おねがい事

うみね

空に浮かぶ思い出

「ほらシキ。もう目を開けていいよ。」

「………うわぁあ………!!きれい。。。」

「そうだろうそうだろう。ここは空気が澄んでいて明かりもない。星をみるのにはピッタリの場所さ。」

「ばーちゃん!今日もぼくにお星さまのお話、教えて!」

「そうだねぇ。じゃあ今日はお星さま見上げながらお話しようか。」

「うん!」

「昨日は七夕のお話をしたから…今日は夏の大三角と白鳥になった神様のお話だ。」


―ちっちゃい頃、ばーちゃん家に泊まりに行くといつもばーちゃんは星の神話の話をしてくれた。

東京の空は星が見えにくいけれど、ばーちゃん家がある田舎はよく星が見えた。

母さんが田舎を捨ててまで東京に行きたがった理由が僕にはわからなかった。―


「ぼく、ずっとばーちゃん家に泊まっていたい!」

「そりゃあばーちゃんも大歓迎さ」

「じゃあ…!」

「でもシキ。お父さんに会えるのは自分のおうちだけだよ。お父さんに会えなくてもいいのかい?」

「だめーー!だってぼく、おとーさん大好きだもん!」

「そうだね。さ、そろそろ冷えてきたし、帰ってご飯を食べようね。」

「うん!」


―東京なんて大嫌いだ。星も人の顔も霞んでよく見えない。―

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