君の青い鳥
日和かや
第一章 自分の居場所
――あの扉を初めて見たのは、中学校の入学式からの帰り道だった。
◇
「静かにしてください!」
自習の知らせと共にわっと賑わった教室の中で、わたしは懸命に呼びかける。
「――ねえ、他のクラスは授業をしてるんだよ。静かにしないと……。ねえ!」
「そうだぞ。授業中なんだからみんな静かにしろよ」
「お前が言うのかよ」
クラスの人気者の言葉に、教室内は笑い声でさらに盛り上がった。
わたしの声は、その中にただ埋もれていくばかりで、そして誰の耳にも届かなくなった。
「お前ら静かにしろ! 授業中だぞ!」
ガラリと勢いよく扉が開け放たれ、同時に隣の教室で授業を行っていたのだろう日本史の先生が野太い声で一喝すると、教室内は瞬時に冷えたように静まった。
「委員長!」
「はいっ」
「お前は注意の一つも出来んのか。どうせ一緒になって喋くってたんだろうが」
「……すみません」
反論も言い訳も聞く気のないその教師の言葉に、苦しくて搾り出すように返したけれども、それすらも受け付けないというようにピシャリと扉を閉めて、彼は教室から出て行った。
気配を消すように息をひそめていたクラスメイト達は、足音が遠ざかるのを確認してまたコソコソと話しはじめた。
でも、上り詰めてくる血液に熱くなったわたしの耳には、もう、そんな話し声も、聞こえなくなってしまった。
この春入学した中学校は「生徒の自主性を重んじる」ことを目的としていて、通常なら教師が取りまとめるような場面でも、生徒会や各委員がそれぞれに仕事を任されている。
初めてのホームルームでわたしが学級委員長だと告げられた時、小学生の時から委員会関係の仕事には慣れていたので、今までと同じ気持ちで承諾した。
けれど、授業の準備に提出物や出欠の管理、各行事の運営、議題提出と執行を行わなければならないホームルーム、学年集会、全校集会、委員会、代表委員会、それから……。
それは思ってもみなかった忙しさで、気付くとわたしはひとりぼっちだった。
一学年は四クラスあり、体育はいつも二クラスずつ合同で行われる。
更衣室はなく、着替える場所は男子は偶数クラスの隣の二組の教室で、女子は奇数のうちのクラス、一組。
そして皆が出て行った後、一組の教室はわたしが鍵を閉めることになっている。
男子に比べると、女子は髪をセットしたり日焼け止めクリームを塗ったりと、支度が遅い。
「ごめんねー。委員長。おまたせー」
お決まりの台詞。
「女子は今日バスケらしいよ」なんて言葉を交わしながら駆けて行く彼女達の背中を見送りながら、わたしは入口をしっかりと閉ざしカチャリと鍵を掛けた。
「それではパスの練習をします。二人一組になってください」
今のわたしが一番嫌いな言葉。
『二人一組』になる相手なんていないもの。
しかも体育で一組と二組を合わせると女子の数は奇数になるから、いつもわたしはひとりで立ちすくむ。
「あら、委員長ひとりなの? それじゃあ隣の人達に混ぜてもらって」
先生の台詞もいつものもの。
誰も嫌だとは言わない。
だけど仲のいい二人に加わっても、どこか遠慮されていて、中には入れない壁を感じて、早くこの時間終われと、息が苦しくなる。
見上げれば、頭上にはどこまでも澄み渡る初夏の優しい青い空。
爽やかな風はこの体の表面を心地よく撫でていくのに、わたしの心は重く曇ったままで、わたしが、この世界にはふさわしくない存在であるかのように感じられた。
三組の委員長も女の子で、彼女と語り合ったことがある。
「友達作る暇がないよね」って。
でも、幸運にも幼なじみと同じクラスになった彼女が独りになることはなかった。
この中学校は、二つの小学校の卒業生から成っている。
比べると明らかにわたしの卒業した小学校からこの学校に入学した生徒の数は少なく、特に今年同じクラスになった人達の中では、本当に僅かな数だった。
