生きている
あい
ただの休日
生ぬるくしめった布団でスマホを見ていた。用は特にないけど、ふと癖でリビングにいった。床が冷たく、雨の音だけが聞こえる。何もすることが無いので、仕方なくキッチンに向かった。いつもの戸棚を開けて、ガサガサと漁ってみる。あ、コーヒーを飲もう。私は、よくお母さんが使っているコップと姉がよく飲むインスタントコーヒーの瓶を手に取った。インスタントコーヒーの粉と多めの砂糖と入れ、お湯を注いだ。牛乳も入れよう。しかし、冷蔵庫から牛乳パックを取りだした時、手を滑らせてしまった。床が牛乳で白くなっている。私は、落ち着いて拾った。掃除が面倒だ。さっき我慢して、すぐに拾っておけば、こうはならなかったかもと考えている間に床を拭き終えた。最後に周囲を拭いて、牛乳をほんと少し注ぎ冷蔵庫に戻した。雨の音が響いて聞こえて恥ずかしい。やっと出来たコーヒーは少しぬるいが飲むには丁度いい。気まずく感じたので、1人の部屋で飲みたかったがリビングに戻る。リビングの真ん中にある机にコップを置き、その前に座る。コーヒーの匂いが漂う中、母も姉もスマホに夢中だ。別に私もやる事がある訳では無かったのでスマホを片手に1口コーヒーを飲んだ。コーヒーなんて好きじゃ無いのに、と思いながらコップの縁を親指でなぞる。嫌いになれたらどんなに嬉しいか。やっぱりココアにすればよかったかな。苦い。早く飲み干してしまおうと思った時、姉が口を開いた。続けて母も話し始めた。すると、色がついたかのように周りかあかるくなっていく。何を話しているのか、姉の笑い声が聞こえ、はっとし慌てて自分の手元を見た。もうコーヒーには香りも色もなくなっていた。どんどん私の色が消えていくのに、喉元に残った色はつっかかって消えない。私は勢いに任せ、生ぬるい無味の液体を一気に飲み込んだ。喉がゴクゴクとなる。雨の音が強く聞こえる。全て飲み終えた私は、すぐに立ち上がりリビングを離れた。また布団に潜り泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます