第34話 観戦
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「優佳さん?」
後ろを振り向くと、そこにいたのは美零さんの友達で、最近大翔とも仲が良くなってきた優佳さんだった。
「えー!?久しぶりー。ていうか本当に大翔君なの?」
3日4日前に会ったばかりのような気がするが、大翔の目の前に小走りで来た優佳さんは、こんなところで偶然会えたことがうれしかったのか、とてもいい笑顔をしていたので、細かいことは気にしないでおくことにした。
目の前に来た優佳さんは大翔の目線に合わせて、じっと大翔の瞳をのぞき込んできた。
「あの、えーと、、、急にどうしたの?」
大翔の瞳をのぞき込んで黙ったままの優佳さんに耐えられなくなった大翔は、恥ずかしくなり、目をそらしてしまった。
「あ、ごめんね。ほんとに大翔君なのかなって疑っちゃって。でもやっぱり本物だったよ。驚いちゃった。」
「はぁ。ありがとうございます?」
(本物か偽物か目で判断できるんだ。なんか、うん、、、すごいな。)
こんな時の対処法が分からず、自分でもなぜ言ったのかわからないが、気が付いたら大翔の口は勝手にありがとうございますと言っていた。
「美零から車いす卒業したって聞いたけど、もう退院したの?」
「いや、退院はまだだけど、今日はこの学校で部活の試合があったから先生に許可をもらって見に来たんだ。」
「そっかー。退院はまだなんだね、、、よかった。」
「ん?今なんて言ったの?」
「何でもないよー。早く退院できるように頑張ってね。」
優佳さんは何か違うことを言っていた気がするが、優佳さんが違うというなら大翔のきき間違いだろう。
「で、優佳さんはどうしてここにいるの。ばっちり制服まで着て。」
「あー、これはね、昨日用事があって学校来れなかったんだけど、昨日までに提出しなきゃいけないものがあったから。」
「そうなんだ。美零さんは今日授業ないって言ってたから、優佳さんがいるのが不思議で。」
「えー!?美零に言ったの?なんで私に入ってくれないのー!言ってくれれば私も最初から見に来たのに。」
病院外でもいつも通り元気な優佳さんになんだか安心する。
「学校がない日にわざわざ部活の試合を見に行こうなんて誘えないよ。」
「そんな気を使わなくてもいいのにー。私結構サッカー好きだよ?ワールドカップとか見るし。」
「え、以外だ。女の子ってサッカーとかあんまり興味ないと思ってた。」
大翔の完全な偏見だが、おしゃれが好きそうな女子ほどサッカーなどのスポーツには興味がいものだと思っていた。
「そんなことないって。あ、もしかしてもう試合終わっちゃった?これから始まるんだったら私も見たいなー。」
「さっき前半が終わって、、、あ!忘れてた!もう後半が始まっちゃう。」
優佳さんと話していたら完全に試合のことを忘れてしまっていた。
すると、ちょうど外から後半開始の笛の音が聞こえてきた。
「やばいやばい。始まっちゃった。」
「今のが合図?」
「そう。今ので後半が始まった。俺はもう行かないと。」
急いで靴を履き、元居た場所へ戻り、階段に腰を掛ける。
試合をみていると、後ろから優佳さんが大翔の隣まで走ってきた。
「あれ、優佳さん本当に見ていくつもり?」
「そのつもりだったけどもしかしてダメだった?チケットとか必要だったりしてた?」
「いやいや。そんなことないけど、部活の大会だから優佳さんが思ってるよりもレベル低いと思うよ。」
「レベルなんて全然関係ないよ。私生で見たことないから、ずっと見てみたいと思ってたし。」
この試合の軽い説明をし、階段に座りながら一緒に見ることにした。
―――試合終了の笛が鳴った。
結果は3対1でこちらの勝利で終わった。
後半になってから前半のチームとはまるで別のチームみたいに動きが良くなっていて、大翔もびっくりした。
それと、試合中にいつもの元気な優佳さんとは別人のように、真剣に試合を見ている優佳さんにもびっくりした。
「よかったね。大翔君の学校すごい強いんだねー。」
「最近見てないかもしれないからかもしれないけど、今日はすごいよかった。」
とてもいい笑顔をしている優佳さんと話していると、なんだかこちらまで嬉しくなってくるような気がした。
「大翔君は皆の所に行くのかな。」
「うん。そのつもりだけど。」
「そっか。じゃあ私は邪魔だろうからこの辺で帰ろうかな。」
優佳さんはそういって、帰る準備をしだした。
「今週は木曜日に行く予定だからよろしくね。」
「ありがとう。楽しみに待ってるね。」
「じゃあ。またね。」
「優佳さん!」
最後まで悩んでいたが、言わなければ後悔すると思い、優佳さんに声をかける。
【あとがき】
何回か前に言ったばかりなのに、今回もまた変なところで終わらせてしまってすいません!
またこんなことにならないように努力します。
コメント、フォロー待ってます!作品を評価してくれると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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