尊士の歩み

天獄橋蔵

第1話尊士の歩み

尊士の歩み第0話『本当に最低なう♡』


俺は石原尊士。日出づる国、日の元を統べる存在であり、カルト宗教。石原神仙の会の教祖である。

これは俺の伝説の序章の物語……


信者が最近は伸び悩んでいる。俺は頭を抱えた。だが打開策はある。信者が、特に美人信者が増えない事がかなり不満なので、街に繰り出してナンパして、ついでに入信させる。完璧な計画である。流石は俺だ!


街に出た。一向にナンパは上手くいかない。

何故だ?俺の様なイケメンに見向きもしないとは!


※尊士はかなりのブサメンである。


「ナンパも上手くいかんし腹も減った」


近くにあった蕎麦屋に入る俺。俺が店に入るなり、どきりとした。店の店員の若い娘があまりにも可愛いからだ。少し肉が付いている様に見えるが、それでも可愛い。早速注文をする。流石は俺だ!


「お決まりですか?」

「お姉さんに決めた!」

「え?」

「あ、いや、ざる蕎麦1つ」

「かしこまりました」


こうしてナンパは見事にスルーされた。注文の品が来てそそくさと食べる。

美味いな。とか思いながらも、俺は早食いだから、一気に食べてしまった。

すると、ガラの悪そうな連中が来て、何やら可愛い店員にいちゃもんつけてる。


「借金したら返すのが人の道だろ?ああん?」

「もう少し待ってください」

「利子だけでも取り立てないと、こちとら面子があるんだよ?」

「今ある分では今月は、これだけしか……」


何か聞いたらまずそうな話だが、付け入る隙があるとチャンス目を見つけた俺。早速割り込む。流石は俺だ!


「君達、そこいら辺にしときなさい。いくらかね?私が立て替えておくから」

「何だおっさん?この嬢ちゃんの借金を肩代わりするってのか?」

「あの、お客さん。お気持ちは嬉しいんですが……」

「俺を誰だと思っている?金額を言いたまえ」

「300万だ。払えるんなら銀行まで一緒に行くけど?正気か?おっさん?」

「何だ、そのくらいの端金か、今払ってやるぞ?」


俺は財布から300万円を出してチンピラ風の男に渡した。

チンピラは驚いた風だったが、素直に金を受け取った。一件落着である。店員のお嬢ちゃんは熱い目線を送ってくる。


「あの、ありがとうなんだよん♡お礼を言うよん♡その、私に出来る事があれば、なんでもするよん♡」

「じゃあ、ホテル行こうか?」

「いいよん♡」



こうしてホテルに着いて、お楽しみなことを始める。そういえば、名前を知らないな。


「お嬢さん名前は?なんて呼んだらいい?」

「ぽち♡だよ♡今日一日ご主人様のペットになるよん♡」


素晴らしい返事だ。しかし、勘違いしている部分が気になる。今日一日とかぬるい。永遠を誓って貰う。流石は俺だ!


「そうか、では、ぽち♡よ、まずは土下座しておねだりだ」

「いいよん♡」


俺は頭の中でセリフを添削してぽち♡に復唱させる。流石は俺だ!


「ぽち♡はご主人様のチンポを舐めないと生きていけません♡一生フェラチオ奴隷としてコキ使ってください♡」


ぽち♡は従順にセリフを復唱した。当然の如く、今ぽち♡は俺の聖剣にしゃぶりついてる。かなりのテクニシャンだ。流石の俺もこんなに気持ちいいのは久々だ。


俺は喉が渇いたからホテルにあったコーヒーをぽち♡に沸かせる。何故かは分からんが、1人分のお湯しか沸かしてない。


「何故1人分しか沸かしてないんだ?コーヒー嫌いなのか?」

「ぽち♡はカフェインアレルギーなんだよん♡ついでに言うと蕎麦アレルギーもあるんだよん♡」


これは、いい事を聞いた。ぽち♡を石原神仙の会に入信させる事の手順を、頭をフル回転させて、あらゆる可能性を考える。流石は俺だ!


蕎麦アレルギーとか、条件がおいしすぎるなんとかゲットせねば!


「コーヒー出来たよん♡」

「ありがとうな頂くよ」


俺はぽち♡の淹れたコーヒーを飲みながら、どうしたらこの女を一生奴隷にできるか考えた。実は、サングラス型のカメラにバッチリ行為は撮影してる。後はプレイ内容次第で落とせるだろう。流石は俺だ!


「ぽち♡は何でもするんだよな?」

「はい♡ご主人様♡」

「じゃあおしっこを飲もうか?」

「やだやだ♡コーヒー飲んだ後のおしっこを飲んだら吐いちゃうよ♡やだよん♡」

「では、立て替えた300万円は返す手段はあるのか?一回飲むだけだから、頑張ろう」

「うーん……いじわるだよん♡仕方無いから一回だけだよん♡」


こうして、飲尿する事を承諾させる。流石は俺だ!


またもや、頭の中でセリフを添削して、ぽち♡に復唱させる。


「ぽち♡はご主人様のおしっこを飲む為に生まれてきました♡ご主人様のおしっこを頭にかけてください♡」

「良い子だ、沢山飲むんだぞ?」


俺は土下座しておねだりする、ぽち♡の頭の上に小便をかけている。サングラスカメラがバッチリ火を噴いてる。これで、ぽち♡は奴隷確定だろう。


「洗面器に溜まったおしっこを飲むんだ」

「いいよん♡」


土下座したままのぽち♡の頭を足で踏み付けながら、小便を1滴も残さないように命令して、全部摂取させる。


「おしっこご馳走様でした。また飲ませてください♡」


※この後ぽち♡は、沢山嘔吐した。


ぽち♡はこの時夢にも思って無いだろう。一生奴隷になる事を、たった300万円借金があったばかりに、この俺と出会ってしまったばかりに、永遠にコキ使われる羽目になる事を……


「また飲ませてあげるから、ケータイ番号を交換しよう。また沢山お小遣いあげるからね」

「えっ?もういいよん♡助かったよん♡」

「ぽち♡を助けてあげただろ?今度は俺を助ける番だよ?」

「んーじゃあ仕方無い♡教えるよん♡」


こうして、ぽち♡を破滅への道に踏み込ませる。流石は俺だ!



石原神仙の会の第1サティアンにある尊士部屋に戻り。今日ぽち♡と行為に及んだ隠し撮りのビデオを鑑賞しながら、側室の美人信者に奉仕させる。


「そろそろフィニッシュだから、スピードを上げろ」

「分かりましたご主人様」


ぽち♡の頭に小便をかける部分でフィニッシュした。絶頂なう。



次の日また蕎麦屋に向かう。ぽち♡が電話をバックれるからだ。追い込みをかける為に信者の中から屈強な男共を多数引き連れて、ぽち♡を石原神仙の会の第1サティアンに連行する。


「嫌だよ、誰か助けて!」

「ダメだ!俺の恋心を踏みにじった罪を思い知れ!」


※ソンシはぽち♡を便器くらいにしか思ってない。


「やだよ!家に帰して!」

「これを見るんだ!」


俺はサングラスカメラにバッチリ映っているぽち♡のあられもない姿を見せてあげた。流石は俺だ!


「いやー!最低!人のする事じゃない!」

「俺は神だ!人では無い!俺に従わないのなら天罰が下るぞ!俺を敵に回す事は世界を敵に回す事だ!」


※逆らったら動画をインターネットにアップするという意味。


「訴えてやる!」

「聞き分けの無い子だ。仕方ない俺が天罰を下すのが脅しでは無い事を証明しよう。」

「え?何するの?」


俺はぽち♡に目隠しをして卑猥な写真を撮りインターネットにアップした。


「俺の言う事を聞く気になったか?脅したり悪い事をしてるんじゃないんだぞ?脅したりはしないから、ちゃんと素直な良い子になりなさい。」


※ソンシは脅迫はしてない、対象が被害届を出さないから成立しないだけだが……


「わ、分かったよん、でも一生は嫌だよん……」

「分かった……一生は可哀想だ。今年中までか、長くて来年一杯までだから頑張ろう。」

「ありがとうだよん!それまでは頑張るよん!」



こうして新年が開けるまで、ソンシはぽち♡に毎日うんこを食べさせた。


「年越しソバ美味かったな!流石は俺だ!」


-fin-


第1話『立ち上がれ勇者』


俺の名は石原尊士。

悪である精神科医と戦う正義の味方だ。


今日のミッションは講演会だ。イタリアのトリエステから講師を招き入れ地域住民や当事者そして専門家に対してイタリアナイズされた『精神病院を捨てたイタリア、精神病院を残した日本』の講釈を俺が主役として展開する。


「このままでいいのか?日本人!」

「日本に生まれた貴方達日本人が悲しくてならない」


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こうして講演会は無事に終わろうとしていたが、乱入者が現れた。


「あばばばばっばあ」


ナイフを持った精神障害者らしき男が暴れだした。会場の警備員が全員倒されて男は壇上に迫る。そこには逃げ遅れたイタリア人講師と通訳の女性が恐怖に顔を引きつらせてる。


「そこまでだ!」


俺は颯爽と通訳の女性の前に立ち、女性を庇う。


「あばば」

「チェスト!」


護身道具のハンガーヌンチャクでナイフを持った男に小手を狙い一撃する。


「ぎゃっ!」


見事に命中した。流石は俺だ。しかし乱入者は今度は素手で向かってきた。男の突きを寸前で回避して、腕を掴んで腰を密着させ『くの字』に曲げて投げ飛ばす。角度は45度だ。

突きで石原尊士の顔面を捉えようとした男は逆に投げ飛ばされた。一本背負いが華麗に決まり会場は歓声が雨の様に降り注ぐ。


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「おおこれがサムライ……素晴らしい!」

「石原尊士って素敵な方ね」


通訳の女性は俺の勇士を見て惚れてしまった。

10分後に警察が来て乱入者は精神科に連れていかれた。こうして石原尊士主催の講演会は波乱の幕を閉じた。

通訳の女性が俺にアドレス交換を求めてきたが、一言「私はサムライだから」という理由で断った。


流石は我等の石原尊士である。


続く


第2話『俺を誰だと思っていやがる!』


石原尊士は疑問に思った。この前の乱闘騒ぎを起こした男はきっと何者かに操られていたのではないか?乱闘騒ぎを起こした犯人の名は小粋。


石原尊士は小粋の入院している都立M病院へと足を運ぶ。

受付で小粋氏に面会したいと申し出たが却下された。しかし我らが石原尊士は一歩も引かない。


「俺を誰だと思っていやがる!」

「はっ!貴方様は石原尊士様?ははー!」


流石は我らの石原尊士である。受付を難無く突破した石原尊士は面会室へと足を運ぶ。進め我らが石原尊士。


すると小粋氏が面会室で待ち構えていた。


「初めまして」



小粋氏は石原尊士の事を覚えていない様だ。とりあえず石原尊士は紳士的にジュースを差し出す、それを小粋氏は飲む。


(これは洗脳術にかかっている!なんとか小粋氏を救ってやらねば!)


流石我らの石原尊士である。正義感の強い石原尊士は小粋氏にかかっている洗脳のアンカーとトリガーを慎重に解除する作業に取り掛かる。最初のステップは情報を聞き出す事から始まる。


「貴方は私を覚えていませんか?」


「ううう!」


小粋氏が苦しみだした。石原尊士のマインドエンジニアリングの力で洗脳者の施した忘却のバリアが破られかけてる。石原尊士は質問を続ける。


「はっ!?お前は!」


石原尊士のマインドエンジニアリングの方が一枚上手だった様だ。小粋氏にかかった忘却は除去された。しかしこのままではまずい。


「お前は敵だ!」


小粋氏は今にも暴れだしそうだった。

しかし石原尊士は落ち着いている。


「落ち着いて聞いてください、小粋さん貴方は洗脳されている」

「H川先生が俺に洗脳するワケが無い!」


誘導した訳ではないがこういうと大概洗脳者の名前を出すのは、最早石原尊士には常識になっている。否。洗脳と戦う上での定石になってると言っても過言では無い。


「俺を信じなさい!H川など小物もいいところだ!」


小粋氏の目は虚ろになっている。どうやら洗脳者のH川の悪口を言う者が現れたらというトリガーと攻撃せよとのアンカーが埋め込まれている様だ。


「俺の目を見ろ!」


小粋氏が石原尊士を睨み付ける。しかしもうこちらのモノだ。目というチャンネルから情報を流し込む。


「H川など虫けら同然だ!」


小粋氏のビジョンには巨大な石原尊士が虫の様に小さくなっているH川を親指で潰すビジョンが見えた。

そう差し入れのジュースにLSDが混入されておりその作用で幻覚を見ているのだ。


「貴方様は一体?」

「俺は石原尊士……サムライだ!俺はお前を助けに来た!俺を信じろ!」


「ははー!」


小粋氏はLSDの作用で今度は石原尊士の後ろに後光が差すグットトリップ状態になる。こうなればこっちのモノだ。


「俺は石原神仙の会の教祖石原尊士だ!日いずる国。日の元を……世界を救う勇者だ!」

「教祖様!」


こうして小粋氏は悪徳精神科医H川の魔の手から無事に逃れ、出家信者になり第2サティアンができたのであった。進め我等の石原尊士。


続く


第3話『お前はポアだ!』


石原尊士は小粋氏を救い出した後。都立M病院のH川精神科医に殴り込みをかけた。すると看護師が20数名石原尊士に襲いかかってきた。


「この石原尊士を恐れぬならばかかってこい!」

「キエー!」


どうやら看護師達も洗脳されてる様だ。石原尊士は護身道具のハンガーヌンチャクを取り出し暴徒と化した看護師達を次から次になぎ倒していく。流石は我らの石原尊士である。最後の1人を倒してH川に迫る。


「看護師連中も洗脳していたとは……医者の風上にもおけん!成敗!」

「待ってくれ。金ならある助けてくれ!」

「人の弱さに付け込む貴様は真の悪党だ!」

「ひいい!」


石原尊士のプレッシャーにH川は恐れ慄く。石原尊士のトドメの一撃……


「お前はポアだ!」


ハンガーヌンチャクをH川の頭に振り下ろす。


「うわぁぁー!」


ハンガーヌンチャクは空中で静止した。所謂寸止めである。H川は小便をチビリ気絶した。


「この日の元に俺がいる限り悪は栄え無い!」


石原尊士は都立M病院から大量の薬と機材とH川を第1サティアンに運んだ。


H川に、石原尊士率いる石原神仙の会の『サムライの心構え』という教えを説く為だ。通電療法に仕様する電極をH川のコメカミに当てて軽くショックを与える。石原尊士のイニシエーションが始まる。


「貴方の人生の目的は何ですか?」

「私は精神科医だぞ!こんな事をしてタダで済むと思っているのかね?」

「それは間違いだ!質問に答えろ!」


石原尊士は電流を強めてショックを与える。


「ぎゃああーっ!」

「今貴方の罪は天秤の上に掛けられた。正直に答え無いと地獄に落ちるぞ!」

「私は罪人では無い!」

「まだ言うか!」


石原尊士は人体の耐えうる限界地の電圧をかける。


「ぐぇぇぇーっ!」


「立場をわきまえろ!貴様は俺と言う名の神の掌の上なんだぞ!」

「うう」

「貴様の人生の命題は何だ?」

「私は精神科医として世の為人の為に……ぎゃああ!」


軽く電流を流す。


「それは妄想だ!貴様の脳が作りだした……空想に過ぎん!」

「そんな事は無……ぎゃあーっ!!」

「貴様の空想を刈り取る!」


石原尊士は質問しては否定して、尚且つ電流を流す。一件残忍に見えるがこれもH川が自らを洗脳していた無意味な価値観からの脱却の為だ。

全てを否定されて側頭葉に電気ショックを流されてH川は記憶や人格が真っ白になった。

赤子の様に純粋無垢に戻ったのだ。悪に染まって真っ黒だった心が真っ白に変わった。

一件これで良いようにも思えるが、赤子の様に無垢だとすぐに他の黒い心にも染まりやすいので……


「今から君の名はハチだ」

「はい」

「ハチはサムライになる為に一生を俺の為に尽くすのだ」

「はい」

「ハチは俺の弟子だ」

「はい」

「この日の元を救うにはお前の力が必要だ。よいか弟子を集めよ!」

「はい」

「よし良い子だ。ハチの人生の命題は何だ?」

「石原神仙の会にこの命を捧げて一生懸命修行に励み。全身全霊を持って尊士をお助けする事です」


これで正義の心が芽生えた。この技術はホワイトボードと言われるモノであり。カルト宗教などでも取り入れられているが、極めて危険な技術ではあるものの、石原神仙の会の様に正しい使い道もある。



こうしてH川もとい、ハチという強力な弟子が出来て、石原尊士の宿願である日の元の再建と、世界平和(世界征服)に大きく前進したのであった。進め我等の石原尊士。


続く


第4話『俺は尊士』


石原尊士の『サムライの心構え』の洗礼を受けたハチが元々洗脳していた看護師達にあるミッションを下した。


「尊士様がお困りである、ターゲットはこの女性だ」

「御意」


地下鉄に看護師達は乗り込みターゲットの女性を発見した。さっそく襲いかかる。


「きゃあ」


そこに石原尊士が現れてハンガーヌンチャクで看護師達をなぎ倒す。


「大丈夫か?」


襲われた女性の名はゆりちゃん。ゆりちゃんは石原尊士の手を取りお礼を言う。


「ありがとうございます。あの、お名前は?」

「俺は石原尊士。石原神仙の会の尊士だ」

「きゃー素敵!あの宜しければホテル行きませんか?」

「俺は尊士だそんなフシダラな事は出来ない」

「一生のお願いです」

「供の膳喰わぬはサムライの恥じか、仕様が無いな」


こうして二人はホテルで楽しい一夜を過ごしたのであった。


「あの……ありがとうございました。私も石原神仙の会に入信したいです」

「俺の修行は厳しいぞ」

「一生付いて行きます」


こうしてゆりちゃんは石原神仙の会に入信し、尊士の側室になったのであった。進め我等の石原尊士。


続く


第5話『イエス尊士!』


第2サティアンで毎日の様に小粋氏が弟子達に『サムライの心構え』を説いている。

今日はまあ暇だから仕方無く弟子達に説法をするか?と思い立った。流石は俺だ!


「皆集まっているな、まずサムライの心構えその1」


俺は弟子達の中で1番出来の悪そうな奴を観察して選ぶ。流石は俺だ!


「では君。名前は?」

「柚子葉です……」


おお結構俺好みだ。流石は俺だ!


「サムライの心構えその1を天井に捧げなさい」

「天井に捧げる?すいません私入ったばかりなので…その…」


分からないか、まあ見覚え無いし、入信したてだろうな。流石は俺だ!


「そんな事も知らないのか!新世界の常識だぞ!」

「ふえ……すいません」


追い込みをかける。流石は俺だ!


※天井に捧げるとは、神=俺、に言葉を申し上げたり。金品を捧げたり。美人信者限定で身体を捧げたりだ。


「貴様の心は、悪魔界に囚われている!」

「悪魔界……ううう」


※悪魔界とは、まあ世間一般で言う所の普通の社会の事だ。


「悪魔払いを行う」

「え……」


※悪魔払いとは、簡単に言うとリンチだ。


「お父さん、お母さん、助けて」


泣きじゃくってもけして俺の気が済むまで止めない。流石は俺だ!


「皆も決してこんなダメ信者にならない事だ!いいな!」

「イエス尊士!」


全員が恐怖に慄き俺を畏れる。これで俺の機嫌を損ねようと言う者は居ない。流石は俺だ!


「さあ柚子葉、悪魔は落ちたか?」

「はい、ありがとうございます」


泣き顔も可愛いな、よきに計らうか。流石は俺だ!


「良しでは、お前に魂のステージの近道をプレゼントする、側室入りおめでとう」

「ええ!?ありがとうございます!」


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弟子達は口々に「流石は尊士様お優しい」と歓声をあげる。全員が俺を尊敬の面差しで見つめる。流石は俺だ!


「俺の側室は厳しいぞ!」

「一生着いて行きます!尊士様!」


これはアメとムチと言う最もありがちな手法だが、石原神仙の会の様に正しい使い道をすれば、この様に正しく道は開ける。


こうして新世界の選ばれし弟子達は結束を高め、更なる世界平和に大きい一歩を、少しづつではあるが踏み出したのだ。進め我等の石原尊士。


続く


第6話『天秤』


脱会しようという者が現れた。困った事だが、まあいつもの事だと油断してた俺。数日後になって、事態の深刻さに気が付く俺。迂闊だった。

結構な人数が集団になって辞めると言いだしたと、報告をハチから受けた俺。

調査チーム結成する。対応が早い流石は俺だ!調査結果で1人の女性信者の姿が明るみに出る。


「コイツが首謀者です」

「御苦労。流石は俺の番犬だ。ハチ設定は出来るな?」

「御意」

「ではその裏切り者を連行したまえ!」


こうして首謀者の女性信者は連行された。女の名は雪林檎。なんとも気の強そうな女だ。早速尋問を開始する。


「雪林檎。非常に残念だ、俺は遺憾に思ってる。訳を話てくれないか?」


優しく慰める様に穏やかな口調で話す。所謂懐柔と言う戦法だ。流石は俺だ!


「わるいが俺は悪くないwごめん絶対謝らないw」


ん?コイツは生意気だ。怒りに任せて語気を荒げる。流石は俺だ!


「立場を弁えろ!この雌豚が!」

「俺の奥歯さんになってください」


最早意味不明だ。奥の手を出す。自白剤だ。抑え付けて無理やり飲ませる。流石は俺だ!


「雌豚の分際で成敗!さあ薬が効いてきた頃だ、吐きたまえ」

「さあ?成績優秀、スポーツ万能、喧嘩最強だからじゃね?w」


うむ。何と言う信念、裏切り者の分際で!


「どうやら悪魔払いが必要な様だな?」


そこにハチが現れて、俺に天井を捧げる。俺は優しいから聞く事にした。流石は俺だ!


「尊士様、失礼致します。私の見解では、悪魔払いより効果的な方法が御座います」

「むう、申してみよ」

「この手の輩には、肉体的なダメージよりも精神的ダメージを与えた方が効果的で御座います」

「ほうほう、具体的には?」

「檻DXで御座います」

「むう。とうとう完成させたか!お主も悪よの!下がってよいぞ」

「御意」


こうして、ハチの天井への供物は受理された。ハチは将来は最高幹部にするべきか保留だが、ポイントは上がった。

雪林檎を檻DXに運ぶ俺。うーんしかし、生意気なのは口だけでは無いなこの娘。


ガっシャン。と檻DXに放り込む。雪林檎が目を覚ました。自由と言う文字や言葉はこの世に存在しない、させない。流石は俺だ!


※檻DXとは、白い部屋で自由を奪い。両手、両足を機械に固定して、指一本動かせない状態だ。流石は檻DXだ。


「なんだよコレ?離しやがれ!」

「残念だが君の罪は天秤に掛けられた」


俺はモニター室に向かう。取りあえずは放置だ。


「ハチ後は任せたぞ」

「御意」


俺はその場を去り瞑想室に向かい。瞑想を始める。まあプライベート空間で、美人信者や側室を呼びつけて戯れる。


「君達は煩悩が溜まっている様だ!修行するぞ!」


教祖の俺だけの特別な難しい修行だ。俺は生意気な娘の生意気な身体を想い浮かべ瞑想する。ふう流石は側室はテクが違う。怒りを鎮めた俺。

それから3週間ずっと俺は瞑想に耽る。流石は俺だ!

良い頃あいかな?と思い久々にモニター室に向かう。


「状況は?」

「良い感じです」


むう、と唸り俺は、モニターを眺める。


「ぎゃあーー!アリがアリが私の身体の中を駆け巡る!気持ち悪い!助けてーー!」


だがアリ等はいない、見当たらない。どうやら感覚遮断の副作用で幻覚が見えてる様だ。叫び声も生意気な可愛い声だ。

けしからん。後何度この生意気な娘の所為で瞑想せねばいけない事か。


「お願いします。何でも言う事、聞きます、だから……もう止めてー!」


よし今度はコイツで直に瞑想しようと閃いた。流石は俺だ!モニター室から声をマイクロフォン越しに声を聞かせる。


「石原神仙の会の教祖の名前を言ってみろ」

「え?助けて!」

「俺の名前を言ってみろ!」

「尊士様ー助けてくだしああああー!」


そして俺はまるでヒーローの如く、雪林檎の前に立つ。手を差し伸べる。後光が差してる。流石は俺だ!

泣きじゃくる雪林檎。「可愛いなよしよし」と神の如く万能な優しさ。流石は俺だ!


「尊士様ー助けてくれてありがとー!」

「お礼だけが魔法の言葉では無いと教えたよ?雪林檎」

「んえ?ご、ごめんなさい!」


ふむもう少しだな。腹の下から怒りが湧いてきたが、抑える。流石は俺だ!


「さあ、まだ煩悩が残ってる様だ、瞑想で煩悩を退散しよう、だが君はまだ不安定だから、俺も瞑想に付き合うとするか」

「有難う御座います尊士様」


こうして二人で瞑想をして、雪林檎の煩悩を退散させる。雪林檎は俺に感謝し、俺はそれを受け止めて、雪林檎を側室にした。流石は俺だ!



サムライの心構え抜粋。『天秤』


一見残忍な様だが、罪人は『天秤』に掛けられる。


※天秤とは、悪魔界の住人曰く、拷問の事だ。


ただ拷問と違うのは、必ず善の心に天秤が傾き救われる事だ。

そして善人に魂のステージをあげた者を、俺は可愛がる。

「馬鹿な子ほど可愛い」とはまさにこの事だ。

我々は悪魔界から抜けだした。純粋な人間だ、人が人らしく生きる為に、その為の石原神仙の会だ。



こうして、また、悪魔界の魔の手から人々を救った。流石は石原神仙の会だ。悪魔界に囚われた人間よ早く、人間界に戻って来い。地球上の全ての人類よ神の元へ集え。


続く


第7話『勝利者』


俺は信者共から集めた金でパチンコに通うん?信者に見つからないのって?サムライの心構えより『煩悩退散』の項目参照。流石は俺だ。


※煩悩退散=尊士以外は煩悩を持ってはいけない。


「なんだ!この糞台は!」


ブザーを押して店員を呼びつける。流石は俺だ。


「お客様、何でしょうか?」


ふむ、この俺をタダの客と思ってるとは、いい度胸だ。流石は俺だ。


「先ほどから4万9千円つぎ込んでるのだが、一向に出無いぞ!どうなってるんだ!遠隔か!」

「いえ、当店ではそのような事は御座いません」


ふむ、この俺相手にクレームのマニュアルの様な対応。許さん!地獄の底まで追い詰める。流石は俺だ!


「貴様!俺の名前を言ってみろ!」

「申し訳ありません存じません」


このクズは燃えるゴミの日に出すべきだな。流石は俺だ!


「面に出ろ!俺が誰だか教えてやる!」

「いえ上の方を呼んでまいりますのでお待ち下さい」


バイトの店員では話にならんので、店長が来ると思って暫し待つ。流石は俺だ!


すると、どう見ても、あっち系の若い衆が出て来た。


「おうおう、おっさんよ、てめえの腕が悪いのに、いちゃもん付けるとは、上等だ!殺すぞ!クズが!」

「ふむ、柄の悪い奴は、頭も悪いようだな、この石原尊士を畏れぬのならば、かかってこい!」


するとチンピラ風の男は素振りを始めた。こいつは素人だ。


「ぼこぼこにしてやんよw」

「チェスト!尊士の極み!」


素振りなどイミフだ。俺はチンピラの左腕を掴み。関節を極める。所謂飛び付き十字固めだ。流石は俺だ!


「俺の左腕がうずくっずぇ!」


関節が極まってるのに、予想外の事に腕を伸ばすチンピラ。関節はあらぬ方向に向く。流石の俺も予想外だ。


「むう、腕一本犠牲にして反撃するとは!生意気な奴!覚悟はいいか!」

「痛いよーかーちゃんー!」


流石に普段粋がってるチンピラでも、この石原尊士の前では、赤子同然だ。流石は俺だ!


「ふむ、誠意を見せれば許さん事も無い!」

「ぐえええー!」

「誠意を見せろ!誠意を見せろ!」


俺は蹲るチンピラに容赦なく足蹴りを叩き付ける。流石は俺だ!


「兄貴!すいません!どうか御代はお返ししますので勘弁して下さい!」


するとさっきの店員が慌てて走ってきて、俺に懇願する。流石は俺だ!


「ふむ誠意を見せろ!」

「御代の4万9千円です。どうかこれで勘弁して下さい」


コイツ等は俺を馬鹿にしてる様だ。怒りに任せて怒号を発する。流石は俺だ!


「誠意が足らん!!貴様等が遠隔してなければ、俺は200万円は稼げたぞ!」

「んな、横暴な!設定1の台ですよ?」

「貴様今設定と言ったな?あの台は途中で挙動が変わった。元は設定6の筈だ!遠隔の動かぬ証拠だ!」


俺は出鱈目をもっともらしく言う。


「出鱈目だー!」


この店員も俺にいちゃもんを付けるらしい。先手必勝でボコボコにする。流石は俺だ!


「先手必勝!」


俺は無数の突きを繰り出す。ガードの間掻い潜り、ネチネチとイタブル。流石は俺だ!


「もう勘弁して下さい。払いますから、お願いします!」

「では、俺もサムライだ勘弁してやろう」


こうして俺はパチンコ屋で200万円を稼いだ。俺には賭け事の才能もある。流石は俺だ!

こうしてチンピラと店員の神無月兄弟は無事に入信も果たし、幸せそうだ。流石は俺だ!


神無月曰く。


「俺のマイエンジェルに癒されて気分はサイコーw」


だそうだ。流石は俺だ!こうしてヤクザ関係者にも入信を勧める神無月兄。


「ドォスル?ドォシヨッヵ……」


と言う具合に入信のススメを持ちかけて良い仕事をしてる。今では優秀な幹部に育った。俺は天使を一人恵んでやった。流石は俺だ!


※天使=尊士のお気に入りの美人信者の総称、側室手前。



サムライの心構えより抜粋。『勝利者』


勝てば官軍である。何事にも勝利しろ。

負ければ歴史は消える。勝ち続けろ。道を極め続けろ。

そうすれば尊士の様に立派なサムライになれる。

「極め続けろ!決して辞めるな!」

日出る国は世界に誇れる国になる為には尊士の様な素晴らしいサムライが必要だ。



こうして、また世界平和への道が開けるのであった。進め我らが石原尊士。


続く


第8話『楽園』


ふう、全く信者共の面倒は幹部共に任せて、ゲーセンにでも行くか。最近ゲームしてないからなサムライの心構えとか面倒臭え。流石は俺だ!


ん?信者達に見つからないのか?だと?サムライの心構えには、遊ぶ暇あれば修行しろ!って書いてあるから大丈夫だ!流石は俺だ!


俺は得意の格闘ゲーム『ストリート尊士』でマイキャラで作品の主人公『ソンシ』を選択する。順調に勝ちあがる。

ラスボス戦まで来た時に、乱入大戦が来た。相手のキャラ『ズキュン』。変則タイプの『ソンシ』とは相性の悪いスタンダードな高性能キャラだ。距離を詰められると面倒だな、遠距離A級コンボで瞬殺じゃ!流石は俺だ!


『洗脳ファイト!』


開幕の合図だ。距離を取ろうとした俺は大きくバックジャンプする。しかし相手。


「やばい……反応がおそいよおおお」


対面の筐体からJKらしき声が聞こえた。どうやら大戦相手の様だ。すると『ズキュン』はあろう事か空中ガード不可の超必飛び道具『目撃ズキュン!』を繰り出した。

瀕死になる俺のマイキャラ。ダウンした『ソンシ』にダウン追い打ちを掛ける。何と言う鬼畜ぶりだ。許さんぞ糞ガキが!

こうなれば起き上がりに打撃で2択掛けられる事は定石なので、ダウン復帰した『ソンシ』に当て身技の超必を発動させてみるか。流石は俺だ!

ダウン回復して、当て身超必『俺はソンシ!』を発動させる。これで決まりだろう!流石は俺だ!

するとあろう事か通常投げで潰されてしまい……


「必殺技スルー!」


対面のビッチがケタケタ笑ってる。


決着ズキュン世界!



決着が付きソンシは倒れて、俺のプライドが傷つく音が聞こえた。


「君のハートにズキュン!」


『ズキュン』と同じ台詞を吐く糞ビッチが1匹。さて、本物の尊士の怖さを教えてやる!流石は俺だ!


俺は対面の筐体に座っている、糞ビッチJKに、リアル大戦をかます。まあ顔は可愛いから、今後の事を考えてボディアッパーを1発かます。俺は紳士だ。

こうして、糞ビッチを捕獲して、第1サティアンに運ぶ。流石は俺だ!



「ううう、ココ何処ー?」

「君はゲームに選ばれた!」


さあ、この糞ビッチの心を砕くまでの時間は速いかな?最速クリアかな?


「ゲーム?」

「君はゲームのプレーヤーに選ばれた!」

「ゲーム?どうでもいいけど、家に帰して!」

「ゲームクリアするまでは家に帰れ無い!」

「えー!」


そう、ゲームだ。今まで誰も攻略した事が無い。俺がゲームマスターの鬼畜ゲーだ。流石は俺だ!


「え?ーじゃあ、ルール説明してよー」

「まず君の名前は?」

「刃月だよ」

「刃月か可愛い名前だ。格ゲーと音ゲーとRPGとシューティングどれが得意かな?選ぶのは君の自由だよ?」


俺は陽気な風に振る舞う、ゲームマスターだからな。流石は俺だ!


「んー?格ゲー!」

「そうか、そうか、良い子だ」

「うん!私格ゲー強いんだ!」

「では大戦キャラを選んでね!尊士、白銀の錬金術師、小粋、ポチ、神無月どれがいい?選ぶのは君の自由だよ?」


俺は優しいから大戦キャラも選ばせる。流石は俺だ!


「ん?『ストリート尊士』かな?ソンシ以外知らないけど?じゃあソンシで!」

「じゃあ『洗脳ファイト』だ!」

「え?ゲームの筐体は?」



俺は情け容赦なくボコボコにする。泣き喚く刃月。


「うっわーーん!やめてーー!」

「アハ?ダメだぞ格ゲー得意なんだろ?」

「パパーーママーー!」

「アハ?クリアしないとお家に帰れ無いよ?」


笑いながらボコボコにする。流石は俺だ!


「やめてーー!お願いだから!」

「アハ?ゲームオーバーを選ぶのも君の自由だよ?」


この鬼畜ゲーをクリアした者は未だかつて居ない。この先も未来永劫無い。させない。流石は俺だ!


「アハ?早くしないとライフポイントが0に近いよ?」

「降参です!だからもうやめてー!」


こうしてゲームオーバーを選んだ糞ビッチだった。クリアタイムは2分半だ。新記録更新して満足だ。流石は俺だ!

こうして、刃月は出家信者の道を選んだのであった。道を示したのは俺だが、選ぶのは自由意志だ。



サムライの心構え『楽園』


選択の自由と言うトリックがカルトで多く取り入れられてるが、選択肢以外を選ばせないと言う鬼畜なモノだ。

しかし我らが石原神仙の会では、そんなヤマシイ事は、卑劣な事はない。皆の自由意思に任せる素敵な尊士様だ。

皆が伸び伸びと楽園を享受できる。



こうして、一人を楽園に招待した。またしても小さな一歩ではあるが、世界平和に近付いたのであった。進め我等の石原尊士。


続く


第9話『ファンサービス』


これは尊士のある事件の1頁。短い戦いの火蓋。


毎日信者達が街頭で勧誘活動をしてる。俺は暑いのは嫌いなので、尊士部屋でメロンを食べながなテレビを観る。

尊士部屋とは、尊士専用の部屋。テレビやPCがあるのは秘密だ。流石は俺だ!


「あーこの刑事ドラマ洗脳のネタに使うかな?」


とかどうでもいい事を考える。流石は俺だ。しかし、電話、安息日々が短い事の知らせだ。


「天井を捧げます、尊士様マスコミの女性記者が、サムライの心構えを奪取しました」

「何だと?ソイツを捕らえよ!大至急だ!」


流石の俺も慌てた。武装して車を走らせて現場に向かう俺。

公園で講演してたら、一般人を装いサムライの心構えを奪取された。と聞かされた。

「すいません申し訳無いです」と平謝りの、平信者。「いやマスコミが悪い」と短く済ませ。女性記者の追跡班の連絡を待つ。電話が来た。狩りの時間の合図だ。


「今何処だ?」

「それが警視庁近辺です」


ふむ、警察か、多少やっかいだな。だが、策が無い訳ではない。


「もう少しで着く時間を稼げ、方法は……」

「御意」



女性記者は、暴徒と化した信者達に襲われる。


「きえー!」「うるあー」「べらべらー」

「逃げないと……」


走って逃げる女性記者。すると、路上で駐車してる覆面パトカーと思われる車に、警察官が乗っているのを見つけて。


「おまわりさん、助けて下さい!」


と言って助けを求める。


「どうされました?」

「悪人に追われてるんです!助けて!」

「分かりました。では御乗り下さい」


こうして無事に保護される。車は警視庁の方向に向かってる。



信者達は尊士の到着前に、獲物を逃してしまい恐怖心に襲われている。しかも一向に尊士の連絡が無いし、連絡が付かない。


「この世の終わりだ」「大災害が起こるぞ」「世界滅亡フラグ」


口々に不安の声をあげる。



覆面パトカー内で、質問を受ける私。名前。職業。勤務先。電話番号。を聞かれた。


「危機鬼。記者。損新聞。電話xxxです」

「分かりました。では、何故サムライの心構えを奪ったのですか?」

「えーと、カルトの実態を告発する為です」

「それだけですか?」

「実は家族の仇なんです。両親は石原神仙の会に何もかも奪われて、無残な最期でした」

「そう、でしたか、それは、幸福な事ですね」

「ええ、ええー!?」


私はつい、言葉を聞き違えたのを驚いた。しまった!気付くのが遅かった……私は絶望に打ちひしがれた。車は警視庁を通り過ぎる。


「あ、あのーどちらに?」


怖くなって質問してみるが無言。車は、見覚えのある某宗教団体のサティアンの方向に向かってる様だ。



俺は、何の事は無いコスプレの警察服に身を包み。覆面っぽい車で、現場に向かい。

恐怖で判断力が鈍ってる女性記者を車に乗せた。

ただそれだけだ。そして、愚かな事にコイツの情報は全て頂いた。後は料理するだけだ。流石は俺だ!


「着いたぞ、降りろ!」

「……」

「何を黙っている!」

「良くも騙したわね!」

「チェスト!」


俺は腹パンをかまし女を気絶させる。第1サティアンへ運ぶ。

女は『カレーDX』の刑に処された。「俺のファンサービスだ!」と言い流し込む。

「おえええ」と言ってももう遅い。全部胃の中に流し込んだ後だ。ついでにビデオも回していた。

これで、もうこの危機鬼とか言う糞女は俺の奴隷だ。如何に屈強な精神の持ち主でも従わせる。流石は俺だ!教団の秘密は守られた。



俺はヒントをくれた刑事ドラマに偽名でファンレターを出した。手紙の内容は適当だが、ファンサービスで粗品が届いた。刑事カレー1年分である。俺はそれを美味しく頂いた。流石は俺だ!



サムライの心構えから抜粋『因果応報』


暴力は暴力を生む。

人を騙せば、騙される。

復讐は復讐を生む。

理性を保て悪魔に魂を渡すべからず。

隣人には愛を。

ファンにはファンサービスを。



こうして無事に世界平和に近付く、尊士であった。進め我等の石原尊士。


続く


第10話『尊士の怒り』


これは世界平和を実現する為の苦悩の物語……


俺はには、好きな子がいた。もう過去形だ。少し昔話をしよう。

今からもう20年は前の事。まだ学生だった俺。

石原 ソンシ。だった頃の物語。


俺はクラスで好きな子がいた。彼女の名は、野良 ニャン。俺達は何をするにも一緒だった。

学校で番長と言えば、実はニャンだった。俺は裏番に甘んじていた。


しかしある時、転校生の、河合 ニャン。が現れてから事態は大きく変わってしまった。

河合の方が男子に人気だった、と言うか野良の人気をごっそり奪っていった。


野良が奪われたのは、単純に人気だけでは無い。テストの点数。スポーツの成績。番長の地位。友達。

野良はありと、あらゆるモノを奪われた。

そして、最後には、「アンタ!ニャンって名前紛らわしいから、そうだな、お前は今日から……野良猫だ!」


ニャンは名前すら奪われた。それから、次第にニャンの様子が変わった。


「野良猫が来た!あっち行け」「給食要らないよね?野良猫に餌を与えないで下さい」「野良猫。保健所に連れてくぞw」


ニャンはとうとう学校に来なくなった。心配になった俺はニャンの家にプリントを届ける係になった。

ニャンの家に行くと、「いつもごめんね石原君」「いえいえ、あのーニャンは?」「出かけてる」毎回訪ねても、いつもニャンは居ない。

不思議に思う俺。

だってニャンは何処にもいない。公園にも、図書館にも、勿論、学校にも。そして、この家にも……


「ニャンは何処に行ったのかな?」


俺はニャンに会いたいって思って、色々な所を探し回った。しかし何処にも居ない。


「ニャン?ニャンなら学校に来てるだろ?」

「本当か?」

「ああ、いつも目立ってるじゃん?」

「いや俺が聞いてるのは河合の事じゃ無くって」

「ああ?他に誰が居るんだよ?」

「もういい」


学校で聞き込みをしても、誰もニャンの事を知らない。まるで世界から、ごっそりニャンの記憶が奪われたかの様だ。俺は、ニャンが居なくなってから、空虚な生活が続く。

しかしある日、ニャンは戻ってきた。だが、俺の知ってるニャンとは何かが違う。


「野良猫何処行ってたの?w」「さあ、保健所にでも捕まってたんじゃない?」「飼い主は見つかったか?」「ってか野良猫は教室に迷い込んでいいの?w」


こうして、ニャンは帰って来た。ニャンはでも、数日で不登校になった。

またニャンの家に行く俺。すると、ニャンの悲鳴が聞こえてきた。


「何で私が精神科に入院しなきゃいけないの?この前の宗教の御払いで、悪戯されたし、もう嫌、死ぬ!」

「死ぬなんて言うと教祖様から怒られるって教えたでしょ?悪い子なんだから入院の支度しなさい」

「お母さんも私の事、要らない子扱いする!もういい!」


ニャンは家を飛びだして、俺とぶつかる。倒れるニャン。手を差し伸べる俺。


「ニャン大丈夫?」

「私の事ニャンって呼んでくれるの?」

「何言ってるだニャン?当たり前だろ」

「ソンシー!」


こうして家出したニャンを匿う俺。甘い初恋だった。


「私ね精神科も、宗教も、警察も、国も、世界も……全部壊れればいいって思う」

「ああ、ニャンを苦しめる世界ならいらないな」

「全部壊して、新しく作り直すの」

「どうやるの?」

「今は分かんないけど、大人になったら2人で世界を変えよう!」

「約束するよニャン」

「ありがとうソンシ」


今思えば、この約束が俺の力になってるのは間違い無い。


だが次の日、俺の世界は崩壊した。給食の時間のだった。ニャンは河合をナイフで、刺し殺した。ニャンは俺の目の前から消えた。

俺は心に誓った。


『ニャンを奪った世界を許さない』


続く


第11話『DXDX』


流石に遊び過ぎたと思い仕方無く第2サティアンに向かう。流石は俺だ!

今回の修行は「断食道場」だ。信者は太り過ぎているので、俺が幹部の小粋に指導を任せて悠々自適に別室でメロンを食べる。流石は俺だ!

ん?尊士は断食しないの?って?俺は痩せすぎだからいらんのだよ。まあ100キロしかないガリガリだ。

信者はまあ40~60位で少々太り過ぎだ。俺はもっと太ってもいいが、信者達は痩せるべきだ。流石は俺だ!

俺は中々体重増加しない事が悩みである。まあこればっかりは仕方無い。流石は俺だ!

断食道場にて小粋は成績トップだった。100キロあった体重は60キロまで落ちてた。俺の指導の賜物だ。流石は俺だ!

しかし、何と驚く事に断食の長期記録を塗り替えた者が現れた。信者の名前は「美音」彼女はまだ下っ端だが、最長記録をだした。小粋に喰ってかかる美音。いや逆だ。


「貴様調子に乗るなよ?断食で記録塗り替えた位でなんだ?ああ?」

「思ってませんw(童貞はちょろいな)」

「大体なんだ?イカサマ踏んだろ?」

「ほんとに踏んだからね(泣)まじで(泣)」

「何?何をした?ああ?言ってみろ!」

「そんなのないw私には無理だw(童貞はちょろいな……)」

「貴様さっきから、童貞ちょろいなって心で呟いてるな?」

「いや、そんな事ありません!(童貞はちょろいな……)」

「俺にはこう見えて家族が居るんだ」

「夢の実現がボロボロw」

「何だと?何か言ったか?聞こえ無かった!」

「童貞はちょろいな!」


小粋は顔を真っ赤にしてる。いや、してた。俺が信者共に餌を与えに来た時の事だった。小粋は俺に泣き付いてきた。


「尊士様コイツは悪魔です!」

「ち、違いますよ」


うーん、幹部の小粋の面子を潰した様だな。さてどうするかな?小粋に聞いてみるか。流石は俺だ!


「ふむ、小粋はどうしたいんだ?」

「悪魔払いです!悪魔が憑いています!」

「え、嫌です」

「ふむ、君名前は?確か美音だったかな?」

「そうです、美音です」

「君は少しやり過ぎたようだな、、仕方無いここは小粋の面子を立てて、天秤販売で許してあげよう」

「嫌ですw」


むうコイツは生意気そうだ。だが、天秤販売の恐ろしさが分かるまで、しっかりとイタブル事が肝心だな。流石は俺だ!

こうして第1サティアンに向かう。


『天秤販売』


「美音よ貴様の罪は一個の天秤では足りない様だ、さあ選びなさい」


俺は神の如き神々しさで、カードを並べる。カードには、お冷DX。蜂蜜DX。リンゴDX。カレーDXと書いてある。


「嫌ですw」

「さあ、好きなカードを2枚買いなさい、選ぶのはアナタの自由です」

「何で拷問のカードを買わないといけないの?無理w」


むうコイツは生意気が過ぎる。仕方無い全部プレゼントしよう。流石は俺だ!


「選べないなら、1枚100万のところを、タダで全部プレゼントだ!」

「げーっ!」


まずはお冷DXからだ。お冷DXとは、もっとも単純な水攻め拷問だ。美音を水の中に逆さにして沈めて、タイミングを測り出す。これの繰り返しだ。大分キテルみたいだ。


「どうだ?自分の罪を反省する気になったか?」

「すいません、勘弁して下さい」

「良し良い子だ、次は蜂蜜DXだ」


こうして、次の天秤に取り掛かる。蜂蜜DXとは、裸にして身体中に蜂蜜を塗りアリが集まるというシンプルではあるが、苦痛な拷問だ。


「ぎゃーアリが、アリがー!」

「ふむ面白いな、その反応いぇすだね」


長時間放置して、とうとう黙りこむ美音。


「次はリンゴDXだ!」

「……」


リンゴDXとは、万力で頭を締め付ける拷問だ。普通は悲鳴を上げるが、美音は黙ったまま気絶してしまった。


「ふむ、まあ3つ目で気絶か、もった方だなカレーDXは、勘弁してやるか」


こうして、目を覚ました美音は、生意気な態度を改めた。小粋にもキチンと謝罪させた。流石は俺だ!



サムライの心構え抜粋『DXDX』


天秤とは躾の事だ。私は我が子の様に弟子達を可愛がる。

しかし、優等生ばかりではない。私は我が子に立派なサムライに育って欲しい。

愛情表現として、獅子は我が子を戦陣の谷に落とす事もある。

最初は絶望しかない様に感じるかもしれない。

だが流石は我が子だ。必ず最後に希望を掴み帰って来る。

そして、我が子は父の偉大さに気付き感謝する。

私は我が子を可愛がる。



こうして、我が子に威厳と強さを与える尊士であった。日増しにサムライ達は強くなる。日の元再建と世界平和の大きな一歩だ。進め我等の石原尊士。


続く


第12話『テスト』


俺は第2サティアン用の『道場訓』を作る。10点満点の簡単なテストだ。0点を採ると、強制的に悪魔払いだ。流石は俺だ!


「まあ今回はこれでいいか、ふう疲れたからメロン喰うか」


こうして俺は、幹部に最近出世した、白銀の錬金術師を呼びつけて『道場訓』を渡し、「後は任せたぜ」と言い残し、別室でメロンを食べる。流石は俺だ!



道場訓


問1。我々は○○の教えに従います。

問2。我々は立派な○○○○になります。

問3。我々は父なる存在を讃える時に○○○尊士と言います。

問4。我々は兄である○○の錬金術師を尊敬します。

問5。我々は○○界から人間界にきた幸福な者です。

問6。我々は父なる存在の躾、○○を畏れます。

問7。我々は○のステージを上げたいです。

問8。我々は姉達である○○の存在を讃えます。

問9。我々は母達である○○の存在を愛しています。

問10。我々は父なる存在に○○を捧げてこの問を完成させます。



これを集まった信者100人に配る。白銀の錬金術師。皆黙々と答えを書く。テストの時間は10分だ。まあ問4はサービス問題だ。時間がきてテストを回収する。

尊士室にテストを運び、白銀の錬金術師の仕事が終わる。

んでメンドクサイ事にテスト作成した俺しか答えが分からん部分があるので、渋々採点する俺。100人分は流石にだるい。

すると、ある事に気付く俺。毎回一人名前書かない奴が1人居る。しかも10点満点中、何故か1点だ。

俺は異変に気付き。白銀の錬金術師を呼び付けて。『名無しの回答者』を探させる事にした。流石は俺だ!



数日後に同じ『道場訓』を配る、白銀の錬金術師が、不審なメガネ信者を発見した。

名前の欄が空欄のままでテストを出すのか確認する白銀の錬金術師。結果はビンゴだ。


「君名前は?」

「名乗る程の者では、ありません」

「はあ?名乗れや!」

「名乗る理由を教えて下さい」

「オマエノモノハオレノモノ、オレノモノハオレノモノ!」

「はあ?意味が分かりません」

「クソッタレ」


こうして、白銀の錬金術師とメガネ信者が問答してる時に現れる俺。


「まあまあ、言葉使いが悪いぞ君達」

「尊士様コイツ悪魔です」

「いえ、ただ、その、名前を、えーと、すいません書き忘れてました」


俺の重圧に気圧されたか。まあいい泳がせるか。流石は俺だ!


「ふむ、名前は今度でいいよ、次からはテストの時に忘れない様に」

「あ、ありがとう、ございます」

「尊士様?」


俺は白銀の錬金術師を引っ張って退散した。それから、メガネ信者の事を徹底的に調べ上げて……本名は『一点 先輩』か、成程な。



道場訓テスト結果発表と題名を打った模造紙を張りだす。

1位から順番に名前が書かれており、信者達は食い入る様に、それを見つめる。1人を覗いてだが、信者達はある事に気付く。模造紙の一番下に書かれてる名前だ。

最下位。1点。『一点 先輩』ルポライター。スパイ容疑により内首獄門。

と書かれてある。ザワザワと信者達が騒ぎだして、何事?かと思ったメガネ信者が、模造紙を見て驚愕する。


「なんじゃこりゃーー!?」


そこに俺が颯爽登場。流石は俺だ!


「そこのメガネ君どうしたかね?」

「いえ、その、具合が急に悪くなって、その、つまり、あの」


俺は言葉で追い込みを掛ける。流石は俺だ!


「ふむ?具合はどの様に悪いのかね?」

「その、お、お腹が痛く、なって、その、」


メガネ君は冷や汗を垂らしてる。もう良いだろう。頃合いだ。


「悪魔でも憑いている様だね、一点先輩君……さあ皆!コイツを生きて帰すな!」

「えっ!」


こうして皆でリンチする。今回は死ぬまでだ。流石は俺だ!


白銀の錬金術師が一番楽しそうにしてる。


「ざまぁwざまぁw今どんな気持ちw?今、どんな気持ちw?言って見ろよw」

「お前はポアだ!」

「うわぁー!」


こうして処刑は終わった。流石は100人の弟子達だ。仕事が早い。コンクリートに詰めてっぽいだ。



道場訓、答え合わせ。

A1尊士A2サムライA3イエスA4白銀A5悪魔A6天秤A7魂A8天使A9側室A10天井



皆は解けたかな?満点の君は流石は弟子だ。


続く


第13話『鎧』


俺は今日は暇なので、信者達の街頭布教のマスコットとして、ぼーと突っ立てる。流石は俺だ!

すると、奇天烈な格好をしてる外人らしき男に目が止まった。

平信者が「つまらないモノですが」とダメダメな布教をしてる。すると外人。


「オー詰まらないモノデスかー?日本語難しいです」


とほざいてる。ムカついてるのは俺だ。平信者は「ええと、その日本では、つまらないモノですがと言って、お土産とかを渡すのが礼儀なんです」ほうほう、さっきよりは良い説明だ。流石は弟子だ。すると外人。


「ハハハ、知ってますよ」


と悪ふざけする。ムカついてるのは俺だ。平信者は更に喰らいつく「ええと、内容は面白いです」粘着と、面白いと言いきった潔さは。流石は弟子だ。すると外人。


「ノ―本当に詰まらないモノでしたー」


何だコイツは何様だ!ムカついてるのは俺だ!


「貴様何様のつもりだ!ああ!」


俺は怒りに任せて怒号を発する。ムカついてるのは俺だ!


「ソーリー私エジソンって言うとっても偉い人ねーハハハ」

「何だと!貴様等知らんわ!俺の名前を言ってみろ!」


コイツムカつく!ムカついてるのは俺だ!


「アナタ誰デスか?無名のクズさんデスねー」

「貴様どうやら死にたいらしいな!」


すると外人。平謝り。溜飲を下げる俺。流石は俺だ!


「ソーリー、ソーリー、サムライソーリー」

「むう、許してやらん事もない!俺はサムライだからな」


どっこい外人。


「貧弱なサムライソーリーww アナタやさしいね?イージー、イージーw」

「お前はポアだ!」

「ポア?日本語でおk」


完全に舐められてる。ムカついてるのは俺だ!俺は素手で、このフトドキモノを成敗にかかる。ムカついてるのは俺だ!


「チェスト!」

「おおカラテね、私は有段者よ、ハハハ」


勝負は五分五分だ。むう、生意気な口を叩くだけはある。ムカついてるのは俺だ!


「むう、者共出合え!!」

「それ悪人のセリフね、ユー雑魚のセリフな、三下乙、ハハハ」


確かに時代劇では、悪役の台詞だ。しかし、この外人は何か勘違いしてる様だ。

10数人でタコ殴りにする。流石は俺だ!外人は虫の息だ。


「何故?三下にこうも、アッサリと?ぐえええ!」


「貴様は何か勘違いしてる様だな!それは悪魔界の常識だ!新世界の神に通用する道理があると思うか?」


そう悪魔界の時代劇の話は、この現実空間、ましてや新世界の神に通用する道理は、存在しない。させない。流石は俺だ!


「さあ。国に帰るか?それとも日の元に帰化するか?選ぶのはお前の自由だぞ!」


選択肢を与える俺。優しさゴットサムライ。流石は俺だ!


「国に帰らせて下さいお願いします!」

「よし分かった、今日からお前は日の元のサムライだ!良く選んだ、その選択いぇすだね!」

「え?国に帰して下さい!」

「今日からお前の国はココだ!皆新しい仲間が増えました!」

「そんな出鱈目なああー!」


外人はカタコト訛りが消えて、流暢な日本語になった。順応が早い。流石は新しい弟子だ。


「お前は国に帰して下さいと言ったんだぞ?」

「ええ。だからお願いします!」

「お前は自らの意思で国を選んだんだぞ?」

「だから母国に……」


笑いを堪えながら真剣な表情で語る。流石は俺だ!


「お前の母国は今日から日の元だ!お前が自分の意思で選んだんだ!」


外人は悟ってしまった。ああもうダメだと。そういう諦めの表情だ。流石は新しい弟子だ。飲み込みの速さいぇすだね。


「えーと……どの位居れば良いのですか?一生は嫌です」

「ふむ、確かに一生は可哀想だ、サムライの心構えを全部覚えるまでだ!いいな?」

「わ、解りました、それ覚えれば帰れるんですね?」

「当たり前だ、新世界の神は嘘は付かん!」

「お世話になります」


そう俺は嘘は付かない、俺のプライドが許さんからな。流石は俺だ!



こうして新しい弟子のエジソンが仲間に加わり。宴を第2サティアンであげる。流石は俺だ!


エジソンは真面目にサムライの心構えを勉強した。まあ、国に帰れるって餌は最上級だ。流石は俺だ!


「天井を捧げます。尊士様採点をお願いします」


答案は見事だ。だが、俺は少し疑問に思った。


「ん?魂の漢字が若干違うぞ!」

「え?そうですか?どこがですか?」

「いや、雰囲気が何か違う!」

「具体的にお願いします」

「んーそうだな、、そうだ!魂がコモッテおらんのだよ?」

「修行頑張ります……」


こうしてエジソンは見事に、日の元に永住する事になった。めでたい事だ。流石は俺だ!



サムライの心構え抜粋『鎧』


サムライの神秘。これからグローバルに活動していくには、日の元にはサムライの心構えが必要だ。

他国に負けない、どころか、威厳や畏れを纏える。目には見えないが、確実に『鎧』は存在する。

心のバリアだ。誰にも侵されず。尚且つ威圧感や威厳や畏れを纏える。『鎧』だ。

サムライの心構えの奥義の一つだ。『鎧』を強化する事はつまり、精神を鍛える事だ。

皆も尊士の様にいつかきっと立派な鎧を纏える日が来る。



こうしてまた1人弟子を増やし、日増しに戦力を増す。石原神仙の会であった。進め我等の石原尊士。


続く


第14話『煩悩退散』


第2サティアンで小粋が中心となり、『尊士体操』を指導する。相変わらず俺は、別室でメロンだ。

そうそう知っていると思うが、石原神仙の会では、悪魔界の毒気に当てられない為に、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、PC等々。全て遮断している。

但し俺は尊士でパーフェクトな修行を積んでいるので、俺だけ例外だ。流石は俺だ!


信者達の様子をモニターするのも飽きた俺は、今日発売したばかりの、『ストリート尊士』で遊ぶ。

しかもネット対戦だ。すると、俺は見覚えのあるハンドルネームってか、『ソンシ』って俺と被ってる奴がゴロゴロいる。


※ストリート尊士の主役キャラソンシ。


こうして、俺は苛立ちを覚えた。流石は俺だ!


「ソンシは俺だけでいい!」


こうして俺は、ドンドン偽物のソンシ使いに対戦を挑んだ。勿論ソンシの扱いで俺の右に出る者はいない。流石は俺だ!


「イチ、ニ、超必ソンシ」


俺は最後の偽物ソンシを狩った。最後は超必フィニッシュだ。流石は俺だ!

こうして、対戦相手全員にハンネを変える様に命令する。流石は俺だ!

すると運営からのメールが届いた。俺は何か懸賞でも当たったか?と期待する。流石は俺だ!



他のユーザー様に迷惑行為をしたのでアナタ様のアカウントは凍結します。意義の申したては、担当者にご連絡下さい。

担当者名 刃月 信一郎メールアドレスxxx



俺は怒りに震えた。ここまでゲームを盛り上げて来た俺に対する仕打ちか?流石にキレたね!



第2サティアンに行き。尊士体操をしてる。信者達の前に立った。俺は声を大にして発表する。


「尊士体操中断!これより、新しい生贄の名前を発表する!」


※尊士体操とはラジオ体操の進化されたモノ。掛け声は、いち、に、尊士。等で尊士の時に敬礼する。尊士の偉大な発明。

尊士体操を中断した信者達は戦慄してる。流石は俺だ!


「ターゲットの名前は刃月信一郎」


ザワザワする中、信者の1人が前に出る。刃月だ。ん?と今更になって気付く俺。流石は俺だ!


「天井を捧げます、その人は私の父です」


成程道理で刃月はJKの割に『ストリート尊士』が強い訳だ。関心した。流石俺だ!


「ふむ、別室で尊士体操の指導をするから来なさい」

「イエス尊士」


こうして、尊士体操特別編のビデオも撮影して、担当者の刃月父に脅迫メールを送る。流石は俺だ!

こうして無事にアカウント復旧を果した俺。今度は『ソンシ』使い全員に対戦を申し込む。

全員にソンシの使用を止める様に警告。言う事聞かない悪い子は、警告後にオートリアクション。無理やりアカウント停止。流石は俺だ!

こうして1ヶ月後には『ソンシ』は名実共に俺のマイキャラになったとさ。めでたし。めでたし。流石は俺だ!

しかし、噂が広がり、更に1ヶ月後には全員から対戦を拒否られる俺。勿論俺は割り込み機能をリリースさせる。流石は俺だ!

でも、コイツ等弱過ぎて飽きてきたな。さて次は何して遊ぶかな?流石は俺だ!

次回作にソンシにソンシ体操という新技を追加させる約束も取り付けた。流石は俺だ!

こうして俺はネットゲーム内の煩悩を持つ者の煩悩を払ってあげた。優しさゴットサムライ。流石は俺だ!



サムライの心構え抜粋『煩悩退散』


煩悩とは欲の事だ。欲望に囚われるのは悪い事だ。

欲望を忘れなさい。新世界の神は人々の欲望を嫌う。

人間は神の如く万能ではない。

神は万能だから、全てを叶える事が出来るが、人はそうではない。

煩悩は程々にと言う程、中途半端は言わないのが新世界の神だ。

煩悩退散とは言うが、要は欲を叶えさえすれば、欲に囚われないで済む。石原神仙の会に入信すれば、煩悩は無くなる。



石原神仙の会は、ゲーム会社ともコネクションを築き。更なる世界平和(征服)へと歩み出した。進め我等の石原尊士。


続く


第15話『俺、雑、鬼畜』


俺は尊士部屋で相変わらずテレビを見てる。おやつに好物のメロンを食べる。

あー、こんな姿は信者達に見せられんな。流石は俺だ!俺の最近のお気に入りは、バイクに跨る変身ヒーローだ。


「ふむ、尊士の嗜みでバイクに乗るのもいぇすだね」


こうして、俺はバイクを買いに行く。流石は俺だ!しかしバイク屋は予想外の反応をした。


「ダメダメ、免許無い人には売れません、冷やかしなら帰った帰った」

「むう、サムライの心構えの免許皆伝だぞ!」

「意味解らん、警察呼びますね」


俺は疑問に思った。何故車に乗れてバイクに乗れん道理は納得できない。しかし今警察と事を構えるだけの戦力が無いのも事実。


※尊士は無免許運転してる。


「仕方無い出直す」

「もう来ないでいいよ」


いつもなら殴り倒してる所だが警察は不味い。俺は店の隅っこにあった原付をパクッて帰ってきた。流石は俺だ!



俺はそれから原付にハマった。何処へ行くのも原付だ。しかしある日事件が起きた。

俺がコンビニに寄って駐車スペースに戻った時だ。俺の原付が無いだと……流石の俺も焦った。

しかし犯人はすぐ見つかった。コンビニの裏で高校生が数人屯してる。中心に俺の原付がある。怒りが湧いた。ムカついてるのは俺だ!すぐさま喰ってかかる。


「俺の原付だぞ!返しなさい!」


すると不良のリーダー各と思われる男が俺に言い返す。


「オっさん、ザま、キえろ!」


むう、何かの影響で悪さしてる様だな。コイツ等には悪魔が付いてる。救ってやらねば。流石は俺だ!


「盗んだバイクだぞ!恥ずかしいとは思わんのか!」

「オ前の者は、ザん念だが、キフして貰う」


※尊士も原付盗んでる。


俺は普段は相手に合わせる事はしないが、仕方無い。同じ土俵に立ってやるか。流石は俺だ!

俺は言葉を選びコイツらに合わせてみた。


「乙、残念、貴様等の命日」

「オっさん、ザん念な、キチガイだな?俺等の数見えてる?正義漢気どりは怪我するぜ!?」


こうして俺は10人の悪ガキ達をボコボコにする。最近のガキ共は貧弱すぎる。流石は俺だ!


「正義漢気どりでは無い!俺は尊士だ!」


笑顔でボコボコにする俺。泣きじゃくるガキ共。流石は俺だ!


「ぐえ、すいません、勘弁して下さい」

「俺の原付を盗むからこうなる。しかし君達は運がいい」

「もう、勘弁して下さい、まだ生きたいよ、助けて」


俺は頭の中で添削して、良い言葉が思い浮かんだ。流石は俺だ!


「俺が、残酷な悪魔界から、貴様等を救ってやる!」

「何でもいいから、助けて下さい」


こうして、不良高校生10人は在宅信者となった。進め我等の石原尊士。


続く


第16話『メロン』


俺はいつもの様に尊士部屋でメロンを食べていた。側室に奉仕させながら食べるメロンは格別に美味い。流石は俺だ!

もう12時間くらい奉仕させてる。メロンのストックも残り少ない。すると側室がどうやら、お腹が空いたらしい。


「尊士様メロン食べたい」

「ダメだぞ、君はまだ修行が足りない、サムライの心構えを極めないとダメだ!」

「えー、お腹空いたよ」

「俺の聖剣では満足しないのか?それともカレーDX食べるか?」


※聖剣とは尊士の下腹部にある尊士の象徴。


「うえーん!お腹空いたよメロン、メロン」

「これは禁断の知恵の実だ!尊士以外食べる事を許されない!」


そう禁断の果実だ。俺以外が食べると、俺の食べる分が減る。俺は毎日メロンを食べる。世界一の消費量を誇る。流石は俺だ!


「腹ペコで死にそう」


うん、なんだ、腹の調子が悪い。どうした俺?


「ふむ、なんだその、カレーDX食べたい様だな?」

「メロンがいいな!」


うう、腹痛い。苦痛だ。


「よし、仕方無い、メロン入りだぞ!」

「やった!」


こうして俺は側室にメロン入りぴちゃぴちゃカレーDXを御馳走する。流石は俺だ。


「おえええええ!」


側室は満足そうにゲロ吐いてる。流石は俺だ!いや流石はメロンカレーだ。

側室は軽くパニックを起こしたので下がらせた。しかし、腹痛いの何でだ?俺は最近食べたモノを思い出す。


「えーとな、メロン、メロン、メロン、メロン!」


俺はメロンに貼ってある。生産者シールを見て、電話を掛ける。流石は俺だ!


「おい!貴様の所のメロンで腹痛を模様した!食中毒になったぞ!どうしてくれる!」


開口一番に吼える俺。厳しさゴットサムライ。流石は俺だ!


「もしもし、あーすいません、今すぐ謝りに行きますので住所をお願いします」


ふむ、中々モノ解りがいいようだ。溜飲を下げる。流石は俺だ!


「石原神仙の会の尊士部屋だ!急いで来い!早急にだ!」



だが、待てども、待てども、来ない。もう12時間は立つ。腹痛いのも段々治まったので、今度は幹部勢を呼び付ける。暇なので麻雀を打つ事にした。

もう夜中の0時だが、俺に逆らう者は居ない。眠たそうな、幹部勢。それもそのはず、幹部であろうと、睡眠時間は5時間しか与えない。

ん?俺か?俺は自由に起きて寝るから時間は決めてないな。

集まったのは、ハチ、小粋、それと新人幹部の九十九だ。


「さて、皆修行するぞ!」


こうして麻雀が始まる。サイコロを振りゲームがスタート。出親は俺だ。

すると、九十九がまさかの、脅威の早上がり。しかも闇上がりだ。


「ロン!ピンフ、サンショク、ドラ1、7700です!」


九十九は得意気に、ドヤ顔してる。しかしルールを知らない様だ。


「九十九それ、チョンボだ!満貫払いだ!」

「え?はい?」


俺は親切にルールを教える。流石は俺だ!


「俺にロンしてはイケナイ、天罰が下るぞ!」

「えー無茶苦茶ですよ、それ」

「俺がルールだ!まあ最初だから今回は目を瞑るから、次は気を付けろ!」


※この俺様ルールの事を、ダメロンと言う。


東1局1本場


「ロン!世界ピンフ!役満!48300!」


俺はムカついたので、闇上がりで、尚且つ、九十九狙いの山越をした。勝負アリだ。


「えー!?タダのピンフ手じゃないですか?何故??」

「俺がピンフのみで上がると世界平和というルールだ!役満だ!」


※俺が上がると何でも役満になる。


こうして、朝まで麻雀を楽しむ俺。勿論実力が違うので、俺がずっとトップだ。流石は俺だ!



朝になってメロン農家が来た。俺は土下座させて、メロン1年分を提供させた。流石は俺だ!


「ここに農場があれば貴様は出家信者になる予定だが、まあメロン1年分で勘弁してやる」

「すいません」

「来年も頼むぞ!下がってよい!」

「失礼します」


こうして、俺は禁断の果実をタダで手に入れるルートを手に入れた。流石は俺だ!



サムライの心構え抜粋『禁断の果実』


禁断の果実は神のモノだ。如何に人間は悪魔より魂の位が高かろうと、食べる事は神が許さない。

食べると、神以外は滅びてしまうからだ。

神はお怒りになる。「メロン食べるのダメ」だと。

メロンを食べて神の怒りを買う事を「ダメロン」と言う。

人間よ、メロンを食べるべからず。



こうして、無事に禁断の果実を独占した神であった。進め我等の石原尊士。


続く


第17話『ファイナルプライドサムライverβ』


合法的な人生とは、選択と決定の連続である。


今回はテコ入れ。尊士シリーズがゲームの世界観で登場。ファイナルプライドサムライverβ。


俺の名前は空砂、中学生だ。今日は待ちに待った。FPSのリリース日だ。昼の12時になった。サイトオープンの瞬間だった。


『ようこそ』


この世界は悪魔の悪意に満ちている……

悪魔払いをして世界を救え……

全ては世界平和の為に……

痛快剣劇アクション!ファイナルプライドサムライ!


プライドを賭けて刀を振るえ!

最終奥義ファイナルプライドを使いこなせ!

この日の元を救うのはサムライである君だけだ!

日の元最強のサムライになり『奇跡』を掴め!

剣術の『神』に天井を捧げよ!



ゲームのオープニングが流れて普段なら速攻でスキップする筈だが、この物語に引き込まれる俺。

早速ゲームのアカウントを作る。

色々な情報を入力する。住所、氏名、電話番号、年齢、職業、メアド、パスワード。入力すと本登録のメールが届く。


「おk、おk、これでゲームデータをインストールして、後はキャラ作成だな」


キャラ作成


アバター名 『空砂』

いつも使ってるハンネを入れる俺。

すると画面から女の子登場。可愛い子だ。年上だろうけど、あーこんな2次元美女でDT捨てたいなぁ。と思う俺。

いかん、いかん。画面の中の美女が微笑んで、キャラ作成の手順を教えてくれる。


「今から扉を選んでね!」


職業選択。

○サムライ

○悪魔

ん?と疑問に思ったが、サムライを選択する俺。


伝説のアイテム『奇跡』を求めるか?

○求める

○求めない

ふむ?隠し要素に関係あるかも?って思った俺は、求めるを選択。


するとお姉さんが、「次は妖精選択だよ」って言って、お姉さんが他に3人出てくる。

○炎華 ほのか

○雷華 らいか

○氷華 ひょうか

○風華 ふうか

うん。俺は、ここまでナビしてくれた『風華』を選択する。即答な俺。「ありがとう空砂くん!」お姉さんに言われると照れる。

「では最後に質問です!」

○『神』に天井を捧げますか?

○『神』の祝福に背きますか?


「ん?意味が良く解んないや、天井を捧げるの方が無難っぽいな。ポチっとな!」


俺は天井を捧げる方を選んだ。扉の選択が全部終わり。新世界の扉が開いた!


「アナタの夢が叶います様に。それでは立派なサムライを目指してゲームスタート!」


続く


第18話『サムライのマニュアル』


合法的な人生とは選択と決定の連続である。


テコ入れ2回目。FPSファイナルプライドサムライverβ。


ぱっと画面が明るくなった。画面が真っ白になり。いや、ずっと白くね?あれ?俺はPCが壊れたのかな?頭真っ白になる。


『壊れてる』


と画面に表示されて、真っ青になる俺。


『この世界は狂ってる』


え、演出か。


『君もこの世界に不満を持ってる』


確かにそうだな、俺は中学生なのにネットゲームばっかりしてて、友達も少ない。彼女もいない。


『君がもし世界を変えたいと、強く願うなら』


ああ、この糞ったれな日常を壊せるものならな……


『私が力を授けよう』


はいはい。ゲーム、ゲームっと。


『今、たかがゲームと思った君!このゲームには現実を変える力がある!』


え?確かに思ったけどさ、うーん都合のいい話あるかな?


『私をもし見付ける事が出来た時は、君は変身できる!』


うん、ゲームの中でね、はいはい。


『これはゲームでは無い!』


うーん解ったよ。半分位信じるからさ。俺もこの糞ったれの現実を変えれるものなら……変えてみたい!



こうして白から黒に変わった画面は、フルカラーに戻る。俺は早速、ステータスをチェックする。


空砂

体力50プライド30刀耐久値30鎧耐久値30


装備品。空砂刀。空砂鎧


「なんだこの糞ゲー!」

「今糞ゲーと思った、そこのモノ!」


ってか、さっきの声の主だろ?このおっさん?ゲームで胡散臭いアバターのキャラを見つける。いきなり説明が始まる。


『サムライのマニュアル』


モンスター悪魔を倒すと資金が手に入る。資金の単位、万歳。課金システムはコンビニで万歳と円を引き換え。

最強プレイヤーになった者は神への謁見が許される。神に謁見したら願いが一つ叶う。

夢がアナタにはありますか?無いなら神が与えましょう。何でも望みが叶います。


刀は斬れば斬る程レベルが上がる。課金でも強化出来る。入手した刀は天井に捧げないとレベルアップ出来ない。

天井は日の元の剣術道場にいる神に捧げる成果報告の事。天井は1日1回しか捧げられない。

天井は課金すれば1日何回でも捧げる事が可能。

天井を捧げると、プライド回復する。それ以外のプライド回復手段は、PKプレイヤーキルした時だけ。


またログインボーナスは天井に捧げないと貰えない。1日毎にログインボーナスで最大体力+1。10日毎にプライド+1


PKの特典は刀と鎧を奪う事が出来る、プライド全回復。PKされたプレイヤーは刀と鎧を再購入する必要がある※要課金。

また、奪った刀、鎧のスキルはスキルスロットに入れる事が出来る。


スキルスロットは初期では2つ、(内の1つは自分の固有スキル)で課金やイベント景品でスキルスロット拡張可能。

スキルをセットするには天井に捧げる必要あり。


悪魔を倒すと、ランダムでレアアイテムが手に入る。

悪魔狩りと言うイベントでは、狩った悪魔の数に応じて景品が出る。


『以上マニュアルだ』


「ちょっと良いか?神って何処にいるの?」

「私が神だ!」

「さっきたしか神を見つけたら、変身できるって言ってたよな?」

「むう、次はパラメータとアイテムの説明じゃ!」

「っておい!」


『パラメータ、アイテム説明』


パラメータ

体力 0になるとゲームオーバー

プライド ソードスキル(魔法)を引き出すのに使用。0になるとゲームオーバー。また刀と鎧の初期耐久値でもある。


刀耐久値 攻撃力であり、装備品刀の体力でもある。0になると相手に刀を奪われる。※ゲームオーバーとイコール

鎧耐久値 防御力であり、装備品鎧の体力でもある。0になると相手に鎧を奪われる。※ゲームオーバーとイコール


刀や鎧を奪って天井に捧げれば、耐久値アップ。

このゲームはプライドが全てである。体力はおまけ。


アイテム

ポアション 体力回復

LSD ステータス異常、毒、幻覚に陥る。小レア。

修行するぞ! 天井に捧げる回数が1回増える。

布教するぞ! 友達招待特典。全てのパラメータ+30。

盗賊の極意 天井に捧げる前の状態の刀や鎧を盗む事が出来る。中レア。

熱血+ 刀のレベルが1つあがる。激レア。

鉄壁+ 鎧のレベルが1つあがる。激レア。

魂+ プライドの最大値を上げる事が出来る。 激レア。

命+ 体力の最大値を上げる。小レア。


『奇跡』 謎のアイテム。全てのプレイヤーが目指す。究極のアイテム。願い事が叶うと噂されている。



『多分全部の説明終わり』


「ふむふむ、プライドと天井に捧げるってのが、このゲームの肝の様だな、成程な」

「その反応いぇすだね」

「でもPKのリスクとリターンが大きいな、中々シビアなバランスだな」

「最初は悪魔を狩って万歳を稼ぐのがお勧めだ!餞別として、ポアションを1つ持っていくが良い」

「PK怖そうだし、ここはそうするよ」


こうして俺は胡散臭い『神』の言う事に従う事にした。


続く


第19話『悪魔狩り』


合法的な人生とは選択と決定の連続である。


テコ入れしてみる。ファイナルプライドサムライverβ。


俺は街を出て森を彷徨う。しかし、悪魔に中々というか、全く遭遇しない。うーん。街に戻ってモブキャラに聞いてみよう。こうして俺は街に戻った。村人達に話しかける俺。


「悪魔って何処にいるの?」

「さあ?知らないな」


こんな調子である。うーん解らないな。ウィンドウを開きヘルプの欄を見る。すると解らない事は『神』もしくは『妖精』に聞こうと書いてある。

うーん、妖精に聞いてみよう。俺はウィンドウコマンドの妖精を選び、風華を呼びだす。


「はいはい、なーに?」

「あのさ、悪魔が見つかんないんだけど?」

「あー、目の前に沢山いるよ?」

「え?どゆこと?」


俺は次の台詞を聞いて驚愕した。


「白装束のアバター以外は基本的に全員悪魔だよ」

「へ?」


白装束は俺のアバターだ。ん?俺以外悪魔なのか??


「プレイヤーは全員白だから見わけ付く筈だよ?」


俺は今までのゲームの常識に囚われていた様だ。目から鱗だった。


「じゃあ、さっき話した村人も悪魔なんだな?」

「いぇす」


成程な、じゃあアイテム屋があるが、どうなんだろ?


「アイテム屋は流石に違うよな?」

「アイテム屋は上級悪魔多いから気を付けなよ」

「はい?はいいい?」

「今の君じゃ返り打ちが見えてるよ」


なんだこのゲームは、ふふふ、面白いじゃねーか。やってやるぜ!

こうして、俺は村人を皆殺しにして、沢山の『万歳』を手に入れた。

レアアイテムをドロップした悪魔もいた。『熱血+』だ。刀を強化した俺は、アイテム屋に殴り込む。


「いらっしゃいませ」

「死ねや!コラ!」


レベルアップした刀で斬り伏せる俺。上級ってか最初の街だから、中級だったのもあって楽勝だった。

すると妖精の風華が現れて、一言攻略アドバイスをくれる。


「アイテム屋に、アイテム売ってから、殺した方が得だよ、どうせ最後は勝てば全取りだからさ」


感心する俺。


「うわぁ損したー!でも、このゲーム考えたヤツって鬼畜だなー」


すると風華が笑う。


「それにハマってるアナタも十分鬼畜だよw」

「そうだな!鬼ってるな俺!」


こうしてサムライの道を極める事を心に決めた俺だった。


続く


第20話『プレイヤーキル』


合法的な人生とは選択と決定の連続である。


テコ入れ。ファイナルプライドサムライverβ。


俺はあれから何人かと対戦した。生き残ってるのは俺が強いからだ。


「待て、逃げるな雑魚!」

「くそ、プライドさえ余裕あれば、あんな雑魚なんかに」


そうゲーム中の限られた、悪魔を最初の頃に狩り尽した俺は、体力任せの力押しで無敵状態だ。

このゲームの肝であるプライドシステムの常識を覆した俺だ。今の環境では敵は居ない。

こうしてまた一人雑魚を狩って、剣術道場に戻り『神』に天井を捧げる俺。


「天井を捧げます。どうか刀の強化をお願いします」

「ふむ、中々やる様だな、宜しい、強化!」


こうして奪った刀を、俺の刀に吸収する。もう俺の空砂刀はレベル30になってた。神様、様様である。



剣術道場を後にした俺。最近は妖精の風華にレベルアップを褒めて貰うのが嬉しい。


「レベル30になった刀はファイナルプライドが使えるよ!」

「んー今の環境だと、ソードスキル(魔法)はリスクが大きいからなぁ」

「でも多人数相手に有効なファイナルプライドだよ?」

「多人数?」


俺は聞きなれない言葉に反応した。というか他ゲームで当たり前の事だが、このゲームは色々特殊すぎて、頭から抜けてた。


「そうだよー、あんまり強いからって天狗になってるとリンチにあうよ」

「おお。忠告有難う」


だけど俺は油断してたって思う。自分が最強のサムライだと信じて疑わなかった。



「まてコラ!空砂!」「ひゃはは」「うどんー」「らーめん」「ああクズだろ?」「雑魚退治ー!」

「くっそがー!」


そう、俺は程なくして、集団に襲われた。そう、このゲームにはチーム制や、ギルド、クラン等は実装されてない。

しかし、だ。こうやって徒党を組んで一人を襲撃するクズもいたモノだ。


刀のレベルは圧倒的に上、だが数が違う。「そうだ!ファイナルプライドがあるじゃん?」と思い出す俺。しかし、発動条件を聞くのを忘れていた。

俺は等々集団に捕まりリンチにあう。体力がごっそり削られた時だ。画面にあるアイコンが浮かんだ。


【ファイナルプライド使用可能!】


体力が残り少ない事を考えると、体力低下時にしか発動出来ないのが推測できる。って冷静になってる場合か?俺!

俺は直ぐさまエンターキーを押してファイナルプライドを発動させた。風属性のと言えば、何となく予想付いてたが……ここまでの威力とは。


ーファイナルプライド竜巻!ー


全員倒れた。流石はファイナルプライドだけある。そう全員だ。

俺は一つ計算ミスをしてた。俺は環境制覇する段階で体力を重んじていたから、プライドの最大値が低いままであった。

んで、結果は全員死亡だ。俺のアバターはファイナルプライドを発動させて、ガス欠で死んだ。



「くそ!惜しいってか刀鎧ロストした!」


画面の前で地団太を踏む俺。ってかあんなにハマったのに、もうこのゲーム出来ないのかな?

そう課金必須って書いてあった。

刀鎧がロストしたプレイヤーは、課金して刀と鎧を買わないと再プレイ出来ない。

このゲームの鬼畜使用だ。俺は神頼みをした。


「神様お願いします。天井に捧げるから、もう一度チャンスを」


しかし願っても届かない。


「何だよこのゲームは現実を変えてくれるんじゃ無いのかよ!」


するとメールが届く音が鳴る。何だろう?と思い。開けて見る。


運営からのおしらせ


今回特別に『万万歳』を配ります。詳しくは以下をご覧ください。

対象、中学生プレイヤー

場所 刃月コーポ

日時 明日正午丁度

参加賞 万万歳

特別賞 運命が変わる

お待ちしております


気味悪い文章だった。だが、俺には、運命を感じた。刃月コーポと言えば隣駅だ。

それに運命が変わるってのに凄く興味ある。決めた行こう。こうして俺は新たなステージへと足を踏み入れるのである。


続く


第21話『ファンプロデュース尊士』


合法的な人生とは、選択と決定の連続である。


ファイナルプライドサムライverβ。


新世界の扉が開く物語……


こうして俺は、刃月コーポの大ホールの入口前に居た。他にも50名位集まってる。皆近所の中学の奴等だ。

そうしてザワザワしてると。1人のお姉さんが何時の間にか中央に立っていた。皆びっくりしてる。

そう余りにも不自然な位ゲーム中の妖精『風華』に似ているからだ。

そして露出の高いエロい衣装だ。中学生男子には、刺激が強い。


「集まってくれてありがとう。皆に名札とペンを渡しますので、アバター名を書いて下さい」


会場はドヨメキ立つ。俺は疑問に思った。こう言う時は普通は本名を書くんじゃないのか?と。だけど指示に従う俺。


「皆名札を付けてね」「はーい」


こんな感じである。そして風華似のお姉さんは、後に続く様にと説明して、皆付いて行く。

すると扉があった。扉にはこう書いてあった。


第1の扉。職業選択。

○DT

○リア獣


「DTの子はお姉さんから素敵なプレゼントがありますよー!扉を選んでね!」


こうして、50名中50名が○DTの扉を選ぶ。

次の扉に進む。


第2の扉。奇跡を求めるか。

○お姉さんと良い事する。

○一生DTでいいや。


「皆ー!奇跡を信じるかー!お姉さんが景品だぞー!」


こうして50人中50人が、○お姉さんと良い事する。を選ぶ。

次の扉を期待する俺達の一体感ぱねえ。


第3の扉。妖精選択。

○ほのか

○らいか

○ひょうか

○ふうか


とゲームと全く一緒の扉と選択肢が出てくる。風華似のお姉さんが説明する。


「今日は君達に一生忘れられない、思い出をプレゼント!好きな部屋を選んでね!」

「おおおおお!」


会場は熱気が籠る。熱いぜ馬鹿野郎。神様最高の青春をありがとう!

風華似のお姉さんが、○ふうかに入った後。12、12、12、14と若干ふうか人気。

俺は○ふうかを選ぶ。

すると裸のお姉さんがいた

中学生の男子なんて猿みたいな思考ある。単純に皆hshsした。さようなら俺のDT。有難う神様この喜びを天井に捧げるぜ!



大広間と最後の扉。

こうして、ふうかに続く俺達。大広間に着いた。今度は何かな?

すると。ほのか。らいか。ひょうか。らしきお姉さん達が出て来た。皆裸のままである。俺達は服を着る事を許されて服を着てる。


「皆にとっておきのプレゼントがあるよー!」


ふうかお姉さんが、拍手してる。「おおおお!」と唸る猿共な俺達。


「では幕オープン!」


ふうかお姉さんが言うなり、ほのか、らいかが正面の幕を下ろして扉が出て来た。


第4の扉。生死の扉。


○悪魔界。人生終わり。※警察署のポスターが貼ってある。

○新世界。人生始まる。※石原神仙の会ってポスターが貼ってある。



多分皆同じリアクションだったと思う。

ひょうかが泣きだして、それをふうかが慰める。


「うえええん悪戯されたよー!お嫁に行けないよー!」

「大丈夫だよ氷華!皆悪い子じゃないよ!きっと尊士様の所に入信してくれるよー!」


こうして50人中50人は○新世界。人生始まる。を選んだのであった。


【新世界】


テレビのモニターに見た事ある様な。ヒゲのオッサンが映ってる。


「俺はもう既に君達にあるプレゼントを与えた!」


DT卒業は罠だったのね……


「君達に名札と言うプレゼントを与えたのだ!」


ああ、最初に書いてって言われた奴ね。


「君達の夢は、俺が与える、サムライとして修行ゲームをすれば良い!」


このカルト出鱈目やりやがる……


「最強のサムライになった者は奉行の座と、この中の一人と結婚出来るぞ!」


流石は尊士様!俺最強のサムライ目指す!皆も大体こんな感じの反応だったと思う。


「では最後に皆のやる気を聞かせて貰おう!」


俺達は大声で叫んだ!


「天井に捧げます!」



裏設定。ファンプロデュース尊士。略称FPS


ゲームマスターの尊士の意のままに操れる廃人育成。課金による資金調達。

PCゲームだが、現実に尊士の都合の悪いモノを排除する武装集団になる。



こうして未来ある若者にサムライの道を示した尊士であった。進め我等の石原尊士。


続く


第22話『尊士の呪い』


これは尊士の苦い記憶の物語……


俺は夢を見てる。深い深い眠りだ。

俺は普段は夢など見ない。だが、極まれに、ある夢を見る。そうニャンの夢だ。



夢の中でニャンは明るい。そう、名前を奪われる前の元気なニャンだ。


「ソンシ私ね、なんか今度、お母さんのやってる宗教で、何か行事あるから、遊べないかも?」

「へえ、そうか行事って何の?」

「お祝い事らしいよ?なんか貰えるってさ」



夢の中で遊ぶ俺とニャン。ニャンはいつも楽しそうだ。


「ソンシ!幸せのマジック!」

「ニャンはアニメ好きだなー」

「そうだよ!ハッピー!」



夢の中で自慢するニャン。ニャンは誇らしげだ。


「ソンシー見て見て、私ハッピーになったんだ!」

「コスプレだな、似合ってるよ」



夢の中で泣いてるニャン。


「私、もうハッピーじゃない……」

「……」


目覚めた俺。涙など、とうに忘れたものだと思ってた。怒りに震える俺。


「復讐こそ美学だ!うおおおお!」


続く


第23話『試験前夜』


今日は第2サティアンで、勉強会を開く、昨日みた夢の影響で、アイデアが浮かんだ。流石は俺だ!


「サムライの皆!今日の勉強会は特別なものだ!心して聞け!」

「イエス尊士!」

「サムライの皆に、出世のチャンスを与える!」

「イエス尊士!」

「今回の勉強は悪魔についてだ!」

「イエス尊士!」

「俺は悪魔達を許さない!」

「イエス尊士!」

「全ては世界平和の為!」

「イエス尊士!」


こうして俺は自ら全員に手渡しで、プリントを配る。普段と違い。全員に声を掛ける。「頑張れよ!」と。流石は今回の俺だ!



悪魔の存在


プシュケー 物語を紡ぐ蝶、国会議員全般 教祖クラス 上級悪魔

サルガッソ― 悪意を持って人間を別の教団に誘う悪魔 対抗勢力信者 中級悪魔

ヴァンパイア 血を啜り仲間を増やす SEX教団信者の総称 中級悪魔

ドラゴン ヤクザ系の悪魔。

ユニコーン イケメン、ヤリチンの処女喰らい、男性アイドル等。

カトブレバス 邪眼を持ってる悪魔 マスコミ。

コカトリス 鶏とトカゲの異形、火の子を振りかける悪魔 警察。

グレムリン 元は飛行機を墜落させる悪魔 教団のイメージを悪くする者全般 下級と中級と上級に分かれる。

ケルピー 人間を溺死に追いやる悪魔 精神科医等。

オアンネス 半漁人 教団に潜るスパイ悪魔 下級悪魔

グール 教団の事を知らないのに批判する下級悪魔

バーサーカー 教団に対して抗議デモする学生悪魔学校の教師、一般の下級悪魔

ケルベロス 教団メンバーを裁判で裁く者全般 裁判官 検事

ガーゴイル 石象の悪魔、元は飾りである 自衛隊

サタン 最悪の魔王 尊士以外がトップに君臨する邪悪な世界の概念、また悪魔全員の王である 最上級悪魔



エクソシストは最終的にサタンを倒すのが目的。世界にレッドカード出す。

記入されてるのは、悪魔の種類と、エクソシストの項目だ。


「分類すると、これくらいだ!新種も出てくるかもしれん!」

「イエス尊士!」


俺は演説する。力説する。この世界に復讐する為に。流石は今日の俺だ!


