大学生の恋は甘くない。
すなのすな
始まりの始まり。
「や、中学以来だね」
その声の主を思い出すまで、1秒とかからなかったのは、俺が彼女への想いをまだ募らせていたからだろうか。
だが、そんなことは中学で途切れてしまった恋人、いや、恋人のような関係だった彼女との大学で再会するという晴天霹靂の出来事によって俺の頭からかき消されていた。
遡ること1日前。
俺は東京にある大学に通うために神戸から上京してきた。受験した理由は一つ。都会での生活に憧れていたからだ。俺が住んでたところは市の中心から離れた場所で、山と川と畑しかない絵に描いたような田舎だった。
だからこそ、より一層都会への憧れがあった。どうせ都会に住むなら、国の中心である東京に住みたいという単調な目的で親をそれっぽい理由で説得し、無事入学することができた。単身で東京駅についたとき、「君の名は」の三葉さながら「東京やぁ!」と思わず叫んでしまいすれ違う人たちに怪訝な顔をされたのを覚えている。そして、憧れの東京での生活が始まった。
小学生の時に母親に家事の手伝いをさせられていたため、一人暮らしでも家事全般は難なくこなすことができた。ただ一つの心配は知り合いが一人もいないと言うことで、あまり好きではないがTwitterで「#春から〇〇大です!同じ出身地の人いたらよろしくお願いします!」とツイートしてみることにした。
すると、「私も同じ県です!知り合いがいないので入学式後のガイダンス一緒に回りませんか?」と言うDMがきた。同じ境遇の人が現れた嬉しさと大学入学早々女子との出会いに心躍らせていた。
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