120 魔法講座おさらい

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 久しぶりに冒険書でステータスを確認したらいろいろ変化してた。


『リビングアーマー LV.29 名前:リビタン

 HP:4387/4439

 MP:3675/3798

 物理攻撃力:1415

 物理防御力:1225

 魔法攻撃力:29

 魔法抵抗力:30

 スキル:霊体感覚+6、霊体操作+9、霊体転移+6、霊体分割+7

 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者、駆け出し魔導師

 称号特典:魔力習得率アップLV.3、魔力変換率アップLV.3、恐怖耐性LV.6、魔力生命力変換LV.2、生命力魔力変換LV.2』


 ちなみに前回見たときはこうだった。


『リビングアーマー LV.27 名前:リビタン

 HP:3467/3546

 MP:2431/2546

 物理攻撃力:1098

 物理防御力:860

 魔法攻撃力:20

 魔法抵抗力:22

 スキル:霊体感覚+4、霊体操作+7、霊体転移+3、霊体分割+4

 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者

 称号特典:魔力習得率アップLV.2、魔力変換率アップLV.2、恐怖耐性LV.4、魔力生命力変換LV.1、生命力魔力変換LV.1』


 まずレベルが2上がってる。

 全体的に数値が上昇しているのは、そのおかげに加えて、ゴーレムパーツを鎧代わりに使ってるからだろう。


 スキルも上昇している。

 霊体感覚は、霊体を自分の感覚器官として認識する能力。

 霊体操作は、霊体を自分の身体として自由に操る能力。

 霊体転移は、霊体をべつの物質(俺の場合は鎧)に移す能力。

 霊体分割は、霊体を分けて複数のパーツを操る能力。

 ……って感じだ。


 軒並み上昇してるのは、ここまでたくさん使ってきたからか。

 あるいはこれもゴーレムパーツの効果なんだろうか。


 そして!

 驚いたのが称号。

 なんか『駆け出し魔導師』ってのが追加されてる。


 魔導師……つまり、魔法使いってことだよな。


 俺、魔法使いになれるの!?


「へえ、珍しいですね」


 自分の冒険書で俺のステータスを見ていたアルメルが言ってきた。


〈なにがだ?〉


「魔法攻撃力や魔法抵抗力が二桁で魔導師系の称号を得ることって普通ないですよ」


 そういや前にロロコもそんなこと言ってた気がするな。


 魔法攻撃力は魔法を使った場合の威力の強さの目安。

 魔法防御力は魔法攻撃を受けたときの耐性の目安。

 どっちも持っているMPを魔法に転換できる量を示している、

 ……とか、そんな話だったはず。


 つまりMPがたくさんあっても、それをたくさん転換できなければ魔法は使えない。

 魔法が使えなければ魔法使いにはなれない――ってわけだ。


 ちなみに魔法が使えるロロコとアルメルのステータスを見てみると、


『人犬族 LV.32 名前:ロロコ

 HP:1299/1308

 MP:1134/1156

 物理攻撃力:167

 物理防御力:196

 魔法攻撃力:220

 魔法抵抗力:159

 スキル:火属性魔法+2

 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、初級魔導師

 称号特典:魔力変換率アップLV.5、恐怖耐性LV.9』


『ドワーフ LV .46 名前:アルメル

 HP:1921/1936

 MP:1325/1354

 物理攻撃力:61

 物理防御力:45

 魔法攻撃力:209

 魔法抵抗力:168

 スキル:土属性魔法+9

 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、中級冒険者、魔物討伐者、鍛治師、初級魔導師、中級魔導師

 称号特典:魔力変換率アップLV.7、恐怖耐性LV.7、術式解析LV.5』


 うん……二人ともしっかり三桁だ。

 そして初級魔導師の称号を持っている。


 うん?

 初級?

 駆け出しは?


 普通『冒険者』の方みたいに、初級の前に駆け出しをもらうんじゃないの?


「いえ、駆け出し魔導師という称号は初めて見ました」


 そうなの?


「冒険者の方はモンスター一体分程度の魔力を得ると駆け出しの称号が手に入りますが、魔導師の称号はちょっと違います。MPを変換して魔法として使用すると、初級魔導師の称号が手に入るんです」


 ほうほうなるほど。

 え?

 じゃあ俺の『駆け出し魔導師』はなに?


「さあ、なんなんでしょう?」


 頼りないなぁ!

 いや、アルメルのせいじゃねえよどう考えても。

 リビングアーマーなのに冒険書持ってる俺が悪いよ。


 ええと、称号特典のほうにヒントはないかな。


 魔力習得率アップは、モンスターを倒したとき得られる魔力の量が増える。

 魔力変換率アップは、魔力(MP)を魔法に変換する効率が上がる。

 恐怖耐性は、恐ろしい出来事で感情を動かされにくくなる。

 魔力生命力変換は、MPをHPに変換できる。

 生命力魔力変換はその逆だ。


 うーん……全体的にちょっとずつ上昇してるんだけど。

 それで魔法使いになれるかっていうと、そんな感じじゃないな。


 わからん……。


「もしかしたらゴーレムのパーツのおかげかも」


 ロロコが言ってくる。


〈どういうことだ?〉


「ゴーレムのパーツのおかげでリビたんの魔力の巡りがよくなった。それで冒険書が魔法使えるようになったって勘違いしてる」


 勘違いって……。


「あるかもしれませんね」


 おいおいアルメルまで。


「ゴーレムのパーツはオリハルコン製です。オリハルコンは魔力をよく通して活性化させるんです。その作用で魔法の発現と似た現象がリビタンさんの中で起こっているのかもしれません」


 うーん。

 そうなの?

 俺の中で全然そんな自覚はないんだけど。


 まあいいか。

 もしかしたら念願の魔法を使えるようになるかもしれないんだし。


 それよりだ。

 これでゴーレムをどうにかできるようになるのか?


「スキルの、特に霊体操作+9というのが期待できそうですねっ」


 あの。

 アルメルさん?

 なんか技術者の目になってません?


「ゴーレムがリビタンさんを襲わなくなったのはリビタンさんが使っているパーツを自分のパーツだと認識できなくなったからだと思われます。どうして認識できなくなったかと言えばリビタンさんがそのパーツを自分の身体として一体化したからで、それには霊体操作のスキルの作用が大きいと考えられます。つまり――」


 待って待って待って!

 これ技術者じゃなくてただのオタクだー!?

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