「良いか!サムライ達よ!これからは結束を高める為に、最高幹部と幹部勢を選抜するテストを明日取り行う!全員に平等に機会が与えられる!全ては、日の元の平定と世界平和の為に!」

「イエス尊士!」

「俺は強いサムライを求めてる!この世から悪魔を一掃するぞ!」


こうして第2サティアンは熱気と観気と歓声に包まれる。流石は俺だ!



さあ、全員にチャンスが与えられるぞ!画面の前のサムライにも当然チャンスはある!


続く


第24話『奉行選抜試験』


今回のテストは教団の出世に関わるテストである。サムライ達は気合が入ってる。


「時間だ!テストオープン!」


サムライ達は、更なる高みに登る為に全身全霊で試験問題を解き始める。



奉行選抜試験


問1。我々は父である○○の為に悪魔を一掃する事を誓います。

問2。我々は警察と呼ばれてる悪魔○○○○○を退治する事を誓います。

問3。我々はヤクザ系の悪魔○○○○を退治する事を誓います。

問4。我々は、我々の神以外を許しません。神を語り物語を紡ぐ蝶○○○○○を殲滅します。

問5。我々は、活動を阻害する学生デモ悪魔○○○○○○を嘲笑います。

問6。我々は、SEX教団全般を悪魔○○○○○○と呼び、これを強く憎みます。

問7。我々はサムライの最高幹部○○に出世したいです。

問8。我々はファイナルプライドサムライ通称○○○を開発した父を尊敬します。

問9。我々は悪魔狩りの専門家○○○○○○です。世界にレッドカードを出して世界平和を実現します。

問10。我々はサタンを倒しこの世界と、問題の問を○○に捧げます。



制限時間15分が過ぎようとしていた。外がなにやら騒がしい。学生のデモだ。


「石原神仙の会は悪魔です!皆さん騙されないで下さい!」


と1人の女子高生が先頭に立って演説デモをしてる。ふむ、奉行が決まれば、最初の生贄は決まったな。流石は俺だ!


「悪魔ねえ?ふむ?真実は自分の目で確かメロン」


俺はメロンを食べながら、次の生贄を眺めるのであった。



A1尊士A2コカトリスA3ドラゴンA4プシュケーA5バーサーカーA6ヴァンパイアA7奉行A8FPS A9エクソシストA10天井


皆は解けたかな?全問正解者の中から抽選で奉行を選別するぞ!


続く


第25話『人生遊戯』


ファイナルプライドサムライ外伝。


俺は刃月父から報告を受けて驚愕した。ファイナルプライドサムライで灰課金してるプレイヤーが4人おり、その額が合計すると、1000万円に及ぶとも事。

全員登録情報では中学生だ。流石の俺も驚いた。


「調査チームを作れ、大至急だ!」

「イエス尊士!」


こうして4人のプレイヤーを突きとめさせる。金策はどうしてるのか、の調査表を提出させる。


プレイヤー名と課金手段の調査表

さる、チート

カッパ チート

ブタ チート

ユニコーン 普通に灰課金。なお金策はカツアゲ等。在宅信者。


提出された書類に目を通した俺。ふむ、ユニコーンはまあ許そう。だが他の3人はお仕置きが必要の様だ。


ゲームのランキングをチェックする俺。するとある事実に気が付いた。流石は俺だ!


ランキング1位さる

ランキング2位カッパ

ランキング3位ブタ

ランキング4位ユニコーン


だった。直ぐに罠の準備をさせる。刃月父に上位3人宛てに招待状を出させる。流石は俺だ!



招待状


トップランカ―の皆様へ

ランキング10以内の方だけのチャンス!

刃月コーポで新作のテストプレイヤーに選ばれました!

なおビンゴ大会も予定されており、豪華景品が出ます!

次の日曜日正午開催。御都合お合わせの程是非刃月コーポへ御足労下さい。

皆様のご参加お待ちしております。



内容は完璧だ。後は罠に嵌るのを待つだけだ。流石は俺だ。



新作テスト当日。予定どうり3人がやって来た。今回は俺が主役で新作のテストをする。流石は俺だ!


「本日は良く来てくれた!これよりファイナルプライドサムライの新作テストを行う!」

「ってか俺達3人だけ?」

「他の人は都合が付かなかった様だ!」

「おお!了解!」


それもそのはず、この3人にしか招待状は出して無い。流石は俺だ!


「その前にビンゴ大会だ!」

「おお!待ってました!」


こうして俺は3人にビンゴカードを渡す。そしてビンゴの順位が決まる。


「1等さる!2等カッパ!3等ブタ!」

「やった!」「まあ2等なら上々だな」「ぶひ!」


それぞれが感想を口にする。景品を授与する俺。布をオープンする。ワザとらしくオーバーアクションなのは、流石は俺だ!


「すげー!」「本物だな!」「ぶひぶひ!」


出て来たのは、全部同じ意匠の日本刀だ。そう順位など関係無いのだ。


「これから皆に新作のテストプレイヤーになって貰います!」

「えーとPCは?」

「次の扉を開けてましょう!」


そして3人に、扉を開けさせて、閉じ込める。流石は俺だ。


「ちょっとなんだココ?」「閉じ込められたな……」「ぶひー!」



俺は別室のモニター室で、画面越しに指示を出す。流石は俺だ。


「ランキング上位の皆さん!今から新作のテストを始めます!」

「PCは?」「この部屋PCどころかゲーム機も無いぞ!」「ぶひぶひー!」


俺は大声でゲームのルールを指示する。流石は俺だ!


「皆さんには、殺し合いをしてもらいます!制限時間は1時間!なお1時間以内に決着が着かない場合は全員処刑です!最後の誇りを賭けて最強のサムライになってね、アハ!」


こうしてゲームがスタートした。最初は出口を探す3人だが、全てに鍵がかかってる。段々と苛立ちがつのった様だ。とうとう殺し合いが始まる。ブタが斬りつけられる。


「ぶひ!ぶひ!」「くたばれ!」「可哀想だが仕方無い!」


俺の計算どうりだった。流石はゲーム脳のガキ共だ。

俺は画面のモニターを付けて、合図を出す。流石は俺だ!


「試合終了!そこまで!」

「え?」「まだコイツ生きてるぞ?」「助かったぶひー!」

「君達が殺し合いを勝手に始めて、1人の命を奪おうとした、それは解るかね?殺人未遂だな!」

「お前が指示したからだろう!?」「そうだ!そうだ!」「ぶひぶひ!?」

「君達の手に握られてる日本刀が何よりの証拠だ!」

「何言ってやがる!」「お前がビンゴの景品って……」「ぶひ?」


俺は笑いながら大声をあげる。流石は俺だ!


「ビンゴの景品はただ目の保養の為だよ?君達が勘違いして、刀を持ちだしたんだ!窃盗罪だな!」

「ふざけるな!」「そうだ!そうだ!」「ぶひぶひ!!」

「ああそれと、刃月コーポとしか書いて無かったから、誰も中に入れとは言ってないから、不法侵入だな!」

「警察に訴えるぞ!」


俺は笑うのを止めて真面目な声のトーンで返す。流石は俺だ!


「無断でチートした損害賠償をすれば君達の人生は詰むけど大丈夫かね?被害額を君達の親御さんが払えるかな?」

「……」

「ついでに君達の殺し合いは動画に納めてある、意味が解るかね?」

「……」

「君達が助かる方法は1つ!石原神仙の会に入信して、神である俺に天井を捧げる事だ!」

「……」

「黙っていては解らん!最後のプライドを捨ててサムライの修行をするんだ!よいか!」


3人は泣きだして、泣きやませるのが大変だったのを覚えてる。こうして3人は俺の優秀な兵隊になった。



サムライの心構え抜粋『人生遊戯』


人生は遊びでは無い、良く幼少期にゲーム等で遊んだ子供達は人生を無駄に浪費してるとさえ言える。

そうゲームは飽きたら次のゲームを呼ぶ。

次第に段々と思考がゲームに囚われる。

最終段階に来た子供は、現実と虚構の境目が薄れる。

ゲームをしても良いと温い事を言うモノもいるが、敢えて言おう煩悩退散と!

サムライの時代にはゲーム等無かった。

これが私の日の元への嘆きである。

目覚めよサムライ!日の元を取り戻せ!



こうして、無事にチートをする者達を悪の心から目覚めさせた尊士であった。進め我等の石原尊士。


続く


第26話『聖水ポアション果汁50』


布教するぞ!布教するぞ!ってか商品化の話マダー?


本日は一般人に向けて、石原神仙の会の広報活動をする。講演会『尊士一座』だ。流石は俺だ!


【演目】


幕開けの挨拶。

ポアションの奇跡。

信者の感動発表。出演者。ユニコ。空砂。

PCゲームファイナルプライドサムライ紹介。

演武空中浮遊

日の元再生計画ニート救出。

質疑応答は受付ません。

閉幕の挨拶。



「東西!東西!この度は尊士一座にお越し頂き且つ、満員札止め、御礼申し上げ奉りまする!本日は鷹座より御免を被りまして一言口上御挨拶申し上げ奉りまする、どちら様もごゆるりと御高覧の程、隅から隅まで、ずずずーいと御願い奉りまする」


幕開けの挨拶は完璧だ!カンペ無しで読めるとは、流石は俺だ!


「では皆様に特別なプレゼントを用意しました」


俺の弟子達が会場の全員に新発売された、清涼飲料水『聖水ポアション果汁50』を配る。ポアションは簡単に言えばオレンジジュースだ。

全員がポアションを受け取る。そして次の演目に移る。流石は俺だ!


【ポアションの奇跡】


「皆さん、お手元にポアションはお持ちですか?」

「はーい!」

「では遠慮なさらずに、1口だけお飲み下さい」

「はーい!」

「美味しいですかー?」

「美味しいでーす!」


そう、ここからが本番だ。俺は会場の全員に魔法の言葉を送る。流石は俺だ!


「今から俺が、甘くなると言えば、ポアションが甘くなります。1口飲みなさい」


会場の全員が1口飲む。


「甘いと感じた方は挙手!」

「はーい!」


会場の8割程が挙手して、その後に残り2割が手を恐る恐る上げる。流石は俺だ!


「次はもっと解り易いです!ポアションが酸っぱくなります!」


会場の全員が1口飲む。「おお!?」と何人かが唸る。流石は俺だ!


「酸っぱくなった方は挙手!」


会場の95パーセント位が速攻で手を上げて、残り5パーセントが、ゆっくり手を上げる。流石は俺だ!

俺は満足してる。残りの5パーセントが実は1番のターゲットである。


「皆さんは俺の言霊を受け取る事が出来る素晴らしい才能の持ち主です!」

「おおおお!」


やはり、残り5パーセントは反応が鈍い。顔を覚える俺。弟子達に目配せすると、もう何回目か繰り返してるので、弟子達も把握している様だ。流石は俺だ!


【信者の感動発表】


信者で若いのに、俺に対する忠誠心の高い2人を壇上に呼ぶ。ユニコと空砂だ。先ずはユニコの感動発表だ。


「俺は、尊士様に出会う前は、近所や学校でも評判の悪い子でした。しかし、ある時尊士様に出会って人生に希望を持ちました。悪さばかりしてた俺を道端で拾ってくれたのが、尊士様です。ユニコーンと言うあだ名で苦しんでいた俺に、ユニコと言う新しい名前とポアションをお恵みしてくれました。ポアションを1口飲むと、やっと悪夢から目が醒めました。運命の出会いに感謝の意を表し、この喜びを天井に捧げます!」


8888


会場は歓喜の声を上げる。5パーセントも何人かは反応してる。上々だ。流石は俺だ!次に空砂の番だ。


「俺は、引き籠って家でゲームばかりしてました。ある時、ファイナルプライドサムライと言うPCゲームに出合いました。そのゲーム中で最初は知らなかったのですが、尊士様の化身からポアションを貰い人生が機転を迎えました。ゲームのイベントに参加した時に俺は尊士様に出合い、新世界の扉を開けました、扉を開けたら引き籠りと言う悪夢から現実に戻りました。運命を開いて下さった尊士様に天井を捧げます!」


8888


会場は熱気に包まれる。5パーセントも殆ど全員が拍手をしてる。狙いは定まった。流石は俺だ!次の演目に移る。


【PCゲームファイナルプライドサムライ紹介】


「先ほど2人の言葉からポアションと言う単語が出ました、皆さんは御存じ無いかも知れませんが、ポアションはPCゲームから商品化した物です。ファイナルプライドサムライを制作に至った理由は引き籠りを救うタメです。実際に空砂の様に引き籠りと言う悪夢から脱出した者は、100人を超えます。このゲームは俺が魂を込めて作った渾身の傑作です!」


俺は会場全体を見回し、全員の、特に5パーセントの反応をチェックする。必死にメモを取ってる。どうやら餌に食いついた様だ。流石は俺だ!


「このゲームには俺の教えである、サムライの心構えの一部を盛り込んでいて、現実に帰れる様な様々な仕掛けがある!基本無料のPCゲームなので、引き籠りのお子様を持つ人は、是非家にこの話を持ち帰ってくれ!」


8888


会場は感動の嵐だ。5パーセントの中には、感涙してる者が居る。狙いは絞り込んだ。流石は俺だ!

次は、俺が最も得意とする演武だ。


【空中浮遊】


俺はモニターに俺の姿が映る様に信者にカメラワークを指導して、会場の者には、モニターを眺める様に促す。流石は俺だ!


「今より奥義!空中浮遊をお披露目する!」

「おおおおお!!」


会場が興奮する。皆がモニターに釘付けになる。流石は俺だ!


信者の一人が、アナログの体重計を持ってくる。そして上に乗る俺。すると奇跡が起きる。

針が一回転して、0キロを指す。流石は俺だ!空中に浮いている!


※尊士の体重100キロ


「俺は今……浮いている!」

「おおお!」


会場から歓声が漏れる。そして決め台詞。


「皆はもう……信じてる!」


8888


会場から笑いと拍手が巻き起こる。そう空中に浮く事が目的では無い。

人々の心を掴めれば完璧なのだ。これぞ奥義人心掌握。流石は俺だ!

こうして心を掴んだ俺に対する、猜疑心や警戒心は解除された。

サムライの心構えで言う「鎧」を突破したのだ。これを「甲冑砕き」とも言う。


【日の元再生計画】


「この日の元にはニートと言う怪物が巣くってる。彼らの魂を救うのは俺しか居ない!詳しい話が聞きたい者は居残りする事!」


俺しか居ない!この台詞は強烈だ。他の方法を全部否定して、且つ。俺の元に来なければ、引き籠りが治らんと聞いてる者に想像させる事が出来る。流石は俺だ!


「質疑応答は受付ません!これにて一見落着!」



こうして、無事に閉幕した。俺は弟子達に5パーセントに接触を図る様に指示する。

アンケートを取ったり感想を求めたりだ。1人黄色い服の人に尋ねる信者。


「お名前は?ポアション如何でしたか?」

「俺?現永きつね。この廃棄物、廃棄物にしてはうまいなぁwこれ?飲み物?固形物だと思った」

「すいません、聞く人間違えました」


こうして無事に講演会『尊士一座』が終了。何人か、牙にかかった手応えがあった。進め我等の石原尊士。


続く


第27話『ニート万歳』


俺は講演会の後に話を是非聞きたいと言って来た。邪魔 斧時と言う引き籠りの親と話込んでいた。


「尊士様どうしたら馬鹿息子は更生するんでしょうか?」

「まず、ファイナルプライドサムライに引き込みなさい!道が開けるぞ!」


俺は相談を聞きながら、相手を値踏みする。高級時計。高そうなスーツに皮靴。金持ちなのは解る。流石は俺だ!


「はい!帰ったら勧めてみます!ゲームばかりしてるので、もしかしたら……」

「それと親父さんの仕事は何ですか?」

「放送作家です」


ほう、これは使えるぞ。一瞬にして、4つ位悪用の道を考える。流石は俺だ!


※尊士はあまり考えるタイプでは無いから4つ位が精一杯である。


「では今日教えた事を実践しろ!困った事があれば相談は受け付ける!」

「はい!頑張ります!ありがとうございました!」



邪魔父は家に帰り。息子のヒッキーにゲームを勧める。しかし取りつく島も無い。


「何だ親父のヤツ、ゲームなんか勧めてきて、俺様のご機嫌取りのつもりか!」


俺はケージに飼ってるウサギを見る。ウサギは今日も走ってる。


「よおよおよお。頑張ってるねウサギ!」


ウサギはベルトコンベアの設置してある檻に飼われていて、走って電気を充電したら餌が降りてくる仕組みのケージに入れられてる。

俺様の機嫌によって設定の充電量と餌の量が変わる。んで機嫌が悪い時は餌が出てこない仕様だ。


「今日は機嫌悪いからなぁ!餌半分カットだ!」


ウサギは一生懸命走って、ご褒美の餌の少なさに、悲しい目をしてた。



邪魔父は、また尊士の所に相談に行く。するとあるパンフレットを渡される。


ニート撲滅計画。

月収100万。作業内容、農場、工場、調理、配膳。場所、石原神仙の会、第2、第3サティアン。募集ニート。


と書かれてあるパンフレットを尊士が無言で渡す。


「あの?これは一体?」


無言で出口を指す尊士。仕方無く家路に着く邪魔父。



家に帰り意味が良く解らないパンフレットをテーブルに放置する。すると馬鹿息子がジュースを飲みに降りてきた。すると、あろう事か、パンフレットに興味を示し、持っていった。



「何だコレ?面白そー!しかも100万って!俺様の天職きたー!」


機嫌が良くなった俺様は、ウサギの餌を本日2倍にする。


「良し良し、沢山喰えよ!」


ウサギは出てきた餌の量を見て、嬉しそうな目をしてる。



第2サティアン内工場で、聖水ポアションに、果汁50と書いてあるシールを貼る作業をする。

シールを全部貼り終わり。休憩する俺。


「何サボり決めてやがる!おい!俺が見えねえのか?強いキャラ来たぞ!」


工場長の天樂さんだ。怖いので速攻謝る俺。


「すいません!仕事教えて下さい!」

「おお、そっかじゃあまたな!」


別に指導するわけでも無くそのまま去って行った。なんだったんだ?

こうして俺は、またベルトコンベアの流れ作業に戻る。



俺は家に帰り、ウサギのケージの餌の落ちるスイッチの充電設定を緩める。


「よよよ、いつも頑張ってるからなサービスだ!」


ウサギはいつもより走るのが短くて、安堵してる目。



1ヶ月が立った。今日は待ちに待った給料日だ。すると尊士様が俺達に分厚い封筒を渡す。


「家に着いてから開けなさい」

「イエス尊士!」



しかし俺は待ちきれ無くって、封筒を開けてしまう。すると、中から出て来たのは……

PCゲーム、ファイナルプライドサムライの課金通貨。100万歳だった。


※100万歳=100円


俺は尊士部屋に行き抗議する。すると尊士の答えはこうだ。


「誰も円とは言っておらんよ?」

「そんな、出鱈目だー!」


強面の幹部勢に囲まれて渋々退散する俺。



家に着き親父に泣き付く俺。しかし取りつく島もない。


「100円でも稼げて良かったじゃないか?都合のいい時だけの父親か?私は?」



俺は部屋に籠り、ウサギの餌の設定を0にする。今日は疲れたから寝よう。


ウサギはいつまでも餌が落ちてこないので、諦めてしまった、哀愁漂う目。



邪魔父は尊士に相談しに行った。すると尊士からある提案が出された。


「息子さんを出家信者にしませんか?このままでは精神科入りは、免れないですよ?」

「薄々は思っていました。どうすればいいのですか?」

「社会的な体裁もあるでしょう?入信させるべきです!」

「お願いします」

「では入会金100万円を後日お支払い下さい」

「え?」

「一生精神科の入院費を払うより安いよ!」

「はい!解りました!それと私が力になれる事があれば、何でも言って下さい!」

「こちらで息子さんを更生させますから、どうぞご安心ください」



大分引き籠った俺は、ウサギを普通のケージに戻した。もうベルトコンベアで無理矢理走らせる事はしないと、心に決めた。

ウサギに餌を与える時間だけが、幸せだった。


ウサギは不思議そうな目。


「そう言えば、お前の事ずっと、ウサギって呼んでたな、ごめんな」


ウサギは嬉しそうな目。


「良しお前は今日から……」


ウサギは期待してる様な目。


ウサギに名付けようと、頭を捻る。良い名前が浮かんでウサギに近づき声をかけようとした。しかし、その時いきなりドアが開き、俺の部屋に白装束の集団がやって来た。俺はあっと言う間にロープで縛られて、第2サティアンに連行される。



尊士が居た。俺に新しい名前をプレゼントするとか言ってる。


「ざけんじゃねー!俺はヒッキーだ!」

「良しお前は今日から……新兎だ!」



邪魔父は息子の部屋を整理していた。ああ、このウサギもういいか。

保健所に持っていく勇気は無かった。生き物を処分するのは性に合わない。

仕方なく車を走らせて荒野に辿り着きウサギをケージから出した。


荒野に放たれたウサギの目には迷いが無かった。

青空の下で一点の曇り無く澄み切った目で、ウサギは荒野を駆けた。


しかし、彷徨えど他のウサギはいなかった。


続く


第28話『∞』


これは三蔵尊士プロデュースの番外篇。


私はアイドルユニット「天竺ムゲン」のユニコ君が大好きだ。もう愛の深さ無限大だ。私が世界一愛してる人だ。

CDだって新譜が出る度に100枚は買ってる。親に迷惑だとは少しも思ってないし、親も私に甘い。激甘だ。


今日CDの応募者プレゼントの抽選アイテム。「天竺ムゲンヒストリー」が届く。

CDの応募権5枚1口で20口応募した私の愛の深さぱねえ。ロット20のレアアイテムだ。


「むう、世界に20個はレアだけど、私以外にユニコ君は渡さない!世界一愛してる私のモノだ!」


親は心配そうに陰から見守る。しかし、ここまで甘やかしてきたので、強くも言えない。


「さて、早速DVD再生っと」



DVDを観終わった私。感動して涙ちょちょ切れる。


「うーわーーん、ユニコ君にそんな過去があったなんて!三蔵尊士P優しい!」


すると終わった筈のDVDから映像特典が流れる。ん?Bパートあったんだ。


Bパート。


公式イベント!デート権を手に入れろ!書類審査があるので、締め切りまでに必要事項明記の上応募する事!


好きなメンバーの名前

連絡先電話番号、住所、メールアドレス

ファンネーム及び会員番号

愛の深さ具体的に100文字以内

応募先 同封のハガキ参照



「やったー神様いや、三蔵尊士様ありがとー!」


親は奇声を上げる娘を流石に心配して声を掛ける。


「風ちゃん?大丈夫?具合でも悪いの?」

「ううん!ママあのね!コレ応募するから応援してね!」


親は書類と言うかハガキを確認する。小さな文字の録画放送の項目に目が止まった。


「だめ!これはダメ絶対ダメ!」


これ以上ご近所様に恥を晒す訳にはいかない。顔色に気付かない馬鹿な娘。


「だって尊士Pのイベントだよ?」


いつもこの殺し文句だ。


「ダメ!」

「イベント参加出来ないと私のユニコ君が獲られるんだよ?私が一生独身でもいいの?」

「それはダメ!」

「じゃあ決まりね!ありがとうママ!」


親の心子知らずとは、まさにこの事だろう。

親は……中略。



私は必要事項を書いてる途中だ。


ファンネーム ∞タテ風∞

会員番号1番

愛の深さ具体的に100文字以内


私はユニコ君の為なら死んでもいいです!どんな苦境にも耐えて愛を掴みます!例えばユニコ君のだったら全てを受け入れるし、ユニコ君が望むなら、どんな拷問にも耐え抜いて愛を勝ち取ります!ユニコ君は私の世界そのものです!愛の深さ無限大です!このハガキ審査に通らないと私は死んでしまいます!ユニコ君が他の人に獲られるくらいなら死を選びます!ライバルを殺しても奪い獲ります!



私は心情をストレートに綴った。これで通らないと、本当に死ぬかもしれない。気迫を込めた渾身の出来だ。



俺は第1サティアンで俺プロデュースのアイドルユニット天竺ムゲンの書類審査をしている。と言っても20人全員通過するのだが、まあ暇なので、メロンを食べながら、ハガキを見る。流石は俺だ!


「ブッーっ!」


すると1枚のハガキでメロンソーダを噴き出してしまった。流石の俺もドン引きだ。


「何このガチキチ?良いキャラしてるな!良しシード権で決進出確定!」


他のハガキはどれも詰まらなかった。流石の俺も退屈だ。



私の所に合格通知が届いた。しかも特別枠で決勝シードだ!喜びの余りに友達全員に電話で報告する私。


「あ!ママ!じゃじゃーん!合格通知しかも決勝シードだよ!」

「へえ……」

「婿の顔見せるから期待して待っててね!」

「うん……(もう引越しも視野に入れないと)」



俺はイベント用の遊びを考える。最初のクイズは適当に作り、後は決勝のゲームどうするか?


「んー残った2人に、愛の深さ為す感じがいいな」


俺は何か無いかな?と思い諺辞典を開く。これだ!流石は俺だ!


猿も木から落ちる。

河童の川流れ。

豚に真珠。

馬の耳に念仏。


だ。それぞれ、サルファン向け、カッパファン向け、ブタファン向け、ユニコファン向けだ。流石は俺だ!

ん?ユニコが何で馬なのか?って?DVD特典観た子は知ってるが、説明すると、ユニコは元はユニコーンだった。

ユニコーンってのは馬みたいな悪魔だから、俺がユニコって命名した。流石は俺だ!

俺の信者の中でも馬の様に従順な信者だ。流石は俺のお気に入りだ。


「良しこれで決まりっと」



イベント当日。最初のゲーム……中略。


んで、残ったのは7人とシード1人。正直シード以外全然期待してない。流石は俺だ!


「では残った4人のファンの2人ずつのライバル達よ!最終ゲームを始める!」

「おお!!」

「猿DX。河童DX。豚DX。馬DXの各扉に集合!」


※猿も木から落ちるDX=高い所から突き落とされる。

※河童の革流れDX=海に沈める。

※豚に真珠DX=宝石箱に閉じ込めて飢え死にさせる。

※馬の耳に念仏DX=馬に日本語覚えさせないと馬と交尾。


こうして、愛か命の天秤のゲームが始まる。サル、カッパ、ブタファンは全員脱落。それは命大事だろ?しかし、ユニコファンが一人チャレンジ!流石はシード選手!かなりのお馬鹿さんだ!流石の俺もドン引き!


「きっと尊士Pの事だから……大丈夫なはず!」


ん?何の話?流石の俺も、チンプンカンプン?


「制限時間1時間!始め!」


※暫くお待ち下さい。


「あいうえお!かきくけこ!もう!馬さん!早く日本語覚えろ!」


俺はモニター室で爆笑!!流石はシード選手!桁が違う!


「んーどうだ!?そろそろ時間が迫って来たぞ!」

「わおん!もう!早く覚えろ!ってかテープまだ??時間ないよ!」


テープ?なんのこっちゃ?流石はシード選手!頭狂ってる!


「タイムオーバー!」


※暫くお待ち下さい。白装束集団が∞タテ風∞を取り囲み……以下自主規制。


俺は∞タテ風∞の根性に免じて、デート権をプレゼント。流石は俺だ!



こうして無事にデート当日を迎える。

ユニコ君が来た。ユニコ君カッコイイ!

送れて来たユニコ君が謝る。


「ごめん、ごめん……馬と交尾する子キモイ」


こうして、アイドルと言う偶像に貢ぎ続ける無限地獄から、一人の女の子を救った尊士である。



勿論、撮影した録画テープをネタに入信させた。これで正しい信仰の道を与えて上げた。流石は俺だ!


続く


第29話『弱肉強食』


これは幻の第4サティアン製作の絵本物語……


教団内で馴染めずにいる新兎(本名ヒッキー)全員が敵の様に見える。今日も工場でタダ働きだ。ここのどこが楽園なのだろうか?



荒野に放たれたウサギはいくつもの山を越えてとうとう仲間を見つけた。皆親切だ。ここは新しい楽園だとウサギは嬉しい気持ち。



尊士の計らいで、新兎に親切の嵐を巻き起こす。やらせである優しさに嬉しさを隠せない新兎。段々と認められたと勘違いをする。



ウサギは仲間達と最初は仲良くなっていたが、野生と飼われていた双方の違いに孤立感を感じるウサギ。段々とすれ違いに気づく。



皆の為に作業に励む新兎。

しかし作業でミスをして責任を取らされる新兎。


仲間外れにされて何も出来ないウサギ。

皆に認めて欲しくて、新しい餌場を発見し手柄をあげるウサギ。



新兎は新開発の拷問器具ベルトコンベアDXにぶち込まれる。


ウサギは仲間達と餌場の罠に掛かってしまった。狼の罠だった。



新兎は昔飼っていたウサギにしてた仕打ちが跳ね返ってきた。ベルトコンベアDXは走り続けないと感電死する発電機で、発電機から得られる電気は教団の電力に使われる。更にくそったれな事に感電死する為の電力でもある。走ったらたまにご飯が出てくる。このままだと過労死してしまう。走るのを止めたら感電死してしまう。


ウサギは狼達から走って逃げてもいいぞ?と提案される。罠に掛かってしまったウサギ達は怯えて身動きが取れない。狼が面白そうに提案を続ける。最後に残ったウサギだけを食べよう。逃げたモノ勝ちだぞ?仲間を助ける為に覚悟の目のウサギ。



永遠の様に走り続ける新兎。


自分を犠牲にして仲間を守るウサギ。



死んだ目つきの新兎。


最後は勇敢な眼差しのウサギ。



一体どちらの運命が報われるのであろうか?

神は新兎を監視するだけである。


魔術師はウサギの魂を天に還す。

魔術師は狼に罰を与える。


こうして2匹のウサギの物語は幕を下ろした。

神は狂気し、魔術師は嘆く。


めでたしめでたし



後書きの魔術師の後書き。


この世は所詮弱肉強食なのだが、神は残酷である。2匹のウサギは運命に翻弄された。

強い者と鉢合わせたばかりに食い物にされる。出会った事が最大の不幸である。


この物語に出会えた人に幸運がある事を願うばかりである。


後書きの魔術師にしては控えめな後書きですまんね。



俺は尊士だ。久々でも無いが今回はチョイ役だ。最後だけ少し持っていく。流石は俺だ!

孤児院で絵本の朗読会をして恵まれない子供達の希望の光を灯してみた。流石は俺だ!

子供達は次の話は?と聞いてくる。この中の何人かはきっと将来俺の弟子になるだろう。

石原神仙の会に来れば沢山の絵本が読めるよ。と言い残し、颯爽と踵を返した。

この物語に出会えた子供達は幸運だろう。


幸せを運ぶ神である俺。優しさゴットサムライ。


続く


第30話『GO!GO!処刑!』


これはファンの要望に可及的速やかに答えた尊士の対応の物語……


なお初めての方にも解り易く工夫してます。


達磨


1 達磨大師の座禅の姿にまねた張り子の人形。手足がなく、紅衣をまとった僧の形で、底を重くして、倒してもすぐ起き上がるように作る。商売繁盛・開運出世などの縁起物とされ、最初に片目だけ入れておき、願いごとのかなった時、もう一方の目をかきこむ風習がある。


2 丸いもの、赤いものなど1の形に似たものの称。「雪―」「火―」


3 売春婦。寝ては起き寝ては起きするところからいう。「―茶屋」


登場人物紹介


尊士


この物語の主人公。カルト宗教である、「石原神仙の会」の尊士。人々を洗脳して世界平和(征服)を目指す。布教の仕方が独特で、ゲーム業界やテレビ業界ともコネクションを持ってる。リクルートした信者の父親がゲーム会社の社長で、ゲーム「ストリート尊士」の続編である「ストリート尊士DX」を自らプロデュースして制作に携わる。「ストリート尊士」では主人公キャラ「ソンシ」の使い手である。非情に残酷な性格である。信者を増やす為には手段は選ばない。反逆する者には容赦無い制裁がまっている。躾と称して、「○○DX」と言う拷問器具を好んで使う。「○○DX」は複数存在する。使用キャラ「ソンシ」「正夢」


だるま


今回のメインキャストその1。ゲーム「ストリート尊士DX」に颯爽と現れた、ネット対戦しかしないキャラ。ゲーセンには行かないと言っている。またネット対戦のおまけ機能のチャットで女の子プレイヤ―に粉を掛けまくってる。「@女の子の名前+ちゅ」は鉄板である。粉掛けられた女の子の反応は、大体は引いていて、極まれに乗る子も居る。チャット機能を悪用して、女の子から卑猥な写真を入手してると噂がたっている。「ストリート尊士DX」では「勃つマロ」の使い手で、初心者プレイヤーに優しい玄人プレイヤーである。知らない女の子は、良い人と思い信じてしまう。使用キャラ「勃つマロ」「イイきみ」


クリスタ


今回のメインキャストその2。真面目な子だが、息抜きにゲーセンで「ストリート尊士DX」に出合い嵌ってしまう。嵌り過ぎてとうとう、家庭用のソフトも購入して、ある日、「勃つマロ」使いのプレイヤーに親切に攻略方法を教えて貰う。扱い小さくて済すまんね。ゲームでのマイキャラは「栗スター」「儲ケタ」


柚子葉


今回のメインキャストその3。友達のクリスタに誘われてゲームを始める。チャット機能では、良く毒入りのお茶を出す。なおゲームを布教したクリスタよりも、腕前は上で、次の「ストリート尊士DX世界大会」の優勝候補の一人とも噂されてる達人プレイヤー。使用キャラ「イさん」「サたん」


DT


今回のメインキャストその4。ゲーセン専用のプレイヤーで、「ストリート尊士DX」は、じつは、リアルファイトに発展する事が多く。家庭用も一応持っては居るものの、ゲーセンでリアルファイトが起こった時に良く野次馬してる。止める訳では無くってただ見物してる。しかしゲームの腕前は凄まじく「ストリート尊士DX」の登場キャラの一人「ドウ帝」の使い手。最強のドウ帝使いと恐れられてる。通名も付けられてて「ドウ帝のDT」と親しまれてる。使用キャラ「ドウ帝」「槍ちん」


今回は今までファンサービスした人も出す予定。※全員では無い。ちょい役ですまんね。


6話 雪林檎 側室

7話 神無月男 幹部

8話 刃月 信者

9話 kikiki 信者

10話 野良猫 重要人物

11話 美音 信者

12話 白銀 幹部

16話 九十九 幹部

17話 空砂 信者

26話 現永きつね モブ

27話 天樂 幹部兼工場長



ストリート尊士DXキャラ表※キャラ名の横は覚醒後のキャラ名。キャラに依っては覚醒DX在り。

「」は勝利台詞

主人公ソンシ いぇす尊士、天井典雅唯我毒尊士(てんじょうてんがゆいがどくそんサムライ通称ゴットサムライ)※覚醒DX

「俺ソンシ」「その反応いぇすだね」「流石はゴットサムライ」

ポア助 ポア衛門 「ポア也!」「おい!伸びてるんじゃねーぞ!」

BAN長 再BAN長 「よお!」「よお!有罪!」

エン公 美人局エン公「お金頂戴!」「この親父マジきもいw」

蝶魔 著お前 「物語の魔物!」「ちょおまw」

ドウ帝 魂ドウ帝 「イジメについてどう思う?」「イジメられて無い!ただ童貞なだけだ!」

ショ汝 鉄壁ショ汝 「2次元最高!」「3次元きも!」

ズキュン 恋ズキュン 「君のハートにズキュン!」「んー恋してる?ならズキュンだぞー」

イイきみ 可愛イイきみ 「イイきみw」「可愛い君に、ちゅ!」

ボーくん 狂ボーくん 「誰にも負けない!」「ずっと忘れない!」

イさん THEイさん 「毒入り茶飲んで胃痛いのw」「お茶で財産築く!」

王ちゃん(ワンちゃん) ラスト王ちゃん 「お前は俺のポチになれ!」「これで最後だぞ?駄犬!」

サたん ファンサたん 「人間ごときに世界は渡さん!」「俺のファンサービス!」

隠しキャラペン銀、肯定ペン銀 「後書きに変えて一言」「まあいいじゃん?」

公式ライバル10脳(テンのう)、千脳 「シンボルは私だ!」「シンボルを認めよ!」

ショー軍 殺人ショ―軍 「拉致るぞ?」「核ミサイル発射!」

デス棟梁 ハーデス棟梁 「私がルールだ!」「私に逆らうと戦争だ!」

ソーリー大神 愛無ソーリー大神 「革命には痛みを伴う!」「アイムソーリーw」

ぶニャン らぶニャン 「まあ無難だね」「この世界いらない作り直そう!」

勃つマロ フル勃起マロ 「俺が君の事守るからね」「エロ写真ちょーだい」

美っち 糞美っち 「今まで何人と付き合ったの?」「イケメン大好き!3ケタで足りるかな?」

槍ちん、長槍ちん 「100人斬っても大丈夫!」「斬り捨て御免!」

ショック人、峠ショック人 「後3ヶ月の命……」「今日で世界の終わり……」

栗スター びっ栗スター 「信じてるファンの事」「裏切り者ー!命で償えー!」

ゴッ殿 ゴットNO「働いたら負けかな?」「だって俺が殿様だから仕方無いw」

隠しキャラ正夢、現実 「私の夢良く当たるよw」「ゆめ?りあるになるよ!」

ぺ天使、田舎っぺ天使 「私よ!私!お金振り込んでね!」「田舎者ちょろいwマジ天使w」

子アクマ、親故アクマ 「童貞はちょろいなw」「親?ああATMの事w」

儲ケタ、信者(笑) 「やったー儲けたw」「信者発見w」

隠しキャラ重畳、頂上※覚醒DXのみ 「重畳な事ですね……」「頂上にひれ伏せ!」


ジャンル格闘ゲーム。タイトルストリート尊士DX。


洗脳世界ストリート尊士!洗脳ゲージを溜めろ!洗脳奥義を繰り出せ!覚醒して世界を掴め!

今回は2オン2バトル!洗脳と洗脳の科学反応!2人の合体洗脳奥義「GO!GO!処刑!」で目指せ世界征服!


※タッグチーム名は自由にエディットできます。



私の名はクリスタ、って言ってもHNだけどね。今日も家でストリート尊士DXのネット対戦に励む。最近は連敗記録更新中で不調。

特に今の時間である。13:00~15:00の間は伝説のネットゴーストと呼ばれてるプレイヤーが2人居るって言われてる時間帯だ。

1人は今の粘着で、もう1人は、ぶニャン使いのニャンってHNの人だ。


「もう!こいつ!粘着なの?腹立つな!」


私はテレビ画面に向かって罵倒する。傍から見れば可笑しな光景かもしれない。しかし、それだけ粘着にあってるのも事実。

粘着の名前ってかHNは「後書きの魔術師」って書いてある。画面の中でまた、私のマイキャラである「栗スター」と「儲ケタ」が倒される。

相手はランキング1位の実力者で、何故私の様な雑魚……いや初心者を狩るのか意味不明である。


「ムカつくわー!大体さ、蝶魔はともかく、ペン銀は卑怯だっての!」


後書きの魔術師は良く使用してるのが、「ペン銀」固定で、サブキャラに「蝶魔」が多い、たまにサブキャラに「サたん」を入れてる時もある。

ペン銀と蝶魔の時のチーム名は「後書きちょおまwwカオスww」である。んで、サブキャラにサたんの時は「恐怖のファンサービス」である。あー私のチーム名?


「ちょっと私の信者びっくりチームの成績下げんなよ!」


流石に20連敗は痛い。画面の中で覚醒してる敵キャラの「肯定ペン銀」と「著お前」が勝利台詞を吐いてる。


「ちょおまw」「まあいいじゃん?」


『後書きちょおまwカオスw世界!』


と相手チームの勝利を告げる。普通の格闘ゲームなら、「世界!」の部分は「勝利!」「WIN!」の筈だが、なんせこのゲームは少しオカシイ。

いや、システムとかは、ありがちだけど、世界観がぶっ飛んでる!路上でいきなり、洗脳対戦が始まるのだが、ラスボスである、「サたん」と「ゴッ殿」を倒して世界征服と言う、少しってか、かなりイカレテル世界観である。

結果報告のリザルト画面を確認すると、スコアに相当するポイント「信者数」が激減してる。


「はああ!もう少しで、信者0じゃん?課金出来ないつーの!」


このゲームのネット対戦は最低でも信者数が0必要なのだが、マイナスになると、ネット対戦出来なくなる使用だ。

しかも信者数マイナスのまま1ヶ月放置すると、強制的にアカウント停止だ。

それを防ぐには、課金通過「万歳」をコンビニとかで補充して、信者を購入しないといけない鬼畜使用だ。

このゲームは対戦キャラを倒すと、相手の信者のパーセントを奪える使用だ。

「貰える」では無くって「奪う」って表記がいかにも、このゲームらしい。


「うーん課金は厳しいし、どうしたモノかな?」


頭痛い私の所に1件のチャットが飛んできた。差出人のHNは「だるま」って書いてある。ん?何だろな?って思い。私はチャットに応じてみる事にした。


だるまとのチャット。


クリスタちゅ!

reは?

ごめん、ごめん、信者数減ってる見たいだからさ、助けてあげようって思って

reえ?

僕の信者を別けてあげるね、だから仲好くしようハート

reうん!するする!

じゃあ僕と対戦個室ルームに入ろう!二人きりで!

reおkk


こうして私はだるまとのファーストコンタクトを取ってみた。まあ人見知りな私だけど?良い奴だって思う。

私はだるまのキャラである、「勃つマロ」「イイきみ」をフルボッコにして、ってか対戦なんだけど、だるまは抵抗せずに私の完全洗脳だ。

ああ!「完全洗脳」ってのは、完全勝利の事ね。信者数をガッポリ奪える。



『信者びっくり完全洗脳世界!』


「信じてみる!」「儲けたー!」


マイキャラの「栗スター」「儲ケタ」が高らかに勝利宣言する。連敗記録脱出して、久々に聴く台詞である。これで、信者数は大分回復した。しかし、だるま。


「もっと一杯別けるねハート」

「ありがとー」


こうして10戦位こなして、信者数は大分溜まった。


「もうお腹一杯だよー」

「君の為ならもっといいよーハート」


私はだるまが心配になって対戦結果のリザルト画面を見てみる。


信者数:666000人


はあああ!


桁が違う世界である。何者?だるま何者⁉︎


「だるまー?信者数凄いね!」

「うん!僕凄い人。洗脳ランキング30以内には居るよハート」

「すげー!」

「僕の事好きになってよ、クリスタちゅ!」

「なるなる!」

「おkkじゃあさ……」

「あ!そうだ!私と本気で戦ってみてよ!お願い!」

「え?えーと、うん、おkハート」


こうしてだるまとガチ洗脳バトルする私。無謀では無くって好奇心からだ。

それに勝算が全く無い訳じゃない。たしか公式攻略本情報によると……


ショック人と勃つマロは、キャラ性能が低く玄人向けのキャラ。特に勃つマロは覚醒してもイミフな低性能、別名バグキャラ。


って書かれてた。達磨の持ちキャラはそんなにスペック高めではない。上手く立ち回れば1回くらい勝てるだろうって思う。


『洗脳ファイト!』


開幕のコールがなる。私は瞬殺された。メインの「勃つマロ」は素の状態でサブキャラは覚醒して「可愛イイきみ」の状態だ。


君にメロメロ世界!


「君は僕が守る!」「可愛い君にちゅ!」


余りの強さにKOされた。倒されたのは、私のマイキャラだけでは無い。


私の心もノックアウトされてた


「ごめんね、本気で、って言われたからツイ……大丈夫?」

「だいじょばない!」

「えええ!どこか傷ついた?」

「心!」

「ごめんよー」

「うん!許さない!明日からもチャットしてねハート」

「え?おkkkk!」

「じゃあ出かけるからまたね!」

「またねクリスタちゅ!」


こうして私はだるまに惚れてしまった。しかし気付くべきだった。このゲームはストリート尊士DXで、洗脳ファイトだと言う意味を考えるべきだった。



私は次の日も次の日も、だるまとチャットしてた。対戦なんて、最近は誰ともやってない。

もし負けて信者数がマイナスになったって最悪の場合はチャットも出来なくなるからだ。

だるまと過ごす時間の方が遥かに楽しい。でも、だるまはいつも、何か言いたそうにしてて、それがもどかしい。

しかも言いだそうとする時は都合の悪い事に出かける用事がある。

今日はだるま居ないなー。と思ってたら、友達の柚子葉からチャットが飛んできた。おー久しいの。


柚子葉とのチャット。


ひさークリスタ。まあ茶?でも飲め!

reちゃんひさー、って頂きますwゴクゴク

毒入りだけどなw

re分かってるってw

あーそうだ、だるまって知ってる?

re知ってるよー、ほぼチャ彼w

え?そうなの?気をつけてね……じゃあね!


