第77話 方言の価値

NHKの朝の連続ドラマで有名になった二〇一三年の流行語は、北三陸の方言。「じぇじぇ」の一言で驚きを表す。ドラマは北三陸に住む人たちを明るく描いていた。方言は町おこしのきっかけにもなる。

 方言は、その地方独特の言葉。地方の人たちの「個性」である。個性であるがゆえに、他にない価値がある。他にない言葉であるがゆえに、時として不可解。外国語のように聞こえたりもする。

 個性の価値は、固有の性質が、その良さを周りに認められるからだ。周りから認められなければ、個性は独りよがりな自己満足。個性は、固有の性質であると同時に、分かりやすい価値がなければならない。

 宮崎県の方言「てげてげ」は、「適当」という意味。「じぇじぇ」が強調されると「じぇじぇじぇ」だが、「てげてげ」は増やせない。逆に回数を減らし「てげ」となると、「とても」という別の意味になる。

 「てげてげ」は、いいかげんな意味を持つ。しかし「適当」は「適切」でもある。強すぎず弱すぎず、ちょうどいい具合に加減するのが「てげてげ」。心にゆとりを持つ意味でも使われる。

 知り合いで八十過ぎの男性の口癖は「てーげーなことは自分でできる」。「てーげー」は「たいがい」の意。「てげてげ」にすれば「てーげー」なことは「てげ」できるはず。如何なものだろう?

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