「ほら。早く進路のプリント提出しろよ。出さない奴は俺が進路考えるぞ」
黒板の前で元気にクラスメイトに呼びかけている男子生徒は、その僅かなわたしと同じ小学校の出身者で、これまでも同じクラスになることが度々あった人物だ。
男子も女子も同じ遊びをしていた頃には、一緒に遊びに行くことも珍しくはなかったほど、仲はよかったと思う。
けれど、悪戯好きで先生にいつも怒られていた彼は、屈託なく開けっ広げな性格はそのままに、いつの間にか男子達の中心的な存在になっていた。
昔はクラスで一番小さかったのに、小学校を卒業する前からぐんぐんと伸びた身長は、今では学年で一、二を争うほどに高くなり、以前はわたしより握力も体力もなかったのに、体育の授業を見た別の小学校出身の女子達から、格好いいと騒がれるほどになった。
「なんでお前がプリント集めてんだよ」
「いいじゃん。俺、後期の委員長目指してるから、みんな投票しろよ」
教室内が明るくほころびる。
みんな楽しそう。
きっと彼は後期の委員長になるだろう。
そう、きっと、こんな重い塊に胸の中を占領されることもなく。
その日の下校時刻はいつもより早かったとはいえ、先月の出席簿をまとめる仕事をしていたら、図書室の閉室時間を過ぎてしまった。
今はなかなか開室時間に時間を作れなくてあまり本も読めていないが、小学生の頃は週に二回、三冊ずつ本を借りて読んでいた。
世界名作シリーズの類いはすべて読んだ。
外国の物語は、それだけで別世界のように感じられて好きだった。
校舎を振り返ると、図書室の窓を囲む外壁が、それが白かったことなど幻であるかのように、夕日の色に変えられていた。
天上の空の青ささえも、地上近くから淡く赤く染められていく。
木々を覆う新緑は、何かを語るがごとく、風にざわめいている――。
小学生の時から大切にしているノートには、心を奪われた美しい風景や、何か強く考えたことなどがひっそりと書き留められている。
丁寧に書かれた文字。
書き殴られたような文字。
その一瞬を逃しては決して書けない。
口に出せなかった思い。
一生忘れたくないこと。
覚え書きであり、哲学であり、詩集でもあるこのノートは、わたし自身の生きてきた物語そのものでもある。
夢が現実で、現実が夢であるかのような覚束ない毎日。
幻想のように美しい景色には確かな現実を感じるのに、学校でひとりぼっちの自分自身には、どこか非現実的な感覚がある。
数ヶ月前までの友人に囲まれて楽しかった日々の延長に、今の日々があるなんて信じられなかった。
ひとりの時間が苦だったことなど今までなかったのに。
今は、苦しくない時間の方が、少ない。
別にいじめられているわけではない。
それどころか、嫌われてもいないと分かる。
ただ、みんなの心にわたしがいないだけ。
みんな、わたしに興味が無いだけ。
わたしが何を思うかなんて、誰も気にもしていないだろう。
かつて一緒に空想の世界を語っていた女の子達は、中学校の制服をまとった途端に、まるで待っていたかのように恋やファッションの話を始め、ちゃん付けで呼び合っていた名前をするりと呼び捨てに変えると、やたらと「親友」という言葉を使いたがった。
わたしひとり忙しさで動けない間に、みんなは変わっていく。
わたしとみんなとの距離が、どんどんと開いていく。
だけど、どうしていいのか、何をすれば以前のように戻れるのか、それが全く分からない。
もがく方法さえも知らなかった。
小学生の時一番仲のよかった友達は、卒業後どこか遠くへ引っ越したと聞いたきり、その後連絡は来なかった。
夕日が濡れた瞳に揺れて見えた時、
「
と、わたしの名前が呼ばれ、強く腕を引かれた直後に、大型のトラックがすぐ目の前を通り過ぎた。
わたしは振り返り、腕を掴んでいる人物を見る。
「
ああ、この人は知っている。同じクラスの男子だ。
だけど、どんな人だったか全く思い出せない。