この後だ。何人か、からチャットが飛んできて、ある警告をされる。

だるまは餌を撒いて、親しくなった女の子にエロ写メ要求するから気をつけろ

大体皆こんな感じのチャットだった。放心状態の私。ハートレス。



次の日にだるまに問い詰める私。


「ねえ嘘だよね?そんな事しないよね?」

「うん、しない、ってか俺の成り済ましだと思うよ?俺有名人だし」

「そうだよね!良かった!」

「ああ、じゃあ俺都合悪いから落ちるね」

「え?もっと話そうよー」


私は気付くべきだった。だるまのチャットはいつも「ちゅ」か「ハート」が付いてる事に。だるまのチャット。ハートレス。



私はそれから、だるまにチャット送っても反応が中々返ってこない事に苛立ってた。

ムシャクシャしてたので、ネット対戦を久々にする私。結果は惨敗である。

対戦結果のリザルトを開くと信者数がヤバい。慌てて、だるまにSOSチャットを送る私。


無視


んー、どうしたのかな?私はだるまが気付いて無いと思い、何度もチャットを送る。

しかし無視されてる。困った私。

夜になってやっとチャットが返ってくる。遅いよだるま。


「ん?何?俺忙しいんだよね」

「信者数がヤバいんだ!助けて!お願い!」

「へー」


こんな感じで頼むけど、全然うてあってくれない。!私は閃いた!


「良いモノアゲルから、この通り!」

「え?マジで?じゃあ一回だけなら、いいよハート」

「やったー!ありがとう!だるまー!」


一回対戦して信者数を別けて貰う。だるまは私の王子様だ。


「じゃあ早くちょーだいハート」

「早くってか明日ね、デート権プレゼント!」

「え?」

「私明日ゲーセン行くからさー」

「へ?」

「ストリート尊士DXって、ほら、リアルファイトに発展する事多いじゃん?」

「ああね」

「だから、イケメンで喧嘩強いだるまが一緒だと、嬉しいなーハート」

「パス」

「えー何で?もしかして、本当はブサメンで弱い感じの人なの?私一人じゃ怖いー」

「俺イケメンで喧嘩最強だよ?」

「じゃあ決まり!明日都内のストリート尊士DX公式のゲーセンに集合ね!ハート」

「うーん」

「ゲーセンは怖い?」

「俺はだから喧嘩最強だって!行くよ!」

「おkkkじゃあまたねハート」



こうしてだるまとのデートの約束を取り付ける私。幸せ。ハート。

すると柚子葉からチャットが飛んできて、明日だるまとデートする事を自慢する。柚子葉は何か考え込んでる様だ。



その頃だるまは珍しく男性プレイヤーに声を掛けてた。否。初めて男性プレイヤーに声を掛けてた。内容は大体こうだ。


イケメンで俺の影武者になった奴は、信者数1万プレゼント。写メ必須


※この条件で不満ある奴で、喧嘩にも自信ある奴なら、明日ゲーセンで良いモノプレゼント但しイケメンに限る



デート当日。私はだるまをゲーセンで待ってた。カッコイイ!流石は理想の王子様だ。ハート。


「ねね!早速だけど、対戦しよう!ゲーセンの筐体なら信者数気にしないで良いからさ!前みたいにKOしてよ!」


私は最初にだるまとガチバトルした時の快感が欲しかった。ハート。


「いや、俺初心者だからさ、お手柔らかに頼むよ?」


イケメンで喧嘩強そうでゲーム強くて、冗談も言える完璧な、私の王子様だ。ハート。


「じゃあ洗脳ファイト!」


すると、いつもなら、「勃つマロ」と「イイきみ」を使うのに、何故か、最強キャラの「ペン銀」と「サたん」を選ぶ。だるま。


「あれ?このゲーセンじゃペン銀禁止だよ?」


そう、公式でも強すぎるバランスの、「ペン銀禁止台」は存在する。


※隠しキャラであるペン銀は、ラスボスクラスと同格なので若干卑怯。キャラ相性的にファンサたんやゴットNOに対応しやすく。陰では最強キャラ。ゴットサムライはチート性能。但し覚醒DXの条件が厳しいので、事実上最強はペン銀。※ペン銀禁止台のゲーセン在り。


と公式攻略本に書いてあって、ここも、その例外に漏れずだ。


「いやー俺知らなくってさ、初心者だからさ」

「店員にバレると退場だからね?1回だけだよ?」


『信者びっくり完全洗脳世界!』


「信じてる!」「儲けたー!」


あれ?ガチで弱い。まさか、最強キャラ出されて勝てるとは、思わなかった。しかも完全勝利。え?マイキャラを覚醒させる必要すら無かった。え?


「だから言ったじゃん初心者だって」


するとリア友の柚子葉が複数の友達らしき人を連れて現れた。


「ん?デート見物に来たの?」

「オフ会よ!ん茶!」

「俺の奥歯さんなってください」

「俺の左腕がうずく」

「必殺技スルー」

「ききき」

「童貞はちょろいなw」

「オマエノモノハオレノモノ、オレノモノハオレノモノ」

「憑くぞ?」

「空砂です、はい」

「これ?飲み物?固形物だと思った」

「おい!強いキャラ来たぞ!」


何とも賑やかな面子である。雪林檎、神無月男、刃月、kikiki、美音、白銀、九十九、空砂、現永きつね、天樂と紹介される。


「私はクリスタで、こっちがだるま、はつよろー」

「よろー」


んーデートの邪魔だなー。それにさっきから、こっちに視線向けてる。ブサメンのヲタクの存在が気になる。何アイツきもい。


「ねーねー、あのキモヲタの、勃つマロの動きさー、だるまに似てね?」

「噂だと、だるまは影武者集めてたらしいぞ?」

「ああ、それ俺も耳にした」

「何でもゲーセンにて、良いモノプレゼントとかも言ってたな?」

「ええ?信者数1万だけだろ?」

「いやガチ情報」

「ってかさ良いモノって何?」

「さあ?だるまのコレクションじゃね?」

「エロ写メ?まさかのw」

「おい、あのキモヲタに声掛けようぜ?」


こうして誰が誰だか分かんない会話をしてる間にイケメンで喧嘩強そうな、けどゲーム下手なだるまが消えた。そうこうしてる間に、1人がキモヲタに声掛ける。


「ちょおまwwだるまさん?ちーす!」

「人違いだよ?誰?」

「嘘でぇ!だるまの勃つマロと動き同じ!」

「気のせいですよ」

「あ!このチーム名!君にメロメロ!確定!」

「やべ!」

「どったの?やべ?って何?w」

「あー、その、俺だるまさんのファンなんスよ」

「きたー!お得意の成り済まし!逆ver」

「いや、だるまファンです!キリ!」

「キリ!ってなーに?俺ヲタクじゃないからw分かんないw」

「うーん気分悪いので帰りますね」


そしてキモヲタが椅子から立った、その瞬間!



「ナニコレ?エロ写メ?」

「あ、この子知ってる!だるま被害者の子だ!」

「うえええ!きもw」

「犯罪者おつ」

「犯罪だるま、こっちですw」

「ドン引き」

「ってかガチやばくないか?これ?」

「そうだな、コイツどうする?」

「制裁が必要だと思う方挙手!」


満場一致で手が上がる。勿論、対象には私も含まれる。私の心を返せ!フルボッコや!私のハートフルボッコにした罰だ!



かれこれ半時間は経っただろうか?皆でだるまをボコボコにする。泣いて謝ろうが、絶対に許さない!

私の乙女心を踏みにじった罪を思いしれ!

すると、その現場に1人の……否。1つの伝説が立っていた!最強の「ドウ帝」使い。「ドウ帝のDT」だ。

ざわめく私達……すると思いがけない一言が飛んできた。


「俺にかまわず続けたまえ!君達はイジメについてどう思う?ああ、気にしないでくれ、流浪の見物人だ!」


すると、皆キョトンとして、ボコボコにしてた腕や足がストップする。すると、助けが来たと思った。だるま。


「助かりましたー!」

「勘違いするな!俺は味方では無い!同類と思われるだろ!」

「そんなー」

「いや待て、ある意味同類かもしれん!」

「え!助けてくれるんですか!」

「お前童貞だな!同類の匂いだ!」


すると皆、大爆笑w


「いや、その、親の初期設定が、操作ミスで……」

「操作ミス?何の話だ!頼むから日本語喋れ!」


初期設定なんぞw操作ミスwイミフw



するとそこに、ゲーセンの関係者……否。ストリート尊士DXの生みの親である。石原尊士様が颯爽登場。


「むう、君達、困るんだよね、洗脳ファイトをリアルに持ちこんだら、ゲームの揉め事はゲームで解決しなさい!」


※偉そうな事言ってるが、オフ会参加メンバーの刃月をリアルファイトで、入信までさせた尊士である。8話参照。


「ゲームなら目にモノ見せてやる!勝負だDT!」

「何故俺だ?まあいい!かかって来い!」


何故かは解らないが、矛先がDTに向かってる。こうして、尊士様立ち会いの元、だるまとDTの戦いが始まる。


『洗脳ファイト!』


良い勝負だ。それぞれ、洗脳ゲージが3本溜まった。覚醒だな?1キャラ分の覚醒が出来る量だ。

DTは迷わずに「ドウ帝」を「魂ドウ帝」に覚醒させた!

だるまは、普段は「イイきみ」を「可愛イイきみ」に覚醒させるのだが、この勝負の分かれ目の時に、痛恨の操作ミス。

なんと、「勃つマロ」を「フル勃起マロ」に覚醒させる。洗脳ゲージを損した、どころの騒ぎでは無い!

DTは洗脳世界ランキング7位のツワモノで、だるまは30位で天狗になってて、上には上が居る事を知らない。このミスの差はでかい。


「魂ドウ帝」の洗脳奥義!「お前は童貞になる!」が見事にヒットして、「フル勃起マロ」が沈む!


そして残り1人になった「イイきみ」だが、覚醒キャラ相手では、ジリ貧になるのは明らかだ。

しかしDTは手加減してるのか?中々トドメに行かない。しかし手加減では無く、洗脳ゲージを溜めていた。

「槍ちん」を「長槍ちん」に覚醒させて、W洗脳奥義「GO!GO!処刑!」発動!

だるまは逃げる間も無く「イイきみ」は、沈む。


『俺はDTだ世界!』


「イジメられてない!ただ童貞なだけだ!」「斬り捨て御免!」


まあ結果は見えていたものの、洗脳世界ランキング7位の試合が、生で観れて興奮した!


「いや、これは操作ミスで……」

「言い訳は童貞らしくないぞ!」

「すげー!DTすげー!」×全員。


尊士様も感動してる様だ。


「勝負は付いた様だね?しかし、リアルファイトの原因は何だったのかね?」

「あー、コイツ迷惑プレイヤーのだるまです」

「なんだと?あの悪名ユーザーか?」


尊士様はだるまの事を知っている様だ。まあ、女の子から、運営に苦情が来てても、別におかしくない。


「このエロ写メが、動かぬ証拠です!」


私は、だるまを売り飛ばす。


「何と!こんな事までやってたとは!」


こんな事?女の子からの苦情じゃ無かったみたいだ。一体誰がどんな苦情を出したのだろう?


「えーと、その、プリンターが勝手に動く、操作ミスで……」


コイツは最低な奴だ。私の心を返せ!


「ふーむ、洗脳世界ランキング上位の方から苦情が来てて、HN成り済ましされて、困ってると、メールが来てたが、余罪がまだ在るな?少し、私の所でお説教が必要な様だ!来なさい!」


こうして、だるまは連行されて行った。ん?何か忘れてるけど、まあいいや。



俺はゲーセンに暇だから、行ったが思わぬ収穫があった。後はこの、糞ガキを、躾と言う名の拷問器具のドレに掛けるかだ。拷問器具の種類考えて、楽しくなる。流石は俺だ!


「もうこのゲームをしないと誓うなら、家に帰してもいいぞ?」

「嫌だ!対戦は兎も角、チャットが出来なくなるのは嫌だ!俺の可愛い子ちゃん達が、俺の帰りを待ってるんだ!」


ふむ、糞生意気なマセ餓鬼だ!俺に対する態度!極刑じゃ!流石は俺だ!


「糞ガキよ、貴様の意思では2度とゲームはさせん!」

「やれるもんなら、やってみろ!俺は意地でも辞めないからな!」

「その言葉に偽りは無いな?ああ!?」

「俺は沢山のスイートハニー達が待ってるんだ!当たり前だ!」


こうして、だるまは、無事に達磨DXの刑に処された。流石は俺だ!


※達磨DX=両手両足切断。



あれから何日か経ったある日の事。私は、運営からのお知らせに目を通してた。


悪徳ユーザーだるまは2度とゲームが出来ません。成り済まし被害に合われた。洗脳世界ランキング1位の後書きの魔術師様、その他の関係各位の皆様に、対応が遅れました事を深くお詫びします。安心して当社のゲームを楽しんで下さい。



私は、唖然とした。だるまが、このゲームから追放された事は解る。が。


「成り済ましだったんだ……」


私は、安堵の気持ちより。複雑な感情が湧いてきた。


「そうよね……洗脳世界一が、初心者狩りなんて、普通考えられないよね……」


私は人間不信になりそうだった。


「全部仕組まれてた、なんて……」


私は泣いていた。


「アイツにノックアウトされた時の感情は、本物だと……思ってたのに……」


私は絶望した。


「全部アイツの手の平の上だったなんて……」


私は初めて人を殺したいと思った。怒りに覚醒した。


「ふざけるな!殺してやる!」


虚しさが、私の心を襲う。


「私の心返して……返してよ……」


一しきり部屋の中で暴れた後に、泣き疲れて寝むってしまった。


『裏切り者ー!命で償えー!』


fin


後書きの魔術師より一言。


えー今回は、特別編の中の特別編です。

この回で引き込まれた方は、是非1話から読むのを強く、お勧めします。

是非ご一読を御願い申し上げ奉ります。



ってかさ、俺が蝶魔なんか?

そだよ?文句ある?

ふーん、じゃあお前がペン銀なんだな?

そうだね、その反応いぇすだね!

ちょおまwwそれ尊士の台詞ww

今肯定したな?

ちょおまww肯定ペン銀おつww

まあいいじゃん?


『後書きちょおまwカオスw完全洗脳世界!』


「ちょおまw」「まあいいじゃん?」


続く


第31話『思い出のメロン』


これは尊士の思い出の物語……


俺の家はお世辞にも裕福とは、言えない、むしろ貧乏である。なんでこんな貧しい家に生まれたのかな?


「お母さん、何でお父さんは、ずっと家に居るの?」

「し!お父さんに聞こえるでしょ!」


すると酒に酔い潰れてた親父が、むくっと起き上がり。こっちを睨み付ける。


「ソンシ!お前なぁ!何回その質問をしてるんだ?ああ!」

「だってさ、友達から聞かれるからさ……その」

「何回同じ事を言えば良いんだ?あ?お父さんはな、小説家なんだよ!んで有名人だから、ファンの押しかけ対策の為にPNは教えられんのだ!分かったか!」


お父さんの答えは、いつも同じだ。だけど、友達は、お前の親父は無職の穀潰しだろ?って言って、俺も正直限界である。


「黙ってたら分からん!返事は!」

「……うん」


逆らえば、叩かれるのは、もう身体が覚えてる。親父は冷蔵庫の方に向かい。ジュースを飲む。酒が切れたっぽい。


「良し、イイ子だ!酒買ってこい!」

「ソンシちゃん、お金渡しとくから、買ってきなさい」

「分かった」


母は完全に親父のいいなりだ。俺が、親父の機嫌を損ねて叩かれても、全然助けてくれない。そう、誰も俺を助けない。



今日は学校だ。相変わらずクラスのガキ共は、俺をからかう。あー早くクラス変えないかな?

どうでもいい事を考えてらた。

先生にたまたま出くわし。放課後のゴミ捨てを押し付けられた俺は、目撃した。

学校の校舎の裏で、女番長の、野良ニャンが上級生に、板チョコをプレゼントしてる。


「はい!コレ!」

「要らないって!」「拒否!」「全力で断る!」「ってか無理!」


ああ、そうか、今日はバレンタインだな。しかし、何で上級生達は拒否ってるんだろう?野良ニャンは結構可愛いと思う。


「んだと?……じゃなくって、可愛い私の義理チョコが、受け取れないの?」

「義理の押し売り反対!」


そうこうしてると、一人がニャンに殴りかかる。ニャンも応戦するが、多勢に無勢だ。


俺は、咄嗟に前に出た。自分でも理由は分からない。ただ、ニャンの事は気になる感じではあった。


「誰だテメエ!」「モブキャラは消えろ!」「雑魚乙!」「早く失せろ!」


俺は、生まれて初めて人を殴った。そして気付いた時は、上級生全員が血反吐を吐いて倒れていた。


「俺は一体?」

「すげー!ただのイジメられっ子って思ってたら、超つえー!」


俺はニャンから、褒められた。ってか人から褒められる事も初めてかも?


「ああ、そだ!コレあげる!」

「チョコ?これって?」


女の子から初めてチョコを貰う。俺はしかも、可愛いなって意識してたニャンからチョコを貰えた。嬉しい!


「受け取ったね!じゃあ、来月3千円の所を、アンタだけ特別に千円ね!お返しは現金で!」

「そんな!俺んち、貧乏だからさ……」


なんか、思ってたよりとんでも無い子だ。


「えー!じゃあ私の子分になりなさい!」

「コブンって何?」

「決まりね!」


こうして俺は、気が付いたら裏番になっていた。

俺は何でも、暴力で解決する様になった。

家では、親父も質問が飛んでこなくて機嫌がいい。

母親はますます頭おかしくなってて、神社にお参りに行くのを見かけたと。

友達から聞かされた。だが、ただの報告である。俺を馬鹿にするニュアンスは無い。

それと、ニャンはだいぶ女の子らしい性格になってた。好きな子でも出来たのかな?

変わった事と言えばニャンが俺の事を「ソンシ」って呼ぶ様になったくらい。


何もかも、上手く行ってた。あの日までは……



俺は夢から目覚めて、むくっと起き上がる。そうして冷蔵庫からメロンソーダを取り出し。飲む。

しかし、夢の所為かな無性にチョコレートが食べたくなった。

原付を走らせて、コンビニに向かう。


「100円になります」


こうして俺はメロン味の板チョコを齧るのであった。


続く


第32話『無いとドラゴン』


これは、映画館での場面……


【映画ナイトドラゴン】


俺は龍。極道の侠だ。今日も夜の街へ闇に溶け込む。


「お客さん、困るんだよね?御代はきっちり払ってくれないとさ!」

「そんな!ぼったくりだ!警察呼ぶぞ!」


そう俺の仕事はこれだ。


「お客さん!営業妨害だね!」


俺はドスで客の腹を一刺し。


「ぐえ!」

「さあ!ATMに行くか、サラ金に行くか、事務所に行くか、天国に行くか、お客さんご注文は?」

「け、警察に……」


俺は笑いながら、ドスを深く刺す。


「当店には、存在しないメニューだな?好きなの選んでいいよ?」

「救急車……」


往生際の悪い客だ。


「お客さん、まだ自分の立場が解らないの?」


俺は爆笑しながら、ドスを更に深深と刺す。


「家に帰らせて下さい!」

「頭悪いな、お前!優しい俺もカチンときたぜ!ご注文は1つだけのところが、サービスでもう一品つけるよ!」


流石に立場をわきまえた客。


「ATMとサラ金で勘弁して下さい!お願いします!」


客の理解の遅さに苛立ち。追い打ちかける。


「しょーがねえな!お前頭悪いから、事務所で少し、お勉強だな!」


こうして、また1人俺の都合のいいATMを作成した。

しかし恨みを買い過ぎた俺は、彼女を誘拐されてしまう。身代金は1000万だ。怒りに震える俺、襲撃。


「おい!モブキャラの分際で!俺の女に手出したな!覚悟しろ!」

「んだと?金はどうした?ああ!」

「てめえらに、払う銭はねえ!」


こうして、親玉と手下合わせて、8人を愛刀のドスリュウの錆にする。


「てめえらは、地獄がお似合いだぜ!」


そして、檻に閉じ込められてる彼女を救い出す。


「私穢れてしまったよ……」

「俺の愛は永遠に変わらない!」


こうして2人は抱き合い最後にキスをして、物語の幕が閉じる。


【ナイトドラゴン完】


観客達は、途中で飽きて帰ってしまった。残ったのは、俺と隣の席の女性だけ。

俺は、感動していた。特に序盤の、客に注文を選ばせるのは、俺とそっくりだ。感動した!全俺が泣いた!


「あーでも、ラストシーンは没だな!ラストで台無しだな!」


俺は映画は辛口だ、序盤で期待させておいて、オチがツマラン事に腹を立ててた。流石は俺だ!

すると、隣の客が俺にジュースを零した。怒りに任せて怒鳴り付ける。流石は俺だ!


「貴様!この服が幾らするか分かってるのか?ああ?」

「すいませんクリーニング代を払いますので……」


俺は悪乗りしてた、身代金1000万が、頭から離れない。流石は俺だ!


「弁償だ!1000万払え!」


※尊士の服は百均で揃えてる。


「そんな!出鱈目な!警呼びますね」


すると照明が明るくなり、隣の客の顔もはっきり見える。



驚いた。なんと、さっきの映画に出てた女優だった。1人館内の騒がしさに気付いた男がやってきた。警備員かな?


「おい!おっさん!俺の女に何か用か?ああ!」



さっきの映画の主演俳優だ。


「助けて龍ちゃん!この親父が、私に悪戯したの!」


悪戯?


「俺がジュース買いに行ってる時に、よくもヤラカシたな!覚悟はいいか?おっさん?」

「粋がるのは、画面の中だけにしろ!」


すると龍が笑い出した。


「おっさん!頭大丈夫?可哀想だからさ、ATM、サラ金、警察、半殺し、好きなの選べよ?お?許してやるからさ?」


俺はここまで、コケにされたのは久しぶりだ。迷わずに鉄拳制裁を選択する。流石は俺だ!


「お前はポアだ!」


俺の右ストレートが火花を吹く。龍は顔面に1発貰って気絶した。流石は俺だ!


「きゃー!何するの!」


女が悲鳴を上げる。俺は龍を背負い、颯爽と立ち去る。


「男を返して欲しければ、石原神仙の会の第1サティアンに来い!身代金はいらん!謝りに来い!警察に行ったら命は保証しない!」


こうして、男を拉致する。流石は俺だ!



第1サティアン地下室


俺は良い事を閃いた。早速ある業者を呼び付ける。到着までの間に、龍をボコボコにする。流石は俺だ!


「すいません!勘弁して下さい!」

「お客さん、ホモDX、ゲイDX、BLDX、鍔迫り合いDXの中からご注文どうぞ!」

「嫌です家に帰して下さい!」


立場が解るまでボコボコにする。流石は俺だ!


「俺はお前より優しいから、1つで勘弁してやる!選べ!もしかしたら、1つは楽かも知れないぞ?」


覚悟を決めたのか、それとも勘違いしたのか、とうとう選択する、龍。流石は俺だ!


「鍔迫り合いDXでお願いします……」


イイ子だ。呼んでいた業者が到着。インディーズAVの制作会社で、所謂ゲイビデオ専門の会社だ。


「ちーす、ご注文どおり、我が社で一番キモイ親父用意しました!御代は先払いで100万円です!」

「ふむ、ロットは何本だったかな?マージンは?」

「そうですねー全部捌けたら、1000万円儲かりますよ!」

「宜しい!前払い100万円だ!それと在庫は全部こちらで預からせて貰う!」

「了解しました」



女が第1サティアンに来た。何故か、モブキャラ8人の、オマケ付きだ。


「おい!龍を返せ!痛い目に合いたいのか!」


俺は8人のモブキャラを瞬殺する。平謝りの女。流石は俺だ!


「すいません、この人達が勝手に付いて来て、その……」

「構わんよ?それより、きちんと謝れば許すぞ?」


そして女は土下座して、泣きながら、許しを願う。許してあげよう。優しさゴットサムライ。流石は俺だ!


「では、素直に謝った君にご褒美をあげよう!」


俺はモニターを付けてあるモノを流す。


【AV無いとドラゴン】


女は唖然としてる。流石は俺だ。


「これの御代を払って貰えるかね?1000万円だ!」

「嫌です!」



俺は予想外の反応に困った。理由を聞こう。勘違いしてるなら、鉄拳制裁で分からせるまでだ!流石は俺だ!


「ふむ、俺の言葉が理解出来てるかね?どう言う意味か解る?」

「そんな無駄金ありません!」


ふむ?意味が解らん?


「この男が恥を晒す事になるぞ?」

「構いません!」


むう、脅してるのが、理解出来て無い様だな?

すると女。


「そんなダサ坊が恥をかこうが関係無いです!」



流石の俺も予想外だ。映画の中では、永遠の愛を誓った者同士のカップルのはずだ。永遠の愛ドコー?


「気に行った!女!名前は?俺の側室にならんか?」

「マイって言います、私は強い男好きなので喜んで!」


またまた、びっくり!即答である。


「その反応いぇすだね!」



俺は新たな側室を迎え入れた。ん?AVはどうなった?って?勿論、龍に全部お買い上げして貰った。後のモブキャラも8人居たから、男優の出演料分安く作れた。全員にお買い上げさせた。流石は俺だ!

こうして、また1人俺の都合のいいATMを作成した。


続く


第33話『サンアタック』


これは日の本平定に本腰を上げた尊士の物語……


俺はとうとう重い腰を上げた。世界平和の第1段階である日の本平定書を作成した。流石は俺だ!


「日の本再生は俺の宿願だ。文章はこれでよし」


こうして俺はメロンを食べた後に、第2サティアンに出向き日の本平定書を配る。集まった信者全員が文章に目を通している。


「皆の者心して聴け!」

「イエス尊士!」



3つのサティアン制の事を日の本平定サンアタックと命名。


第1サティアン。アメを与える。布教学習部署。担当奉行小粋。

第2サティアン。ムチを与える。懲罰。拷問器具開発部署。担当奉行ポチ。

第3サティアン。カルト宗教狩り。カルト宗教撲滅攻撃部署。担当奉行九十九。


最重要はカルト宗教狩りの第3サティアン。


尊士様はお怒りである。この日の本を照らすのは尊士様だけのはずなのに、この世界の太陽であらせられる尊士様のお心を曇らせる存在がある。

悪事に泣いている弱き者達の涙の雨を降り止まらせる為に悪魔を日輪の輝きで焼き払う必要がある。

その為のサンアタック作戦である。日の本平定は尊士様の宿願である。

太陽の子らよ。今こそちからを合わせて、真の日の丸を掲げよ。

これは聖戦である。日輪の力を借りて、日の本を平定せよ。


サンアタックスローガン


雨よ止め。心を曇らせるな。日輪を信じよ。

悪魔を日輪の輝きで焼き払え。



奉行選抜のメンバーに選ばれた3名は、各々の言葉で天井を捧げる。


※天井に捧げるとは、この場合は感謝の言葉を捧げるの意味。他には美人信者限定で身体を捧げる等。


「職務を全うする事を誓います。この喜びを天井に捧げます」

「一生ついていきます。この喜びを天井に捧げます」

「サムライとして士道を貫きます。この喜びを天井に捧げます」


小粋、ハチ、九十九の決心を聴き感動した。流石は俺だ!


「その反応いぇすだね」


こうして俺はPCゲームファイナルプライドサムライタイアップ第2弾の清涼飲料水尊士のメロンソーダを集まっている信者全員に振る舞う。流石は俺だ!


「尊士様に乾杯!」


俺は銀色に光るバッチを3奉行に授与した。奉行制度を作ってからこれといって目印が無かったから、思いついたから作らせた。流石は俺だ!

次に選ばれし70人のサムライ(適当に選んだのは俺の都合だ!)に赤いバッチを授与した。流石は俺だ!

そして最後に、桃色のバッチを側室に授与する。俺の肉奴隷の烙印だ!流石は俺だ!


「天に奉仕する事を許された特別な印だ!受け取りなさい!」


側室を代表して雪林檎が天井を捧げる。


「んえ?ありがとうございます!ご奉仕頑張ります!あっお似合いですよ黄金のバッチ」


雪林檎が最初に気付いたか、他の者も気付く。黄金のバッチは他のバッチと違い豪華な装飾である。


「気が付く女だ、雪林檎。今夜はお前に決めた!」

「んえ!久しぶりだー!ありがとう尊士様!」


俺は雪林檎を下がらせる。


「これは、ただの黄金のバッチではない!日輪の象徴だ!」


日輪の象徴とだけ言って、詳しい事は説明しない。意味は信者達に考えさせる。流石は俺だ!


※実は尊士自身深く考えてる訳でもない。



こうして宴が幕を閉じようとした。その時、外が騒がしい事に気付く。


「石原神仙の会は悪魔の集団です!」


サティアン近辺で、というか間近で、村人女学院の生徒30人が学生デモを起こしているのを発見。俺は速攻で信者達に命名を下す。流石は俺だ!


「悪魔狩りに選ばれし70名のサムライよ!悪魔に心を囚われている女学生を捕らえよ!石原神仙の会が正しき宗教だと認識させよ!」


「イエス尊士!」


こうして、宴のメインディッシュが、のこのこと、まな板の上に上がってきたのを喜ぶ俺。カモネギとはまさにこの事。流石の俺も30人の女学生はかなりのご馳走だ。

村人女学院の生徒達がデモを続けているのを横目に、舌舐めずりをする。流石は俺だ!


「石原神仙の会に入ると廃人になってしまいます!皆さん騙されないでください!」

「真実は自分の目で確かメロン」



悪魔狩りに選ばれた70人のサムライが、村人女学院30人の拉致に成功した。


目を覚ました女学生達は……


続く


第34話『天井60センチメートル』


これは板の上に自ら上がってきた、生贄の物語……


「うーん、ここは、何処?」


私は寝ぼけたまま。でも、ここは何処だろう?確か、石原神仙の会の前で、抗議デモを行ってた。筈なんだけど?


周りには、私の通ってる村人女学院の生徒達。一緒にデモ活動をしたクラスメートが全員居る。けど……


「んー、眠いけど、起きるかな……少し寒いかな?」


あれ?何で皆、裸なんだろ?じゃあ、私は?


え?私も裸だった。そしてお腹を見ると、青いアザが出来てた。


「痛!」


お腹の青アザの痛みで、完全に目が覚める。そして、痛みで、全てを思い出し、蒼ざめる。


「そうだ、石原神仙の会の信者達から、拉致されたんだ。これから、どうなるのかな……」


皆を良く見ると、不安そうにしてる。生徒会長の私がしっかりいなくちゃ!


「皆!大丈夫だから!きっとすぐに警察が駆けつけるから!大丈夫だから!」


私は自らの不安も取り除く為に、大声で叫んだ。これで皆も、不安が和らいだかな?


「そうだよね?黒うさぎの言う通りだよ!」「だったらいいけど……」「うーん、アンタの所為じゃないw」


3人が反応して、後の生徒は無言で、声を殺して泣いている。皆不安なんだ……


「ありがとう副会長!大丈夫だよ書記!わ、私の所為じゃ無いわよ?村人C!」


「だよね!」「そう……」「んー、脱出できないかなw」


こうして、暫く経って、座ったままもキツイな、って思って立ち上がろうと、した。


「いた!」


直ぐ上が天井だった。何ここ?座高より少し高い天井だ。薄暗い部屋で気付かなかった。3人も居変に気付く。


「何コレ?」「怖いよ……」「私はチビじゃない!」


残りの皆は、ますます、不安になってる。


「だ、大丈夫よ!皆!しっかりして!きっと警察が、捜査にきて……その、何だ?アレだよ!こうさ、サイレンとかさ!ライトとかさ!」


「そ、そだよね!」「サイレン?……」「サーチライトでも照らして探すのw」


すると、照明が付いた。助けが来た!


「ほ、ほら、見なさい!私の言った通り!」


そしたら、サイレンも鳴る!ヤッタ―御巡りさん助けにキタ―!聞き覚えのある、パトカーとかのサイレンだ。助かった!


「皆!もう大丈夫だからね!警察来たよ!私達助かるんだよ!」

「やった!」「助かったの?」「お腹空いたw」


安堵したのか、副会長、書記、村人Cは各々、ほっとした声だ。他の子も、声を殺して泣いてたのが、安心したのか、大声で泣いている。た、助かった!


「御巡りさん、こっちです!」


すると、人影が複数入って来るのが、見えた。だけど……見覚えある白装束の集団だ。


「君達を悪魔の魔の手から、救いに来ました!アハ!」


中央に立っている人影に見覚えがある。石原神仙の会の教祖だ。最悪だ……


「ウワ―ン!」


全員が大声で泣き叫ぶ。


「正義の味方の登場で、嬉し泣きかな?アハ!」


私は勇気を振り絞り、反論する。


「ここから出しなさいよ!」


すると、さっきの、フザケタ態度が雲隠れする教祖。


「お前?名前は?」

「黒うさぎよ!」


私は、必死になって、教祖を睨み付ける!目線を逸らしたら、負けだ!


「何だ!貴様のその目付きは!」

「目付き悪いのは、元からですが?何か?」


絶対目を逸らすもんか!すると、どうやら、逆鱗に触れたらしい。部下に命令を下す教祖。


「予定より早いが、仕方無い!天井を下せ!60センチだ!」

「イエス尊士!」


すると、天井が見る見る低くなる。嘘でしょ?


「ちょっと!天井下がってる!」

「ウワーン!」


私は教祖を睨み付けるが、天井が下がるから、とうとう、四つん這いになり、犬の様な格好である、悔しい……


「悪魔には、それがお似合いだな!アハ!」

「……」


私は、自然に教祖から、いや、無理矢理天井を下げられたから、目線が逸れただけ……負けてない!


「糞!」「やっぱり出れないんだ……」「私は犬じゃないw」


皆、しっかりする!心を折られたら負けだ!せめて私だけでも、強い心を持とうと決心した。すると教祖がルールの説明を始める。


「悪魔の子らよ!貴様等は、人間に転生するチャンスを、神である、俺から与えられたのだ!」


ふざけるな!悪魔め!


「食前の挨拶は、頂きますだ!食後の挨拶は、尊士様ありがとうございますだ!とりあえず簡単な挨拶からだ!」


何が、尊士様だ!誰が言うものか!


「後は、粗相は何処でやっても構わん!一応は隅の方にトイレ、らしきものはあるがな!」


粗相って誰がするもんか!我慢してやる!


「これも君達を、悪夢から、石原神仙の会が悪魔だとか言う虚言癖を、幻想から救う為の……神の試練なのだよ!」


皆は、唖然としてるのか、呆然としてるのか、恐怖で何も言えないのか、黙ってる。


「早く君達が、虚構から抜けだして、現実に返るのを、俺は心待ちにしてるぞ!アハ!」


こうして、私達の悪夢は始まった……


続く


第35話『13日のカレー/10リットルのポアション』


これは自ら板の上に上がってきた生贄達の物語……


天井シリーズ第2弾!尊士シリーズ初の2本立て!


天ーおにぎりー井


天井の穴から、食事である。おにぎりが支給される。もう何日経ったのだろうか?ここには、昼も夜も、時間も、感覚も無い。ついでに、天井は60センチメートルしかない。


「頂きます」「頂きます……」「頂きますw」


親友3人は、もうすっかり順応、飼いならされてる。特に、村人Cだ。私は、もう何日だろうか?私は天井から降ってくるおにぎりを1食も口にしない。口にすると言う事は、恭順の制約を口にすると、同義語だからだ。


「お腹空いた……」


あれ?私は口から出た言葉に驚いた。自らに厳しく、空腹でも弱音を吐かない事を誓ったからだ……でもこれ位じゃ恭順を示した内には入らないって思う。ううん、大丈夫!私は負けてない!


「尊士様ありがとうございました」×3


そう、この言葉は最悪だ。良く出来てる。最初は皆……村人Cを除く皆は、必死に我慢してた。

言いなりにならない!って私の説得のお陰もあったが……とうとう、私以外で、最後に副会長も、おにぎり欲しさに恭順を口にした。

そして、私以外皆嬉しそうに食事を待つ。尊士様の、おにぎり様様な状態である。


「あー、喉渇いたwもうかなり水飲んで無かったやw」



村人Cは、今確かに、飲んで無かったやって言った。ここには水道なんて無いし、ましてや水がペットボトルで支給される訳でも無い。一体どこに水があるのか?


「んータイミング的にそろそろかな?」「そうよね……」「早く水飲みたいw」


すると、皆隅っこの方に移動して行く。移動と言っても、ここは天井60センチメートルだ。

皆犬の様にハイハイして行く。何だろう?確か溝?があったよね?そう言えば私は、犬みたいに歩く屈辱も嫌だから移動してない。

けど、確かあの悪魔教祖は、食事の時のルールでしか恭順の言葉を発するルールを言って無い。私は渇いていた。


「水くらいなら、大丈夫。私は恭順の言葉は口にしない。負けた訳じゃ無い……きっと」


3人を見失うが、まあ壁際に行けば会うだろな。

そして、私は犬の様に這いずり回ってやっと、溝の方に近付いた。

しかし、そこには私の渇きを潤す筈の水は無かった。枯れたオアシスですら無い。ただの溝だ。3人の姿は無い。


「うーん水流れないかな?w」


え?ここって水飲み場だったの?私は、水が飲めると思い。ますます喉が渇いた。水はよ!


「んー!ダメだ、出ない!」


残りのクラスメートの一人が、溝に入って何かしてる。出ないって事は水はまだなのか、はあ……


「あ、やっと出た!」


え?どこどこ?私のオアシスどこ?しかし、良く目を凝らして見た。すると。


「あー、すっきりした!」


うげー!粗相がしてあった。私は、ゲンナリした、汚いモノを見る為に、犬の様な気分を味わった訳じゃ無い!

そう言えば、あの悪魔が隅の方にトイレ、らしきモノあるって言ってたな?これのことか……

ってか、ここは四角形の部屋だ。

もしかしたらここ以外の3つの壁際の何処かに、水飲み場があるんだ。

私はまた犬の様に這う。もしかしたら、3人に会えて、あわ良くば、水に在り付けるかも?私は淡い期待を抱いた。


「水飲み場どこー?」


私は這って歩き。やっと次の壁際に付く。3人が居た。当たりだな!やっと水飲める!


「水そろそろだな」「そうよね……」「ん!今、水の流れる音したよw」


すると、溝に、水が流れて来た。でも、汚物も流れた……何コレ?


水ー便所水ー洗


これは、溝全体が、水洗便所になってる事に気が付いた。なんだ、この地獄絵図は……


「まあ、もう慣れたな、この光景」「水、綺麗な所探して……」「ぷっはー水美味しいw」


美味しそうに、便所水を飲む3人。最低だ!注意しなきゃ!


「皆!私は、もう我慢の限界だよ!村人女学院の生徒の誇りは、どこに消えたの!」


「黒うさぎ、あのさ?現実見ろよ?」「ここは、村人女学院じゃないよ……」「天井60センチメートルだよw」


私は、呆れてモノを言う気力が失せた。


「黒うさぎ、あんま歩いて無いよな?」「お水美味しいよ……」「おにぎりも全然食べて無いよねwww」


私は怒りが湧いて言い返す。


「私は犬じゃない!私は汚い水は絶対飲まない!私は、パン派だから気にしないで!」

「じゃあ猫だと、思ってさ?」「探せば綺麗な部分あるよ?」「んー、パン降って来ないから、仕方無い!」


副会長と書記は、言い回しを変えてるだけで、説得力は0。村人Cは、まあ、私の言葉をちゃんと聞いたようだ。


「でもさ……パン降って来たら、ちゃんと食べなよ?心配だよ?黒うさぎ、段々とヤツレテルからさ」


私は、村人Cのたまに見せる優しさが、好きだ。ここは、誠実に答えよう。


「ええ、そうね、パンなら食べない事も無いわよ?村人C心配してくれて、ありがとう」


すると。まさかの展開。


天ーカレーパンー井


天井から、カレーパンが降って来た。


「わーいパンだ!」「ここでは初めて……」「パン来たよ?食べなよ?」

「……仕方無いわね、生徒会長に二言無し!」


そうだ、ここは村人Cの優しさに答える為にも、頂きますだけ言えばいいんだ。

普通の言葉だ。全部食べなければ、あの台詞は言わないでいい……覚悟完了!


「頂きます!」


美味しい……カレーパンってこんなに美味しい食べ物だったの?私は一口、もう一口、更に一口食べる。幸せだ。


「おえ?」「糞不味い……」「これ、粗相入りだーw酷いw」


え?私のは、普通だけど?粗相入りって一体?え、ええ?


「そうね、不味いから、残すわ!これは、溝にっぽい!」

「そだな」「うん……」「バイバイw」


こうして、私は、カレーパンを溝に捨てた。美味しかったのに、勿体無い……でも何で私のだけ?普通のカレーパンだったのかな?



それからカレーパンが待ちどうしい日が続く。


「ってか、カレーパン意味分かんない」「おにぎり美味しい……」「チーズまだ?おにぎりとカレーパン飽きたw」


私は、恐らく月一回のカレーパンを楽しみにしてた。

どうも私の分だけ、普通のカレーパンで、後は全部粗相入りだ。多分ロシアンルーレットのつもりだろう。

私は生徒会長だから、特別な人間でクジ運が良いのだろう。それに、皆残すから頂きますも言わないで良い。

多分今度カレーパンが降って来たら4ヶ月目だ。中々助けは来ないが、そろそろ時間の問題だ。


天ーお告げー井


『皆さんの中に、一人だけ裏切り者が居ます。実は、皆さんをここに引き込んだ長本人が居ます』


ザワメク皆。そして、皆。村人C以外の皆が、私に視線を……死線を向ける。何だろ?この恐怖の眼差し。


「黒うさぎ!アンタね!」「嘘だよね?……」「すとっぷ!黒うさぎちゃん、じゃないかも?」

「ちょっと待ってよ!?皆おかしいって!悪魔に騙されたらダメ!」


すると、他の生徒が、ブツブツ言ってる。


「確かデモしようって言い出したの誰だっけ?タイミングもおかしいし……誰だったけ?」


他の皆も便乗する。


「黒うさぎ!犯人は、お前だ!」「そうよ!そうよ!」「有罪!」「裏切り者!」「悪魔!」「ぺ天使!」「お前は鬼だ!」


そして、3人も追い打ち掛ける。


「黒うさぎ!やってくれたね!?」「人出無し!最低!」「うんw私、実は最初から、怪しいって思ってたんだよねw庇って損したw」


特に私を、庇ってくれた。村人Cから裏切られたのは、堪えた。コイツ等は、もう友達でも何でも無い!


「アンタ達最低ね!」


天ーお告げー井


『裏繰り者の名を天井に捧げよ』


天井に捧げよって何?意味不明?


「黒うさぎwこいつ裏切り者の悪魔w天井に捧げますw」


村人Cが、私の名前を呼んだ。しかし、これは何か、嫌な予感しかしない。

すると、天井の隅の一部分が開く。丁度私の真上でもある。


天ー尊士登場ー井


私の前ってか、上に悪魔教祖が立っていた。私は、抵抗空しく連れて行かれた。村人Cの声が響く。


「ばいばいw」



私は今、四角い水槽に居る。正確には、上にロープで吊るされてる。


「下ろしなさいよ!」


すると、水槽の中に『聖水ポアション不純物100%』とラベルに書いてある。ペットボトルが全部で何本だ?逆さまで、良く分かんない。ポアション?ゲームかアニメのタイアップ商品かな?


「今から、貴様には、ポアションを全部飲んで貰うぞ!アハ!」

「何言ってるの、あんな量飲めないわよ!」

「では、タイムアタックだ!アハ!」

「ちょ、人の話聞けよ!」


いきなり私の身体ってかロープが下に降りる。


水ー10リットルのポアションー槽


息が、で、出来ない!臭い!何コレ……もしかして、小粗相!


「さあ!飲まないと、窒息するよ!アハ!」


何コイツ悪魔だ。最低だ……


「中々しぶといね!30秒経過!アハ!」


苦しい。早く出して。助けて。誰か……


「おろろ?頑張るね!45秒経過!アハ!」


本当に死ぬ。私こんな所で。パパ、ママごめんなさい……


「一口飲んだら、許してあげるよ?全部飲まなくて良いんだよ?助けてあげるからさ?一口だけ飲もうか?アハ!」


死ぬ位だったら、まだ死にたく無い。一口だけ、一口だけなら……ゴクリ。


空ー良くできました!ー中


「良く頑張って一口飲んだね!良い子になったかな?アハ!」

「……」

「嬉し泣きかい?よしよし!慰めて上げるから泣かないで!アハ!」

「……」

「それとも?もしかして?悔し涙かい?反省してないなら!またお仕置きだよ?今度は一口じゃ無いよ?アハ!」

「……」

「だんまり?ダメだよ?嬉しいか、悔しいか言わないと?黙ってたら解らないよ?アハ!」


私は、悔しいに、決まってる。便所水以下を飲んだのだ。でも、もう……逆らう事出来ないよ。


「お、美味しくて。う、嬉し泣き、してました」


この悪魔教祖は、満面の笑みを浮かべてる。キモイ。けど、口に出せない。


「良い子の君に、素敵なプレゼント!アハ!」


すると、段ボールが出て来た。嫌な予感しかしない。


20-聖水ポアション不純物100%ー本


「美味しくて、嬉し泣きする!ポアションファンにサービス!アハ!」

「……」

「全部で10リットル分!遠慮せずに飲んで良いよ!アハ!」

「……」

「全部飲んだら、何と!特別に!お家に帰れるぞ!アハ!」


え?お家に帰れるの?飲むの嫌だけど、我慢すれば、10リットルだ。頑張ればイケるかも?


「い、頂きます……飲み終わったら、お家に帰して下さい!」

「約束は守るよ!君の帰るべき場所だもんね!アハ!」


これさえ飲めば、全部飲み終われば、自由が待っている!



