第19話 八兵衛の反物屋にて 壱
「衛実、
人通りの多い
さらにその顔合わせは、『自分のために協力してくれた、八兵衛の
朱音が馬などに
「悪い、俺にもよく分からねえ。
けど、弥助とは
そう言いながら衛実は、八兵衛が、鬼と激しい戦闘の
「ま、多分大丈夫だろ。いざと言う時は、すっぽかしゃいい」
「よ、良いのか?」
「ああ、そん時は弥助が何とかするって
そう言って口元に
衛実にも、八兵衛に対しては少なからず
生きるためには、例え相手が気まずい場合であったとしても、割り切って上手くやる必要がある。衛実は
『自分の事を衛実なりに
「そうなると、またぬしに無理をさせてしまうの……。ただでさえ、まだ完治しておらぬのじゃから、無理は
朱音の
「分かってるよ。けどな、俺からしたら、お前の方がよっぽど無理をしているように見えるぜ?
たまには、その肩の
衛実の
「ありがとうなのじゃ。じゃが衛実、それはお互い様じゃぞ?
わらわにだって出来ることがあれば、
そう
そして、どこか笑いを
「おっ、なんだ? 今日はまた
それじゃ、今日の仕事は全部お前に
「ぜ、全部!? ……わ、分かったのじゃ。それで衛実が楽になれるのであれば、」
目を大きく見開き、
「うそだよ、
……ったく、本当にお前ってやつは、どこまでお
「じょ、冗談なのか? 衛実、本当に無理をすることはないのじゃぞ?」
朱音がいつも以上に衛実の事を
「どうした? 今日はやけに
そう言って朱音の方をうかがう衛実は、ふと、今日の朝、店を出る前に見た弥助と彼女のやり取りを思い出した。
「はは〜ん、さてはお前、弥助と何か取り
少しニヤけた顔をした衛実に
「な、なんのことじゃ? わ、わらわには、全く
「
「い、いや、あの、その、」
「
衛実は弥助のお
「朱音、何度も言うが、本当に無理はしなくていいんだぞ。俺はそのままのお前でも十分、助かってるんだからな」
「そ、そうなのか?」
「ああ、もちろん。だから、必要以上に
「そうであるか。……分かったのじゃ。そこまでぬしが言うのであれば、そのようにいたそう」
ようやく、朱音がいつもの調子を取り戻すようになったのを確認した衛実は、軽く息を
「よし、じゃあ朱音、今日も頑張るか」
「うむ!」
衛実の呼びかけに、朱音も大きく
やがて2人は目的の
その頃には、
どのくらいの
「おお〜! これはこれは! お
八兵衛の
「ああ、分かった。すまない、来る時期が悪かったみたいで、
衛実の問いに、八兵衛は両手を振って否定する。
「いやいやいや! そんなこたあ、ございやせん! むしろ、予想より早く来てくださって、ありがたいことでさあ。
ささっ、ではこちらで座って待っててくださいな」
「了解した。気を使ってくれて感謝する。それじゃ朱音、俺たちはここで待たせてもらおう」
「分かったのじゃ」
「それでは、また後で」
そう言って
八兵衛の
「衛実、八兵衛という者が
店の者に出されたお茶をすすりながら、朱音は『
「ああ、そうだな。こん時ぐらいは、弥助の持つ
衛実もまた、八兵衛の『人あたりの良さ』にいくらか気を楽にして、
そんな
「お待たせをいたしやした。では、お
「分かった。朱音、行くぞ」
「うむ!」
こうして、衛実と朱音は、八兵衛の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます