【歪】の種、【杭】を刺す《Third =Down= 》

= 幕間 =

 城より離れた地上の地。

 デザイナーズマンションの一室。自動ドアと透明ガラスの壁が連なる一室。赤と黒が基調とされた”客室”にて、たった三人の人影。


「あ~あ、逃げられちゃったね~。あと少しだったのに」

 ソファーの上。無防備な態勢でプラグマはボヤいている。

「私達の確認ミスね。もう少し、気を配るべきだったわ」

 逃がしてしまった原因は己にある。姉のアスリィはそう告げる。


「それもあるが、我々が用意した私兵にも問題があったな……やれやれ、冷たい心の兵士という肩書が売りであるというのに」


 客室に連れられた殺し屋二人。

 少女達に頭を軽く下げるのは、サングラス姿の男。


「あんなに動揺していては、愛の戦士の名が泣くな」


 五光の一人、神流信秀であった。



「……さて、次はどう動くか」

「その点についてだけど」


 次の駒をどう進めるか。新しいゲーム盤の生成。


「既に、天王様のお世話係さんから話が届いているわ」

「ほほう」


 興味深い表情で信秀が頭を上げる。


「明日にでも、計画に入るわ」

「……いいだろう」

 

 信秀が背を向ける。


「ここの客間は自由に使い給え。外出の際は、私に連絡を入れてもらえると助かる……当分の間は”こちら側”で動く。分からないことは私に聞いてくれ」


 ガラスの壁。自動ドアを潜り抜け、信秀は姿を消していく。


 ただ二人、客室というのには派手な雰囲気。落ち着こうにも落ち着きづらい、この筒抜けの部屋の中、互いに視線を向けあう。


「……とりあえず、お風呂入る?」


 ニヤついた表情で、プラグマは自身のパーカーに手を伸ばす


「そうしましょう」


 アスリィも片手で首の汗を拭い、首を軽く縦に振った。

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