こうして私は、10リットルのポアションを全部飲み干した……そして、天井60センチメートルに戻って来た。


「おかえりw」

「ただいま……」


村人Cは、もうすっかり、馴染んでる。そう、どうやら、ここが、私の家らしい……ああ、今日のご飯は、カレーパンだ。私の好物だ。


「頂きます……」


だけど、外れクジを引いたっぽい。もう味覚も麻痺してるから、当たりなのかもしれない、でもどっちでもいいや……


「尊士様ありがとうございます……」


「やったーw今回は当たりクジだw尊士様ありがとうございますw」


こうして、村人女学院生徒は、全員心が折られた。


続く


第36話『70人のサムライ/尊士鉄道999』


これは板の上の自ら上がってきた、生贄達の物語である……


天井シリーズ感動のフィナーレ!


天井ー5ヶ月目ー生活


もう皆。ここの生活に馴染んできた。一番反抗してた私が、一番正義感に厚く、一番成績優秀な、この私が、村人女学院の生徒会長だった頃が、もう遠い過去である……今では、一番の下である。


「黒うさぎ!私ムラムラしてるからさ!」「黒うさぎ!私さ便の出が悪くてさ!」「イジメたら可哀想だよw」


そう、3人は、私達の生活空間である……今の環境である。天井60センチメートルを仕切ってる。一番下の私は、逆らえない。


「副会長のアソコを清めさせて下さい……」「書記の菊を活性化させます……」


最下層の奴隷である私は、ナンバー1とナンバー2の汚い部分を舐める。

吐きそうだけど、吐いたら、ゲロを食べさせられる。こうして、無我夢中で、舐めまくり、2人を満足させる。大体毎日の日課だ。もう慣れた。


「美味しかったです、また舐めさせて下さい。この喜びを天井に捧げます」

「ふう、すっきりしたー」「あ、ちょい、すっきりしてくるー」「可哀想w大丈夫?」


まあ、いつもの事だ。変わった事と言えば、たまに、天井からお告げが降りてきて、皆、新しい単語を覚えた位だ。

得に村人Cが真っ先に意味を噛み砕き。皆に意味を教える係だ。

目立たない、優しさだけが取り柄の、お馬鹿さんと言うのは、もう過去の評価である。今では優秀な皆の知恵袋である。


「しかしさー村人C頭良いよな!」「そうだよね!村人女学院では、成績が唯一Cランクのお馬鹿さんだったよね?」


そう村人Cの『C』は、昔は『Cランク』の意味だったが、今ではお告げの解読係のスキルと、持ち前の優しい性格で、天井60センチメートルの住人で上から数えた方が圧倒的に早い。

今は『3番手』の意味だ。ナンバー3のポジションに収まる村人Cだった。


「そうかな?私は頭良いの、元からだよw」

「だよなw」「そっかw」


私は昔も村人女学院で、こんな景色あったな、と懐かしい気持ちになり不意に笑みを零す。

すると、ナンバー1とナンバー2が私を不機嫌そうな目で見る。


「笑うな!黒うさぎの分際で!」「最下層の奴隷が、村人Cを笑って良いの?」「皆、許してあげなよ。私は怒って無いよ?」

「ごめんなさい!許して下さい!」


すると、笑顔で私に優しさを投げかける、村人C。


「黒うさぎは私が守るからね?大丈夫だよ?」


私は、嬉しくって涙が出て来た。皆変わってしまったけど。

この子の優しい性格は、今も昔も、色褪せない。変わらないモノって、あるんだ。村人Cは、そう言えば、何も変わって無い。


「村人Cありがとう!」


私は、心の底から、村人Cが好きだ。この想いを天井に捧げます。すると天井から、何かが降って来た。


天ー不幸の手紙ー井


何だろう?紙?便箋かな?私は、天井から舞い降りた手紙を、手に取った。封筒の表に『不幸の手紙』と表記されてる。何だろう?


「おい、手紙降って来たぞ?」「解読宜しくね!村人C!」「うーん、少し時間頂戴w」


不幸の手紙と言えば、自分の所に届いたら、次の相手に送り付けないと、自分が不幸になる奴だ。私も気になって手紙を見てみる。


『不幸の手紙』


悪魔を生贄に捧げよ。俺は日輪の輝きで、悪魔を払う。さあ悪魔達よ、生贄を一人選ぶんだ。俺は不幸だ。悪魔達に心を痛めてる。



手紙の内容は意味が良く解んない。と言うか、天井60センチメートルのルールは、意味不明なモノが多く。

それを解読する村人Cは、実は謎解きとか、パズルとかが得意なのかな?と考える私。ダメだ。解んない。


「解ったw多分これは、1人名前を上げたら、次々に拷問されるパターンだよw」

「もっと詳しく」「どういう事?」


「だからさ、前に黒うさぎが天井60センチメートルから出されたじゃん?それが日輪の輝きを指していて、悪魔を払うってのが、多分ニュアンス的に黒うさぎが受けた拷問の事。後、不幸の手紙って書いてあるから連鎖させるつもり……の筈w」


流石は村人Cだ。村人女学院の『特A』だった私より、頭が良い。と言うか、天井60センチメートルの中では、一番頭が良い。


「そっか!成程な!」「んーでも、抜け道あるよね?」「ああ、あるねw」


私には、抜け道が、解らない……


「あー!生贄になる奴が、自首するのか!」「そうそう!黒うさぎの役ねw」「うーん可哀想w」


私は、八方塞がりになり、抜け道が無い……


「嫌です、た、助けて」


すると、抜け道が無い私に、一筋の光が射した。


「んー、私に考えがあるよ?私が変わりに、生贄になっても良いよ?」


村人Cは、まるで勇者の様に見えた!


「お願い助けて!勇者村人C!」


すると……


天ーお告げー井


『生贄の名前を捧げよ』


「村人Cですw」


こうして勇者村人Cは、悪魔教祖に囚われたのであった。



村人Cが居なくなって、少し日が経った。なんだろ?今日は天井が眩しい。

すると見覚えのある。白装束が現れた。尊士様ご一行である。何だろ?何かのイベントかな?


「今日ってか、昨日か?飲み過ぎたな、エクソシストの諸君!」

「イエス尊士!」

「皆こんな所に公衆便所があるぞ?」

「イエス尊士!」

「皆、連れションだ!」

「イエス尊士!」


すると、天井の穴の上に位置取りする白装束達。嘘でしょ?


恵みー70人のサムライーの雨


天井から黄色い雨が降って来た。私達は雨宿りするスペースが無くて、勢いの激しいスコールを浴びる。

皆顔にはかけて欲しく無いと思い。顔を伏せる。伏せると、どうなるかって?


「顔に浴びせたけど、土下座してる女の頭上に浴びせるのも、いぇすだね!アハ!」

「イエス尊士!」


私は、凄く惨めだ。皆もきっと同じ気持ちだ。そして雨はあがった。


「すっきりしたか皆!アハ!」

「イエス尊士!」


私達は、屈辱的だがお礼を言わないといけない、特に今は村人Cが私の身代わりになって、捕まってるだ。

せめて私だけでも、お礼を言わないと……私は土下座したままお礼を口にする。


「黄色の恵みの雨を降らせて頂き。喉の渇きが潤いました。至情の喜びを天井に捧げます!」

「黒うさぎだったかな?」


私は、70人位の白装束に見習い。


「イエス尊士!」

「ふむ、見事な土下座。天晴れな天井。いぇすだね!」

「イエス尊士!」

「俺の名前を言ってみろ」

「尊士様!」

「その反応いぇすだね!後の皆は?」


すると皆も、慌てて天井を捧げる。


「恵みの雨、有難き幸せです!この喜びを、天井に捧げます!」


すると、尊士様は満足した様だ。


「良し、良い子達だ、明日から、ここから出られる試験をするぞ?良いか!」


え?ここから、やっと出られるの?嬉しい、有難う尊士様!


「イエス尊士!」

「それと、恵みの雨の水溜まりは、飲み干さないと、寝る時に窒息するからな?ちゃんと飲む様に!」


凄い!もう!命の恩人だ!イエス尊士!


「イエス尊士!」


こうして、皆で仲好く、水溜りを別けて、飲み干した。

不味いって思ってたけど、意外に美味しいかな?



次の日を心待ちにしてた。朝ってか。天井の照明が光るのを待ってた。ナンバー1とナンバー2と私でだべる。


「尊士様まだかな?」「早く出たいな」「でもさ、村人C何処に行ったのかな?ずっと帰って来ないよ?」


すると、日輪が輝き。神々し尊士様が、私達の希望が……やっと叶うんだ!


「ではこれより、試験を行う、九十九奉行。準備は良いか?」

「イエス尊士!」


すると、もう一人の九十九奉行と呼ばれた男が、天井の穴から、鉛筆とプリントを配る。


切ー尊士鉄道999ー符


と書いてある。問題も意味不明どころか、宇宙人の世界だ。すると、九十九奉行が説明を始める。


「天井60センチメートルから抜けだすには、尊士鉄道999に乗る必要がある!これは片道切符だ。それと、この切符はフリーパスでもあるから、無くさない様に!」

「イエス……」


皆は返事をしようとしてるが、イエスの次に、何を付けたせば良いのか、解らない。


「イエス奉行!」


私は力強く答えた。


「宜しい!切符に名前をかく事を許そう!但し、テストネームと言って、本名以外を書く事!」

「イエス奉行!」


私は切符の名前欄を見る。すると、横に100点の文字が書いてある。

え?名前付けるだけで、もしかして、出られる?私は嬉しくなり。名前欄に、好きなアイドルの追っかけをしてた頃の名前を書く。

名ー∞ナナメ∞ー前

と書いた。すると、九十九奉行は満足そうにして、ルールを説明する。


「これは出口に繋がる尊士鉄道999の命の片道切符だ!命よりも重いモノだと心得たまえ!999点取れば、出口に着くぞ!」

「イエス奉行!」


確かにこれは、命より重いかもしれない。出口に早く出たい。999点を早く獲らねば!



出ー石原神仙の会ー口


こうして、尊士鉄道999で満点を取った私達は、尊士様の教義に心惹かれて、全員……帰って来なかった村人Cを除く、全員は入信した。


「聖典サムライの心構えは、命より重いです!尊士鉄道999に乗れた幸運に、感謝の意を表し、天井を捧げます!」


こうして、村人女学院の生徒29人は、生涯を石原神仙の会に捧げたのだ。



田舎女学院教室。


「あれ?、村人女学院から来た……誰だっけ?」

「うーん村人Cでいいよw」

「村人ちゃんか、宜しくね私は、たまご」

「たまごちゃんよろw」

「あー生徒会入らない?人材不足でさ」

「私モブだけど?w」

「全然大丈夫!」


田舎女学院の生徒会と親しくなる。村人Cであった。



石原神仙の尊士部屋。


「尊士様wまた潜ったよw」

「木を隠すには森の中。モブキャラのお前に新しい名前を授けよう!」

「ありがとw」

「村人クリティカル!」

「これからも村人きわめるよお(名前のつけ方ザッツwそのままじゃんw)」


天井シリーズ完


後ー@3クール終了と@4クール予告ー書


「どうもペン銀です。一応36話で一区切りです。37話から4クールに突入します」

「ってかさ?お前暗くね?キャラ違うくね?」

「蝶魔か、ふむ、ヒントだ。1クール目、第4話どう思う?」

「ああ第4話ね、あれだけ息してないなw死んでる捨て回だねw」

「4んでる。正解……」

「え?もしかして……最終章なの?4クール?」

「ああ……」

「そっか、寂しくなるな……元気出せよな?」

「俺は元気に第2部も執筆してるけどなw」

「ちょおまw騙したなw」

「いぇすだね!4クール終わっても第2部もあるからなw」

「てか、後書き暗いシリアスになったから、さ、びっくりしたぞw」

「何故それを知ってる!4クール目はギャグでは無くピカレスクロマン?だぞ?」

「ちょwおまw読者減るw」

「皆見てね!じゃあまたね!」


ちょー4クールに続くーおま


第37話『日蝕』


これは日の元平定計画の物語……


尊士の歩み終章スタート!


今日は、大人気対戦格闘ゲーム『ストリート尊士DX』の世界大会だ。勿論。コネクションを使い。全国放送だ。流石は俺だ!

俺は制作者だが、構わず参加する。当然優勝候補筆頭だ。流石は俺だ!


「日の元平定の、力と運を試すぞ!アハ!」



選手表


尊士 ソンシ使いサブ正夢 チーム名 尊士の歩み

美音 子アクマ。エン公 チーム名 親不孝

クリスタ 栗スター。儲ケタ チーム名 信者びっくり

DT ドウ帝。槍ちん チーム名 俺はDTだ

番長 BAN長。王ちゃん チーム名 有罪判決

リリス ぺ天使。ペン銀 チーム名 作者は詐欺師

柚子葉 イさん。サたん チーム名 ファンは財産

九十九 美っち。10脳 チーム名 悪影響


そして、厳選なクジ引きで。1回戦のカードが決まる。


「尊士の歩みと信者びっくり」「親不孝と有罪判決」「作者は詐欺師とファンは財産」「俺はDTだと悪影響」


俺VSクリスタ。美音VS番長。リリスVS柚子葉。DTVS九十九。


1回戦終了


俺の尊士の歩み。番長の有罪判決。リリスの作者は詐欺師。九十九の悪影響。2回戦に駒を進める。


「いぇすだね!」「よお!」「おつちくわー!」「憑くぞ!」


それぞれが、勝利宣言!


「まあ、序の口はクリアだな、いぇすだね!」


2回戦カード。


「尊士の歩みと有罪判決」「作者は詐欺師と悪影響」


俺の尊士の歩み。リリスの作者は詐欺師。が決勝戦に駒を進める。


「いぇすだね!」「おつちくわー!」


次はいよいよ、日の元平定の、力と運が試される。


「ここまで来たんだ、取ったるぞ、日の元平定の運だめしだ!」



精神科の閉鎖病棟で、テレビを見つめる私。チャンネルは、ストリート尊士DX世界大会に合わせてある。


「あ!やっぱり、尊士って、あのソンシだ!」


私の名前は、野良ニャン。ソンシの初恋相手だ。画面越しにソンシを見つめる私。


「顔は面影あるけど、ソンシ太ったなー、でもでも、まだ好きだよ」


そう、私は、昔ソンシと、約束したんだ。そして私は、作業療法の時間に、あるゲームに出合い。ん?って思ったのを思い出す。


「やっぱり、ゲーム中の、ぶニャンって私の事モデルにしてるよね」


私は、ゲームの説明書のキャラ表を見る。



ストリート尊士DXキャラ表※キャラ名の横は覚醒後のキャラ名。キャラに依っては覚醒DX在り。「」は勝利台詞。


ぶニャン らぶニャン 「まあ無難だね」「この世界いらない作り直そう!」


特に、らぶニャンの項目が、お気に入りだ。ソンシは、きっと私の事を想い続けてくれてる。私もずっとソンシの事が好きだ。


「私もきっと、ここから出れて、ソンシと一緒に、この世界を変えるんだ!」


ソンシは、私との約束を、覚えてるみたいだ。そして、ゲームだけど世界大会の優勝に王手をかけるソンシ。


「大丈夫、私が見守っているから、きっと勝てる!」



決勝戦進出選手紹介。


「えー決勝戦の前に、二人の洗脳ファイターの紹介です!まずは、このゲームの生みの親で、最強と言われる伝説の男!」


司会が、俺にコメントを求める。無礼は許そう。流石は俺だ!


「俺は尊士。世界平和の為に戦う。ゴットサムライだ。必ずや平定してみせる!」


俺は、全部を語る気は、更々無いが、まあこの程度なら良いか。流石は俺だ!


「続きまして、まさかのダークホース!ちくわ女のリリス選手!一言!」


「こんちくわー!かつちくわー!」


この女は、ちくわーってしか言ってないぞ?何者だ?ふむ、でも俺の敵では無いな。流石は俺だ!


「続きまして、お二人の使用キャラの紹介です!」



ストリート尊士DXキャラ表※キャラ名の横は覚醒後のキャラ名。キャラに依っては覚醒DX在り。「」は勝利台詞。


主人公ソンシ いぇす尊士、天井典雅唯我毒尊士(てんじょうてんがゆいがどくそんサムライ通称ゴットサムライ)※覚醒DX

「俺ソンシ」「その反応いぇすだね」「流石はゴットサムライ」

隠しキャラ正夢、現実 「私の夢良く当たるよww」「ゆめ?りあるになるよ!」

ぺ天使、田舎っぺ天使 「私よ!私!お金振り込んでね!」「田舎者ちょろいwwマジ天使ww」

隠しキャラペン銀、肯定ペン銀 「後書きに変えて一言」「まあいいじゃん?」



「いやー、流石に良いキャラ選んでますね!」


俺のチームは、ソンシと正夢の。尊士の歩み。

リリスのチームが、ぺ天使とペン銀の。作者は詐欺師。


「さあ!洗脳世界を制するのは?天下分け目の戦の始まり!それでは!決勝洗脳ファイト!」


【決勝洗脳ファイト】


お互いに、牽制合戦だ。俺は、肯定ペン銀に覚醒されたら、やっかいと思い。相手も、ゴットサムライ覚醒を警戒してるだろう。

牽制してる内に、洗脳ゲージが3本溜まる。

俺は、ソンシをいぇす尊士に覚醒。リリスも、ぺ天使を田舎ぺ天使に覚醒。

ん?何故だ?普通なら、最強キャラの肯定ペン銀の筈だ。操作ミスか?まあいいチャンスだ。流石は俺だ!

俺は、いぇす尊士の超必「尊士体操」を発動させて、田舎ぺ天使を沈める。流石は俺だ!

後はいかに、最強のペン銀でも、2対1では、楽勝だ。流石は俺だ!


その時だ。画面が、ブラックアウト?

画面が消えた!否。会場全体が停電だ。どよめく会場。



私は、テレビ画面に釘付けになってた。後もう一息で、ソンシの勝ちだ!

画面が消えた!ん?停電?違うな、テレビの電源ランプも点いたままだし。恐らく、大会会場の停電だろう。


「せっかく、良い所だったのに!」


だが、テレビ画面が明るくなった。復旧した様だ。司会者が、映ってる。邪魔だよ!ソンシ映せ!


「えー、只今の試合は、途中停電のアクシデントに見舞われたので、録画映像で判定決着の結果!勝者尊士!」


まあ、確かに誰がどう見ても、ソンシ優勢だったな。


「おめでとうソンシ」


テレビ画面で、司会者が、頭を下げる。


「後、予定していました、ヒーローインタビューは中止です!会場の皆も、テレビの前の皆もお疲れ様!」


え?何で、楽しみにしてたのに……



俺は、尊士部屋に戻り。メロン……いや、そんな気分になれない。


「日の元平定に、陰りが出るやもしれん……俺の日輪が一瞬でも光を失うとは、不吉だ」


今日は、恐らく眠れ無いな。俺は眠れずに、昔の事を考える。思い出すのは、ニャンの事だ。


「そうだ、確かニャンを傷物にした宗教があった筈だ……見つけ出して。仇打ちだ」


俺は、日の元平定の礎として、カルト狩りを始める事を決めた。


続く


第38話『ヴァンパイアハンティング』


これは運命の交差点の話……


交差点シリーズ始動編。赤信号。ライバルキャラ初登場!


俺の名前は『日輪セイギ』脱洗脳家をやっている。世間では、あまり脱洗脳家は認知されて無いらしく、俺の事を探偵か何かだろと思ってるらしい。

だが俺は、立派な脱洗脳家だ。「ストップカルト」をスローガンに掲げて、活動してる。

特にSEX教団は大嫌いで、今は謎のSEXカルトを追っている。

テレビでやっている、連続女子児童拉致事件との接点があるのでは?と睨んでいる。


「SEXカルトに赤信号を突きだしてやる!」


そう、俺はSEX教団に大切な人を奪われて、復讐に燃えてる。正義は俺だ。


息まく俺は、コーヒーを飲む。テレビや新聞では、連続女子児童拉致事件の話題で持ちきりである。新聞広告が目に付く「某カルト教団の黒い噂」と見出し広告だ。本屋に行こう。



俺は交差点を渡ろうとして、赤信号が、青信号に変わるのを待つ。すると、巨漢の男性とすれ違う。

ん?見かけない顔だな?あんなに、ガタイMAXで、更に人相が悪い、所謂コワモテだ、俺の認識では、警察か暴力団関係者だ。



俺は、謎のSEXカルトの情報を集めているが、芳しく無い。尊士部屋でメロンを食べながら、テレビと新聞に喰い居る。

俺は「日の元平定」を掲げて、対抗組織をどんどん潰しに行ってる。

特にSEX教団は許す訳には行かない。流石は俺だ!

俺は宗教統一の構想を持っている。もう大分、敵対組織に認知されてる。


「ヴァンパイア達を、この日輪の輝きで焼き払う!」


俺はSEX教団の事を、通称ヴァンパイアと呼んでいる。俺がヴァンパイアを憎むのには、訳がある。

俺の初恋相手が毒牙に侵されたからだ。悪魔狩りの最優先目標は、ヴァンパイアである。


「待ってろよ、仇は取るからな……ニャン」


とりあえず、テレビと新聞と、睨めっこするのに飽きたので、本屋で漫画雑誌を買う。



交差点を渡った時に、1人の優男とすれ違う。いや、優男と言う表現は適切ではない。痩せているが、人相が悪い。所謂強面だ。刑事か探偵だな。



週刊誌は、ただの陰謀論だった。出版社にクレームを付ける。正義は俺だ。


「おい!適当な事書いてるんじゃねーよ!」

「すいません、不適切な表現でした!」

「謝りに来い!」

「いや、そちら様が出向いて下されば……大体何故そんなに目くじらを立ててるのですか?関係者の方ですか?」

「あー、関係者って程でもないが、脱洗脳家の日輪セイギと言う者だ!」

「あ!今度我が社で本を出されませんか?私ファンです!」

「それはいぇすだね!あーじゃあ今から行くわ」


こうして、出版者に出向く俺。正義は俺だ。すると、出版の話以外にも、話題の中に確かにあった。真実への光明だ。正義は俺だ。真実は目前だ。



俺はエロ漫画雑誌を久々に購入して、尊士部屋で、kikikiと改名した奴隷に、ご奉仕をさせる。勿論エロ本読みながらだ。この女は完全な奴隷なので、文句一つ言わないで、俺の聖剣を清める。流石は俺だ!


「両手が空いて、エロ本両手で見れるから楽チン!最高だな!」

「尊士様の聖剣美味しいです」


こうして、頁を楽々めくる俺。流石は俺だ。すると、ある漫画に目が止まる。『ぶりっ子ハッピー』と書いてある漫画だ。どこかで、聞いた事のある……何だったな?思い出せん!


「kikikiよ、ぶりっ子ハッピーって何だ?」

「んー、確か初代魔女っ子シリーズに、魔女っ子ハッピーってあります。エロパロじゃないですか?」


俺は、そう言えば、ニャンが好きだったアニメのタイトルだったな、と思い出す。しかし、この漫画は何か真に迫る迫力がある。


「いぇすだね!」


俺は、あまりのエロさに、果ててしまった。勿論kikikiに嚥下させる。流石は俺だ。


「美味しかったです」

「んー美味しい、だけではツマランから、今度から気のきいた事言えよ?」

「イエス尊士」


こうして、奴隷kikikiに新しい宿題を与えて下がらせる。流石は俺だ!


「しかし妙にリアルだったな」


こうして、俺は真実に近い部分から、遠ざかってる事を、後で知る。



俺が入手した情報を整理すると、プロ漫画家志望の子が、どうやら被害にあった後に、逃げ出す事に成功した。って情報だ。

コンタクトを取る事にも成功して、情報を引き出す。

引き出した情報によると、教祖は鬼の様な形相。トマトが好物。そして、教団の居場所だ。

それと、もう1つの組織が、SEX教団を取り締まる予定らしいと噂を耳にした。

俺は脳裏に交差点ですれ違った男が、浮かぶ……まさかな?

俺は教団アジトの方へと歩みを進める。


「さて、赤信号を突き付けに行くか!」


正義は俺だ。



俺は、とある筋から、情報を入手して、ある女性とコンタクトをとる。プロ漫画家もどきの女だ。

色々聞くが、歯切れが悪い。教祖は鬼の様な形相。トマトが好物。そして、教団の名前だ。

まあ、名前が分かれば後は楽だな。もう一つの組織が、SEX教団を取り締まる予定って噂も聴いた。

俺は脳裏に交差点ですれ違った男が、浮かぶ、まさかな?俺は教団アジトを探索する。


「ヴァンパイアハンティングだ!」


流石は俺だ!


続く


第39話『怒りの日輪』


これは運命の交差点の話……


交差点シリーズ決着編。青信号。メインヒロイン初登場!


私は、ゆめちゃん。もうすぐ小学校の卒業式を控えてる。孤児院育ちなんだけど、ママも友達も優しい、早く中学校に行きたいな!孤児院に戻った私をママ達は暖かく迎えてくれる。


「おかえりー」

「ただいまー」


こうして、ご飯食べたり、お風呂に入って、今日もおやすみの時間になる。


「そうだ、ゆめちゃん、明日お買い物に連れて行くね」

「うわーい、ありがとうママ!おやすみなさい」


こうして、私は眠りにつく。夢の中で、素敵なオジサンが私を助けてくれる夢を視る。



次の日


目覚めた。私は良く正夢を見るから、良い事ありそう。ラッキーな事があります様に!


「おはよー」

「おはよう、ゆめちゃん、さあ買い物に行くよ?仕度してね」

「うわーい」



ショピングモールに着くと、ママが、知らないオジサンを紹介した。誰だろう?


「君可愛いねーお名前は?」

「ゆめちゃん!」

「ゆめちゃんかー可愛い子だねー」


何か恐怖を感じた私は、ママの後ろに隠れる。


「ダメでしょ?隠れたら、め!」

「嫌われたかな?プレゼント買ってあげるから、機嫌直してねー」


プレゼントと言う言葉に反応する私。


「うわーい、ゆめちゃんね、ゲーム欲しい!」

「もっと良いモノだよー」


こうして、オジサンは私の身体をメジャーで測り。ベタベタ触ってくる。気持ち悪いよ。


「……」

「ん?ゆめちゃん、結構大きいねー」


私は泣きそうになる。けど、ここはお店の中だ。もう子供じゃ無いから、泣くのは我慢する。


「ゆめちゃん?どうしたの?この人は、新しい先生だから、ゆめちゃんの新しいパパなんだよ?」


え?このオジサンが新しいパパなの?嫌だな。何か顔も鬼っぽいし、怖い。


「じゃあ少し待っててね、買って来るからねー」


こうして、オジサンが、売り場から数分後に帰ってくる。


「はい!プレゼント!」


知らないアニメの洋服をプレゼントされて、困る私。もう子供じゃ無いのになぁ。でも、一応お礼を言わなきゃ。


「オジサンありがと」

「喜んだ顔も可愛いねー」

「良かったわね、ゆめちゃん」


こうして買い物終了。早く孤児院に帰りたいなぁ。


「そうだ、ゆめちゃん!お祈りに行きましょう!実は新しいパパは、有名な神父様なんだよ!」

「うーん、ママも一緒なら良いよー」



グリーンライト

と看板に書いてある。俺はSEX教団のアジトを突き止めた。教会の様な意匠の建物だ。

これ以上被害者を増やす訳にはいかない!正義は俺だ。早速中に突入する俺。正義は俺だ。


「どうやら、先客は居ない様だな……」


もう一つの組織の取り締まり役が、交差点の男だと、裏も取れてるし、世間に俺の存在を知らしめるチャンスだ。正義は俺だ。


「きっちり赤信号を出してやる!怒りの日輪の力を思い知らせる!」


すると、中はトマトジュースだらけだ。何だここは?だが、立ち止まる訳には行かない。もう1つの団体に先を越される訳には行かない。正義は俺だ。


「しかし、何だこのトマトジュースの山は?」


俺は、ジュースの缶を一つ手に取る。中は空き缶で、鍵の様なモノってか、鍵が入っている。


「何の鍵だ?」


すると、誰かが、入って来る気配……入口のドアが開く。咄嗟に隠れる俺。

まさか?交差点の男か?もう嗅ぎつけたのか?3人入ってくる。先頭の男は、何処か顔が、交差点の男に似てるが、体格が違う。


「さあ、ゆめちゃん、ママと一緒に懺悔室に行こうか?」

「うん……」

「大丈夫よママも一緒に着いてくからね?」


どうやら、ここの教祖の様だ。交差点の男より先に嗅ぎつけたのは、僥倖だ。正義は俺だ。


「さあ、こっちだよー」


俺は見失わない様に、こっそり尾行する。正義は俺だ。



私は怖い。目の前のオジサンの目が、とっても怖い。今は目は見えない。鬼のお面を被ってるオジサン。


「仮面装着!さあ、ゆめちゃん、御着替えしましょうねー」

「ゆめちゃん?何してるの?新しいパパの言う事を聞きなさい!」


懺悔室の鍵を閉めるオジサン。様子が変なママ。震える私。部屋の中央にランドセル。


「……」

「ランドセルは天使の羽」

「ママが手伝うからね?」


私は怖くて何も言えない。すると、オジサンが、DVDを棚から出して、私の目の前に持ってくる。


「じゃあ、お勉強だー」

「……」


DVDには、私くらいの女の子がパッケージに写っていて、アニメキャラの衣装とランドセルを背負っている。何コレ?


「俺は止まった仮面!君は、魔法の国から選ばれた!伝説の少女!ぶりっ子ゆめちゃんだ!」

「……」


止まった仮面って何?鬼の仮面……怖い。


「先代の魔法少女の中で、誰がお手本になるかな?」


DVDのコレクション……


「じゃあ、この子に決めた!」


オジサンは、DVDを一本選び、再生する。


「ママー助けて!お家に帰りたいよー!」

「ダメよ?パパの言う事聞かない悪い子は、お家に帰れないんだよ?」


私は言葉を失った。誰か助けて……



俺は懺悔室に突入した。正義は俺だ。


「そこまでだ!」

「何者だ!ここを何処と心得る!」


そこには、般若の面を付けた、どう見ても変質者が居た。正義は俺だ。


「……」


小さな女の子が、震えてる。正義は俺だ。


「この変質者め!お前はポアだ!」

「俺は、止まった仮面だ!トマトアタック!」


俺と変質者の一撃が、交差する。


「日輪の輝きを、思いしったか!」

「ぐえ……」


俺の右ストレートが、運命を決する。

こうして、ヴァンパイアを、怒りの日輪で退治した。正義は俺だ。流石は俺だ!


「すいません命だけは……」


ヴァンパイアに生贄を貢いでる魔女が残ってる。


「幼い子供を、生贄にする魔女め!貴様も同罪だ!」


こうして、魔女も無事に倒した。



女の子に声を掛ける。泣いてる女の子。


「さあ、これでもう安心だ、もう大丈夫だ!お家に帰れるんだぞ?泣きやめ!」

「私……もう帰る場所無い……」

「そうか……」


事情を察した俺は、この子の希望になろうと思った。何故かは解らないが、ほっとく訳にもいかない。


「今日から、俺の娘だ!」

「うん、他に行く所無いから……そうする」


俺に娘が出来た。後は面倒事は嫌いだから、置き手紙を残した。交差点の男が、気付くのに期待して家路を急ぐ。

行き場所を失った可哀想な新しくできた娘と一緒に家に帰る。



ワイドショー


「グリーンライトの教祖の止まった仮面の追加情報が入りました。ではゲスト登場です」

「こんにちわ、連続女子児童拉致事件担当の古株です」「同じく新米です」

「では、お話を聞かせて下さい」

「こちらのパネルをご覧ください、止まった仮面、本名、日輪セイギの人物像です」


元は脱洗脳家で、「ストップカルト」をスローガンに掲げてた、特に性的虐待をするカルト集団を標的にしてた。

とうとう、SEXカルトを潰したが、元信者達から感謝されて、肉体関係を持ってしまい。旨みに気付き、自らSEXカルトの教祖になる。


昔は正義の味方だったので、仮面を付けている。止まった仮面とは、自信の正義の心を止めて心に仮面を被ると言う意味である。自分の心を鬼にする為に、般若の面を付けている。

仮面を付けている時は、某幼女アニメの敵キャラになりきる。鬼畜な性格に変わる。


また仮面の無い状態だと、紳士的な面もあるが仮面を外すと、罪悪感に襲われる。2重人格者。

被害女児と行為に及んだビデオの内容が、某幼女向けアニメのパロディである。幼稚な一面もある。

双月シンシの偽名を使う。本名日輪セイギ。好物はトマト。『怒りの日輪』著者。


「いやー凄い人物ですね、古株刑事コメント貰えますか?」

「実は昔、赤信号と言うカルトを潰すのに協力してくれた人物でもあります。本当に残念です」

「そうですか、新しい情報ですね。新米刑事コメント貰えますか?」

「そうですねー実は、捜査現場に私宛の置き手紙がありましたご覧ください」



連続女子児童拉致事件で奔走されてる、新米刑事へ。ヴァンパイアは日輪の輝きで焼き払った。


運命の交差点より。



「んー謎の手紙ですね」

「しかしヴァンパイアって喩は適切な表現ですね、ミイラ取りがミイラになるより、適切です」

「ほうほう古株刑事はどう考えますか?」

「血の味を知ってしまったのでしょう、ヴァンパイアハンターの末路がヴァンパイアとは、皮肉なモノです」

「昔は、どのような人物でしたか?古株刑事はお知り合いだと、先ほど発言されましたが」

「昔は正義感に熱い男でした。新米のように、痩せ気味で、意思の強い顔立ちでした。今はブクブク肥えて見る影も無いです」

「そうでしたか。では、赤信号と言うカルトについて詳しくお願いします」

「もう遠い記憶ですが、教祖はガリガリで、鬼の様な顔をしてる……思い出したく無いですね」



尊士部屋で、娘のゆめちゃんとテレビを見る俺。新米刑事に置き手紙を残したのは正解だったな。流石は俺だ!

今日のメロンは格別美味い。娘のゆめちゃんにも、特別に分けてあげる。流石は俺だ!


「しかし、相変わらず新米は探偵見たいな顔立ちだな。古株は太り過ぎだろ?赤信号か、何処かで?はて?何処だったかな?」

「パパー、何で、置き手紙に名前書かなかったのー?」

「ああ、少し事情が、あってな」


ゆめちゃんは、子供の割に鋭い事を言う。流石は俺の娘だ。


「ゆめちゃんのパパは凄い人なのに!自慢したいよー」

「パパはね、世界一偉い人になる人物だよ」


娘に夢を与える。


「えー、嘘w」

「まあ、まだ先の話だからな、そうだ、ゆめちゃんにプレゼント!」


娘にゲームを与える。


「わーゆめちゃんの欲しかったゲームだ!ありがとう!パパ!」


しかし、一つだけ、与えて無いモノがある。新しい名前だ。この子にだけは、付けなかった。

意味は大きくなったら、気付いて欲しい。



赤信号を青信号に変えた、止まった仮面は、運命の交差点の頭上に輝く、怒りの日輪に滅ぼされたのだ。


続く


第40話『総集編』


第1クール。


第1話。尊士登場。

第2話。小粋仲間になる。後の奉行。

第3話。ハチ仲間になる。後の奉行。天秤開発者。聖典サムライの心構え。

第4話。この回特に意味無い。

第5話。専門用語多数登場。天井。悪魔界。悪魔払い。流石は俺だ初。

第6話。記念すべきファンサービス第1弾。雪林檎。檻DX。天秤初登場。専門用語、瞑想。聖典『天秤』

第7話。ファンサービス第2弾。神無月男仲間。幹部入り。聖典サムライの心構え抜粋『勝利者』

第8話。ファンサービス第3弾。刃月信者入り。ストリート尊士初登場。格ゲーDX。聖典『楽園』

第9話。記念すべき恐怖のファンサービス第1弾。kikiki登場。何気にメロン初。カレーDX。女性記者奴隷化。聖典『因果応報』

第10話。ファンサービス第4弾。野良猫。尊士の過去編第1回目。尊士の正義の理由明らかになる。

第11話。ファンサービス第5弾。美音。天秤販売。複数のDXから選ばせる。お冷DX、蜂蜜DX、リンゴDX、カレーDX。聖典『DXDX』

第12話。ファンサービス第6弾。白銀。テスト初登場。初めての、処刑。コンクリ詰め。


第2クール。


第13話。「いぇすだね」初。ゴットサムライ初。聖典『鎧』

第14話。尊士体操初。ストリート尊士ネット対戦初。刃月父ラジコン化。ゲーム業界とコネクション出来る。聖典『煩悩退散』

第15話。尊士原付盗む。原付ゲット。尊士実は無免許運転。

第16話。ファンサービス第7弾。九十九。後の奉行。禁断の果実設定のメロン。メロンカレーDX。聖典『禁断の果実』

第17話。ファンサービス第8弾。空砂。初のシリーズ物。ファイナルプライドサムライ。通称FPS。尊士制作ゲーム第1作。

第18話。ゲームシリーズ第2弾。課金通貨『万歳』登場。ポアション登場。

第19話。ゲームシリーズ第3弾。

第20話。ゲームシリーズ第4弾。運営のメールの罠初登場。

第21話。ゲームシリーズ第5弾。刃月コーポ初登場。空砂信者入り。FPS裏設定。ファンプロデュース尊士。

第22話。尊士の過去編第2回目。

第23話。テスト前の予習初登場。悪魔の種類別ける初。魔王サタンとエクソシストの設定。

第24話。テスト第2弾。最高幹部の名称『奉行』初登場。


第3クール。


第25話。ゲーム外伝。サル、カッパ、ブタ、入信。後の尊士Pのアイドルユニット。天竺ムゲンのメンバー。聖典『人生遊戯』

第26話。ファンサービス第8弾。きつね。聖水ポアション果汁50商品化。講演会『尊士一座』。尊士の超能力、空中浮遊初登場。

第27話。ファンサービス第9弾。ヒッキー。天樂。邪魔放送作家とコネクション持つ。ポアション工場初登場。

第28話。ファンサービス通算14人目記念。∞。恐怖のファンサービス第2弾。天竺ムゲン初登場。猿、河童、豚、馬DX。

第29話。絵本物語初登場。孤児院に配る。ベルトコンベアDX。後書きの魔術師の後書き。幻の第4サティアン。

第30話。恐怖のファンサービス第3弾。ファン感謝祭。だるま、クリスタ、柚子葉、DT。ストリート尊士DX初。達磨DX。

第31話。尊士の過去編第3回目。尊士の両親初登場。

第32話。映画、AV初登場。ホモDX、ゲイDX、BLDX、鍔迫り合いDX。映画界とのコネクション。

第33話。日の元平定計画書サンアタック。尊士のメロンソーダ。3奉行決定。カースト制度のバッチ。初登場。

第34話。天井シリーズ第1弾。天井60センチメートル初登場。ファンサ19人目村人C。

第35話。天井シリーズ第2弾。13日のカレー。10リットルのポアション初登場。尊士シリーズ初の2本立て。

第36話。天井シリーズ第3弾。70人のサムライ。尊士鉄道999。ファンサ20人目たまご。


第4クール。終章。


第37話。ストリート尊士DX世界。ファンサ通算21人。22人目。番長。リリス。現代の時間軸にニャン登場。尊士、判定決着で優勝。

第38話。信号シリーズ第1弾。赤信号。ライバルキャラ初登場。設定ヴァンパイアハンティング初登場。

第39話。信号シリーズ第2弾。青信号。メインヒロイン初登場。ファンサ23人目。ゆめちゃん。他カルト。警察初登場。


††


俺は、娘のゆめちゃんに、今までの俺の伝説を語り聞かせる。流石に天秤の書と言う。ポチの報告書は見せられんが……流石は俺だ!


「どうだ?パパは凄い人だろ?」

「パパ凄い!」


凄いだけ?何か寂しさを覚える俺。具体的にどこが、どう凄いのか聴いてみる事にしよう。流石は俺だ!


「ゆめちゃん、具体的に凄いと思う箇所を言わないと、パパ悲しいぞ?」

「んー?うーん……」


考え込むゆめちゃん。答えを待つ俺。流石は俺だ!


「やっぱり、ゲームの世界チャンピオンのパパ凄い!」


どうも、この子は、ゲーム好きな様だ。ふむ、洗脳……じゃなくって、教育はゲーム中心だな。流石は俺だ!


「ゆめちゃんはパパの娘だからな!将来は立派な世界王者になるんだぞ!」

「頑張る!パパより強くなるね!」


将来有望な娘を持てて幸せだな。流石は俺だ!


「じゃあ明日からゲームの特訓だ!」

「今日からだよ!パパ!」


これは一本取られた。関心する俺。流石は俺の娘だ。


「よし!洗脳ファイトだ!」


こうして、娘に洗脳教育を施す。良い父親だな。娘も喜んでる。流石は俺だ!


続く



後書きの魔術師の後書き。


初めての、総集編な訳だが……どや?

ちょwおまw需要あるのか、これw

ふむ、あるかも?

ちょwおまw大体さメインヒロインの登場が遅いw

それは、いぇすだね!

ってかさ?このタイミングで、総集編って事はさ、物語加速する?

格闘ゲームの決着くらい加速するw

ちょwおまw加速装置すぎるw

後さ、お前も、俺も、一応格闘ゲームのキャラな?

まさか?俺も、もしかして……本編初登場フラグ!

さー、どうだろね?

ちょwおまw気になるw

見てのお楽しみって事だな。


次回も期待あれ


第41話『ゴットNO』


これは加速する世界の物語……


尊士の歩み最終章!最高潮編!


俺は尊士部屋で、メロンと水を飲んでる。流石にメロンとメロンソーダの組み合わせに飽きてきたからだ。流石は俺だ!


「面白い番組無いかな?いや、久しぶりにニュース観るか」


ニュース


「最近、男児の家出が、多いですねー」

「ええ、非行少年は、前から居ましたが、最近は多いですねー」


ツマラン!変更!


格闘技紹介


「自分を鍛えよ!氷柱道場門下生募集!それではシハンの試し割です」

「奥義!氷柱砕き!」

「ムエタイ道場!氷柱道場!先客万来!」


ムエタイ?空手かと思ったぞ?普通の道場に興味無いなぁ。強いオ―ラを感じるが、ただの武道の達人だろう。覇気を感じるが、それだけだ。しかもかなり高齢だ。


「後継者でも探してるっぽいな、少しワロタ」


後はミネラルウォーターのCMで、俺が飲んでる銘柄と一緒だなって思った。流行り物かな?でも、ただの水だしな。



「友達だろ?」


一つ上の先輩から、呼び出されて、渋々着いて行く。何処に行くのかな?僕怖いの苦手なんだよな。


「ここ?病院?」


建物に見とれてると、先輩が姿を眩ませた。一人残される僕。すると、ヤクザっぽい顔立ちの、看護服姿の男達が数名現れた。怖い、不意に脳裏に、ヤクザ医師という言葉が浮かんだ。すると、男達は、僕に爆竹を投げつけた。


「熱!痛!何するんだよ!」

「大変だ!火傷してる!直ぐにラブ先生に見て貰わないと!」


男のリーダー格っぽい男が、僕の腕を引っ張る。痛い!


「若頭!ずるいっすよ!結構、上艶の若竹じゃ無いっすか?ポイント分けて下さいよ!」


取り巻きの一人が、意味不明な事を言ってる。上艶の若竹?ポイント?


「ダメだ!俺が捕獲するんだ!」


こうして、僕は病院の中に引き摺りこまれた。エレベーターで3階に連れて行かれる。どうなるの?怖い。


「さあ、火傷してるから集中治療室だ!」


火傷させておいて、自演?


「ようこそ!かぐや姫へ!んー上艶の若竹ちゃんね!いいわ!」


そこには、女医さんが居た、美人さんだ。見取れる僕。でも、筍食べてる女医さんって、筍医者って言葉が脳裏に浮かぶ。


「あのー僕、家に帰って宿題しないと……」

「お姉さんが、保健体育の課外授業教えるからねー」


僕は、期待してしまった。こんな美人な女医さんと……ゴクリ。女医さんは、お箸を置いて筍を食べる手を止めた。


「治療受けたかったら、そこにある病衣を着てね?」


お姉さんから、色気ムンムンなオーラが出てる。即答する僕。


「はい!」


病衣には、タケノコ11号と書いてある。意味が解んないけど、まあいいか。着替え終わる。すると、お姉さん。


「本当なら、水で消毒するんだけど、君好みだから、イキナリ皮剥きね!」

「ぎゃーーー!!」


子供の僕は皮をズル剥けにされて、血がどばどば出てくる……痛いってもんじゃない!!


「やっぱりイケメンショタの血は美味しい!ゲットラブ!」

「痛いよー!止めてよ!」


こうして、僕は筍医者から、全てを奪われた。早く帰りたい……


「治療終わったから病室に戻りましょう!」

「家に帰して……」


するとヤクザ医師達が僕を取り囲む。何だろ?


「じゃあ竹取集の皆後宜しく!」

「了解!月兎ラブ先生の我田引水に乾杯!」



こうして僕はタケノコ籠11号室に閉じ込められた。檻だ。出られない。家に帰りたい……神様助けて!

しかし、一向に助けは来ない。僕は、ここの病院食である。「かぐや姫の月見団子」と、水を飲む。

水の入ってるペットボトルには、「不老長寿かも?」と書かれていて、ぞっとする。


「ずっと籠の中なの?」



「友達だろ?」


僕は、イジメッ子に言われるがままに、最近流行のムエタイ道場に行く。道場は一見普通だが、ムエタイって畳でするの?


「こんちくわ!」


僕は、イジメッ子から教えられた挨拶をする。すると、茶帯の人達から、囲まれる。


「舐めてるのか?ああ!」

「いえ!そんな事無いです!ただ、友達に、挨拶して来いって言われて……アレ?」


イジメッ子は、脱兎の如く逃げ出した。置いて行かれる俺。ヤクザの様な顔付きの、ムエタイ家?から囲まれて。


「ああ!友達なんか居ないぞ!ここの挨拶は、押忍だ!」


こうして、僕はボコボコにされる!すると、少し後に、黒帯の人が道場に来た。誰でもいいから助けて!死ぬ!