教室で誰といて、どんな話をしているのか、まるきり彼の印象というものがなかった。
「明日渡そうかと思っていたんだけど、姿が見えたから追いかけてきたんだ。間に合ってよかった。――はい、これ」
そう言いながら彼が差し出したのは、あのノートだった。
「さっき拾ったんだ。小知和さんのだよね。『小知和
血液が、ドクン、と激しく心臓を叩く。
「三秋くん、あの、まさか、あの、……中、見た?」
名前は表には書いてない。ページを開かないと分からないところにある。
「おもしろかったよ」
あっさりとそう言った彼の笑顔は、揶揄するものではなく、嘘も感じられず、わたしの心臓は変わらず騒いでいるけれど、なぜか、違う高鳴りを始めたような気がした。
「今日の夕焼けきれいだよね。明日は雨かな」
言葉を交わすのは初めてのはずなのに、まるでいつものことのように話し掛けてきた。
まともに顔を見るのも、これが初めてだ。
こんなにきれいな顔をしていたんだ。
「――ねえ、小知和さん。知ってる? 時の隙間には、魔物が出てくることが多いんだよ」
「え?」
「だから逢魔ヶ時には事故が多いし、節分には豆を蒔くんだ」
ぼんやりと三秋くんの顔を見つめていたわたしに、意味ありげな笑顔で、
「だから気を付けてね」
と言葉を残して立ち去った。
振り返ると、すでに三秋くんの姿はなかった。
「あ」
その代わり、目に入ったのはあの扉。
入学式の日に見つけて以来ずっと気になっていた、明治か大正を思わせる古い洋館の扉。
その扉は、何もない二階の壁に付いていた。
雪国ならそれでも分かるが、この辺りでそこまで雪が積もることなんてない。
昔そこにベランダがあったと考えようにも、そんな造りには思えない、あまりにも不自然な扉だった。
――もしかしたらあの扉は異世界に通じる扉かもしれない。
秘かにそう想っていることは、まだノートにも記してはいない。
それから家に着くまでの間も、不思議な高揚感は消えなかった。
彼にノートを見られた恥ずかしさからだろうか、体の中を激しく駆けていく血液に、頬は火照ったままだった。
それを鎮めるようと一呼吸おいて玄関の扉を開けると、わざわざそんなことをする必要などなかったといわんばかりに、一気に熱を冷ますような言い争いの声が聞こえた。
母と兄だ。
最近はいつもそう。
母は兄のする全ての行いが気に入らない。
兄は母の吐き出す全ての言葉が気に入らない。
誰も聞くことのない一方通行の台詞を互いに怒鳴りあっている。
志望校に合格しなかった兄がこの春から通いはじめた高校の名は、母があまり人には言いたくないものらしい。
学生時代はかなりの才女だったと語られるエリート志向の母は、わたしが中学校の入学式で新入生代表の挨拶をしたことを随分と周りに自慢していた。
その後、初めての試験の順位で一位になった時からは、兄と比較するようになった。
「ただいま」と、誰にも見つかりたくないと思いつつ呟くように家の中に入ったけれど、廊下にいた母とすぐに目が合ってしまった。
兄の姿は見えないが、母はわたしを見るなり、今まで怒鳴っていた人物と同一だとは思えない柔和な笑顔で、「おかえり」と言った。
「いつも遅くて大変ね。学級委員のお仕事でしょ」
それには答えたくなかったけれど、嘘も言いたくはない。
誤魔化すことが下手なわたしは、無言で小さく頷いた。
「すごく疲れているみたいね。瑞葉は本当に頑張り屋さんよね。同じ兄妹でも全然違うわ。――
最後の言葉は兄に向けられた。
ヤメテヤメテ。
お願いだからわたしの名前を出さないで。
かつて祖父母の部屋だった和室にいる兄に気付いた時、兄から向けられたのは、わたしを刺すような冷たい視線だった。
わたし達、ほんの少し前までは仲のいい兄妹だったのに。
毎日たくさん話をしていたのに。
お願いだから、もうこれ以上わたしから居場所を奪わないで――。
一日が終わる時間はいやでたまらない。
だって、また明日が来てしまうから。
明日もきっと、楽しくないから。
いつもの気持ちで瞼を閉じて、考えたくない明日のことを考えないようにした時、ふと、急に三秋くんが浮かんだ。
――明日、また話が出来るかな。
それまで不快な思いが胸の中を占領していたのに、なぜだか翌朝は幸せな気持ちで目が覚めた。
朝のリビングに流れていた空気は、やはり冷たいものだった。
遠くの学校へ通う兄は、朝食も食べず早くに家を出た。
わたしは、いつものように朝食前に和室の仏壇に手を合わせる。
幼い頃に亡くなったおばあちゃんは、いつも明るく優しかった。
おばあちゃんの死後、まるで後を追うかのようにすぐに亡くなったおじいちゃんは、色々なことを教えてくれて、たくさん遊んでくれた。
わたしはまだその頃「死」の意味をよく理解していなかったけれど、しおらしく白いハンカチで目の周りを押さえていた母の姿と、大勢の親戚や会社の人達に堅い顔で挨拶をしていた父の姿を覚えている。
「死んだのはお父さんのお父さんだから、本当はお父さんの方が泣くはずなのに、大人の男は泣かなくなるんだ」と、兄が言っていた。
二人の位牌の横にある、産まれる前に亡くなったのか、産まれてすぐに亡くなったのかしたらしい一番上の兄の位牌。
もしも彼がいたら、何かが変わっていただろうか。
昨日の青空とは打って変わって、今日の空は薄暗い雲しか見えなかった。
学校へ向かう途中、石垣で綺麗に整備された川縁の道を通った。
この川は、わたしの幼い頃は自然のままの姿で、兄とフナを捕まえたり、川岸を覆い尽くすシロツメグサの中から四つ葉を探したりしたものだったが、今ではフナの姿はかなり減り、シロツメグサなんて生えてもこない。
変わっていく何もかもが、マイナスの方向へしか進んでいかないような気がしてならなかった。
学校へ着いたわたしは、先生に言われるまま、出席簿の三秋くんの欄に「欠席」の印を書き込んだ。
今日も、つまらない日常が始まる。
――教室の中にいると、幼い頃に少しの間だけうちにいた鳥籠の中の鳥のことを思い出す。
うちの庭で怪我をして動けなくなっていたのをわたしと兄で見つけて、飛べるようになるまで保護していた、くすんだ色の鳥。
間に合わせに何処かから借りてきた籠の中で、傷が痛むのか、翼をかたく閉じて、小さく小さくなっていた。
声を上げることもせず、わたし達を見ることもせず、与えられる餌は少しずつ口にしてくれるようになったけど、人に慣れる様子はなかったあの鳥は、今のわたしだった。
「ただいま」
短くて長い学校での一日を終えて自宅の玄関を開けた時、電話の鳴っている音が聞こえた。
随分前から鳴っているような感じがする。
慌てて靴を脱いで家に上がり、リビングの電話を取った。
「はい、小知和です」
「瑞葉ちゃん?」
聞こえてきたのは、小学生の時に仲のよかった友達のお母さんの声だった。
彼女は春休みの間に突然引っ越していってしまったため、連絡も取れないままだった。
「
「亜衣、そっちに行ってない? 何か連絡なかった?」
「いえ、亜衣ちゃんどうしたんですか?」
――どうしよう。
嫌な予感がする。
「亜衣が帰って来ないのよ。学校にも行ってないの。どこにいるか分からないのよ!」
搾り出された叫び。
受話器を置いたわたしは、そのまま亜衣ちゃんを捜しに家を出ようとして、二階から下りてきた母に呼び止められた。
そして事情を話すと、強く反対された。
「そういったことは警察に任せた方がいいのよ。あなたに何が出来るの? もうすぐ暗くなるし、危ないわよ」
「今はまだそんなに遅い時間じゃないし、亜衣ちゃんがよく行ったような場所を見に行くだけだから。この辺りにいるかもしれないじゃない。だったら早く見つけてあげないと」
「あんな所からこどもひとりでここまで来られるわけないでしょ」
あんな所?
