


そして、隣の席の友達に声をかける。


「おい我が親友、持ってあげてくれよ!」


すると、隣の席の友達が反応した。


「お前と親友になった覚えはないが?まぁいいや、桜井さん!半分持ってあげるよ!」


初めこそ、グダグダしていた我が親友(仮)は、桜井三咲を見た瞬間、コロッと態度を変えてノートを半分持ち始める。

桜井といえばそれを聞いて固まっていたが、やがて我に返ったのか


「あ、う、うん!ありがとね!澤田くん!」


と、エンジェルスマイルで対応していた。

さすが学校一のヒロイン。そこらの女子とはレベルが違う。

そして、口を緩みまくりの澤田?と仲良く歩いていった。

これで俺の危機は去った。

俺は安全を確保し、読書ラノベタイムを再開するのであった。


◆◇◆◇


放課後

帰ろうと思い、廊下に出たら


「ちょっと待ちなさい!」


と、呼び止められた。

もう分かるだろう。

この声はあいつしかいない。

振り返るとそこには桜井。

またかよと思いつつ、俺は口を開く。



「なんだよ、お前振られたのに懲りないな。変なやつ」



すると桜井は、挑戦的な笑みで言う。



「私を振るあなたも相当変な人だよ」



「んで結局何の用だ。俺は早く帰りたいんだが」



「なんでそう急かすのよ。あなた、昼休みのアレ。わざとよね?私を避けるために隣の人に頼んだんでしょ」



「分かってんなら今後一切、関わらないことだな」



俺はそう言い放ち、踵を返す。



「だから!ちょっと待ちなさいってば!」



その俺の肩を掴んで引き止める桜井。

かなり必死な様子だ。



「なんだよ」



「私はまだあなたの事が好きなの。だけどあなたは私を避けるというのでしょ?」


しれっと好きと言った桜井をスルーしつつ、俺は催促する。



「おう。それがどうした?」



すると、桜井が距離を取ったあと、

俺をビシッと指さして宣言した。




「あなたがそのつもりならこっちも全力であなたを落としてみせるわ!覚悟しなさい!」





なるほどそうきたか。

正直、めんどくさいという気持ちもないことは無いが。

それよりもこうゆう展開は嫌いではない。

ラノベでちょこちょこ見かけるからな。

そっちがその気なら、か。

ならこっちも全力で相手をしなければな。


俺は好戦的にフッと笑い、言い放つ。






「望むところだ」







俺たちの恋愛戦争が、幕を開けた。

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