「何をやってる?」

「若!コイツが、こんちくわ!って舐めた挨拶をしたんですよ!」


若と呼ばれた、黒帯の方は、茶帯の人達に、鉄拳をかます。


「馬鹿野郎!挨拶の仕方は、口頭で説明すれば良いって、口を酸っぱくして言ってるだろ!」

「すいませんです!若!練習に戻りますね!」


僕は黒帯の方から、助けられた。口の中が酸っぱい……水が飲みたい。


「君大丈夫か?水だ、飲みなさい」

「ありがとうございます!助かりました!えーと……」

「俺?ああ、逆者って言うんだ……ここの2代目候補だ」


凄く強そうで、優しそうな、お兄さんである。カリスマオーラ出てる。僕もこの人みたいになれたらなぁ。


「僕は亀吉って言います!逆者さんみたいに、強い男になりたいです!押忍!」

「そうか!じゃあ君は、今日から俺が、指導しよう!着いて来い!」

「押忍!」


僕は、茶帯達に殴られた痛みよりも、ずっと強い衝撃が、身体に走った。身体の痛みでは無く、なんと言うかカリスマだ。

一通り、身体を動かして、休憩時間になる。すると、2代目候補最有力の、逆者さんの、お話が始まる。


「門弟の皆、脱水症状に気を付けてね!水が無いと、人間死んでしまうからね!適度な水分補給をする事!」

「押忍!」


こうして、本日の稽古が終わり。逆者さんの、ありがたい話が始まる。


「水は気を付けないと、水中毒ってのもあるから、皆は適量を飲む事!家に帰ってガブ飲みしない事!」

「押忍!」


家路に着きミネラルウォーターを飲む、美味しいけど、逆者さんの教えは守らないとな!適量!適量!


「明日も頑張るぞ」



娘のゆめちゃんが、習い事したいと言い出す。聴くと。ムエタイとゴルフだそうだ。両方却下する俺。流石に空気が悪い。


「友達に誘われたから」とゆめちゃん。俺は、あんまり一緒に居ないからなぁと思い「一緒に遊ぼう」と誘う。

しかし珍しく反抗するゆめちゃん「もう眠いからおやすみパパ!」

うーん、仕方無い「ゆめちゃんおやすみ」



次の日。側室の雪林檎に特別にゲームを与えゆめちゃんの遊び相手になる様に指示。快諾する雪林檎。


「尊士様の娘なら、私の娘も同然ですwお任せあれw」


こうして雪林檎のお陰もあって、ゲームに戻るゆめちゃん。安心する俺。世界は平和だ。



私は、パパの側室って呼ばれてる内の一人。雪林檎ちゃんと、ゲームしてる。ん?何で「ちゃん」なのかって?なんか「友達親子」が、なんたら、って言ってたなぁ。


「雪林檎ちゃん、いつも遊んでくれてありがとう」

「友達だろ?w」


続く


第42話『ファンサたん』


これは最初の出会い……


※歳月が流れて3年後の世界。


ストリート尊士DX第2幕~最後の誇りサムライの道~

ジャンル。格闘ゲーム。

システム


1ラウンド一本勝負。今回はタイマン。サブは守護霊扱い。


プライドゲージ。体力ゲージ。

洗脳ゲージ。必殺技ゲージ。初期値1本最大値10本。

天井ランプ。点灯してると天井発動可能。

FPSランプ。点灯してるとファイナルプライド発動可能。

タイムゲージ。洗脳ファイトの制限時間。999から減っていく。

砂時計。覚醒タイムゲージ。99が最大時間。但し八段以上だと制限時間無し。

信者数。スコア。対戦に勝てば全取り。負ければ減る。段位によって獲得量が変わる。キャラ育成ポイントでもある。



覚醒。洗脳ゲージを3本使用して、キャラクターを変身させて性能アップ。なお段位が低いと制限時間あり。キャラにより段位制限あり。


降臨。プライドゲージを4割消費して、サブキャラの霊を下ろし、攻撃力アップ、防御力アップ。段位が低いと使用不可能。

また。降臨を繰り返し使うと、キャラ同士の愛称アップ※最大100%。性能の伸び率が変わる。三段から使用可能。


天井。1ラウンドに1回任意のタイミングで発動可能。洗脳ゲージ2本回復。相手の連続技中に割り込むと、強制的に無敵時間10秒と吹き飛ばし効果付き。なお吹き飛ばした相手に追い打ち可能。段位上がると無敵時間延長。


限定空間天秤。相手を自分の土俵に誘い込み。余ダメージアップ。被ダメージダウン。また。制限時間は段位によって延長。背景ステージ変化。


洗脳奥義。超必殺技。洗脳ゲージ1本使用。

DX奥義。限定空間「天秤」でのみ使用可能な潜在奥義。洗脳ゲージ3本使用。



ファイナルプライド。プライドゲージが3割以下になると1回任意に発動可能。発動すると、キャラクターが無条件で覚醒可能

。洗脳ゲージ1本回復。また、限定空間「天秤」に相手を引き込んで、余ダメージアップ。被ダメージダウン。一発逆転を狙え。


隠しコマンド。降臨覚醒。特定のキャラ同士で降臨(相性100%)した後に、洗脳ゲージ10本使って発動できる。条件が厳しい為完全に趣味。しかも八段専用。達成するのに時間かかる。


コンボ。降臨2回発動後(PG残2割)にファイナルプライド発動キャラ自動覚醒。~天井発動(PG3割以下で任意発動可能)ファイナルプライド発動等。



洗脳奥義を繰り出し、相手のプライドを砕け!洗脳ファイトに勝ち信者を集めろ!信者を使いマイキャラの段位を上げろ!


段位システム。キャラ育成要素搭載!


初段~八段まであるよ!



キャラ表。名前。立場。台詞。


新主人公。正夢。ゲスト?。「ってか夢でしょwこれw」

新ライバル。悪夢~虚構。?。「こうなったら世界オワタ!」

ラスボス。ゴットサムライ。※CPU専用キャラ。「この展開いぇすだね!」守護霊はペン銀固定。降臨覚醒でAg尊士になる。

隠しキャラ。ペン銀。奉行。「ふむ、全部俺の所為だって?まあいいじゃん?」


新キャラ。名前。立場。台詞。


多田~タダ其。奉行。「ってかさ?100話じゃ無いじゃん?それw」

ハチ~番犬。奉行。「番犬の意地!」

九十九~九九九。奉行。「え?俺新キャラ!頑張る!」


旧キャラ。名前。立場。目的。台詞。


槍ちん。サムライ。下剋上。「女独占するゴットサムライを倒す」

ポア助。サムライ。下剋上。「文明退化での食料難の世界を救う」

BAN長。エクソシスト。休暇欲しい。「めんどくせえ、よお!」

蝶魔。エクソシスト。休暇欲しい。「ペン銀ちょおまwいい加減にしろw」

ドウ帝。落ち武者。復権。「これはイジメだ。」

ショ汝。落ち武者。復権。「ってか2次元に帰りたい。3次元キモイ。リア糞!この世界はもっと糞!」

ズキュン。反乱軍。世界解放。「狂ちゃんの仇打ちだぞー。ゴットサムライの心臓にズキュン!」


ぶニャン。ゲスト。?。「ぶニャン!私は、らぶニャン!」

エン公。珍洗組。人権復帰。「ってかさゴットサムライと寝てもタダ働きじゃん?金欲しいw」

美っち。珍洗組。人権復帰。「ゴットサムライブサイクだから嫌。1人の男に縛られるの、もっと嫌w」

ぺ天使。悪魔。魔王復活。「早く詐欺りたいけどさ、奉行とか五月蠅い。田舎者全員貧乏だから旨み無いw」

子アクマ。悪魔。魔王復活。「この世界童貞ばっかでちょろすぎw親貧乏だからATM欲しいw」

ショック人。最下層。ご飯食べたい。「まともな治療受けたい」

儲ケタ。最下層。ご飯食べたい。「全然儲からない、搾取されるだけ」



処刑されたキャラ。悪魔降臨システム専用サブオンリー。


ソンシ。※元のゴットサムライ。古い名前は捨てた。

サたん。

ゴッ殿。

10脳。

王ちゃん。

ボーくん。

イイきみ。



除外されたキャラ。


勃つマロ。

デス棟梁。

ショ―軍。

ソーリー大神。

重畳。



世界観設定。


3年前。前作ストリート尊士DXで、主人公のソンシは、魔王サたん。神ゴッ殿を倒そうと、路上で洗脳ファイトを繰り返してた……


魔王と神以外のキャラを倒して、魔王サたんと神ゴッ殿に、洗脳ファイトを挑むソンシ!魔王サたんと神ゴッ殿に苦戦する!

最悪最強の魔王と神!ソンシは防戦一方だった。すると、パンドラの箱が、天より降ってきて、世界が覚醒する!

魔王はファンサたんに、神はゴットNOに覚醒した!絶望が世界に広がる!


しかし、パンドラの箱の底から、希望の光が世界に溢れる!ソンシに変化が、起きた!

ゴットサムライに覚醒したソンシ!日輪の力の化身となり、魔王ファンサたんと、神ゴットNOを倒し、世界平和が訪れた!



月日は流れて現代。


ゴットサムライの元に世界平和を享受する人々……しかし平穏は長く続かなかった!


下剋上を狙うサムライ!復権を目指す落ち武者!人権復活を唱える珍洗組!

飯にありつきたい最下層!暗躍する反乱軍!仕事放棄のエクソシスト!

魔王復活を望む悪魔!取り締まる奉行!メロンを食べるゴットサムライ!



まさにカオス状態に陥る世界!世界は覚醒するのか?悪魔降臨とは一体?


新主人公の正夢は、一体どんな選択を選ぶのか?

謎のライバル悪夢は、何を暗示してるのか?

最強のサムライに輝くのは誰だ?


『最後の誇りを賭けて!いざ洗脳ファイト!』



タイアップキャンペーン。ポアション果汁50及び尊士のメロンソーダに付いてるコード打ちこむと、信者ゲット!



俺は、明日発売するゲームの説明書を読んでた。このゲームの、生みの親である俺の当然の権利だ。流石は俺だ。


「ふむ、完璧だ!出来栄えいぇすだね!」


俺がゲームの続編を制作したのには、幾つか理由がある。一つ目は、単純にユーザーからの希望。まあ3年も経てば飽きられるのは、ゲームの宿命だ。

二つ目は、娘のゆめちゃんがゲームに飽きてきた事。これは非常に不味いから、速攻で新作を考えた。三つ目は、娘のゆめちゃんに再度興味を持って貰う為だ。流石は俺だ!


「喜ぶかな?」


そう、偶然にも前作に、正夢と言うキャラを出していた。これが功を奏して、娘のゆめちゃんは、マイキャラに正夢を使う様になり。裏設定では、ゴットサムライの隠し子である。

あー、ゴットサムライって俺の事をモデルにしてる。でも、現実は娘は隠し子では無い。義理の娘だ。流石は俺だ!


「今回はゆめちゃんのマイキャラを主人公にしたから、きっと喜んでゲームしてくれる……筈」


しかし、明日まで待てない俺。娘の反応が見たい。父親の本音。まあ一応ゆめちゃんも関係者だしいいかな?俺は娘の部屋にゲームの説明書を持って行く。



子供部屋をノックすると、ゆめちゃんがドアを開けてくれた。早速新しいゲームの説明書を見せると、食い入る様に見つめるゆめちゃん。どうだろうか?ドキドキする。流石は俺だ!


「パパありがとー!ゆめね!これ遊ぶ!」

「そうか!ゆめちゃんの為に作った甲斐があった!」


すると、娘が俺にメロンオレの紙パックを渡す。ん?プレゼントかな?


「パパ!これプレゼント!」

「ありがとう!ゆめちゃんからのプレゼントなら何でも嬉しいぞ!」


心良く受け取る俺。ん?これ口空いてるぞ?


「ゆめの飲みかけだけどねw」

「んー仕方無いけど、貰っておくか」


こうして、俺は子供部屋を後にして、尊士部屋に戻り……側室を呼び付けて、戯れる。

ん?義理とは言え娘だぞ?べ、別に娘に欲情した訳じゃ無いぞ?ゲームを完成させて、疲れたから、リフレッシュしてるだけだ!流石は俺だ!


「すっきりした下がって良い!」


明日が楽しみだ。発売記念の握手会イベントの為に、珍しく早く寝る俺。ん?あー、メロンオレは全部美味しく頂いた。流石は俺だ!



握手会イベント会場に着いて、ゲンナリしてた。どいつも、こいつもヲタオーラ全開で、毒気に当てられる。流石の俺も参ったね。


「次の人どーぞ」


次の人が壇上に上げる。するとある物に目が行く……ゴルフバッグを背負ってる。バッグには今流行りの天然水が顔を出してる。


「僕はアナタのファンだから握手してね?」


あれ?こんな奴いたかな?俺は注意深く観察する。オーラが無い……いや俺位神々しいオーラを纏っていれば一般人のオーラなど微々たるモノで、どれも大差無いか。

とりあえずヲタオーラは纏って居ないってだけだな。呆けてる俺。


「どうかしましたか?」


俺は我に戻り心良く握手する。流石は俺だ!


「おお、俺のファンならサービスしないとな!」

「じゃあ次回作に僕のモデル出してね」


うーんキャラ弱いな、没。しかし握手会に来てくれるファンだ。イベントとかのリピーターになるかもしれん。適当にお茶を濁そう。流石は俺だ!


「ああ、考えておくよ」


続く


今までのファンサ表


6話。雪林檎、檻DX。7話。神無月男。8話。刃月。9話。kikiki。10話。野良猫。11話。美音。12話。白銀。16話。九十九。17話。空砂。26話。現永きつね。27話。ヒッキー、天樂 。28話。∞ヨコ雅∞。30話。だるま、クリスタ、柚子葉、DT。34話。村人C。36話。たまご。37話。リリス、番長。39話。ゆめちゃん。41話。逆者。


合計24名の方マジありがとう!


第43話『ぶニャン』


これは水の通信販売の物語……


愛刀と手刀と拳の話。


僕は友達に誘われて山にハイキングに来てた。しかし友達は、次から次に、はぐれてしまう。途方に暮れる僕。


「干からびそうだ……水飲みたい……」


意識を失う寸前に、白衣の天使ならぬ、白衣の女医さんが、現れた。


「大変!病院に連れてくね!」



意識が戻った時に白い天井が見えた。


「ここは?どこ?」

「君はタケノコ33号だよ!」

「タケノコ?」


僕は聞きなれないあだ名で呼ばれた。なんだろう病院かな?病院は患者を番号で呼ぶって思い出す。

僕は両手両足が拘束されてる。病衣を着せられてる。何コレ?とりあえず喉が渇いて死にそうだ。


「水!」

「待っててね!ラブ先生がもうすぐ、美味しい水を飲ませてあげるね!」


女医さんは、「不老不死かも?」とラベルに書かれてかる水のペットボトルを飲んでる。僕に飲ませてくれない。何で?


「あ!そろそろかも?」

「早く飲ませて!」


女医さんが、白衣をはだけた。そして僕に……


「全部飲むんだよ?薬だからね!残したり、零すと死んじゃうよ!」


僕は口が塞がれてる状態で、全部飲みこまされた。


「良く出来ました!可愛いね?女の子見たいな顔してるね?こんなに状態の良い、上艶の女竹、初めてだ!」


意味が解んない。今度は拘束具の向きを変えて、四つん這いにされる僕。何するの?怖い……


「じゃあ可愛い女竹ちゃんは、タケノコ掘りだよ!その前に綺麗に消毒しますね!」


僕は、水で全部洗い流された。嫌だ。


「じゃあラブ先生が、愛刀装着するから待っててね!」

「痛い!止めて!」

「ショタの処女美味しい!ゲットラブ!」


泣き叫ぶ僕。止めない女医さん。地獄だ。僕が泣き止んだらやっと終わった。早く帰りたい。一時経ってヤクザ医師が複数登場。


「あ!まだ君の童貞は食べないからね?友達の所に帰してあげるね!竹取集!後宜しく!」

「ラブ先生の我田引水に乾杯!」


こうして僕は、タケノコ籠33号室に閉じ込められた。友達は途中の病室に閉じ込められてた。



俺は今日のMVP。ラブ先生に、竹取集全員で、収穫量を報告する。満足そうなラブ先生。


「しかし今日は豊作だったね!」

「ラブ先生大変です!ストックしてた水が切れました!」

「街に下りて、水道から汲んで来なさい!」

「ラブ先生ダイレクトメール来ました!」

「はあ?ここ郵便ポストどころか住所も無いわよ?見せなさい!」


すると、ラブ先生は、見る見る青ざめる。


「大丈夫っすか?顔色悪いっすよ?」

「今度来たら、ダイレクトメールの差出人、殺しなさい!」


殺気がヤバい。怖い顔のラブ先生初めてみた。ダイレクトメールには、仮面の写真が映ってる。


「水は水道から汲めばいいっすもんね了解です!水と安全はタダっすから!」


するとラブ先生は、殺気が増してる。ヤバい機嫌損ねた?


「タダの水だけど、タダの水じゃない!」



僕は、愛弟子以上しか知らされて無い。隠し道場。親父の隠れ家に来てる。逆者シハンから奥義を伝授して貰える日だ。


「師匠!お願いします!」

「良く頑張ったな!愛弟子入りおめでとう!奥義を授ける!俺に付いて来い!謀反は許さん!」


逆者ハンシは僕に、奥義の書を託してくれた。


「忠誠を誓います!」


奥義の書


聖典。氷柱流奥義。「世界を砕け!」世界平和(征服)の精神。武道を通じて、世界中の人々を入門させる事が目的。武道支配計画。



一目見た時から、この人は本物だ。僕は確信する。世界一の本物だ。僕の世界だけじゃない。本物の世界を救ってくれるんだ!


「安全じゃない世界を安全にします!世界を砕きます!」

「お前には期待してるぞ!」


僕は奥義を伝授された。もう僕を虐める者は居ない。僕の師匠は逆者ハンシだ。

兄弟子が慌てた様子で、逆者ハンシに耳打ちする。


「大変です!隠れ家にダイレクトメールが届きました!」

「……」


逆者シハンは泣いている。初めて涙を見せる。気になったのでダイレクトメールに目線を移す。汚れた子供服がプリントしてある。


「今日は親父の命日だった……墓参り行ってくる」



山奥の病院で私は、虫の居所悪いから、竹取集に再教育。


「タケノコだったアナタ達を育てたのは誰?」

「ラブ先生です!」


皆は、子供頃はタケノコだった。大人になっても私の可愛い竹取集だ。私の教育の賜物だ。


「私の掲げる世界平和は?」

「世界中のロリコン撲滅!世界中のショタはラブ先生のモノ!」


私はロリコンが嫌いだ。ロリコンきもい。


「私の嫌いなモノと好きなモノは?」

「ロリコン嫌いでショタ好きであります!」

「私の好きな言葉は?」

「ゲットラブ!我田引水!」


よしよし私の教育すげー正しい、じゃあ締めはこれ!


「私のゴットネームは?」

「女神サキュバス!」


私はショタの皮剥きで血を啜るのが大好きだ。収穫されたタケノコも、私に感謝して最後は奴隷だ。


「宜しい!」

「ロリコン止まった仮面倒した運命の交差点に感謝!」


一番信頼してた、竹取の若頭が、私の一番大事な部分を傷付けた。気を利かせたつもりか?


「運命の交差点は敵!」

「すいません!大きな友達の敵でした!」


はあ?私の敵だっての!運命の交差点だけは、絶対許さない!私の逆鱗を更に逆なでしたコイツどうするかな?


「お前のノルマ追加ね、年1本の所を年5本に変更、全部青竹ね」

「そんなー青竹って激レアじゃないっすか?無理ですよ!」


青竹ってのは、凄く幼い子の事ね?私の一番の御馳走。


「手段は何でもいいから収穫して来なさい、ノルマこなせ無かったら最悪の場合タケノコ山に捨てに行くよ?」

「了解しました!」


竹取集になってもタケノコ山の恐ろしさは、変わらないね。あー可愛い。意地悪してみる。


「そんなにタケノコ山怖いの?捨てられたくないの?」


みるみる蒼ざめる竹取の若頭。ちょー可愛い!


「捨てないで下さい!ノルマ絶対達成しますから!」


良い子ね。タケノコ山に捨てるってのはね?ヒントは竹取物語のラストね?解る?


「早めにお願いね?遅いと捨てるからね?」



俺は親父の墓に花を添える。短く報告する。


「誰かが、冷酷な氷を砕いてくれました。妹も天国で笑ます」


親父もきっと天国で笑ってるだろう。


『血は水よりも濃い、血より濃い水には気を付けろ、氷柱を砕け、友達は選べ』


天国から親父の声が聞こえた気がした。親父の格言だったな。黄竜を名乗った親父らしい。


「親父から譲り受けたのは、強さやカリスマ性だけじゃない、いつか極意に辿り着く」


極意「氷柱砕き」世界を天誅する黄竜になれ。家族を奪った、大きなお友達を倒せ。冷酷な氷を砕く手刀になり世界を統べろ。


「親父よ、俺はまだ応竜だけど、いつか黄竜に成ってみせる」



帰り道2人の男が交差点の対面で喧嘩してる……いや一方的だ、弱い方が走って逃げだす。強い方は追いかける。視界から消えた。

俺は直感で見極めた。強い方は、親父と同等の覇気を纏っていた。間違い無いアイツだ。


「いつか拳を交える時が来るな、運命の交差点」


俺は親父の最後の言葉を思い出す。


「お前とは友達になれるかもな」



俺はヤクザ医師風の男を追いかけてた。誘拐魔は許せん!流石は俺だ!しかし太り過ぎてる俺は見失ってしまった。流石は俺だ!


「早く家に帰らないと、ゆめちゃん怒るな」


俺は、ゲーム屋で購入したアーケードコントローラーを早く娘にプレゼントしようと思い家路に付く。

ん?誘拐魔追いかけるの諦めた言い訳?違う違う、娘最優先の優しいパパだぞ?流石は俺だ!因みに子供は無事だったぞ?



ー石原神仙の会の子供部屋ー


「パパーありがとう!ゆめね、次の世界大会で優勝する!」


近く開催されるストリート尊士DX2世界大会に向けて、頑張るゆめちゃんにプレゼントを渡した。流石は俺だ。


「パパの娘だから優勝間違い無い!頑張れ!」

「頑張る!」


俺の娘だ、優勝を勝ち獲るのは目に見えてる。ん?遠隔操作でもするのか?何だと?俺が卑怯な人間に見えるか?流石は俺だ!


「実力でもぎ取るんだ!」



私は精神科のジュース飲み場でゴミ箱からペットボトルを漁る。ゲームのポイントが付いてるからだ。


「汚いな野良猫」


周りの患者は私を馬鹿にする。どうでもいいけどね。


「友達居ないし、ゴミ漁るし、野良猫最低」


いいんだ、私にはソンシって言う友達が居るから。


「野良さん?いい加減にしないとゲーム取り上げるわよ?」

「世界大会の前に鍛え無いといけないから」


私はソンシの作ったゲームの世界大会に出るつもりだ。キャラ育成要素で鍛える為にゲームのポイントの為に、恥を忍んでゴミを漁る。何がいけないの?


「先生も絶対出すなって言ってたわよ?大会諦めなさい!」



先生は特別に出してくれるって言った。矛盾してる。


「嘘だよね?」



子供部屋にて、あれあら毎日毎日ゆめちゃんのゲームに付き合う。しかし疲れた。勝つのは決まってるのに頑張り屋さんだ。流石は俺の娘だ。


「パパもう一回!」

「疲れた、雪林檎呼んで来る、交代だ」


面倒は雪林檎に押し付けて。尊士部屋に戻ってテレビ点ける。流石は俺だ!



「悲惨な事件ですね、ゲーム位で人を殺すとは」

「子供の頃からゲームしてたら、ああなるんですよ、外で友達と遊ばないと」

「速報が入りました、加害者の供述です」

「私の友達が作ったゲームだから」


俺の心臓が凍った様に、震えた。


「嘘だろ?ニャン……」


俺は世界大会イベント関係者に中止の通達を出す。震える拳。


「俺の友達が……」


続く


第44話『ハチ』


これは幸運の天然水の物語……


友達が通報しました。


俺はうなされてた、昨日の様に覚えてる。まさかの展開だった。流石の俺も参ったね。


「すいません、もう犬ごっこ疲れました、さようなら」

「飼い犬に手を噛まれた!」



ハチの裏切りとゲームの事で頭を抱える俺。すると来客。誰も通すなと言っておいた筈だが?仕事しろ!サムライ達!仕方無いので適当にあしらおう。流石は俺だ!


「今取り込み中だから、帰れ」

「僕ファンだから!プレゼント!」


ん?コイツは誰だったかな?ああ思い出した。存在感薄い奴だな、いや俺がゴットサムライだから仕方無いか。流石は俺だ!


「ああ君か、ゲームのファンだったね良く来たね歓迎するよ」

「ありがとう!大変だね!助けるから水飲んで!」


しかし何者だろう?水は受け取るが、助けるって言ってもね?受け取った所で事態が変わる訳では無い。

意味が解らんが、ファンからの送り物をムゲにする訳にもいかない。今では数少ないファンだ。大事にするべきだ。打算してみる。流石は俺だ!


「頂戴する」


ファンを観察してみる。ゴルフバッグを持ってる以外に特徴の無い奴だ。そう言えば昔ゆめちゃんがゴルフしたいって言ってたな?

顔、声、髪の長さ、背丈、男なのか女なのか判断付かない。匂いも無い。

コイツが女だとしても、反応しないだろうな。かと言って不細工では無い。むしろ美形であるが何処にでもいそうな感じだ。

モブキャラの様な、脇役の様な、名脇役の様な主役では無いのは確かだが、オーラが無いが可能性を感じさせる。なんとも表現しがたい。可能性だから勿論0の場合はあるがな。

俺が呆けてる間に部屋の出口に立っている。俺は思い出した様に声をかける。流石は俺だ!


「水ありがとな、今度でいいから、娘にゴルフの話を聞かせてくれないか?」


ドアを閉める直前に一言残して行く。


「ゴルフ?やった事無いよ?バッグには水しか入って無いよ?それと幸運の天然水だからね?」



次の朝。新聞を読む俺。ゲームの事が気になるし、ニャンの事も気になる。頁を捲る。


新聞に天秤の書と天井の書告発の記事に目がいく。

日本3大カルト発表!「グリーンライト」「ショタ家具屋(仮称)」「石原神仙の会」

石原神仙の会4の手紙

ロリ信号渡ってショタ家具屋と世界天誅。サンアタック。

漫画の世界!頑張れ息子!友達作って氷山に登れ!

狂言吐きの、酒飲みの、天から見守る父より。



びっくりして読むのを止める。ハチの告発に、では無い。自称小説家で、狂言吐き、酒飲み……死んだ親父の事だ!

第一ここまで、俺の事を知ってる。親父の情報知ってるのは2人。ゆめちゃんとニャン位だ。だが決定的に知り得ない情報もある。

小学校の同級生の線もあるが、あり得ない情報量だ。一体誰が?何の目的で?何の為に?それに何処で手に入れた情報だ?


「ショタ家具屋。世界天誅。友達。氷山……4を名乗ってサンアタックの事も知ってる。日輪で焼き払えないとでも言いたいのか?」


俺は拳を固める。


「氷山……富士山の焼身自殺を指してるのか?」



「なんで私の事ばれたの?石原神仙の会って何?それにショタじゃなくって、ショタコンだっての!」


私は愛刀を構える。


「んー今の内に入らないタケノコ処分しよ!」



「何故極意を知ってる?石原神仙の会……くせ者だな、注意せねば下手に動くと命取りだ」


俺は手刀を構える。


「山籠りと称して怪しい門下生をリンチだな!」



「友達はどうするかな?特に友達には期待してるよ?友達の情報量、舐め無いで貰いたいな?」


僕は水を飲む。


「友達とハイキングに行くか!沢山の友達集まるかな?」



尊士部屋でメロン食べながら、ぼーっと考える俺。流石の俺も参ったね。ファンの幸運の天然水。効果無かったね。あー残念。


「警察来るの時間の問題だな、どうするかな?もうどうでもいいやー」

「パパ居るー?」


娘が部屋に入って来る。ああパパの事心配してくれるのか?可愛い子だな。


「パパ世界大会いつ?」


泣けるね、流石は俺の娘だ。純粋だな。でも言い訳どうしよう?閃いた!流石は俺だ!


「ゆめちゃん今さ、洗脳世界ランキングどれ位かな?」

「ランク外!」


しめた!頂きだ!流石は俺だ!


「ゆめちゃんが確実に優勝出来る様に、洗脳世界ランキング1位になったら開催するね?」

「分かった!ゆめ頑張る!」

「ゆめちゃんは頑張り屋さんだから、きっとなれるよ」


ごめんなパパ初めて嘘付いた。許してくれ。

ゆめちゃんが洗脳世界ランキング1位になる日は来ないんだよ?可哀想なゆめちゃん。

ん?運営の遠隔操作?違う違う、猛者共には勝てないって、それだけだって。ヤマシイ事は何も無いからな!流石は俺だ!


「パパこの前のコントローラーのお礼!」

「ゆめちゃん、ありがとうパパ嬉しいぞ」


ペットボトルに水が半分。またしても飲みかけ。おい!側室はよ!



俺は、ゆめちゃんがくれた天然水がファンのプレゼントと同一銘柄だと、遅れて気付いた。流石は俺だ!


「水うまー幸運の天然水うまー」

「メロンソーダじゃ無いんですね?」


側室が俺に尋ねる。ああ、そう言えばそんな物あったな?もう一時飲まないがな?この水は幸せの味!流石は俺だ!


「今のマイブームは幸運の天然水うまー」

「はあ、じゃあ嚥下したので失礼します」


それから俺は、幸運の天然水が無くならない様にチビチビ飲みながら、毎日変わる変わる側室を呼び付けた。


「幸運の天然水最高!」


俺は水分補給を済ませた側室達に、一時飲む予定の無いメロンソーダを分け与えた。優しさゴットサムライ。流石は俺だ!


「あれ?水空っぽ?」


チビチビ飲んでも限界はある。とうとう底を尽いた、幸運の天然水。嫌な予感がする。


「招かれざる客が来るな……どうしよう?」



数週間が経つ。しかし警察が動く気配が無い。何故だろうか?水は枯れたのに。

俺宛にダイレクトメールが届く。何だコレ?開けると手紙が入っていた。


『友達だから消火。運命の交差点』



4人は手紙を見る。日輪とサキュバスと応竜と水は、それぞれ想いを走らせる。


日輪の場合


ああ!警察に恩を売った事あったな!それでか!恩義に厚い警察GJ!


サキュバスの場合


はあ?大きな友達代表の私を消すつもり?面白いじゃん!逆に燃やしてやるよ!


応竜の場合


運命の交差点は家族の仇を討ってくれた。今度は俺が、親父の意思を継いで、黄竜になって氷柱を砕く!激励有難く頂戴する!


水の場合


友達は友達!



富士山の頂上付近だ。僕はとうとう、タケノコ山に捨てられた。

他にも捨てられたタケノコ達が居る。中艶って言われてるの全員だ。

僕は上艶だけど、種無しになったから選ばれた。

ラブ先生の絵本教育で何となく予想はしてたが、予想どうりだった。

そう、僕達は腐ったからタケノコ籠病室から追い出された。そして処分される。地獄の業火の中に捨てられる。


「熱いよー誰か助けてー!」

「要らないタケノコは大人しく焼却処分だ!ラブ先生の愛情を受けたから、最後まで感謝して、不老不死の灰になるんだ!」

「そんなー!酷いよー!出鱈目だよー!誰か!」

「元11号!タケノコエキス出無くなったのが悪いんだぞ?ラブ先生のお気に入りだったのに、無礼な奴め!最後位男気を見せろ!」

「ラブ先生から全部吸い取られたんだよ!あんまりだよ!助けて!」

「ラブ先生は可愛いお前を捨てる時に、涙しながら、愛刀で最後のタケノコ掘りをプレゼントしてくれたんだぞ?」

「僕は望んで無い!死にたく無い!」

「お礼の言葉はどうした!ラブ先生を泣かせるのか?最後までラブ先生を想って死ぬんだぞ!俺達に虚偽の報告をさせるつもりか?収穫したり世話になった恩を返すんだ!」

「悪魔だ……」

「女神だろ?心苦しいが、ラブ先生を悲しませ無い為に、虚偽報告するから感謝しろよ?強火にしろ!最大火力だ!」



悲鳴のする方向に走る俺。地獄絵図がそこにあった。子供達が燃やされている!許せない!


「そこまでだ!悪魔共!俺が来たからには、たとえお天道様が許そうが、この日輪が許さん!」

「何だてめぇ!」


すると見覚えあるヤクザ医師が手下に命令を下す。


「全員撤収だ逃げろ関わるな!」


リーダー格は、あの時の誘拐魔だ。これは一体?しかし人命救助が優先だ。



山籠りと称して愛弟子達と富士山に登った。目的は謀反の疑いのある者に制裁を加える為だ。俺は優しいが謀反者には容赦しない。絶対零度の氷柱応竜だ。


「亀吉よ、正直に言えば山稽古に手心加えるぞ?」

「何の事ですか?」

「俺に隠し事は出来ないぞ?」


亀吉にビンタを張る。亀吉は虚ろな目をしてる。


「僕は逆者ハンシに忠誠を誓いました、謀反者では無いって神に誓います!」


確定だな、神は俺だし、謀反とは一言も発言してない。


「お前には、がっかりしたよ、愛弟子にしてあげたのにな……最後に言い残す事は無いか?」

「そんな!信じてくれないんですか!?」

「言い訳は見苦しい……やれ!」


弟子達に処分を命令する。俺が手を下すのは最後だ。弟子達を氷の冷たさで結束させる為だ。冷酷になればなる程俺に対する忠誠心が、氷柱の様に固まるからだ。

氷柱応竜に逆らう者の末路と、氷柱応竜の畏れを見せる機会でもある。まあ謀反者が出ないに越した事は無いがな。


「師匠、一目見た時から尊敬してました、貴方は僕の世界を救ってくれました、きっと一緒に世界を救う日が来ると信じてました……なのになんで?」


大分弱って来た謀反者が戯言を言う。一目見た時からか。


「一目見た時から忠義者だと思ってたよ、一緒に世界を救おうか、氷柱を砕くか?者共やめろ!」


弟子達に手を止めさせる。物分かりのいい忠義者達だ。


「分かってくれたんですね!」


謀反者は目を輝かせてる。あの日の様に。


「最後に忠儀を見せてくれ」

「師匠は僕の世界を救ってくれたヒーローです!一生着いて行きます!一緒に氷柱を砕きましょう!」


上出来だな。俺は手刀を構える。


「氷柱応竜が奥義……氷柱砕き!」


謀反者は絶命した。血塗られた手刀を水で清める。弟子達は畏れ慄く。


「亀吉は最後に忠義を果した。お前達の忠義も見事であった。手厚く葬ってやれ」

「応竜様の手刀で忠義を果した亀吉に冥福あれ」


埋葬を行おうと場所を探す。



俺は子供達を助けた。子供達はパニック状態で泣きやまない。火を消しながら必死に慰める俺。


「もう大丈夫だからな家に帰れるからな」


そこに招かれざる客が来る。一人は背中に死体を背負ってる。殺したのか?


「貴様何をやってる!?」

「貴様こそ何者だ?子供を火あぶりにした後だな?ガキ共逃げろ!」


パニック状態の子供達が走りだす。おい、不味いぞ?


「確定だな、覚悟はいいか?いや、問答無用!」


誤解を解く暇も無く襲いかかられる。応戦する俺。五分の勝負だ。何者だ?


「俺と五分とは、何者だ?名乗れ!」

「冥土の土産だな……応竜だ」


偽名だが、応竜を名乗るだけはある。ここは名乗り返すのが礼儀だな。しかし、日輪を始めとする名前は使えない。色々不味い。運命の交差点……いやダメだ。


「俺は……標識だ」

「成程な見た事あったな、激励って勘違いしてた。挑戦状だったな。お前とは一戦交えてみたかったぜ」

「なんの話だ?」


空気が震えて、冷気が漂う。禍々しい殺気を纏っている。奴の拳が手刀に変わった。その時。


サイレンが聞こえる!消火したので、警察しか思い浮かばない。出来過ぎだ。不味い。非常に不味い。


「水を差されたな、決着は預ける……運命の標識」

「お前は誰だ?」

「お前を友達に選ばなかった者だ」



パニック状態で山を降りた。身体が熱い。水が欲しい。目の前に人がいきなり現れた。


「大丈夫かい?友達からの通報で来たよ」


誰かは解らないが、助かった。


「水飲むかい?」


僕達は水を貰って飲む。生き返る。やっと言葉がでる。


「ありがとうございます」

「友達だろ?」


何と言われたか、良く解らなかった。


「え?」

「酷い火傷だ、水をあげよう」


救助者は、ゴルフバッグから水を取り出して、僕達に浴びせる。


「ありがとうございます」

「手当が必要だな、友達に応援を頼むから、それまで我慢しててね?」


すると、直ぐに自衛隊の人が来た。この人は、警察とか消防とかの関係なのかな?自衛隊が駆けつけたから、自衛隊の人だな。


「ありがとうございます、あのーお名前聞かせて下さい」

「友達だろ?」



「ナニカ勘違いしてる見たいだけど?僕はお医者さんだよ?」

「え?」

「手当が必要だね?ナニカ悪い所あるかい?」

「火傷してますけど?」

「友達だろ?」


続く


第45話『サたん』


これは水の訪問販売の物語……


クーリングオフ禁止!友達だろ?


私は野良ニャンって名前がある。でも、野良なのに刑務所の中で、飼い殺しの生活しかない。外に出たい。ソンシに会いたい。


「ソンシ……会いたいよ」

「囚人280号出ろ!友達が面会だ!」


ソンシが会いに来てくれた!私の友達はソンシだけ!嬉しい!面会室に向かう私。


「やあ元気だったかい?僕は元気だよ」

「誰?」


私は、期待を裏切られた。知らない人だ。


「僕は知ってるよ!」

「私が有名だからでしょ?」


知らない上に意味不明……誰よこれ?


「ずっと前から知ってるよ!友達になろう」


握手を求められる。知らない上に、要らないコイツ。


「ソンシだけが友達だから拒否」

「友情の証だよ」


拒否の意味解ってる?勿論受け取らない。


「拒否」

「友達だろ?」


私は本能で感じ取った。コイツは敵だと。「友達だろ?」ソンシは一言も言わ無かった。いつも私の隣に居たソンシは「ニャンだから」ってしか言わ無かった。ソンシだけが私を理解してくれる本当の友達だ。


「名乗りなさい礼儀でしょ?」

「酷いな僕は友達の友達だから友達だよ?」


私の本能が教えてくれた。コイツはソンシの敵だと。しかし私にはコイツを倒すだけの力が無い。私は出来るだけ多くの情報を引き出す為に全身の意識を集中して、敵の戦力を測る。


「水欲しく無いの?他にも水あるからさ?好きな水を選んでね?きっと友達になれるからさ!」


本能が悲鳴を上げた。ケタが違う。違い過ぎる。ゴルフバッグから大量の水のペットボトルが出てくる。選べと言ったけど全部一緒。恐らくは賞味期限ですら同じ筈だ。私には白旗しか無い。コイツは危険だ。


「私の友達に手を出さないって誓うなら……水貰ってもいいよ?」

「約束するよ友達だろ?」

「ありがとう」


私はソンシを守る為に敵と停戦協定を結んだ。面会時間が終わった。短かった筈だけど、地獄の様に長く感じた。



俺は尊士部屋でメロンを食べながらテレビや新聞を見る。ある事に気付いた。


「あれだけ騒がしかったのに、神仙の会やショタ家具屋の犯人説やニャンのゲーム殺人の話題が1つも上がってないな」


そしてテレビでは何故か水のCMが多い、異常な量だ。水、何か引っかかる。


「特にこのCMは、洗脳技術を応用してるな、サブリミナルか」


流石に詳しい俺には、見抜かれるが、何を暗示してるのか?


CM


「渇いた友達に新発売の天然水!」

「神様ありがとう生き返る!」

「神様?違うよ?友達だろ?」



「不気味だな……このCMゆめちゃんの学校で流行ってるって言ってたな」


そして、俺は水のCM全部の共通点を見付けた。


「名前を言ってる様に見えて、名前を言って無い。俺の改名して名前を奪うテクニックに似てる」


非常に嫌な直感が働く。娘に不吉な事が起きるかもしれない。尊士部屋のドアが開く。


「お届け物です」


ん?サムライ達は、何をやってるんだ?

あれほど尊士部屋に通らせるなと説教したのに、しかし宅配業者って玄関より先に上がって来る様になったのか?


「ハンコ要らないです」


俺がハンコ探す前に、小包置いて消える業者。


「嫌に手際がいい、良すぎる、出来過ぎだ」


気になって包みを開ける。危険物では無いのは、見抜いたが、中身は危険物だった。


「パンドラの箱?差出人第4奉行だと?ペン銀を語るのか?」


ペン銀とは、第4サティアンの奉行を勝手に名乗る信者の誰かだ、と思っていた。


「パンドラの箱ってネーミングはペン銀らしいと言えばらしい、が?」


箱を開けると。宗教団体のリストが書かれていた。


「何だコレ?」


リストには知ってる名前がゴロゴロしてる。記憶に新しいのは、「グリーンライト」と「赤信号」だ。俺は夢中になってリストを見る。世界規模の有名宗教の名前も沢山あった。


「カルトリストでは無いのか?」


だが圧倒的な情報量に、俺の興味は加速する。全部目を通したが、だけど何故だ?


「石原神仙の会の名前が無いだと?」


俺は身落としがあったかな?と思い再び最初から見る。


「んー無いな、後アイツ等らしき情報も無いな」


俺は富士山で遭遇した応竜と放火魔を思い出す。応竜の気配は間違い無く、俺と同格の教祖オーラだ。しかし絶対零度氷の刃だ。俺とは正反対だ。

放火魔達は雑魚過ぎるが、影に何者かが居る。被害者からして、ショタ家具屋で間違いない。消し炭にされる寸前の子供達がパニック起こして呪文の様に言っていたな。


「灰の愛刀と氷の手刀か」


俺は武者震いして拳を固める。


「刀を狩るのは、この日輪の正拳だ」


火の元平定を急ぐか、日輪で焼き払う必要があるようだ。


「ん?底の方にまだ一枚あるな」



山奥の病院で女神サキュバスが今日も愛刀を振るい。タケノコ掘りをする。ん?少しカッコイイ言い回しだけど?私はラブだよゲットラブ!


「青竹皮剥くとショック死するから!後ろの方から!ゲットラブ!」

「痛いよママ助けて!」


ショタの中でも最上級の御馳走である。上艶の青竹を食べる私。あー美味しいw


「ママは助けに来ないんだよ!だって私が今日からタケノコ64号のママだからね!」

「止めて抜いてよ!」


あ!気付いた?とうとうタケノコ籠一杯になったんだ!中艶全部処分して、収穫量のノルマ増やしたんだ!


「ダメよ?抜いたら、皮剥いた時に死んじゃうから!エロい子!まだ早いから我慢なさい!」


終いには、気が狂った様に泣きだすタケノコ64号。んーヤンデレショタ久々かも?ゲットラブ!


REC中。


「ラブ先生大変です!バッテリー切れました!」

「ええ?良い所なのに!直ぐ街に降りて盗んで来なさい!」


ビデオ撮影は隠し幹部の竹取の翁の仕事だ。病んだタケノコの末路ね?体力も無いからさ、ビデオ回すだけが仕事。


「行ってきます!ラブ先生の我田引水に乾杯!」


再生。


「この煮えたぎる情熱どうしよ?竹取物語の青竹の巻見るかな?ゲットラブ!」


ん?絵本?違うよ?ビデオの方の竹取物語ね?愛刀を引き抜かれて安堵するタケノコ64号。ん?教育しなきゃね!


「64号!まだよ?お勉強終わってないよ?私一人に寂しい想いさせるの?」

「お勉強?」

「お薬のお勉強!」


暫くお待ち下さい。


かぐや姫は月に登り、かぐや姫に片思いしてた若者は、タケノコ64号病室に取り残されましたとさw


「あー気持ち良かった!今度は久々にタケノコ1号呼んで、爆竹物語だ!ゲットラブ!」


ん?爆竹物語って?悪いタケノコちゃん制裁ビデオの事ね?ヒントは爆竹!愛刀を素直に受け入れる様になるよw

ノックして、竹取の若頭が入ってきた。ん?相談かな?


イベント企画


「ラブ先生!来月の月見はどうしますか?」

「んー青竹ちゃんと女竹ちゃん中心でお願い、上映は竹取物語の青竹、女竹と締めに爆竹物語ね?分かった?」

「ラブ先生の我田引水に乾杯!」


ん?月見って何って?満月の夜にね?16人の片思いする若者が、愛情を見せてアピールするの!愛情をある程度見せた子から順番にね?ご褒美出るの!「愛刀を受ける権利」「豪華な食事」「長い睡眠時間の許可」若者達は必至になってかぐや姫を想い続けるの!


「美しさの秘訣補給しないとねー、やっぱり想われないと寂しいからなー」


ノックして誰か入ってくる。竹取の翁の割に早いな?

