14 たまには鎧もお洗濯しないとね
じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ……。
ダンジョンのなかにある地底湖のほとりで、リビングアーマーが洗濯をしています。
まあ、俺のことなんだけどね。
洗っているのは自分の鎧パーツ。
大カマキリの集団との戦いで汚れてしまったのだ。
幸い、大カマキリの血は、水で洗うと簡単に落ちた。
変な特性を持ってたりはしなかったようだ。
じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ……。
〈…………〉
ときどき周りを見回して、異変がないか確認する。
他の大カマキリや、違うモンスターが現れないとも限らないからね。
身体のパーツを取り外したりしてるので、いきなり襲われたら危ない。
なるべくすぐ逃げられるよう、取り外して洗う順番には注意してるけど。
じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ……。
……ふう。
これでだいたいキレイになったかな。
水洗いしてみると、カマキリ戦以外でもけっこう汚れてたことがわかった。
土とか泥とか、モンスターの血みたいのとか。
これからは、余裕のあるときにときどき洗うことにしよう。
さて。
ずっと気になってたステータス!
確認してみよう。
実は、洗濯始める前に、ちらっと見たんだけどね。
まだじっくり見てないのだ。
というわけで、ばばん!
『リビングアーマー LV.11 名前:なし
HP:546/673(398/443)
MP:265/356(260/325)
物理攻撃力:98(65)
物理防御力:112(75)
魔法攻撃力:3(3)
魔法抵抗力:2(1)
スキル:霊体感覚、霊体操作
称号:駆け出し冒険者、魔物討伐者
称号特典:恐怖耐性LV.1』
レベルは、前回3だったので、大幅アップだ。
やったぜ!
やっぱり、大カマキリ五匹に勝利というのは大きかった。
一匹はボスクラスだったみたいだし。
ちなみに、カマキリたちの情報はこんな感じだ。
『ケイヴ・マンティス
平均HP:423
平均MP:347
平均物理攻撃力:443
平均物理防御力:209
平均魔法攻撃力:23
平均魔法抵抗力:19
解説:洞窟に生息するマンティス種。他のマンティス種に比べ身体が小さい。ケンヴ・マンティス・オフィサーをリーダーとして、5~10体で狩りを行う。』
『ケイヴ・マンティス・オフィサー
平均HP:764
平均MP:546
平均物理攻撃力:504
平均物理防御力:338
平均魔法攻撃力:28
平均魔法抵抗力:20
解説:ケイヴ・マンティスが成長した個体。リーダーとして狩りの指揮をとる。』
こうして見ると、けっこうギリギリの戦いだったんだな……。
カマキリもボスカマキリも、攻撃力や防御力は明らかに俺より上。
ダンゴムシの装甲がなければ勝てなかった。
あと、群れが最少の5体だったのも幸運だった。
あれが10匹はきついわ……。
でもま、なんとか倒せたし。
レベルもようやく二桁に達した。
ステータスもけっこうアップした。
……魔法攻撃力と抵抗力は相変わらずだけど。
あと、ようやく称号特典がついたね!
これは、新しい称号『魔物討伐者』のおかげだろう。
恐怖耐性のレベル1。
レベルが上がるにつれて、バトルのときに冷静な判断が下せるようになるのかな?
それは助かる。
正直、カマキリでもかなりおっかなかった。
この先、どんなモンスターと遭遇するかわからんもんね。
ところで。
魔物ってのはモンスターのことだろうけど。
つまり、少なくともあのカマキリは魔物に分類されるってことだ。
で、魔物は普通の動物とは区別されてると考えていいのかな?
だとしたら、この世界でもあのカマキリなんかは普通の動物じゃない扱いってことか。
普通の動物と、そうじゃない動物=魔物を分ける基準はなんなんだろ。
盗賊さんたちは、俺を見て『なんでこんなところにモンスターが』と言ってた。
ってことは、モンスターはそこらじゅうにほいほい現れるわけじゃない。
ここはダンジョンという特殊な場所だからモンスターがいる、とか?
異世界に転生して、最初にうろつくのがダンジョンってのは、いいのか悪いのか。
普通に考えたら不運だけどさ。
俺、リビングアーマーだもんね。
俺自身もモンスター。
人間が住んでいる土地にいたら、あっさり退治されてしまってたかもしれん。
そう考えると、このダンジョンでレベル上げができるのは、幸運かも。
とはいえ、ちょっとあれだ。
……いいかげんモンスターばっかり飽きてきたんですけど!
ネズミとかダンゴムシとかクモとかカマキリとか!
会話不能じゃん!
意思の疎通ができないじゃん!
コミュニケーションが取りたい。
対面じゃなくてもいい。
新しくした鎧の画像をツイートしたりとか。
カマキリ退治の様子を実況したりとか。
……そんな余裕ないか。
スキルか称号特典で『孤独耐性』みたいのゲットしたら、平気になるのかね。
〈――ん?〉
なんか動いたな?
またモンスターかな!?
辺りを見回す。
しかし、近くになんかいる様子はない。
――ちらっ。
またなんか見えた。
なんか光ってるな。
――ちらちらっ。
あ!
広い広い地底湖の向こう。
たぶん対岸だろう。
そこに、タイマツみたいな明かりが見えた。
ひょっとして――人!?
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