忘却の夏
キャットウォーク
第1話 起承転結: 序章
まさか、こんな事になるとは思わなかった。
そう思い周りを見渡す。
いったい、どうなっているんだ?
そう思い高原の湿地帯の索道で途方にくれているアベックがあった。
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ジリジリジリ!
けたたましい音が部屋に鳴り響く。
「う・・ん・・」
気怠さと多少の頭痛を感じながら微睡みから現実に引き戻された。
時計を見ると午前6時。
「はぁ~・・、起きなくちゃ・・。」
そう呟いて、また目を瞑る。
このまま寝ていたら?
そう睡魔が優しく甘美な声でささやく。
その声に、なんとか逆らい目をこじ開けた。
「さて、起きるか。」
そう声を出すことで自分を鼓舞し、ガバリと上半身を起こした。
堀田 賢治 23才、独身。
横浜市緑区にあるワンルームマンションに住んでいる。
中堅の会社に勤めている。
そして恋人居ない歴23年にして恋人が出来た。
今は2020年4月。
横浜では、桜が散り始めている。
そしてコロナウィルスによる緊急事態宣言が出されている。
そのためテレワークの真っ最中だ。
テレワークというと家での自由時間が多いように思われるが逆である。
会社にいる方が楽だと賢治は思う。
彼女の名前は 真田
街を歩いていると10人中8人の男は振り返る美人だ。
由梨は、テレワーク中の賢治のマンションに日中顔を見せる。
ケーキ等を差し入れてくれ、小一時間もすると帰るという健全な付き合いだ。
キスなどしたこともない。
そんな彼女がドライブに行きたいと言いだした。
そして決めたのが志賀高原だ。
長野の春は遅い。
満開の桜が見れるだろうし、春になったばかりの高原もいいだろうという話しになったのだ。
賢治は家を出て車に乗り込むと待ち合わせ場所に向った。
待ち合わせ場所には既に彼女がおり車を道路脇に止めると、彼女は直ぐに気がついて車に乗った。
「おはようございます! 賢治さん。」
「おはよう」
賢治は車を出して横浜インターへと向った。
「朝、早かったけど大丈夫だった?」
「うん、楽しみで昨日眠れなかったわ。」
その言葉を聞いて、思わず賢治は微笑んでしまった。
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