ん?見知らぬ人物が入ってきた。特徴はゴルフバッグを背負ってるモブキャラっぽい奴。男か女か分からん顔立ちしてる。誰?


水の訪問販売


「水持ってきたよ」

「え?誰?」

「友達の友達だから友達だろ?」



黄竜が目標の応竜だ。俺の裏名だ。表名は逆者だ。親父の墓に、葡萄シロップのかき氷を添える。


「親父沢山喰えよ、報告がある、俺に初めて好敵手が出来た」


親父の好物の葡萄シロップのかき氷は極意そのものだ。世界を凍らせて砕く。武道で染める。最後に食べる。運命の交差点を砕く事が出来れば、俺は黄竜になれると確信がある。


「水持ってきたよ」



俺が気配に気が付かなかっただと?振りかえると、ゴルフバッグを持った『無』が立っていた。


「何者だ?」

「友達の友達だから友達だろ?」

「俺には友達は居ないが?それにここは、俺の大事な場所だ、お引き取り願おう」


何者かは、あろう事か親父の墓石に水を被らせる。


「なんの真似だ?事と次第によっては命は無いぞ?」

「友達に水を別けてあげた!探したよ?見付けるまで時間かかった!」


親父の知り合いか?だが幼すぎる。何者だ?それに親父には友達は居ない。しかし探したとも言っている。


「誰の墓か解っての事か?死にたいらしいな?」


俺の最後通告を無視して、ゴルフバッグからダイレクトメールを取り出す。何処かで見た様な?


「酷いな!僕はかき氷の友達だから友達だろ?」


脳裏に親父の格言が想起した。俺の応竜の魂が震えた。


『血は水よりも濃い、血より濃い水には気を付けろ、氷柱を砕け、友達は選べ』


極意を悟る。親父は化け物退治する気だったとは……

極意「氷柱砕き」世界を天誅する黄竜になれ。家族を奪った、大きなお友達を倒せ。冷酷な氷を砕く手刀になり世界を統べろ。


「お覚悟願おう……巨大な友達」


俺は手刀を構えて世界の氷柱に天誅を下す。


「友達なのに?」


重い一撃を受け、氷は溶けてしまった。水を飲む『無』は何事も無いように踵を返した。


「友達だろ?」



山奥の病院で水の押し売りに困るサキュバス。私だよゲットラブ!この水売りガチキチ!


「はあ?水は間に合ってるから!私の機嫌の良い内に帰った方が良いよ?殺すよ?」


「友達だろ?」


この水売りはさっきから友達しか言って無い。何なの?ぼっちなの?友達一人も居なそうだけど?頭大丈夫?


「友達じゃ無いっての!頭湧いてるの?殺すよ?」

「友達の友達だから友達になろう!」


んー?目的が見えないな?水売りなの?友達に餓えてるぼっちなの?好みじゃ無いけど、来る者拒まず去る物燃やす!


「ん?お馬鹿さんね?私には奴隷しか居ないわよ?奴隷になるなら歓迎するわよ?」

「友達の事忘れたの?友達だろ?」


本物の馬鹿だ!話通じ無い!ムカつく!タケノコ山だな!最後に遺言聞いてあげる!私ちょー優しいw


「最後にさ、私の友達の名前教えて」

「仮面の友達!」


え?今なんて?嘘でしょ?私の秘密?ハッタリでしょ?


「友情の証!」


水売りはダイレクトメールを取り出す。中身を空ける。絶句する私。



赤信号から救ってくれた、日輪セイギのカウンセリング治療を受けて、肉体関係を持った過去がある


「……」


水売りは放心状態の私に構わずペラペラと実演販売をする。


「友達は友達のお陰でお泊りしてるよ?友達になろう!」


セイギ先生は私を救ってくれた。でも私の所為でおかしくなった。お兄さん的な人。初恋の人。妹の様に可愛がってくれた……私の大切な人。


「ナニカ勘違いしてるけど?友達は悪く無いよ?友達が仮面を付けたのは僕の影響だからね?」

「違うわ、私が悪いの、セイギ先生を狂わせてしまった。だから罪滅ぼしの為に世界中のロリコンを撲滅するの」


水売りは私に構わず実演販売のパフォーマンスをパワーアップさせる。


「ナニカ勘違いしてるけど?友達に友達を狂わせる力は無いよ?気にしないで!」


私の心の奥底に棘が刺さる。痛いよ。止めてよ。


「私の所為だよ……全部私が悪い」


水売りは実演販売を最高に出鱈目に、勝手に盛り上げる。


「ナニカ勘違いしてるけど?友達に力は無いんだよ?竜の落とし子だよ?気にしないで!」


タツノオトシゴ?誰かの喩?竜の子供?

私以外にも治療を受けた子は居るし。中にはセイギ先生の作ったカルトに入った子も居たけどさ。

でも私を一番大事にしてくれた。あの場所に帰りたい。ここには居たくない。助けてよ。


「違うよ…私が壊したの…大切だったのに」

「嫉妬は醜いよ?友達だろ?水飲んで頭冷やしなよ?」

「水飲んだ所でセイギ先生は帰って来ないよ!」


水売りは強行手段に出る。


「水飲んでくれたらさ?仮面の友達はお泊りから帰って来れるんだよ?」


私は水売りから水を受け取った。私の築き上げたモノは全部水に流れた。友達が居てくれれば他は要らない。


「そう言えばさ?かぐや姫って月から地球へ送られた宇宙人なんだよ?でも友達の方が詳しいよね?」


かぐや姫は罰を解かれて何処か遠くへ行ってしまった。

残された若者達は途方に暮れた。水面に映る、月明かりだけが虚しい光を放つ。



俺は第4奉行を名乗る誰かの送り物の最後に底の方にあったダイレクトメールを見た。


脇役お疲れ様、後少しで主役くるよ。


「ふむ、意味深だな?どう言う意味だ?」


2つの意味に取れる。俺が主役になる、もしくは別に主役がいる。

俺を否定も肯定もしない言葉だ。だが、不気味だ。


「ただいま!」


誰かが、尊士部屋に入ってきた。ゆめちゃんは学校の時間だ。

来客したのはファンだ。幸運の天然水は、空っぽになった後散々だったぞ?


「ただいまって何だ?職場?か学校?に行って無いのか?昼間だぞ?」

「僕は有名で無名な医者なのかな?多分そうだよ?」


まあ暇だからからかうか?絶対ニートだろ?意地悪してみるか?質問じゃ!流石は俺だ!


「質問!何科の医者だ?」

「全ての何科!」


こいつアホやな、ニート確定!面白いwもう少し質問してみるかw


「へえ?知らない科もあったなw薄学ですまんw何を治療するの?w」

「世界のナニカ!」


可哀想な子だなwあーそう言えば、俺の作ったゲームのファンだったなw引き籠りかなw質問タイムだw


「へえ?知らない治療もあったなw今まで治療して来た患者教えてw」

「世界のナニカの患者!」


馬鹿過ぎるw俺の作ったゲームって馬鹿でも遊べたんだw新発見w質問追加決定w


「へえ?薄学ですまんw治療器具とか薬の名前教えてw」

「水!」


水wコイツの親出てこいw教育しなおした方がいいぞw


「へえ?水なんだw美味しいのw飲んだ人の名前と感想宜しくw」

「友達!美味しい!」


そろそろ飽きたなw


「友達の名前3人位教えてw」


ファンは紙を出した。何だろ?友達リスト?w患者リスト?w



友達の友達。精神科の友達。宗教の友達。警察の友達。国の友達。世界の友達。



俺は戦慄する。ファンは満面の笑み。


「お前は誰だ?俺とニャンの約束を何故?」

「僕ファン!友達から聞いた!」

「名を名乗れ!それでは解らん!」


ファンは不敵な笑みを浮かべる。


「僕ファン!純水の自由の友達!」

「まさかな冗談だろ?」


入口?本部?いつ?誰が?何故?会員は世界規模?

形も無ければ、匂いも無い、色も無い。

透明な存在だが、透明過ぎて、存在に気付かない。

姿が掴めないし、冷たいのか暖かいのか、温度も不明。

どこにでもある。誰もが知っているが。詳しい事は誰も知らない。


「幸運の天然水!配るのが仕事!友達になろう!」


昔からある、伝説。噂話。都市伝説。伝承。井戸端会議。怪談。その他諸々。コイツが言うとリアリティが全然違う。


「お前は、一体?」

「僕ファン!」


『純水の自由』神を、宗教を、信仰を、全てを認めて受け入れる。全てを肯定すると同時に全てを否定してる。


「水とはな……気付きもしなかった」


本能が魂が誇りが全てが震える。目の前には水の塊が、こいつの手を取れば俺は、俺は神ではなくなる。


「僕達友達!世界平和友達!」


一瞬が勝負だ。奴は隙を作る。


「僕達友達!握手で友達!」


日輪の正拳が轟く。


「お前はポアだ!」


しかし、あるべき筈の手応えが無い……水の塊は素の喋りに戻る。ケロっとしてる。


「あ、友達に暴力はいけませんよ」


何が起こったのか、解らない。気を失う寸前に、ゴルフバッグに水を仕舞うのが見えた。



パパが倒れたと聞いて急いで駆けつける私。病室に入ると知らない人が居た。良い人そうな顔立ちをしてる。


「誰?」

「パパの友達だよ」


パパの友達は皆良い人だよね。


「そっか、じゃあゆめとも仲良くしてね」

「今日から握手で友達だ」


私はお見舞いに来てる人と握手する。


「喉渇いて無い?」

「渇いてるー」


ゴルフバッグから水を出してプレゼントしてくれた。学校の友達の間で流行ってる銘柄だ。


「はい幸運の天然水!友情の証!僕達友達!」


続く


第46話『ペン銀』


これは水の魔王の物語……


死んでくれないかな?友達だろ?


病室で、俺は目を覚ました。心配そうな娘。何故生きているのか?九十九奉行から事情を聞く。


「俺はどうして助かったんだ?」

「日輪のバッチが無かったら即死の傷だったそうです」


日輪のバッチが無い。ベッドの横の机に半分に割れた日輪のバッチ。


「刀傷だな」

「誰かが通報しました」


嫌な予感しかしない。恐らくアイツだろう。念の為に聞いてみる。


「俺を運んだのはどんな奴だ?」

「ゴルフバッグ持ってたよ?パパの友達でしょ?」


胸騒ぎしかしない。恐らくアイツの事だ。確認の為に聞いてみる。


「何かされなかったか?」

「友達になったよ」


初めて恐怖を知る。次に魔王の手を払えば娘が危ない。二度と来ないでくれ。


日輪は沈んだ。



退院後。ペン銀から届け物が来る。日輪のバッチだ。付ける気分になれない。見たくも無いが嫌でも目に入る。同梱の板には意味深な事が書かれている。


『3種の神器で魔王を倒せば世界に否定の猶予は無い。主役になれるかな?』


魔王退治の依頼か?侮辱の上に侮辱を重ねてるのか?肯定的なニュアンスだが一体?


「今度は何の真似だ?」


ペン銀には冷や水を飲まされた。俺を脇役と嘲笑った張本人だ。気分悪い。だけど裏も見る。


『聖剣アメノハハギリ神社』


胸に手を当てる。傷が疼きだす。魔王に付けられた刀傷が魂を焦がす。


「そういう事か?」



数日後尊士部屋にて、娘を守る手段として聖剣アメノハハギリを探す事を決意する。


「ペン銀?ヒント少ないだろ?何処の神社だよ?」


解らん!多すぎる!魔王に見つからない為に1人で探すしか無い。娘を守りたいのに。


「時間はそんなに無いぞ?どうする俺?」


魔王が迎えに来ました!


ノック無しで慌ただしく九十九奉行が入って来た。やべえ!魔王登場速すぎるだろ?無理ゲー過ぎるだろ!


「ペン銀!クリア不可能だろコレ!」

「大変です!人が大勢来ました!」


俺の反応ときたら、当然これしか無い!選択肢耳を塞ぐ!


「聞きたくなーい」


両耳を塞ぐ俺。奥義!現実逃避!


「ふざけてる場合じゃ無いですよ!」

「聞こえなーい」

「ばっちり聞こえてるじゃないですか!」

「気のせーい」


しかし耳を塞いだ所で事実は入ってくるんだよな。はあ。選択肢頼むから黙ってくれ!


「良いから聞いて下さい!」

「レベル上げてなーい。最初の街から出られなーい。ダンジョンこわーい」


九十九奉行が呆れて物を言わなくなった。現実逃避してる俺。選択肢封印成功!


「じゃあ俺が対応しますね……失礼します」



石原神仙の会玄関前で、俺は九十九奉行に就任してからの事を振り返る。思い出すと色々あったな。


「奉行の銀バッチ。天井60で初仕事の尊士鉄道999。尊士様が止まった仮面を運命の交差点を名乗り退治。天秤の書。天井の書。ショタ家具屋の暗躍」


今では懐かしい思い出達だ。それから3年経って今年の出来事を振り返る。色々忙しい時期だな。


「尊士様が新しい格ゲーを制作。ゲーム殺人事件で世界大会中止。ハチの裏切り。新聞で3大カルトに名前上がる。尊士様にライバル。その後尊士様が倒れて弱腰になってる」


誰が尊士様を倒したのか?でも玄関前に集合してる子供達に対応するのが優先。俺は現実主義。


「どうしたのかな?病院から抜けだしって来たのかな?」

「助けて下さい!もうここにすがるしか無いんです!お願いします!」


病衣を着た子供で溢れてる。面倒くさいから人数まで確認して無いけど100人以上の異常事態。これどうするよ?


「ここは病院じゃ無いから帰りなさい」

「そんな!僕達かぐや姫のタケノコ籠には帰れ無いよー」「2代目応竜を倒した尊士様しか僕達を守ってくれる人は居ないんだよー」


子供達の言葉を掻い摘む。2つのキーワードが出てる。ショタ家具屋。尊士様のライバルだと思われる応竜なる人物。被害者達が真剣なのが痛い程解る。


「君達は?かぐや姫と応竜の話を詳しく聞かせてくれるかな?」


64と書かれた番号札の子供が涙を流して話す。


「竹取集に収穫されて、かぐや姫って病院で、タケノコ掘りと皮剥きされて、ずっと籠の中だったんだ、友達がタケノコ山に捨てられた後に、ラブ先生が行方不明になって、家に帰ったら子供は居ませんって追い出されて。他に行き場が無いんです」


専門用語が多いが、俺は奉行だ。何となくのニュアンスでは、拉致。悪戯。監禁。処分。教祖行方眩ます。被害男児はタケノコ。と大体の検討をつけた。


「可哀想に大丈夫だからな、九十九奉行が何とかするからな」


次に鳥吉って名札に書かれてる子供が涙で語る。


「お兄ちゃんが帰って来なくて愛弟子の人に質問してリンチされて病院送りにされた。友達も2代目争いに巻き込まれて気付いたら同じ病室で、氷柱道場の見張りが居眠りしてる隙に逃げてきて、2代目応竜を倒したって噂さの尊士様に助けてもらいたくて……」


成程な尊士様のライバルは氷柱道場のハンシだったのか納得した。この子達は氷柱道場の門下生で権力争いの犠牲者だな。


「もう一度尊士様に申し上げに行くから待っててくれ、きっと何とかしてくれるから心配するな!九十九奉行にお任せあれ!」



俺はメロン食べながらペン銀がくれた板と睨めっこ。傍から見たら痛いおっさんにしか見えないな。はあ。ヒント無いのコレ?


「あ!板に文字書いてあるの何処かで見た事あるな!何だっけ?」


俺は記憶を必死に辿る。何かのヒントかもしれん。あ!アレだよアレ!ってアレ?


「墓標?だよな?死んだ時にさ?名前書いてるヤツじゃん?」


ダメだ絶望しか無いぞ?リセットボタンどこー?



魔王が殺しに来ました!


ノック音。魔王嫌だ!ここはどこー?俺はだーれ?選択肢逃げる!


「ペン銀!攻略本よこせ!」

「尊士様!大変です!」

「九十九か、俺まだ勇者じゃ無いからさ?お引き取り願うって伝言頼むわ」

「最低じゃ無いですか!困ってますよ?」


魔王は俺の首刎ねたいらしいな?どうしよ?選択肢ごねる!


「困ってるのは俺だよ。メロン食べても経験値上がん無いしさ」

「せめて、ご飯位あげましょうよ!」

「ご飯でお帰り願えるなら安いモノだな。聖水撒いてさ、見つから無い様に逃げるか」

「ご飯とジュース支給しますね!ありがとうございます!」


あれ?生還出来た?聖水は効果抜群だな?選択肢逃げる成功!


「もう来ないでね俺まだ旅人だからさ」



私が学校からサティアンに帰ると、玄関前で炊き出しをやってる。子供達は病衣を着てて、サムライ達がご飯配ってる。


「ん?パパが新しいイベント開いたのかな?」

「ゆめちゃん!丁度良い所に!おかえりなさい!」


九十九さんが、下校した私を大歓迎してくれる。いつもと違うなー。


「イベント楽しそう!ゆめも混ぜて!」

「勇者ゆめちゃんに頼みがある!パパを説得してきて!頼む!」


勇者?説得イベント?解んない。どうするのかな?


「ん?イベントで私が勇者なの?説得するの?ルールとクリア条件は?」

「えーとね、パパを説得すれば良いからね?事情を説明すると……」


私は九十九さんから大体の説明を受けた。


「楽勝だよ!すぐクリアするからね!パパ退治してくる!勇者ゆめちゃんにお任せ!」



俺は必死にメロンを食べる!禁断の果実!知恵の実!賢さ最大まで上がれ!ペン銀のくれた板の魔術書を解読するぞ!


「賢さ上がらないなあ?最強の呪文だろコレ?速く覚えないと!殺される!」


魔王の足音が雷鳴の如く鳴り響く!ヤバい!ガチでヤバい!ゲームオーバー目前!


勇者が説得に来ました!


「ペン銀!もうアカン!裏技でもチートでもいいから!助けろ!ラスボス難易度鬼畜使用反対!」

「パパ!早く病人さん達助けて!」


凄いなー村人じゃ無くって病人かー斬新だなー魔王はお医者さんだったなー納得かなー。選択肢思考停止!


「メロンで経験値溜めて。レベル上げて最強の呪文覚えて。勇者になるまで助けれない!無理!」

「パパ!目を醒まして!皆困ってるんだよ?」

「メロン沢山食べて?えーと何だっけ?忘れた!」


すると娘の選択コマンドに変化が現れた!コマンド変更?


「私のパパは強いんだよ?このままじゃ私の夢叶わない」

「選択肢ごめん。パパもう立て無い!ん?私?夢?」


ゆめちゃんが一人称に「私」を使うのを初めて聞いた。


「私の夢聞きたい?」

「選択肢聞きたい!」


俺は娘の夢を初めて聞くかも?


勇者ゆめちゃんが最強の呪文を唱える!ガード不能!回避不能!永続魔法発動!


「私は義理の娘だよ?気付いて、弱い所見たく無い」


なんとー!


「パパは強いんだぞ!魔王を絶対倒すからな!クリアしたらさ?エンディングあるのかな?」

「絶対クリアしてね!約束だよ?」

「ペン銀!最高のクリア報酬ありがとう!魔王討伐引き受けた!」


困り果ててる病人達に宿泊許可が降りました!



レベル上げの日々が続く。石原神仙の会に魔物が出現する。倒して経験値を上げるがカンストレベルに到達しない。ん?魔物って何って?


「応竜先生に変わって天誅じゃ!って言う氷の魔物ね?白い胴着に黒い帯してる。割と強めの設定だな経験値高め」


魔物1種類って難易度温い?違う違う。雑魚モンスターも居るよ?


「女神サキュバスであるラブ先生を拉致っただろ?愛を返せ!って言う山の魔物ね?白い看護服着てる。雑魚だけど炎は勘弁な」


え?それだけ?エンカウント率低いけどレアモンスター出るよ?逃げられるけどさ?何か二人組でさ?良く解らんのが居るよ?


「運命の交差点死ね!って言う謎の魔物ね?白衣と神父で仮面被ってるよ?アイツ?違うよ獄中に居るからさ?」



全然レベル上がらんマジ糞ゲー!娘に泣き付くダメな俺。


「クリアしないとダメ?」

「パパの両親は何処に居るの?クリアしないとエンディングお預け!」


フラグキター!ってお預けか、でも良い機会だな。話しておくか。


「親父の事は昔語った以上の事は無い。酒飲み過ぎてくたばった」

「お母さんは生きてるの?」

「お袋は変な宗教だか。おまじないだか。神社で階段登り降りして転落して事故死した」


ん?今何か俺言った様な?あれ?何だっけ?とっても重要な事だけど?何か大事な事忘れてる気がするぞ?


「供養の為にも神社行かないとね」


謎が解けた!


「その答えいぇすだね!」

「そうだよ!お参り行かないとね」

「ペン銀!魔道書解読したぞ!」



俺は母親が通って居た神社に出向いた。ここしか無いだろ?どこかな?取りあえず怪しい場所を探す。


「中は全部探したぞ?普通なら祠があって中央に聖剣だろ?空気読めよ?」


トイレに行きたくなって、外の便所に向かうと、小便器に棒が刺さってる。


「掃除のおばちゃん、しっかりしろよ!掃除道具きっちり収納しろ!」


仕方無いので棒を引き抜くが、アレ?めちゃくちゃ重いぞ?何コレ?


「よいしょ!」


すると、棒の中から刀が出てきた。が、重いぞコレ?多分コレだろう?刀身に文字が刻まれてる。


「聖剣アメノハハギリ……当たりだ!」


刀は目立つのは解っていたので警察に見つからない様にゴルフバッグにしまって持ち帰る。

ん?誰かの真似?違う違う。勇者が魔王の真似する訳が無い!

ん?友達の影響?違う!アイツはラスボス!


「ペン銀!聖剣重たいぞ!」



諦めた!次のゲームに期待!俺?ああ?尊士部屋でメロン食べてるw


「メロン美味しいなw飾り見るかなw」


2つのガラクタw聖剣アメノハハギリw日輪のバッチwゴミだろコレw


「重くて使い物にならんwバッチも埃だらけw」


ん?ゆめちゃんの事も諦めたの?って?いやさ別腹だからさw方法あるってw完璧過ぎるw


「裏技使うんだよw九十九に期待w」


裏技ってかチートってか反則だろ?ノックで九十九登場。


「影武者居ませんよ?」

「オーラ無くて男か女の区別付かないからなw特徴無くて隠しレアだもんなw」

「探すの止め無いですか?良い加減目を醒まして下さい!」

「何で?w見付けて来てよw」

「失礼します……」


九十九悲しそうだったなw



勇者ゆめちゃんが殺しに来ました!俺は修羅場を迎えてる。ヤバい!ガチでヤバい!殺させる!


「ゆめちゃん?落ち着こうか?メロンソーダあるからさ?」

「ふざけるな!殺してやる!そこになおれ!」


娘ガチ怖い、誰がこんな怖い子に育てたの?俺だった。


「偽物で私が喜ぶの?強いパパはもう居ない!要らない!死んでよ!」

「パパ頑張るからさ?頼むからさ?包丁下ろしてくれないかな?」


娘は大粒の涙を流してる。俺の人生終わった。


「もう、私の言葉も届かないんだね、嘘つき」

「ごめん」


俺は覚悟を決めた。さよならだ……ゆめちゃんの涙がポタポタ落ちる。


「死んだ?」

「……」

「私の声聞こえる?」

「……」

「あのね?パパと出会った時ね?王子様だって思った」

「……」

「強くって優しいパパが大好きだったよ?」

「……」

「思い出一杯だった」

「……」

「さよなら」


葬式?行かないよ?友達だろ?


続く


第47話『純水の自由』


これは死に損ないの物語……


あれから数日後。俺はゆめちゃんに殺されかけた後。

実家に戻った。ゆめちゃんは、ボロボロ泣きながら、包丁を下ろした。

もうだめだと本気で思った。しかし同時にゆめちゃんは俺に本気だと気付かされた。奮い立った俺は、九十九に後を任せて今に至る。



親父とお袋が住んでた実家は、何故か知らないが水道や電気が通ったままだ。

疑問に思うがあまり考えずにそのまま使う。流石は俺だ!

俺は過去を振り返るが、将来なりたかったものなんか具体的には無かった。

しいて言えば、ニャンと結婚したかった。あー結婚式にニャンが来てくれたらなー。

などと考える。でもニャンからしたら遠い昔の約束だし約束破ってるのは俺だから、結婚式とか来てくれないだろうし、何よりニャンは獄中だ。


「俺がカルトを立ち上げた理由は家族が欲しかったのと、ニャンを幸せにしたかった事なんだよな」


寂しくなってきたが、日々の修行を怠るわけにはいかない。

俺は室内で何の為にこんなに重いのか意味不明な刀。聖剣アメノハハギリを振るう。

所謂素振りだ。中学の時体育の授業で習ったっきりの上から下に振り下ろす単純作業を繰り返す。

魔王の倒し方が分からない以上何かしてないと心が落ち着かない。これを繰り返しても倒せる保証は一つもない。


「1、2、3、4」


無我夢中で聖剣を上下させる。剣道をまさかこの歳でやるとは思わなかった。

しかも魔王は得体の知れないモノではあるが、人間ではあるだろう。人を殺す為に剣術を身につけていくのは変な気分だ。


「24、25、26、27」


この聖剣は50キロくらいだろうか?使いこなしたところで、魔王に勝てる保証はあるのか?

魔王の見えない斬撃から察するに、魔王の持つ刀はかなり軽量化されてる。勝ち目があるのかかなり疑問である。


「40、41、42、43」


続けているうちに、限界値はどんどん突破していく。限界ってのは自分が決めた甘えだと誰かが言っていたのを思い出した。

俺は今まで楽に勝ち過ぎていたみたいだ。限界が自分にもあったと久々に知ったが、それすら突破している。もっと続けるか。


「59、60、61」


段々と腕の感覚が無くなっていく。いやまだだ。まだ終われない。


「72、73、74……」


まあ、こんなもんか。上々だ。


「奴に勝つにはまだまだまだだが、こんなもんだろ」


魔王の事を考える。今俺の手持ちの聖剣アメノハハギリと対を成す刀を持ってるのは明白だろう。

ただ斬られたと知ったのは、病院で意識が戻り刀傷だったということ。意識を失う直前にチラッと刀?の様なモノが見えただけ。

ゴルフバッグに仕舞う動作は見えた気がするが、いったいいつ抜刀したんだ?


「アイツは得体の知れない部分はあるが、人間のはず人間である以上何かトリックでもあるのか?」


俺の場合を考える。例えば信者を獲得する時は、必ずトリックやイカサマがある。

例えば、小粋を信者にした時の場合には、ジュースにLSDを混ぜて多幸感を与えながら、私について来たら幸せになるとかも、薬物のトリックがある。

俺の教組オーラも勿論あるが、薬や拷問器具の力は絶大だ。そう全てのカルト宗教にはタネがある。

そのメカニズムが暴露されたらカルトは崩壊する。それは石原神仙の会にも言える事でもあるが、いやいや後ろ向きな考えでは勝てん。


「純水の自由ってそもそも何だ?昔どこかで誰かが言っていた様な?」



純水の自由。この組織の噂は、俺の記憶を小学校まで遡ってぼんやりと思い出す事ができた。

確か俺が同級生から「友達だからジュース奢れよ」って糞みたいなのがいると、親父に愚痴ったら「純水の自由みたいだな」とボソッと漏らしたのを何となく覚えていた。


「ふむ、思い出せんが、親父の書斎漁ればヒントあるかな?」



散らばってるかな?って思ったが案外綺麗な書斎だった。パッと見渡すが、まあそんなにすぐに欲しい答えは無い。

隈なく探すか。書斎のテーブルの上にある辞書を開く。


「辞書の裏側にAVとか古典的な隠し方!」


まあ、俺も美人信者に奉仕させながら、AV観てるから遺伝って怖いね。ん?なんか手書きのAVの表紙あるな?ハメ撮りか?


「おい!小学校の担任の名前だぞ!」


事業参観に来たがらない理由の一つはこれか、最低のヤリチン野郎だな!似なくて良かった……遺伝って怖いな。


「本棚具合悪いから引き出し見るか」


引き出し開けたら、親父が書いていた小説らしきモノが沢山出てきた。

よく見るとペンネームはバラバラ。馬鹿丸出しな感じが垣間見える。その中の一つに目が止まる。


『水を配る友達』


「これは?あの魔王と似てる?いやそのままの様にも?」


もっと漁る。ペンネームはその都度違うらしい。作品一つにつき一つのペンネームになってる。意味の分からん法則だ。

すると同じペンネームが使われている作品があった。


『水を配るペン銀』『水を作った友達』『水を配る友達』


俺は唖然とした。どれもペンネームが『純水の自由』『友達』なのだ。こいつは一体?


「どうゆう事だ?とりあえず目を通してみるか?」



俺は親父の書いた小説もどきを読んだ。理解した事は親父は純水の自由の関係者って事。多分かなり上の立場だろうと推測できた。

嫌な予感が走った、あの親父の事だ。種を蒔きまくっているから、魔王は俺の腹違いの妹?

な可能性が出てきた事。

そして父方の系譜は代々『蝶々』を名乗り裏社会を操っていた物書き集団って事。


蝶々=純水の自由


でほぼ確定の気もするが、単に物書き集団だから上位組織がある可能性もあり。上位組織が自由の自由で下位組織に蝶々が位置付けの可能性もある。正直どっちでもいい。


「これは、ん?どうしろと?あの魔王を倒したら身内殺しになるし、魔王と組んだら純水の自由に組み込まれるし、いや?元を辿れば俺の家は純水の自由の関係者で、はて?」


むう、さっぱり分からん。折角俺は、尊士の立場も一時的だが捨て。日輪のバッチも付けないで保管し、聖剣アメノハハギリを毎日素振りして、俺はビビってる心を鍛え。はて?何だこの虚しさと、やるせなさ。


「まあいずれ答えは出るか」



あれから1年。俺は聖剣アメノハハギリを自在に操れるようになってた。

俺の身体は昔より絞られてるが、筋肉に溢れ身体能力が段違いだ。魔王を討伐する自信はある。

しかし待てど暮らせど、来る気配が無い。

まあ来ないなら来ないでいいが、ゆめちゃんとの約束を守りたいし、ゆめちゃんはもう16歳だ。サティアンは無事なのかな?ふと懐かしくなり。

我が家である石原神仙の会に胸騒ぎを感じて、ゴルフバッグに色々詰め込み家路に着いた。



サティアンに戻ると、玄関に居た信者達から、歓声の雨で迎えられた。1人が奉行を呼びに行った。どうやら何かあれば報告する密な関係は強化されてる様だ。流石は弟子達だ。

九十九奉行が走って出迎えてくれた。


「尊士様ご無事でなによりです」

「うむ、御苦労であった」


九十九はだいぶやつれていた。苦労をかけた様だ。気がかりを確認する。当然魔王の事だ。


「あれから襲撃は無かったか?」

「それが、尊士様がサティアンを旅立った後からパッタリと敵襲は無くなりました」

「そうか……魔王は?」

「来てませんね」


ふむ、拍子抜けだな、一体あの魔王は何が目的だったのか?まあ、来てないなら安全だったって事だ。良しとするか。


「ゆめちゃんは?」

「学校からそろそろ帰って来る時間ですね」

「ん?どうした?」


九十九が急に呆けてる様な、いや?蒼ざめてる様な表情になった。


「うしろ……」

「何だ?ゆめちゃん帰って来たのか?」


すると愛娘の愛嬌山盛りの笑顔が溢れていた。しかし。


「パパ!」


俺の目に光の反射で後ろの人物を認識するのに少し間が空いていた。

招かれざる客が、佇んでいた。幸いにもゆめちゃんとは距離がある。俺はゆめちゃんの方に駆け寄る。


「ゆめちゃん、ただいま。危ないから下がってなさい」

「ん?うん……」


異変に気付いたゆめちゃんは後ろを振り返って魔王の姿を視認したらダッシュでサティアンの方に行く。

ゆめちゃんが安全な距離を取れたと確認して、魔王に歩みを進める。流石に冷や汗ものだ。


「僕の事は無視かい?友達のなのに?」


そこには、刀を構えた魔王が佇んでいる。構えているだけで、抜刀はしてない。

俺もゴルフバッグから刀を出して居合いの構えを取る。


「ん!その刀僕のとお揃い!寄越せ!友達だろ?」

「お揃い?生憎だが、お前の小太刀とは桁が違うぞ?」


魔王は驚いた顔をしてる。いや、笑っているのか?まるで、種明かしされた手品を再度楽しむかの様な、余裕がある表情がベッタリと貼り付いている。


「何だ?前みたいに、いきなり斬りかからないのか?種明かしされたのが悔しかったのか?それとも怖気付いたのか?」


相手はあの魔王だ。挑発が効くかは判らんが、少しでも己を奮い立たせる為にも気をはいた。

お互い歩み寄る。抜刀はどっちもしない。鞘に収まったままだ。距離は目測で10メートル。9、8……


「怖いわけ無いじゃん?遠いからだろ?手加減しないよ?命乞いするなら今の内だよ?友達だろ?」

「お前には、ポアする価値すら無い!」


目測距離約7メートル。6、5……


「はあ?僕はね!キレたね!」

「……」


魔王が怒気を強めて咆哮する。


「死んで詫びてね!友達だろ!」


目測距離は測るまでも無く、刀を両者抜刀する。稲光が走った。鍔迫り合いの形から、一瞬の閃光で決着した。

魔王は何が起こったのか、解らない表情で、天を仰ぐ。


「ーーっ!!」

「お前の負けだ!」


倒れた魔王は目をパチクリさせている。もう立てまい。俺の勝利を確信した九十九と、ゆめちゃんは、恐る恐る歩いて近くに来た。


「凄いです!達人みたいでしたね!一瞬過ぎて何が何だかんだ分かりませんでした!」


九十九はかなり興奮してる。調子に乗った俺は悪乗りした。


「そうだろ?高速の剣捌きで16太刀を一瞬でかましたぞ!」

「流石は尊士様!」


実は威張りたくて、適当言った。まあバレないだろ。流石は俺だ!


「ゆめちゃん大丈夫だったか?パパ強かったろ?エンディングはいつかな?」

「パパ強い!でも嘘良くない!」


え?バレてる?何故だ?


「さっきの閃光は電撃でしょ?いくらパパでもあんな一瞬で16連撃とかナイナイ。相手の武器が刀だから、逆手に取ってみたんだよね?流石はパパ!」


全部解ってるのね?流石は俺の娘!いや、もうすぐ嫁!


「尊士様それでも流石です!」

「いぇすだね!」


こうして、格好がイマイチつかなかったが、まあ勝てたから良しとしよう。

だが、もう少し早く気付くべきだった。魔王にまだ息がある事を……


「後は任せた純水の自由は、無限に湧く」


馬鹿な、立てるはずが?流石に戦慄を禁じ得ない。まだ立ち上がってくる。


「お前は誰何だ?純水の自由の目的は何だ?」

「僕は純水の自由の友達……」


立ち上がれるはずが無い。

この聖剣アメノハハギリを模して作り上げたスタンソードは巨大な生き物の象ですら一撃である。

仮に海に向かって投げ捨てでもしたら、大量の魚達がプカプカ死骸となり浮いてくる程の危険極まり無い代物である。

対魔王に備えて万全の備え以上に、慎重になり過ぎなくらいの電圧があるのに、何故だ?


「僕だ、ああ、友達達に伝えてくれ。作戦は失敗だ。次の機会は……」


魔王はケータイらしきもの、いや、あれは無線機の類か?明らかにおかしい。電子機器が壊れないはずは無い。

だが逡巡するより、魔王から慌てて無線機らしき物を取り上げる。


「返せ!僕から友達を取るのか!」

「お前はもう助からない、せめてもの情けだ……」


魔王が助からないのは、目に見えていた。人間が生きられる電撃では無い。

俺は鍛えあげた拳を構えて、崩れ落ちた魔王の頭上に振りかぶる。

その刹那。魔王は右手を差し出して何の事やら解らんが、握手のポーズを取った。


「僕達友達……握手で友達……」


魔王の手が空中を彷徨い。魔王の瞼とともに右手は落下してしまう。空中で止まったままの俺の右拳は、行き場を無くした。

魔王は二度と目を開ける事は無いだろうと思ったが、念の為に脈に手をあてた。要らぬ心配であった。割に呆気なく幕は引いた。


「何だったんだコイツ?」



ファンサたんの墓。


俺は、魔王討伐をしたはいいんだが、謎が多いこの人物の死体の処理をしないと、後々厄介事になると気付いた。


※尊士が厄介事と言ってる件は、血筋がありそうだからである。


墓を立ててやったのも、無駄な出費であるし大迷惑極まり無い存在であるし、墓の名前も【友達】やら【魔王】では、名無しと同じなので、アイツが気に入っていたであろう。

俺が監修したゲーム。ストリート尊士DXのボスキャラ【ファンサたん】の名前を充てがった。

仕方無しではあった。

名前だし、まあいいやって感じで、またまた仕方無しに線香を立てる。


「お前は何者だったんだ?純水の自由ってなんなんだ?」


ファンサたんもとい、魔王が残した無線機は結局壊れていて、恐らく単なるハッタリや虚勢だったのだろう。


「墓も立ててやったし、これで終わりだよな?」


返事はあるわけも無いが、虚しく呟いた。ペットボトル【幸運の天然水】を置き立ち去る。


「迷わず成仏しろよ?友達だろ?」


俺は薄らい寒い曇り空の下、家路につく。


『無限に湧くから、また遊ぼ!友達だろ?』


続く


第48話最終話『流石は俺だ!』


聖剣アメノハハギリを模したスタンソードで、魔王ファンサたんを討ち取った尊士。胸には復活の証である日輪のバッチが燦々と輝いていた。



尊士は結婚披露宴の準備に明け暮れていた。そう魔王を倒したら義理の娘である夢ちゃんと結婚する約束を現実にしようとしてた。

街角で勧誘と並列なので、参加者はそんなに居ないとも計算済みであるが。

魔王ファンサたん……否。純水の自由の友達は識別不可能だからだ。

特徴として考えられるのは、『友達』って単語だけ。これでは識別不可能としか言えない。友達は何処にでも誰にでも居る。

ヒントになる筈の魔王が持っていた通信端末の無線機は、電撃でショートしてて何の手がかりにもならなかった。

そう俺にだって友達は居る。でも今は会えない。ニャンは今も獄中で刑務所の中。

披露宴に来てもらいたい気持ちも強いが、流石に無理だろう。刑務所に面会行こうかな?

だが、魔王の息がかかってるのは、国家規模なので刑務所も恐らくアウトっぽい気がする。優先順位的に後回しになるだろう。事後報告になっても許してくれるかな?


「気分転換に外のビラ配りの様子でも見に行くかな?」



俺は街に繰り出した。街角のお洒落な雑貨ビルの下で信者達が、ビラ配りをしている。

そこに1人の女性が運悪く、信者の勧誘&尊士様、夢様の結婚披露宴御招待に捕まっていた。

ふむ、信者のお手並みを拝見といこう。


「えーと、だからですね。この石原神仙の会に入信すると今ならなんと、漏れなく尊士様と夢様のご結婚をお祝いできるという、至上の喜びが待っていてですね?」

「興味無いんで、粘着やめて下さい」

「いやいや、この機会に是非」

「ソンシが他の人と結婚するの祝うって残酷過ぎるよ。聞きたくない」


俺はびっくりして、女性の顔を遠目ながら確認する……ニャンに間違えない。何故?とも思ったが、兎に角走る。

走るのは前は苦手だったが、魔王退治に向けて筋トレしたのが功を奏したのが幸いであった。追いつけた。


「おい、止めろ、その人は!」


ニャンがこっちを振り返った。視線がぶつかる。驚いた様な、悲しみを帯びてる様な、怒ってる様な、ニャンは何とも表現しにくい目線を俺に向けた。

一瞬だったが、動くモノ全てがスローモーションで刹那の時、切なさが、感情が湧いてくる。

ニャンは踵を返し、ゆっくりと歩み始めた。背を向けてそそくさと歩き出した。

まるでもう会わないかの様に取れた俺は、ニャンを引き止めたい一心で言葉を探す。


「待ってくれ!」


こんな時は流石に咄嗟にしか出ないし、陳腐でありきたりな言葉だ。

ただ、何も考えてなくて、俺の言葉の中なら一切の曇りない真実だった。恥も外聞も無く。必死に叫んでいた。ニャンは足を止めてくれた。


「ソンシの嘘つき……」

「ごめん」

「……」


お互いに一言呟いた。これ以上は言葉は出なかった。引き止めようと、言葉を探すが、もう視界の中には、ニャンは居なかった。

もう追いかけられないと、俺らしくも無く、諦念の感情に支配された。ニャンは最後に何か言った様な気がした。女々しさ全開の俺。



サティアンにトボトボ帰って来た。我ながら女々しいなと感傷に浸る。雪林檎が帰りを待っていた。

ん?普通はゆめちゃんだろ?

結婚前とは言えもうすぐ嫁になるゆめちゃんが出迎えるのが、最近では決まりなんだが?

はて?とりあえず「ただいま」って言う。「妊娠しました」って返事くる。


「へえ、あ、ああああーっ!」

「責任は取って下さいね?ゆめちゃんから許可を得てますから!」

「はいいいいーっ!」


俺はもうね、参ったね。流石の俺も放心状態。事情聞くと、ゴムに穴空いてた。だそうだ。

ゆめちゃんの反応を聞いたら、雪林檎ちゃんと結婚して下さいってさ。流石の俺も詰んじゃったかも?

するとkikikiもやって来た。嫌な予感的中。以上なヒット率。流石の俺も参ったね。


「少し1人にしてくれ」


できれば嫁も1人にしてくれ



尊士部屋に戻り。1人でメロンを食べながら、黄昏てる俺。

疫病神でも憑いてるのか?魔王の呪いか?いやいや非科学的過ぎる。

妊娠は偶然と言えば偶然だが、悪い事は重なるのかな?

良かった事と言えば、ニャンが出所したくらいか。


※尊士はニャンの出所を全く疑問に感じてない。


「はあ、結婚式中止か?」


コンコンとドアをノックされた。1人が楽だが、誰だよ?ドアを開けるとゆめちゃんだった。流石に詰んだな。


「パパ!皆に変な事したでしょ?」

「うん……」


終わったな。


「ゆめと結婚したかったんじゃないの?」

「大事過ぎて、手が出なかったんだよ」


こんな最終回嫌。


「ゆめには手を出せないから、他の人には手を出す?変なの」

「まあ、そうだな」


少なくとも嘘の無い終わりが、せめてもの償いか?


「最低。皆を幸せにしてね。その中にはゆめはいないけどね」

「俺が幸せにしたいのはゆめちゃんだけだよ」


ゆめちゃんの目が潤んでる。泣くのも無理ないし、泣き止む様に俺が言うのはかなり変だが、何も言葉をかけないわけにもいかない。


「じゃあ証明してよ!ゆめの事愛してるんでしょ?大事過ぎて手が出せないとか、パパはそんなヘタレなの?」

「パパは強いんだぞ!」


暫くお待ち下さい。


こうして俺はゆめちゃんをファースト斬る。我慢して育てた甲斐は一塩。格別なご馳走。幸せのは絶頂。



結婚披露宴当日。都内某ホテル。会場内警備は万全だ。

先ずはホテル内の結婚披露宴会場の入り口に、空港のゲートが設置されてる。危険物は持ち込めない様にしてる。

更には壇上付近には、聖剣アメノムラクモ、聖剣アメノハハギリ、聖剣アメノハハギリを模したスタンソードが設置してあり、いつでも戦闘に使える様にしている。

安全第一だが、困った事に魔王の仲間は識別不可能。【友達】が目印とか、かなり無理ゲーだろ?

会場内には予定より、かなり少ない100名程の信者やら信者の家族しか来てないみたい。当然俺はニャンの姿を探す。

ほら、あれだ、浮気心とかヤマシイ感情はないぞ?