「お母さん、亜衣ちゃんがどこに引っ越したのか知ってるの?」
「瑞葉、聞いて。これは瑞葉の為なのよ」
「お母さん、亜衣ちゃんがわたしの一番仲のいい友達だって知ってたよね」
「瑞葉、今はまだ分からないだろうけど、大人になったら必ずこれでよかったと思うはずよ」
「わたし、ずっと亜衣ちゃんと話がしたかった」
「瑞葉、どうしてあの子が引っ越したのか知ったら、きっと瑞葉もお母さんと同じ気持ちになるわ」
「どうして引っ越したかなんてどうでもいい!! なんでお母さんがわたしの気持ちを決めるの? なんでわたしの一番大切なものを分かってくれないの? わたしって一体何なの? わたしはお母さんじゃない。わたしなの! 一緒にしてしまわしないで!!」
込み上げてくる感情を母にぶつけた。
これは今生まれた感情じゃない。
今まで胸の奥に溜め込んでいたものが一気に噴き出して止められなった。
「瑞葉がお母さんに逆らうなんて! ……大樹の影響かしら。ねえ、お友達ならもっと他に――」
もうこれ以上は聞いていられなかった。
こんなにも分かり合えないなんて。
涙に、息が苦しくなった。
家を飛び出した後、亜衣ちゃんとよく遊びに行った公園や通っていた小学校、お菓子を買ったお店へ行ってみたけれど、そのどこにも彼女はいなかった。
他にどこがあるだろう。
家に帰りたくない気持ちもあり、意味もなくただ歩いていた。
朝から曇っていた空から、ぽつり、ぽつりと大粒の雨が落ちてきた。
雨から守るように無意識に学生鞄を両腕で抱え込んだ時、自分が鞄を持っていることにやっと気付いた。
家を出る時に習慣で持ってきたのだろうか。
いや、もしかしたら電話に出ていた時も持ったままだったのかもしれない。
笑いたいような笑えないような気持ちでいると、やがて雨はどしゃぶりとなり、屋根のある所を求めてわたしは駆け出した。
それから闇雲に走り続け、疲れ切った足を止めた時、何者かに呼ばれたように自分があの扉のある洋館の前に立っていることに気が付いた。
扉は、よく見るとかなり老朽化している。
強い雨風にガタガタと音を立て、簡単に開いてしまいそうだ。
いや、今にも開いてしまいそうというよりは、開けた後ちゃんと閉まらなかったといった方が正しいのではないだろうか。
そして開けたのは――。
「亜衣ちゃんだ」
なぜだか、そう、確信した。
あの扉の向こうに彼女は行ったのだ。
この世界とは違う世界へ。
「行かなくちゃ」
わたしも。
大切な友達に会うために。
そこには何の迷いもなかった。
わたしがこの世界にいることに、意味なんて感じられなかったから。
この苦しいだけの毎日の先に、楽しい日々が訪れるとは思えなかったから。
もう、来なければいい明日を待ちたくなんてなかったから……。
そう思うや否や、強い風に扉が開いた。
扉の向こうから誰かが呼んでいる。
わたしを待っている。
そして扉の向こうに吸い込まれるように、わたしは自分がこの世界を離れていくのを感じた。
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