6mm ショートショート

@oshiuti

第1話 殲滅戦

単純に引き金を引けるのならば、これほど楽なこともないだろう。


今いるのは建物の後ろ。盾にしたそこから見える、前方の建物の中、そこに敵が一人。

撃ち込もうかとも考えたが、その建物の足元には味方がいる。


撃っちまうか。味方ごと

甘い考えがよぎるが、純粋に兵隊が減るのはまずい。

結局ライフルのセレクタはセミオートのまま。単発で。

唸る銃声が連続し、弾が飛んでいく。弾道は何とか見えるので、修正を重ねる

「前方ふたりぃい!!」

後方から響くのは味方の声だ。こっちから一人は見えてる。

と、建物の下にいた味方がやられた。大きな声が聞こえる。同情する時間はない。あそこを狙える位置に一人

その時、後ろから人が迫る。

「じょ、じょうきょう!は!」

息を切らしながら、ダッシュで隣に滑り込んできた味方が一人

「前方に二人いて、建物に一人、あともう一人はわかりません」

わかっていることだけを報告する。その間に弾を装填。マガジンにはまだかなり弾がある。

「お、おっけい・・・ふぅ」

息を整え終わると、味方は懐からハンドガンを取り出す。

もう片方の手にはサブマシンガン。

「突っ込みます・・・!」

どうやら二挺で、あるだけの弾をばらまくつもりのようだ。

「援護します」

ライフルを構えなおし、障害物から体があまり見えないように気を付けながら、前方の状況を確認する。

前方にいる敵は、今自分たちのいるっ方向とは別の方向から侵攻した部隊に押されているようで、コチラに弾は飛んでこない

「おらぁ!」

その状況を確認した見方が、二挺を構えて走り出す。敵のいるであろう建物に弾が当たり、はぜる音がする

「援護します!」

こちらも建物の裏からライフルを構え、セレクタをフルオートに。

連発する弾が、空間を引き裂いて、味方の狙う建物と同じところに火力を集める。

「あがってきたぞおお!!」

これは敵の声だ。こちらの突撃に気づいたのだろう

声のしたほうに、そして味方の突き進むほうに。

五発、五発、五発、くらいの感覚で、両方に連射をかます。

永く間延びした数秒の中。突っ込んだ奴は、ハンドガンが弾切れになったのかサブマシンガンを両手で構えてさらに進んでいる。

そこで聞こえる敵の声。どうやら、ここから見えなかった奴は一人、先ほど突っ込んだ見方が倒したようだ。

そのあとに味方の声。突っ込んでいった奴だ。建物からの射撃でやられたのだ。

しかし、建物から味方を撃った敵は、窓から身を乗り出していた。

そう、つまり

「当たってくれ・・・!」

銃口を敵に向ける。引き金を引く。

吐き出された小さな弾が、窓の中に、敵の体に、そのまま吸い込まれていく。

「ヒットオ!」

敵のその声が、建物からここまで、はっきりと聞こえた。

『時間です!!時間です!!ゲーム終了!!ゲーム終了!!!』

それと同時に響き渡るスピーカーの声。

森に潜んでいた味方も敵も、わらわらとセイフティに戻っていく。

「ナイスショット!!」

「いい突撃だったぞ!!」

「ナイス援護でした!!!」

セイフティに戻ると、さっき撃った敵、突っ込んでいった味方から口々に褒められる。

「あ、ありがとうございます・・・!!」


八月の暑い日。数回目のサバイバルゲーム。今回は何とか生き残った

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