174 兜とロロコ・Ⅱ

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 こっちは犬耳っ娘のロロコ。


 それと超巨大な鳥さん。


 ――きゃおおおおおおお!


 ぬおおおおお!

 なんか久しぶりだなこのパターン!


 天空塔ダンジョン攻略中の俺たち。

 苔モンスターにバラバラにされた俺は、兜だけの状態。


 ロロコと一緒に別フロアにやってきたはいいけど。

 そこでこの鳥モンスターと遭遇したってわけだ。


 鳥、ほんと超でかい。

 ドラゴン態になったドグラほどではないんだけど。

 ティラノサウルスくらいあるんじゃないか?


 で、そいつがどったどったと足音をたてて俺たちを追いかけてくる。


 そう、こいつ飛べないっぽいのだ。

 それがせめてもの幸い。


 ただし、その代わりに……。


 ――ふごおおおお!


 わー!

 燃える燃える!


 こいつ、火を吹きやがるのだ。

 嘴の間から真っ赤な炎が、火炎放射器みたいに放出される。


 そして困ったことに、このフロア、なにもない草原みたいな場所なのだ。

 みたい、っていうか、はっきり言うとまんま草原である。

 建物の中のはずなのに、サバンナみたいな景色が広がっている。


 これもこのダンジョンに仕掛けられた魔法の効果なんだろうな。


 ――きゃおおおおおおお!


 火吹き鳥がまた叫び声をあげる。


〈ロロコ!〉


「うん」


 俺の呼びかけにロロコが頷く。


 少し経ってから、タイミングを合わせてジャンプ。

 俺も宙に少し高く飛ぶ。


 その瞬間。


 ――ふごおおおお!


 火吹き鳥がさっきまで俺たちがいた場所に向かって火を吹く。


 よし。

 タイミングはわかってきたぞ。

 こいつ、鳴き声をあげてから一定の間を置いて火を吹いている。


 それがわかれば避けるのはそう難しくない。


 とはいえこれをいつまでも続けてるわけにもいかない。

 ロロコの体力が切れる前になんとかしないと。


 ――きゃおおおおおおお!


 おっとまたか。

 タイミングを図って。

 3、2――


 ――ふごおおおお!


 おい!

 タイミング変えるなよ!


「しまった」


 ロロコ!

 危ない!


 俺はとっさに炎とロロコの間に割って入る。


 とはいえ今の俺は兜だけ。

 こんなのでロロコを炎から守れるわけがない。


 くそっ。

 せめて全身揃ってればガードにはなれたのに。

 壁があれば……。

 壁!


 ――どーーーーーーん!


 え、な、なに!?


 突然目の前に地面から壁が生えてきた!


 なにこれ?

 俺がやったの!?

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