第23話 久しぶりの
✦
「元気か大翔ー。あ、そうだ、あけましておめでとう。」
「あけましておめでとうございます。久しぶりですね。」
「ほんとに久しぶりだな。冬休み中に来れなくて悪かったな。」
そういって、申し訳なさそうに先生は顔の前で手を合わせた。
「気にしないでください。年明けは誰だって忙しいですから。そーいえば今日は部活なかったんですか?」
「この後行くよ。それに今日はゲーム大会の予定だから俺がいなくても問題ないしな。」
「いいなー。俺も早くサッカーしたいなー。」
「親御さんに聞いたけど、リハビリ始まったんだって?それならできるだけ早めに完治させて戻って来いよな。」
「はい。」
なにげない先生の一言がすごくうれしい。これからのリハビリのモチベーションも自然と上がってくる。
「そういえば今日お見舞いに行くって蒼汰たちに言ったら、なんかすごい大翔の悪口言ってたけどなんかあったのか?」
先生は持ってきていた紙袋の中からお菓子を取り出しながら、少し神妙な面持ちでこちらを見ていた。
(あいつらまだ根に持ってたのか。これは本当に部活に戻ったとき何されるかわかんないな。)
「大したことないですよ。くだらないマウント取ってきたんで、俺がちょっと言い返してやったらあいつらキレたんですよ。」
「あんまり詳しくは聞かないけど、結構ガチでキレてたっぽいから戻ってくるまでには仲直りしとけよ。」
「・・・頑張ります。」
どちらかといえばこの問題は蒼汰たちの方に原因がある気がするので、大翔にはどうすることもできない気がする。
その後は先生が持ってきてくれたお菓子を食べながら、冬休み中の部活のことや、新学期にクラスであったことなどを話していた。
大翔も久しぶりに藤咲さん以外の人と話せてうれしくてつい、かなり長い間話し込んでしまった。
「おーおー。気づかないうちに結構話してたな。」
「そうですね。俺も久しぶりに話せて楽しかったです。」
時間が近づいて来たようで、先生は帰り支度をしだした。
「そういえば、俺と親御さん以外にもお見舞いに来てくれる人っているのか?」
帰り支度をしながら、先生はふと思い出したようにそんなことを問いかけてきた。
「親戚以外には部活の奴らとか、あとは前にも言った天音美零さんって人ですかねー。」
「・・・そうか。その人は今も来てくれてるのか?」
「最近は用事があって来てませんけど、ちょうど今日来てくれるって言ってましたよ。」
何気ない気持ちで答えたつもりが、さっきまでの優しい雰囲気から打って変わって、急に先生の顔が真剣なものになった。
「そういえば先生。前にも美零さんのこと聞いてきませんでしたっけ?」
「ん?そうだったか?俺は覚えてないけど、お見舞いに来てくれる人がいるか気になっただけじゃないか?」
「そんなに心配しなくても俺は1人でも大丈夫ですよ。いい加減ここにも慣れてきたし。」
「そっか。ならよかった。それじゃあ俺はもう行くけど、リハビリ頑張れよ。待ってるからな。」
「はい!」
最後はいつもの優しい雰囲気の先生に戻って帰って行った。
(一瞬先生が真剣な顔になった気がするけど、俺の気のせいかな?)
先生が帰った後スマホを見てみると、美零さんから5時過ぎに来るというメールが来ていた。
時計を見ると、すでに5時を回っていた。
(もうすぐ久しぶりに美零さんが来てくれるから、部屋でも片付けて待ってようかな。)
少しでも印象を上げるために美零さんが来るまでの間、万全の状態で迎えられるように大翔は部屋の掃除をすることにした。
✤
(そういえばここに来るのはクリスマスぶりなんだよな。すごい久しぶりな気がする。)
時刻は5時を少し過ぎたころ、美零は病院までの道のりをそんなことを考えながら歩いていた。
わけあってしばらくお見舞いに来ることができなかったので、美零も大翔と話せるのがうれしくてつい、足早になってしまう。
気持ちいつもより多めに持ってきたお菓子と、お土産をもって病院に入る。
(この廊下も何回も通ったことがあるはずなのになんか新鮮に感じる。久しぶりに会うからか少し緊張してきたな。)
「天音?」
新鮮さを感じながら大翔の病室まであと少しというところまで来たところで、突然後方から声をかけられた。
「え、先生?」
誰かと思い振り返ってみると、そこにいたのは山内先生だった。
【あとがき】
昨日見てみたら、この小説のフォロワーが100人を突破してました。
本当にありがとうございます。読者の皆様には感謝しかありません。これからも、こんな作品を読んでもらえるように頑張っていきます!
コメント、フォロー待ってます!作品を評価してくれると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます