第147話 工夫
昔、陸上で長距離を走っていたせいか、歩くのが苦にならない。急に距離を伸ばしてみたり、走り出してみたりしなければ大丈夫。根気強く続けることに関してだけは、若い頃に積み重ねてきた成果が出ている。
続けるのはいいが、途中で工夫することは苦手である。慣れ親しんだやり方を変えていくのが、面倒に感じてしまう。若い頃と違って、積み重ねた経験の量が変化を拒む。ある程度の成果があれば、変える必要もない。
やり方を変えなければ、慣れは慢心と油断を生む。年を取って、思わぬところで転んでしまうことが増えた。ふとしたはずみに腰を痛めてしまうことも少なくない。認めたくはないが、体は確実に衰えている。
根気強く続けるのは、むしろ工夫し続ける習慣なのかもしれない。歩くという動作も、両手を振らずに上下に動かし、体をねじらない動きにしてみる。ねじらなければ、腰を痛めることもない。
また、歩くときの膝の動きも注意したい。意識して膝を上げないと、小さな段差で転倒する。足裏全体で着地しないと体幹がぶれてしまう。慣れ親しんだ動きほど、意識して工夫することが大切だ。
幼い子どもが歩き始めるとき、自分の体の動きをかなり意識するはずだ。慣れてきたころの若い筋肉のイメージで歩いていると、衰えた時点で必ずけがをする。根気強く歩き続けるためには、工夫が要る。
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