俺のクラスが女子だけと化した。

羽霧

第1話 超展開?そんなの、あるわけない。

 引芹ひきせり


 今日もいつも通り。特に変わった事も無く、つまらなくのろのろと平常運転だ。俺はそんな下らない事を考えながら、昼食を口へと運ぶ。

「なあ、ヒッキー。何か起きねぇかな。こっちは暇なんだよ」

 そう言うのは友人の似榎磐にえいわだ。

「知らん。あと、ヒッキー言うな」

「えーいいだろ?俺たち友達なんだし」

「友達ではあるがそれは認めん」

「そうかよ。ま、いいや。それよりさ、ヒッキーって好きな奴とかいるのか?」

「いないしヒッキーじゃない。お前の事にえっちって呼ぶぞ」

「おえっ、お前に言われるとなんかやだな」

 似榎磐は大袈裟に吐く真似をしてみせた。失礼な奴だ。

「そうだろ?俺も同じ気持ちなんだよ」

「そうか、ごめんな。ところでヒッキー」

「変わってないしn」「そろそろ時間なので、席に座って下さい」

「ちぇっ。いいこちゃんぶりやがって。夢来羽むらいうの奴。なあ?」

「……まあな」

 あいつはクラス委員で、いつも昼休み終わりの時間に呼びかけをしている。確か他のクラスでは、わざわざ屋上に行ってまで食べる奴がいる、と聞いたが……どうやらこのクラスにはいないらしい。それはともかく。そんな奴の為、嫌っている奴も少なからず居る。かく言う俺もあまり好きではない。もちろん、彼がやっている事は間違っていないのだが、楽しく(今日はあまりだが)話している最中に『座れ』と言われたら、反抗するのは、人の性……なのだろう。ただ、必ずしも反抗するのかといえばそういうわけではない。そこに態々体力のリソースを割くほど俺は馬鹿では無い。……似榎磐の奴はいつも通り反抗しているみたいだけれど。

 そろそろ、五時限目の時間になる筈。五時限目は……化学か。そういえば実験だとか言ってたな。かんなぎ先生は色々と厄介だからさっさと準備してしまおうと俺は行動する。

 彼女の授業は、少し私語を話しただけでも注意を受ける。私語をしなければいいだけの話ではあるが、それが中々の無理難題なのだ。

「ねぇ、引芹くん。化学って何の実験するんだっけ?」

 その声の主は、隣の席の得生戸えるせいと。俺の少ない少ない女友達だ、……少なくとも、俺は友達だと思っている。

「悪い、覚えてない」

「そっか、だよね。ありがとう」

「というか、得生戸も話を聞いてなかったのか?」

「あはは、いつ話してたのかも知らないや」

 大方眠かったとかそういう理由だろう。俺は単純に話を聞く気がなかった。だから、得生戸の方が余程マシだ。あくまでマシ、程度だが。

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