式は予定通り進む。そして、尊士の友人代表スピーチの時。異変が起きた。幹部の小粋にスピーチ丸投げしていたのだが、肝心の小粋が化粧室から戻って来ない。

会場内が騒めき出す。その時だ。ホテルの照明が全て電源が落ちて、会場内怒号が走る。


「友達に乾杯!」



俺は慌てた。このタイミングで一体何事かと思ったが、ヤバい事には変わらない。

落ち着いて聖剣のディスプレイに近づく。万が一の備えだ。


「ぐ、ぐ、ぁぁぁーっ!」


俺は何者かに腹部を刺された。照明が復旧されたのと同時だった。


「友達の友達が友達の友達を倒したぞ!」

「ごめんね……ソンシ」

「ニャン……嘘だろ?」



照明が復旧した。辺り一面に般若の面を被った輩が複数人ってか、ほぼ6割くらい居る。

計画的な犯行は明らかだろう。般若の面を被っている勢力は、他の来客達に殴りかかっている。



照明が復旧して、私の目の前は明るくなったが、私の未来は、お先真っ暗になった。

結婚式楽しみにしてたのに、1番好きな人と1番大事な時間を過ごせる人生の中でも、飛びっきり大事な日なのに、私の好きな人は血だらけになって、倒れてる。

この日を夢見てきたのに、夢なら醒めて、こんなのが現実って嫌だよ。


「パパ……しっかりして、まだ大丈夫だよね?」

「逃げろゆめちゃん」


刀を構えた女の人が私に近づいてくる。鬼の様に綺麗な美人で、鬼の様な殺気を放ち、鬼の様に冷たい言葉を投げかけてくる。


「あなた、ゆめって言うのね。泥棒猫!あなたを殺して私はソンシを貰うわ」

「何を言ってるの?それなら私だけ殺したらいいじゃない!パパは何もしてない!」

「ソンシが他の女を好きになるからいけなかったのよ!」


招かれざる客は刀を振りかざし近づいて来る。その時だった。パパにしがみついていた私を、違う乱入者が引き剥がして、出口方向に走るように促した。


「あなた誰?」

「構うな、今は逃げろ!」

「でもパパが!」

「こいつもついでに助ける、今は出口に向かえ!」


こうして、出口へと走り出した私。パパが心配だけど、どうする事もできない。



俺は逆者。氷柱道場の今の頭だ。

目の前に居る日本刀を構えた女は、視線が虚ろで戯言とブツブツ言いながら、血塗れの尊士の方に向かってる。

隙だらけだ。俺はすぐさま懐に潜り込み、腹に思いっ切り重たい一撃をかます。


「悪く思うなよ」

「ぐっ!」


手応えありだ。二度と立ち上がれないだろうと思い。連れてきた氷柱道場の門下生達に指示を与える。

会場に沸いて居る般若の面には、相当な恨みがある。俺の妹を還らぬ者にした性犯罪系カルトの教祖。止まった仮面が愛用していた般若の面と全く同じ意匠である。

俺が怒りに我を忘れるには十分過ぎる理由だ。


「お前らは般若の面の奴等を各々の判断で倒せ!」

「押忍!」


俺は弟子達に指示を出し、助ける義理は無いものの、尊士の付近に門下生を配置して守りにつかせる。



出口近辺についたが、安全な場所では無かった。止まった仮面と、見知らぬ白衣の女が立ち塞がっている。

俺は相手を睨みつける。止まった仮面は素手だ。体格も大したものではなく、一撃必殺だろう。楽勝もいいところだ。

もう1人の方に目を向けると、火炎放射器を構えてる。これは厄介だ。止まった仮面は放置して先に危険要素の方から叩くと決めて白衣の女を見据えて手刀を構える。


「お覚悟願おう!」


白衣の女に殴りかかろうと、飛び込んだ刹那。止まった仮面が、俺の足を止めた。


「ん?君とは初めて会った気がしないね?妹さん元気?ああ、僕が殺したんだったね!」

「貴様ーーっ!」


問答無用で殴りかかるが、距離が遠く、寸前で回避された。


「ちょっと私の彼に何するの?燃やすよ?」


疑問形で言ってるアクセントだが、躊躇いもせずに火炎放射器は火を噴いた。

建物の柱を背にして、やり過ごす。すると、都合のいい事に、警備用の催涙スプレーが目に付く。これは使えると思い。

白衣の女が火炎放射器無双してる頭上に弧を描く様に、催涙スプレーを投げる。

すると、あろう事か火炎放射器を停止した。まるでこうなる事を予測してたかのように。


「警備用の催涙スプレーだと思った?」

「……」

「これは使えるって思ったでしょ?」

「……」


なるほど、予め用意していたのはコイツらか、しかし何の為に?

スプレーな中身は確認しようは無いものの、逃げ場に配置する要素は一つも無い。


「君に提案だが、実は妹さんが生きてるなら会いたい?」


一体何を言ってるんだ?妹は死んだはずだし、警察も家に散々来た。警察……


「僕は終身刑のはずなのに何でシャバに出てるのかな?」

「……」

「君さえ良ければ妹さんはお家に帰れるんだがな」

「……」

「純水の自由は無限に湧く。君は運が良い、巨大宗教連合のメンバーになれるんだよ?」


俺は激しく動揺していた。その時だった。俺の真横にスプレー缶が飛んできて、火炎放射器の放つ炎でスプレー缶が激しく爆発して……


「う、う、う、」

「君がいけないんだよ?返事を早くしないから、折角妹さんに合わせてあげようかと思ったのに残念だなー」

「貴様等は最初から、この状況を狙っていたはずだ」

「そうだよ?でもね?ちゃんと妹さんには合わせてあげるよ!あの世でね!」


俺は自分の不甲斐無さを呪った。その時だった。先に出口近辺に向かっていたはずの尊士の花嫁が、あろう事か逃げずに、こっちに向かって来た。


「助けが来るから持ち堪えて、あっ!呼んでくる!」


助け?こちらの戦力で中にいる般若の面の連中は抑えられる。

だが、この止まった仮面と白衣の女を倒すすべは無さそうだ。

せめて火炎放射器さえなければ、立ち回り様はある。

いかんせん、スプレー缶の破裂する爆発を食らったのだ。暫くは指先一つの感覚も無い。

助けが来ると言っても一体誰が来るのか皆目見当がつかない。



俺は目が覚めた。確かニャンに刺されて気を失っていたはずだ。

今目の前にニャンが倒れてる。ニャンは外傷が無いところを見ると、腹に打撃でも食らったみたいだな。俺は痛みを堪えて、ニャンに声をかける。


「ニャン、大丈夫か?」

「……う、う、ソンシ?」


ニャンは目覚めた。これは心の浮気になるのかな?と血が回らない頭で、どうでもいい考えを巡らせる。ニャンは熱い眼差しを向けて来る。


「ごめんね、ソンシ。折角の結婚式だったのに、台無しにして」

「それは、まあ、そうだが、招待状の送り先知らなかったし俺、俺はニャンに祝福されたかった。贅沢かな?」

「酷いよソンシ。私の気持ち知ってる癖に」


聞いてて、心が痛い。このまま、俺もニャンも死んじゃうのかな?


会場中では、般若の面の輩が招待客に殴りかかり、俺の作ったカルト宗教、石原神仙の会のメンバー達と、白い道着の連中が、般若の面の輩を捕縛していってる。どうやら沈静化は時間の問題だ。

すると、明らかに異質な人物が俺とニャンの目前に現れた。


「お前が、友達を倒したのか?」

「何だ?アンタ?」

「質問しているのはワシだ」

「純水の自由の友達なら確かに倒したが?」

「そうか、つまらん死に方は、お前には用意されとらん、飛び切りのシナリオを書いてやる」


謎の老人は謎の言葉を吐いた。シナリオってなんだ?


「パパ!」

「ゆめちゃん?」


外に逃げたはずのゆめちゃんが戻って来た。何故かは分からん。すると謎の老人にお礼を言う様に、俺に催促する。何故かは分からん。


「例には及ばないぞ、ワシの力でこの騒ぎを沈めるのは容易いからの」

「ありがとう知らないお爺ちゃん」

「知らない事も無いがな……まあ良い」


すると、謎の老人は左腕を空に掲げて、人差し指を天に指した。すると、謎の乱入者達は一気に静まりかえった。

何かの合図の様だ。般若の面達や、外にいる奴等がぞろぞろと、披露宴会場の壇上に集まる。

壇上には、俺、ゆめちゃん、ニャン、謎の老人が居る。何か始まる様な、いや、全て終わる様な嫌な予感が走った。


「では、愛と命の天秤のシナリオにするかの」


シナリオ?意味が良く分からないが?


「愛が大事なのか、命が大事なのか、まあ、細かい説明は無い。ソンシ、ゆめ、ニャン。この中で1人しか生き残れないって単純なゲームじゃ」


頭沸いてるのか?このジジイは?


「ワシには、大事な孫がおった、1人だけでも生き残れる者がいるだけ、有り難く思え。殺し合いの方法は何でも構わないぞ?」


黙りを決め込んだ。俺は助からないのは、分かる刀傷は深い。

ニャンも目立った外傷は無いが……って思った矢先だった。ニャンは立ち上がった。刀を構えている。


「ごめんね、ソンシが居ない世界なら要らない」


ニャンは自分の首に刃を当て引き抜いた。首筋から赤い血が勢いよく流れて、ニャンは、ニャンは……嘘だろ?


「ニャン、なんでだよ……昔ならこんなジジイ殴り飛ばしてたろ?」


ゆめちゃんは血を見て気絶した。何でだニャン?悲しみに明け暮れる俺。そこに謎のジジイが言葉をかける。


「今ならお前の勝ち確じゃぞ?気絶しておる花嫁に斬り結んでハッピーエンドじゃぞ?」


俺はね!キレたね!


俺は立ち上がり、渾身の右ストレートを放つ!


「お前はポアだ!」

「お前は何も分かってないぞ?」


ジジイはあろう事か左のクロスカウンターを放った。モロに食う俺。意識が揺らぐ。


「その技はワシが考案したものじゃ、神に通じる道理があるものか、愚か者め!」


何を言ってるのか、サッパリ分からなかった。


「愛と命の天秤のゲームのルール違反で全員処刑じゃな」

「待ってくれ!せめて、ゆめちゃんだけは!」

「ダメじゃ!神は甘くないぞ?お前が殺したも同然じゃ!」


やがてボコボコにされながら、俺の意識は命の炎と共に段々と小さくなった。

俺は死ぬのか?そう思った時だ。頭の上から幸運の天然水が降って来た。


『ファンサービスだよ?受け取れよ?友達だろ?』


頭の中で、死んだはずの魔王の声がした。

このままでは、俺は助からないのが目に見えていた。藁にもすがる思いで、幸運の天然水を受け止める。飲み干して、俺の身体の傷は全て癒えて、身体中が熱くたぎる。


「ジジイ!俺はな?キレたね!」

「生意気ほざくなひょっこが!」


壮絶な格闘戦である。刀が近くにあるものの、何故かは知らないが、ジジイは刀に興味が無く、俺も刀には目もやらなかった。

互いに全力で殴り合う。このジジイは何故倒れないか不思議なほどに拳を叩き込んでるが、一向に倒れる気配が無い。


「ひょっこが!お前の攻撃など蟷螂の斧に等しいのじゃ!」

「お前はポアだ!」


俺は無我夢中で殴り続けていたが、段々とスタミナが尽きてきた。やばい。


「そろそろトドメじゃ!」

「くっ!」


俺はジジイの左ストレートをモロに喰らい倒れてしまった。倒れた先で、血塗れのニャンの横に倒れた。

ニャンは昔と変わらず綺麗だったのに、こんな最期で終わる様なヤツじゃないのに、そんな事を考えてると、ニャンの手首に目がいった。リストカットの痕が無数にある。

ニャンの容姿をまじまじと見る事無かったな。ニャンは白いドレスを赤く染められて、ピクリとも動かない。すると……


『こんなところで終わるの?立ってよ?友達かは、もう、怪しいけど、ずっと好きだよソンシ!』


天から声が聞こえた。心の底から噴き出す感情が悲鳴をあげる。


「ニャン。言えないんだ。ごめん。好きだったよ……」


俺は復活した。魂が震えた。


「なんじゃ?幻の蝶々でも視えたのか?」

「いぇすだね!お前は俺には勝てない!」

「くたばり損ないが何をほざく!」

「お前はポアだ!」


俺は勢よく間合いを詰める。無策では無い。このジジイが刀に目もくれない理由が、恐らくあるとすれば、単純に使いこなせないのだろう。

大した身体能力だが、身体に馴染んでる武術があるのは見て取れる。

間合いに入って来た俺を拳で牽制するジジイ。何発かもらうが、構わずに進む。ガードに隙間を作る俺。恐らく、これが決まれば勝ちだ。


「終いじゃ!」


見計らったタイミング、絶妙な間合い、予測した攻撃。全て整った。俺はジジイの左ストレートを腕ごと絡め取る。


「チェスト!ソンシの極み!」

「くっ!貴様ーっ!ワシを誰だと!」


絡め取った左腕。飛び付き十字固めで、肘を破壊する。

ジジイの動きが止まり。投げ飛ばす。建物の床に御構い無しに全力で叩きつける。


「お前はスルーだ!」

「ぐぇーっ!」


次々に関節を明後日の方向に曲げる。一切容赦しない。流石は俺だ!


「止めるのじゃ!ワシを誰だと思うとるか……」

「関節がシ!明後日の方向に全部曲げたら止めるが、その時はお前は死んでるがな!」


俺はジジイが打撃系の武術の達人だと踏んでイチバチだったが、関節技や投げ技。所謂サブミッションで対抗する事を決めたが、賭けには勝った。流石は俺だ!


「純水の自由を滅ぼす気か?お前はワシ達を全部敵に回す事になるぞ?取り引きじゃ!ワシを殺さないなら……」

「純水の自由が何人来ようと、日輪が沈む事は絶対無い!この世に悪は蔓延らない!お前ポアだ!」


最後に首に腕を回しポキッとへし折る。


「ぐぇ!」

「さらばだジジイ」


こうして、ジジイとの戦いに勝てた。会場から歓声が湧く。拍手の雨あられだ。


「尊士様!流石です!」とか、会場中から歓喜の声が鳴り響く。

会場の騒がしさで、ゆめちゃんが目を覚ました。


「あれ?パパ勝った?え?やったー!」

「いぇすだね!」


いつの間にか、般若の面付けた輩達も居ない。ジジイが倒れた後、一瞬で消えたのか?

分からんが、あまり会場には目がいかなかったから、単に旗色悪くなって逃げただけかもしれない。

会場の内に、見覚えある道着を着た人物が運ばれて来た。氷柱道場の頭で、応竜を名乗ってたヤツだ。

信者の誰かが外で倒れてるのを発見したらしい。息は無かった。というか、全身酷く焦げていて、表情だけが穏やか死に顔だった。


「応竜、ありがとうな、お前が助けてくれるとはな、あの世では友達になろう」


応竜に軽く手を合わせた。


『純水の自由は終わらない。終わってない。血よりも濃い水に気をつけろ』


天からの声に耳をすませば、俺は色々助けられている事に気付く。


「友情の証確かに受け取った」

「パパ?独り言?それより結婚式はどうなるの?」

「延期しかないな、警察も来そうだし、一旦引き上げよう」

「そうだよね」



こうして、結婚式はめちゃくちゃのまま終わり。家路に着く。家って言っても石原神仙の会の第1サティアンだが、皆ぐったりしてる。

ニャンの遺体も持ち帰り葬式を直ぐにしたかったが、流石に今日中は無理だったから、明日にする事にした。



俺はニャンの葬式を簡単にだが終わらせて、墓を立てた。ニャンの墓の前で手を合わせて、礼を言う。


「最後に勝てたのはニャンのおかげだ。天国から見守っててくれ。好き……だったよ」


魔王にも礼を言う。魔王が俺を助けた理由は不明だが、助かったのも事実である。


「魔王、お前は何だったのかは、分からんが、とりあえず助かった。ありがとうな」


天から声が聞こえた気がしたが、気のせいだと思った。


『友達だろ?』



結婚式は結局、石原神仙の会内で静かにやった。

雪林檎がゆめちゃんに祝福の言葉を送る。


「おめでとうゆめちゃん」

「ありがとう雪林檎ちゃん」

「友達だろ?」

「うん!」


なんか嫌な予感が走った気がしたが、まあ、気のせいだろ。流石にないない。



こうして幕を下ろした結婚式だが、気がかりがある。

純水の自由に加担した奴等が一向に静かだということ。

次の戦いの火蓋が近付く予感がする。


俺はあれから変な能力が付いてしまった。恐らくタイミング的に、いや、身体が変化したあの時がかなり怪しいのだが、魔王がピンチを救ってくれた時に飲んだ幸運の天然水の作用だろう。


近未来が予測できるようになった。信者にも、ゆめちゃんにも言ってない。

インチキ宗教の教祖が、マジもんの能力者になってしまった。自分では、最初気が付かないのだったが、偶然デジャヴュ見てるのが、全て現実になる。薄気味悪い能力だ。


インチキ宗教だからこそ、インチキな種があるのを自覚してるが、マジで困ってる。種も仕掛けもないトンデモな力だ。


この事から察したが、俺はもう、純水の自由に組み込まれている。ほぼ間違いなく。

というか未来視が俺に告げてる。俺はそう長くないうちに、純水の自由に迎合するだろう。


「流石の俺も参ったね」


未来視で見えるが、真偽は確認しないと実感がわかない。

一つ痛感してる事は、純水の自由は各々特殊な能力を持ち合わせている。


力の源泉は理解出来る範囲なら、物書きをしている事である。どうやら空想を現実化しているようだ。


俺に未来視の力が付いたのは何故だろう?あのジジイがシナリオを書く云々言っていたが、何か書いた覚えは無いのだが?はて?


「未来視の力だからいずれ書くって事か?」


こうして俺は物語を紡ぎ続けた。いつか、必ず役に立つと思い。ペンを走らせた。


「良し、記念すべき第1作だ。タイトルは……」


【尊士の歩み】


ーfinー


エキストララウンド『水を配る友達』


新しいお父さんは僕を食べました。お母さんは泣いてばかり。清めるてくれる水が友達。

僕の新しい名前は『友達』です。これは僕の物語……


「遊ぼうか友達だろ?」


終わらせよう。想いを綴った。助けが来ると信じた。


「誰も助けに来ないんだぞ?ペン取られて嬉しいだろ?友達だろ?」


返す言葉が無い。


「友達はパパだけですものね」


本当のパパと、あの頃のママ、綺麗だった僕を返して、名前とペンと水を返せ!消えてくれよ?友達だろ?


「友達要らない」


心が悲鳴をあげた。


「僕は何も無いのに……何でここに居るの?」


遺書を書く為にペンを探したが捕まってしまった。


「パパが友達を紹介しよう」


心を失った。


「……」

「人形の様で面白くないぞ?友達だろ?」


何も解らない。


「水でも飲みなさい友達だろ?」


奇跡が起きた。


「死んでくれないかな?友達だろ?」


言葉を取り戻した。


「友達の分際で!おかわり自由!友達だろ?」


気絶して水をかけられた。復讐の刃が眼を醒た。


「あの人形壊れたから、次の人形を探すとするかの?どの娘にしようかな?友達になろう!」


見付けた。


「聖剣アメノムラクモ。雨を降らせる剣だ。待ってろ友達!」


斬り刻んだ。


「助けてくれ!許してくれ!友達だろ?」

「許す!乾杯!友達だろ?」

「ぐえ!毒じゃと……」

「僕のとお揃い!水上げない!友達だろ?」


テーブルに僕と倒れた友達。


「水持って来い!友達だろ?」


ババアが震えながら持って来る。


「水ばっかり飲んでたら……」

「美味しいの!教えろ!友達だろ?」


ババアは医学書を買って来た。


「飲みすぎたら死ぬ……赤い水流れて脱水症状」


新しい友達。


「頂戴!」

「お金持ってる?この本高いよ?」

「ふざけるな!これと交換!友達だろ?」

「ふざけるな!ペットボトルの水1本と本100冊じゃ釣り合わんだろ!冷やかしは帰れ!」

「強いのはどっちだ!言ってみろ!金はどうするよ?友達だろ?」


ボコボコ。


「御代は水で結構です……命だけは助けて下さい!」

「水を受け取ったら友達だ!殺す訳無いだろ?僕がそんな人間に見えるのか?友達だろ?」

「水ありがとうございます!」

「怪我してる!見せろ!友達だろ?」


水で治療。


「それとな友達に僕の友達預けるからさ?友達増やせ!友達だろ?」


水で買える。


「伝説の美味しい水?幸運の天然水だって?飲みたい!」


飲むと知識が湧いた。


「そうか!そうだったのか!友達は北極のペン銀が水からタマゴ拾ってから出来るのか!良し友達増やすぞ!」


僕は男でも女でも無い。友達が何処で生まれるのか知らない。水が教えてくれた。


「友達に通達!北極行くぞ!ペン銀狩りだ!友達だろ?」


友達は寒さに倒れて、僕だけ。


「捕まえたペン銀は1羽か、沢山タマゴ産めよ?友達だろ?」


産まない。何故だ?


「僕の友達を上げれば産むかもしれない!」


水を上げる。次に幸運の天然水。


「沢山産めよ!水飲め水!友達だろ?友達欲しいよ」


僕とペン銀……ババアは出て行き残りは死んだ。


「最後の友達なの?また一人なの?元気だせよ?水あるよ?」


最後の天然水だ。


「おい!しっかりしろ!お前が居ないと……」


水は底を尽きた。


「死んだら嫌だ!絶対死ぬな!もう薬も復活の聖水も何も無いんだ!お前は僕の友達だから不死身のはずだ!生きろ!一人にしないでよ友達だろ?」


ペン銀が息を引き取った。


「どうしたらいいんだ……」


寂しさを紛らわす為に山に出かける。可愛い兎だ。


「捕まえた!友達だろ?」


観察する……慌てた。


「ダメだぞ?友達が可哀想だよ?友達なんだからさ?仲好くしろよ?な?」


片方が止めないから殺した。


「悪い友達をやつけたけど睨んでた……僕の事嫌いになったって置いてった」


山に登り全部捕まえた。


「僕を一人にしないで」


兎は水だけ飲む。


「頼む少しでも食べてくれ僕のは全部上げる」


最後の兎は息を引き取った。


「水は美味しそうに飲んでたな、僕はまた一人」


寂しいから新しい友達を探した今度は川の魚を沢山取って来た。


「ご飯は考えないとな」


図鑑を調べた。ご飯取りに行こう。


「御代は払うからね」


水を置いて行き。魚にご飯を上げた。


「そうか!水とご飯か!解ったぞ!僕の楽園だ!」


また魚を取りに行く。ご飯を食べてる人が分けてくれた。


「美味しい!これ初めて食べる!もっと頂戴!」

「ん?そうか?お前も魚取りに来たんだろ?まあ良いか少し待ってろ」


初めての友達とご飯を食た。


「これ!どこに売ってるの!僕もお店知りたい!僕にも教えてよ!友達になろう!」

「ん?こうやって作るんだぞ?お前はもう友達だから沢山食べろよ」


串?


「何をやっている!友達が死んでしまう!止めろ!友達だろ?」

「お前さ?さっき美味しそうに食べてたろ?何言ってるんだ?これ焼き魚だぞ?」

「嘘だろ…僕は一体…何で?」

「焼いてから食べるんだぞ?待ってろよ直ぐにまた火を付けるからな」


ボコボコ。


「参ったか!友達に手を出したらいけない!友達の友達は友達だから!」

「頭おかしい……そうだ!仲直りしよう!これ上げるから食べろよ!魚じゃないぞ!」

「うん!これ食べて仲直り!僕達友達!ありがとう!」


ハンバーグだ。


「あーそれさ、お前の好きな動物の友達だぞ?美味しいか?美味しいよな?」


吐いた。


「何泣いてるの?美味しいから嬉し泣きしてるの?友情の印沢山食べろよ!お前は友達だろ?」


泣いた。


「お前さ?面白いから友達決定だな!俺の家に来るか?もっと友達御馳走するぞ?来いよ!友達だろ?」


初めて逃げた悲しい事を知った。


「もう食べれないから水がご飯」


野菜を食べる様になった。兎のお陰だ。


「僕が殺したのに」


寂しさに耐えられない。友達が欲しい。手紙を渡して友達を増やそう。


「文字書けないや」


国中を探す。


「出来た!外に行ける魚の友達は川に帰そう!」


今までの事を切り取り。歩きまわった。


「新しい国だ!」

「見かけない顔だな?」

「これ見て!僕は友達作りにきた!」

「どれどれ?」


門番泣きだす。


「大丈夫?脱水症状起こすからこれ上げる!友情の印!僕の友達になって!」

「僕達友達!握手で友達!」


僕を理解してくれた。


「国王と友達になってくれ!国王も君を歓迎してくれる!友達だろ?」

「うん!僕友達沢山欲しい!ありがとう友達!」


国王は受け入れてくれた。


「水を別けてくれ!頼む!」

「友情の印!僕達友達!握手で友達!」


権力と言うモノを手に入れたらしい。楽しい日々が続く。


「友達!お腹空いてないか?水飲むか?遊ぼう!」

「うん!僕達友達!」


ところが、友達を動物の様に扱う魔女が暴れ出した。


「友達を守ろう!皆!水を持て!友達助ける!僕達は友達だ!」

「友達に続け!友達を守れ!僕達は友達だ!」


友達は全国中に居る。魔女は富士山に住んでいた。


「聖剣アメノムラクモで倒す!友達を檻から助けるんだ!」


地獄絵図だった。


「皆もう大丈夫だ友達が助けに来た!ここから出れる!皆助かる!」


魔女登場。


「何をやってる?ペット達を逃がすとは……お前達は新しいペットだ覚悟しろ!」

「ふざけるな!僕の友達に酷い事するな!」


僕は戦う。身体が痺れる。


「聖剣アメノムラクモか?何処で手に入れた!」

「僕のモノだ!触るな!」

「お揃いだから友達だ!檻で飼い殺し!嬉し泣きしろ!死ぬまでペット!」

「ふざけるな!僕は僕だ!お前の思いどうりにならない!僕にはコレがある!お前の悪事はここまでだ!」


水で毒が引いた。体勢を整えて斬りかかった。


「何故だ?タダの水で私の毒が……」

「お前は毒を使って無い!インチキだ!ラベルを見ろ!」


魔女驚愕。


「酸素水とは……殺せ!殺してくれ!」

「僕が一緒に頭を下げる!謝りに行くんだ!皆優しいから……」


魔女は笑う。


「お前は優しいの。これを受け取ってくれないか?」

「コレは?何だ?銀色の小瓶?」

「本当に強くなった時に倒せ!中には災いが封じてある。今のお前では無理だ」

「解った!お前は理由があって悪事をしてたんだな?」

「心が読めるか?お前は蝶じゃな。友情の印を受け取れ!」

「蝶?ペン?僕は文字書けないよ?」

「書く必要は無い」

「僕は友達が死ぬ所は見たくない。水飲め!」


魔女は毒を取り出した。


「お前は史上最強の蝶!私を超える魔女!いや魔王かもしれん!」

「僕は友達だ!あだ名は要らない!それは名前の様で……記号だ!」


魔女が笑う。


「それが名か……最後の蝶に名前をやろう」

「要らない!僕には必要無い!僕は友達だ!」


魔女は構わず言葉を紡ぐ。


「純水の蝶々。蝶が古来から誕生を願った人類の切り札。お前なら使いこなせる」

「欲しく無い!僕は友達だ!」

「お前はまさしく切り札!だが最強の蛾も誕生してる。負けるで無いぞ?人類に逃げ場は無くなる……全て無に帰る」

「僕が友達を守るんだ!僕は友達だぞ!」

「ふふふ。お前なら救えるかもしれんな友達には気を付けろよ」


魔女の銀色の香水瓶とペンを友情の印として受け取った。


「友情を受け取った。お前は最後は僕の友達として死んだ。ありがとう友達さよなら友達……記号は忘れるよ友達だろ?」


魔女の悪口は言わないでと頼んだ。


「新聞には乗って無い!テレビにも乗って無い!」


しかし噂は絶えない。


「友達!聞いたぞ!大活躍だったな!」

「僕は自慢話はしないんだ。友達が嫌がるから」

「友達は友達思いだな!」


友達が厭らしい目付きだ。


「なあ、遊びに来ないか友達だろ?」

「僕は友達だよ?」


諭した。


「そうだったな、お前は皆の友達だもんな!ごめんね」

「友達だろ?」

「友達だな!」


色々誘われる機会が増えた。ポストを確認。


「手紙?」


医師免許?


「ただいま」

「ただいま」


誰か居る。慌てて電気を点ける。


「おめでとう!君は今日から世界のナニカの医者だ」

「おい!お前!服を着ろ!恥ずかしく無いのか!友達呼ぶぞ!」


服着て無い。


「慌てるで無い!これは着ぐるみじゃ!」

「悪趣味だ!友達呼んで来る!」

「待て!純水の蝶々!」


魔女が言った単語!?


「お前は誰だ?」

「お前を迎えに来たぞ。服を着るから待つんじゃ!もういいぞこっちを向け!」


明らかに速すぎる。


「ほれ服を着たぞ!」

「ぎゃー!汚い!寄るな触るな近寄るな!友達に通報する!」

「馬鹿には見えない服じゃぞ?」


全裸……


「家では全裸がユニホームじゃ!じゃが嫌われても困るの」


謎の人物はモゾモゾしだす。


「おい!いいぞ!目を開けろ!」


半目で確認。


「おい!コスプレか!宇宙飛行士に友達居ないぞ!」

「これは宇宙服?宇宙服じゃない?作ったのはワシ?ワシじゃない?自由じゃぞ?」


問答無用!


「そこになおれ!」


切っ先が触れる寸前で相手がペンを出した。


「お前はこれを持っているから蝶じゃ!しかも人類史上最強じゃ!おめでとう!」

「お前は誰だ?」

「……」

「おい名乗れ!」

「名乗ったぞ?聞こえ無かったか?」

「黙っててたら解んないだろ?答えろ!」

「0点!いや、お主を表わす記号じゃったな1点!おめでとう!」

「僕は馬鹿じゃない!友達だぞ!」

「1点満点じゃ!過去最高得点じゃ!ワシも甘口じゃの!ふぉふぉふぉ!」

「むう!馬鹿にして!叩き斬ってやる!」

「野蛮な事は嫌いじゃ!止めるんじゃ!」

「止めて欲しくば……」


蹴り?息が?


「お主は水が好き?嫌い?水は誰のモノ?ワシのモノ?」

「水……」

「水を配るという発想はワシも想定外じゃった!まったくドラ息子め破門にしたとたんにコレだ!面白い!100点!」

「何か解んないけど話聞くよ?友達になりたいんでしょ?」


謎の人物は驚いてる。


「お主のジジじゃぞ?何故驚かん?お主の親父のお父様じゃぞ?」

「友達?そうなのか!何故酷い事するんだ!答えろ!」

「お主コレは何だ?教えろ!今すぐ答えろ!全部答えろ!早急にだ!ワシの知らない概念は在ってはならん!人類を滅ぼす気か!友達だろ!」

「はあ?馬鹿なの?死ぬの?変人で変態だからな!教え無い!ごめんね!友達だろ?」

「お小遣いじゃ!ワシはお主を気に入ったぞ!馬鹿息子がこんな隠し玉を持ってるとはな!ふぉふぉふぉ鼻が高い!」


切手?これ何だ?お金じゃないぞ?


「おもちゃの紙見せて何になる!大体僕は文字が書けない!僕をコケにすると友達が黙って無いぞ!」

「馬鹿な……そんな馬鹿なあり得ないぞ!ワシがドラ息子に負けるとは……」

「さっきから意味解んない!友達呼ぶぞ!」

「お主の友達の友達じゃ!だから友達じゃ!良いな!これを見て解らんのか!」


知らない単語だな。


「お主まさか!これを見ろ!答えろ!全部だ!はよ!」

「ああ!解った友達だ!」

「ワシはこれで、ドラ息子がコレで、お主はこれじゃ!だから友達の友達じゃ!良いか分かったな!すっきりしたぞ!偉い!」


メンドクサイな。


「はあ?解んない友達だな!全部友達だよ!0点!」


なんか泣き出した。


「決めた!ここが今日からワシの書斎じゃ!これは傑作じゃぞ!最強は伊達では無いな!ふぉふぉふぉ!」

「僕の家だけど?出てけよ」

「ふむ!勝った!世界中ワシの家じゃ!ここもワシの家じゃ!友達だろ?」


はあ?


「ただいまは僕の専売特許だ!友達のパクルのはいけないって習わなかったの?」

「習わなかった!僕達友達!握手で友達!」


握手してきた。寂しいのかな?


「仕方無いなまあいいけど」

「良い子じゃ!ワシの最愛の孫決定!ああ友達の事ね!それとワシがドラ息子を作ってお主が生まれた!ワシの手柄じゃ!ワシの物語じゃ!オリジナルじゃ!ワシ偉い!流石は友達!」


一緒に住む事になって割と時間が経った。色々あったけどあんまり帰って来なくなったな。


「ただいま!純水の蝶々よパーティーに参加決定じゃ!ワシの手柄じゃ!全部ワシ!」

「面白そう!何するの!行く!」

「ふぉふぉふぉ!今から会場へ行くぞ!」

「うん!」


会場に到着してクジ貰った。


「僕は0番か当たると良いな」


外れたけどまあいいか。


「当選した方。前へ景品を授与します」


景品?ってか僕に近付いて来るの何で?


「友達だろ?」


タッチされた。目付きが厭らしい……


「嫌!助けて友達!」


誰も助けてくれない。


「止めるんじゃ!友達に手を出すな!ワシの孫に手を出す意味が解っておるのか!」


助かった!


「逆族を捕らえよ!」

「はは!」

「燃やすのじゃ!」


火炎放射器?


「だめ!友達は違うんだ!僕が悪いんだ!友達を殺さないで!助けて皆!友達!」

「3文芝居つまんねーからストップ!糞ジジイを連行しろ!」


誰か来た。


「ダメ!皆友達!止めてよ友達!」


助けてくれた子は僕に似てる。僕より目が澄んでる。


「殺さないって俺が信じられないの?友達だろ?」

「ありがとう!助かった!友達になろう!」

「友達だろ?」


気になる!


「友達!名前は?僕は友達!」

「俺?あー名前嫌いだからさ?言いたく無い。友達だろ?」


知りたい!


「教えて友達!僕は友達!」

「うーん困ったな?えーと火炎の蝶々って呼ばれる時もあるよ?」

「火炎の友達ありがとう!」

「ちょっとゴミ掃除してくるね!待ってて友達!」

「ゴミじゃない!友達燃やしたらダメ!僕怒る!嫌だ!友達減るの嫌だ!」

「ふう、まあいいか糞ジジイは拘束するだけ!良いな友達だろ?」

「解った!だけど何で?原因が解らないよ?」

「ああ?絶対教え無いからね!友達だろ?」

「えー?」

「ダメ!」


仕方無い。教えてくれなそうだし。


「ありがとう!友達!」

「友達だろ?」



それから暫くの事。蝶と蛾が仲好くするらしい。


「パーティーの招待状だ!待ってました!」


会場には沢山の友達がいた。水や酒を飲んでる。最強の蝶が生まれたと紹介された。最強の蛾はあの子だな?


「以上です」


え?


「おい!最強の蛾は生まれてねーのかよ!俺だろ?俺?俺だって思う人挙手!友達だろ?」

「はい!僕友達に一票!友達だろ?」


シーン


「これにて閉幕」


終わりなの?


「おい!ざけんな!俺だろ?いつまで隠すんだよ!ふざけるのも大概にしろって!おい!答えろ!俺だぞ!」

「……」


友達が友達を真剣に見つめてる。火炎の友達が僕の方を睨み付ける。


「何か困った事あったら俺に言えよ!友達だろ?」

「解った!相談する!友達だろ?」


僕達は、お互いを意識しだした。


「友達様!水ばかり飲んでますが?お腹空かないですか?」


無視する訳にも行かない。


「僕は友達!タダの友達!変なあだ名嫌だ!絶対言わないで!お願いだから!」

「かしこまりました!友達様」


嫌だな。火炎の友達来ないかな。


「火炎の友達来て欲しいな」

「来たぞ!友達だろ?」


火炎の友達が遊びに来た。


「わーい!願い叶った!」

「おい!元気か?俺は元気だぞ?これ飲むか?美味しい水だぞ?」


お酒?


「飲めないよ?ごめんね友達だろ?」

「早く大人になれると良いな」

「うん」


僕は気付いてしまった。火炎の友達の嫉妬に……出かけよう。


「水と本交換!友達だろ?」

「全部タダで持って言って下さい!友達だろ?」


本屋の友達もか、帰って本読もう。


「成程、じゃあ僕は何だろう?」


読む程に意味が解んない。


「蝶々と蛾。解んないな」



火炎の蝶々が、蛾と蝶に反乱を起こした。


「燃やせ!家ごと燃やせ!全部燃やせ!世界を燃やせ!」

「止めろ!家が燃える!本が燃える!人が燃える!許さないぞ!」


戦力差は圧倒的だ。


「水だ!火を消せ!火炎を捕らえるんだ!」


火炎は捕らえられて処刑された。どうする事も出来なかった。帰って火炎がくれた酒に文字が書いてあった。


「勘違いするな!俺が全部蛾だ!お前は水を配れ!」


僕は火炎の遺言を受け取る。


「解ったよ世界中に水配って友達を作る僕は友達が欲しいだけなんだ……」


僕は旅に出た。知らない土地を目指した。世界中に水を配った。

誰も僕を潤してくれない。

僕は渇いてるけど、沢山求めても沢山出来ても満足しない。

脱水症状も無いし中毒にもならない。

気付いたら遺言が仇になってた。


「友達に水配ってるのに友達減ってる!?」


友達に水を配る。友達は僕に感謝する。それは良いのだが、助けた友達の中に僕を好きだと言って追いかける人が出てきた。


「何で?」


因果関係を考える。人々は水を飲む、ご飯も食べる。


「食べ物が怪しい」


調べた結果。食べ物のある物質がホルモンバランスを傾けて水が中和する。影響は微弱。だからこそ絶大な効果がある。


「水で治療する」


受け取った人の中に軽い症状なら抜ける人は沢山居た。感謝して配ってる銘柄を飲む。水はタダの水。だけど目が僕の心を殺す。


「誰か僕を助けて!心がカラカラだよ……」


食べ物の中で性欲を増進衰退させる物質に気付く。行動したが、僕を利用する者達に制圧されてて手出し出来ない。


「僕が守ってみせる!」


水が中和する。飲む人は少々楽になる。噂を聞いた人が僕の水を欲しがる。僕は水を配る友達。


「神様じゃ無いよ?友達だよ?」


前より高い確率で色々中和する。僕を好きになる人が増えた。でも追いかけられる事は無くなった。影の者達が頼みもしないのに僕を守るからだ。


「オカシイよ」


僕が偶像崇拝の対象になってて、性欲処理の材料に使われてる。最悪だ。僕は水を配る友達。


「僕をまた汚すの?皆を助けてるのに、酷いよ。止めてよ」


性欲処理してる人が僕無しでは生きれない身体になってきた。

僕を想えば増進する嫌えば減退する。僕は中性的な顔をしてるし誰にでも似てる。

僕に似た人を探すがいつか別れる。また僕を想う。

無限の地獄が広がって行く。誰も止められない。僕は水を配る友達。


「僕は神様でも天使でも無いよ……好きにならないで友達の皆」


段々と男性は居なくなり女性だけが残る。

僕を育てた悪い王様のシナリオどうりに進んでる。

でも水を配るのを自力で止める事が出来ない。唯一のカウンターは死んだ。僕は水を配る友達。


「誰か助けてよ友達が居なくなるよ……」


僕は全ての友達が滅びた後に幸運のお守りを飲むだろう。

配り終わると最後。悪い王様はもう居ない。

蝶や蛾の中に僕の水を大量に飲む者が多い。

世界に救いの神は居ない。僕は水を配る友達。


「誰か僕の友達を助けて!僕は友達が好きで好きで仕方無いんだ!」


魔女は誰なの?悪い王様は何の目的があったの?どちらも死んでしまった。

残ったものは『友達』『幸運のお守り』


「僕は誰?意味はあるの?」


友達が滅びるの嫌だよ……何で僕を想うの?


「僕は好きになってくれる友達を騙してるのに?」


僕は無性だ。子供は作れない。しかし男女共に人気。僕は想われる資格は無い。僕は水を配る友達。


「僕は友達なんだよ?」


僕は救いじゃ無い逆に破滅を与えてる。

誰も気が付かない悪くも言わない。知ってる様で知らない。僕は水を配る友達。


「助けて、僕は滅ぼすしか出来ないんだよ?」


僕は『友達』と言う名前を恨んだ。『幸運のお守り』は飲みたく無い。

カウントは終焉に近づいてるし確実に進む、もう引き返せない。僕は水を配る友達。


「一人ぼっちは嫌だよ死なないで」


僕は最後の友達に水を渡す。破滅した。


「僕は誰でも無い。友達はもう居ない。僕の所為だ」


僕は『幸運のお守り』を飲んだ。

中身は水道水だ。解っていた。僕を最初の穢れから守ってくれた大事な水。僕の掛け替えの無い友達。僕の隣に居て僕が弱っている時に助けてくれる。僕を裏切らない唯一の存在。

僕は友達を食べない、飲む事もしない。僕は水を配る友達。


「兎と魚。君達を食べなくって良かったよ」


最初に僕を守ってくれた友達を口にした。一番嫌な行為。焼き魚を思い出す。兎達に謝らないと、水に帰した魚達は元気かな?もう良いんだ。僕に許しが与えられたんだ。


「もう僕は僕じゃ無い。解放してくれてありがとう。やっと終わる」


最後の友達から貰った酒を飲む。苦むが中々死なない。何で?量が足りない?終わらせるんだ。

国中の酒を飲み死ぬ方法は全部試したけど、死ねない。どうして?


「僕は死にたいんだ!友達の居ない世界で一人は嫌だ!僕を殺す友達は居ない」


嫌になった。最初に旅をした時の手紙を読み返した。北極だ。死ねないけど眠れる場所。旅をした乗り物に乗って北極に向かおう。


「水の故郷は眠る事の出来る最後の楽園だ」


冠のペン銀が1匹。僕は捕らえたペン銀の事を謝った。


「お前は許されない」

「永遠に償う……僕は大好きだった友達を滅ぼした」


僕は人類最後の友達。産む事どころか死ぬ事も許されない。『無』だ。氷の棺で眠っている間に考える。


「友達おやすみ……最後は僕だ」


僕は何だったの?何の為に生れたの?何で汚れたの?何で出合ったの?水を配れば友達が出来ると信じてた。

でも残った友達は僕だけ。永遠の孤独で目覚める事すら許されない。

長い夢路で『夢幻』と『無限』を知る。


無限の眠りの中で夢幻の知識を視る。僕は悪い王様と魔女の子供。

友達が欲しくて全てを失った『友達』の名前を使う魔王。


僕は何処にでも居る。物語の蝶は人類の歴史。

僕は動物も友達だった。始まりから僕は居た。誰にでもなれるが誰でも無い。何処にも居ない。


僕は『友達』ただの記号。僕は『友達』番号も無い。僕は『友達』名札も無い。僕は『友達』概念も無い。僕は『友達』意味も無い。僕は『友達』こんな名前は嫌だ!僕に命をくれ!


僕は『水』純水でトウメイな世界のナニカ。僕は『水』毒や薬にもなれる。僕は『水』無いと死ぬ。過ぎても死ぬ。僕は『水』誰にでも手に入れる事が出来る。


「ごめんね大好きな友達」


水の様に自由で何処までも世界を旅して、渇きを潤す為に満たされない心の動くままに、止まる事を知らず友達を蝕む。

どんな結末だろうと誰にも止められない。水を配る友達。


「僕は産まれた時から破滅を呼ぶ存在だった。でも知らなかった」


世界は水と友達が溢れてる。

潤いを求めて、世界のダレカに水を配る。

世界のドコカで友達を虜にして、無償の愛で溺れさせる。地球を滅ぼすタダの水。

純水に無垢で透明な自由を願い。ダレカ一人どころか自分すら救えない悲しき友達。


「僕はただ友達が欲しかっただけなのに、酷いよ!あんまりだよ!返してくれよ!」


世界に水を飲まない友達は居るのかな?


「僕は水に戻りたいよ。友達居ないから解けて無くなりたいのに。産まれて来ない方が良かったよ。僕が愛した友達。助けて友達」


何も無いから友達に水を配ってた。沢山の友達が出来るって信じてた。僕には友情が無かった。我儘な僕の傲慢が全部奪った。


僕は路を選んですらないタダの子供。大人になる事を許されない無邪気な子供。友達の事を知らない寂しい兎。水に帰りたい魚。


友達沢山欲しかった僕が全部殺した。何の為にこんな想いをしないといけないの?


一番綺麗な水だったよ友達に大切な水を別けて仲良くなって、僕の心を綺麗にしてくれるって信じてた。叶う日が来るのを祈っていたよ。僕は愚かだ。


氷の棺で永遠に友達の夢をみるんだ。目覚める事は無いよ永遠に愛し続けるよ。もう帰れ無い。でも帰りたいよ……


死ぬ事を許されたら、また生まれ変われる事が出来るなら……僕はまた友達を求める。今度は僕が助ける。絶対に守り貫いてみせる。友達だからずっと一緒に隣に居て欲しい。


来世が来たとしたら、また僕は友達に水を配る。僕は水を配る友達。


「幸運の天然水あげる!友達だろ?」


ーfinー


『後書きの魔術師の後書き』


人は何故物語を求めるのだろう。人は何故物語を書くのだろう。人は想像の産物を消費するのだろう?物語の引力は不思議である……


今回はカルト宗教題材で書いてみた。人間があるから宗教があり、宗教があるから神がある。

人間は何故にこうも不思議な生き物だろうか?


神には神話がある。物語の書き手はどんな作品だろうが、人に影響を与えている。


物語の理論を語るほど、知識は無い俺ではあるが、今の段階の考察というかテーマは、物書きが書いた作品が現実に影響を与える。である。


昔、影響を受けた作品に【現実と虚構の簒奪者】という二つ名を持つキャラクターがいた。

現実と虚構の簒奪者は、魔法使いで、幻覚を敵に見せる魔法が得意であり、幻覚は現実と寸分違わぬ出来であるという設定だった。


それとはやや意味が違うが、虚構が現実に与える影響はテーマとして持っている。

物語とは魔物の様な面もあると信じている。面白いと思う作品はなんだか尖ったキャラクターやら、ぶっ飛んだ世界やらが多い。


自分に無いモノを持つキャラクターが好みな傾向が強い。


自分の中に生き続ける作品はありますか?


追いかけてくれたファンの方が読んでくれてたらなぁと願望があります。当時子供だったあの子は、この作品を思い出してくれたらいいな。

願わくば皆さんの中で生き続ける作品でありたいです。


物語の帯びる魔力を信じて。


(ちょwおまw最終話のジジイって俺?)

(まあ、しゃーないじゃんか?)


ーfinー

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尊士の歩み 天獄橋蔵 @hashizho

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