勇者パーティーの魔法使いが「一緒に仕事をさせてくれ」と言ってきた

海ノ10

プロローグ

プロローグ



 ――この世界には“勇者”と呼ばれる存在がいる。

 それは、この世界ではない別の世界から来た者たちのことであり、彼らは一般人とは違う特殊な魔法を使うことができる。それらはどれも強力で、人族の敵である魔族を軽々と超えるほどの戦力を持つ。

 勇者の名の由来は、初めてこの世界に召喚された異世界人の男が「このような人を僕の世界では『勇者』っていうんだ」と発言したからである。彼は『宝石の勇者』として魔族と戦い、召喚されて僅か二年後魔王を封印することに成功した。

 だがその勇者の封印も完璧ではなく、勇者が召喚されてからおよそ四百年後、魔王は封印を解かれ再び人族へ戦争を仕掛けてきた。

 それを再び迎撃したのが、『夜霧よぎり』という異名を持つ冒険者、メル・メノウ。彼と彼がリーダーを務めるクラン『紺色の霧』は魔法を極めたことで不老不死の力を得て、同じく不死の魔王と何時間にも及ぶ壮絶な戦いを繰り広げた。結果、メルは魔王を封印することに成功する。しかしその後も魔族の残党による脅威は残り続け、メルによる魔王の封印から十七年経った今でもたまに魔族による襲撃が起こる。

 そんな中起こったのが、つい一月前の『パリムゾン占領』と呼ばれる事件。それは魔族によって人間の街パリムゾンが占領された事件であり、同時に魔王の封印以来最大となる魔族の襲撃事件だ。

 それを解決したのが魔族の残党を狩るために呼ばれた『銀弦の勇者』で、彼と数名のこの世界出身の人で構成される勇者パーティーは半月の戦闘の末パリムゾンを開放することに成功した――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る