115 追いかけて、追いかけて、追いかけてゴーレム

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 人犬族のロロコ。

 ドワーフ嬢のアルメル。

 ゴブリン娘のラファ。

 そしてリザルドさんたち冒険者部隊の皆さん。


 と、巨大ゴーレム団子。


 ぎゃーーーーーーーーーー!


 俺たちを追いかけてくるゴーレム団子は、さっきの二倍くらいのサイズになっていた。


 どういうこと!?


「あそこの地下にもゴーレムのパーツがあったんじゃないの?」


 ラファが言ってくる。


 なるほどな!


 システムが暴走してるっぽいゴーレムパーツ。

 やつらはとにかく合体して巨大化しようとしてる。

 近くにパーツがあればどんどん取り込んでしまうんだろう。


「そういえば」


 と今度はアルメル。


「今更ですけど、リビタンさん、鎧のパーツが変わってませんか?」


〈ああ……〉


 そういやそうだった。

 俺の身体は、何ヶ所かがゴーレムのものに代わっている。


 えーと。

 頭部パーツだろ。

 右腕パーツだろ。

 左腕パーツだろ。

 それに右脚パーツだな。


 けっこう代っちゃってるな。


〈途中でいろいろバトルしてたら壊れちゃってな。悪い、せっかく造ってくれたのに〉


「いえ、鎧はそういうものですからいいんですけど、ただ……」


「ただ?」


「あのゴーレム団子が追いかけてくるのって、リビタンさんのそのパーツを狙ってるんじゃないんでしょうか?」


「………………あ」


 そういうことかーーーーーーーーーー!


 え、つまり全部俺のせいだったってこと?


「よし、じゃあこれを捨てればいいのか」


 俺はまず左腕を外そうとする。

 パーツがなくなってしまうのは困る。

 それにリザルドさんたちに正体がバレてしまうことになる。

 けど、このままじゃ危険すぎる。

 背に腹は代えられないってやつだ。


「待って」


 ん? どうしたロロコ。


「リビタンのパーツをあげても駄目だと思う」


〈どうしてだ?〉


「ラファの腕」


 あ、そうか。


 ラファの左腕もゴーレムパーツの義手になっている。

 しかも彼女の場合は、オリハルコンが皮膚と融合してしまっている。

 取り外しができない状態だ。


 俺のパーツを捨てても、あの団子はラファの左腕を追い続ける可能性がある。

 それじゃ意味がない。


「なんだかわかんねえが、あれを止めるには、ゴーレムのパーツがありゃいいのか?」


 リザルドさんが訊いてくる。


〈ええ、そうなんですけど……〉


 あ、ダメですよ。

 ラファを犠牲にして助かろうとか。


 俺は心なし冒険者たちとラファの間に入って牽制する。

 ゴブリンならいいやっていう人間がいないとも限らないからな。


「そんな心配するな。俺たちもそんないたいけな嬢ちゃんを犠牲にして助かった日にゃ、二度と冒険者なんて名乗れなくなる」


 ほっ。

 それならよかった。

 ……まあ、ラファがいたいけかどうかは置いといて。


「ゴーレムのパーツが必要だってんなら話は簡単だ」


 リザルドさんはニヤリと笑って言ってくる。


「山ほどパーツがあるところに案内してやろうぜ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る