57 鎧にもいろいろ種類があるらしい

『リビングアーマー LV.24 名前:なし

 HP:1409/1409(37/129)

 MP:756/756(30/72)

 物理攻撃力:321(15)

 物理防御力:435(12)

 魔法攻撃力:12(5)

 魔法抵抗力:14(6)

 スキル:霊体感覚+3、霊体操作+5、霊体転移+2、霊体分割+1

 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者

 称号特典:魔力習得率アップLV.2、魔力変換率アップLV.2、恐怖耐性LV.4、魔力生命力変換LV.1、生命力魔力変換LV.1』


 新たに全身装備の鎧に入れ替わった俺。


 ステータスが軒並みアップしました!

 やったぜ!


 そもそもHPとMPが満タンになってるのなんて初めてじゃね?


 気分爽快だ。


 スキルも数値が一つづつ上がってるな。

 鎧を丸ごと乗り換えたからかね。


 HPが以前よりかなりアップしてる。

 前にフル装備に近いときでも、たしか900代だったからな。


 俺のレベルが上がったってのもあるだろう。

 けど、この鎧自体が前のより丈夫なせいが大きいと思う。


 前の鎧は曲面が多くて、シンプルな感じだった。


 それに対して、今回のは平らな面が多い。

 そして、あちこちに線が入ってる。

 よく見るとそれは、裏から打ち出した出っ張りだった。

 なんだろう、飾りかな?


「む、どうかしたのか、リビタン殿。鎧を眺めて」


 と、ロロコと一緒に食事をしていたクラクラが聞いてきた。


〈あ、いや、俺が前に使ってた鎧とちょっと違うなと思って〉


 違いを話すと、クラクラは頷きながら言ってくる。


「それは、南方鎧と北方鎧の違いだな」

〈へえ。南と北でそんな違いがあるのか〉

「……そこは常識の範疇だと思うが」


 げ、やばい。


〈い、いやぁ、田舎者だもんで、世の中のことに疎くてな〉

「そうだったか。それは失礼した」


 クラクラは律儀に謝る。


「地上はヴェルターネックの森、地下はこの大洞窟ダンジョンが、大陸を南北に分断している。街道はあるが、かなり迂回するため、どうしても人の行き来は少なくなるな」


 なるほど。


「大陸の北半分はヴォルフォニア帝国の領地。南は複数の小国と、南端の商業都市郡が小競り合いを続けている。武器や防具の性能では、強い国力を持つ帝国、つまり北のものが一段上になる」


〈ってことは、これは帝国で造られた鎧ってわけか〉


「そうだな。表面の剛性を高めるために打ち出された、たくさんの畝が特徴だ」

「畝?」

「裏から打ち出した出っ張りのことだ。それがあることで鎧表面が変形しにくくなるだろう」


 な、なるほど。

 これは頑丈さを増すためだったのか。

 飾りじゃなかった……。


 まあ、なにはともあれ、強くなれるんなら歓迎だ。


 ヴォルフォニア帝国さまさまだぜ。


「ん?」


 と、不意にロロコが鼻をひくつかせる。


〈どうした、ロロコ?〉


「風が吹いてる。植物の匂い」


〈それって……〉


 嫌な予感……。

 前にもそんなことがあったよな。


〈またネズミじゃないのか。で、それを追ってるワーム……〉


 と思ったら、クラクラが言ってくる。


「いや、この辺りにワームは生息していないぞ」


 本当か?

 いままで、いないいないって言ってモンスターがいた例がけっこうあるからな。

 いないいない詐欺はもう勘弁だよ……。


「とにかく、行くだけ行ってみよう」


 まあ、そうだな。

 ずっとここでじっとしてるわけにもいかないんだし。


 俺たちは移動を開始。

 そして程なく。


「出口だ」

「おお! 本当だな!」


 ロロコが指差す先を見て、クラクラが声を上げる。


 その通り、洞窟の先に光が見える。


 三人はちょっと足を速めて、そこへ向かった。


 ふぅ、今回は前より早く地上に出られたか――。


 ――ブモオオオオオオオオオオ!


 ん?


 なんだか外が騒々しいな。


 ――ブモオオオオオオオオオオ!

 ――ブモオオオオオオオオオオ!

 ――ブモオオオオオオオオオオ!


 洞窟の出口の先は海岸だった。

 砂浜に、ところどころ岩場がある。


 そしてそこに。


 巨大な亀が大量に生息していた。

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