第84話 モブ令嬢家の家族会議と訪問者(後)

「やあやあ、グラードル卿が倒れた後の顛末を報告しようと思って、君たちが運び込まれた部屋を訪ねたのだがね。なんとなんと、無人ではないか。俺は――無情にも彼が天に身罷られてしまったのではないかと悲嘆に暮れてしまったよ。……いや、まあ、そのように悲嘆に暮れていたら、たまさか廊下を通った宮廷侍女に君たちが王宮を辞したと聞いてね。こうしてやってきたわけだ……おやおや、どうしたんだい――君たち?」


「相も変わらず、君の口はよく回るな……。セドリックとはまた別の意味で鬱陶しい……」


 部屋に入ってきた途端、そのように語り出したライオット様に呆然としておりましたら、一人うんざりとしたお顔をしておられたアンドゥーラ先生がそのように仰いました。


「鬱陶しいとは手厳しい。君も相変わらず口が悪いね……」


 ライオット様は、剽げたご様子の笑みを浮かべます。

 先生はどうもライオット様とは相性がよろしくないご様子です。私としましては、お二人とも周りを振り回して、一歩引いたところから楽しんでおられる時があったりと、少し似通ったところがあるように見受けられるのですが……もしかしてこれが同族嫌悪といわれるものなのでしょうか?

 そのような思いが私の頭に過っておりましたら、視線の反対側でガタリと椅子が動く音がしました。そちらへと向き直りますと、お父様が席から立っておりました。

 隣のお母様もお父様を支えるようにして寄り添って立っております。その背後で、セバスが押し下げられた椅子を静かに直しておりました。


「……こっ、これは、ライオス殿下!? グラードルのためにわざわざお越し頂き申し訳ございません!」


 お父様はそう仰い、上位の方へ向ける礼をいたしました。お母様もそれにならい礼をいたします。

 今回の件で、以前館に訪ねておいでになったライオット様が、実はライオス第二王子であったという事は、既に我が家の人間は知っております。


「いやいや、ロバート殿。お掛けください。それに、そのように畏まらないでくれないか。外での私は、法務部の捜査局長であって、ライオット・コントリオ・バーズという子爵に過ぎない。巷で囁かれている、病弱で明日をも知れないという第二王子――ライオスなどという存在ではないのでね。外での地位相応に扱って頂きたい」


 ライオット様は少しだけ表情を改めてそのように仰います。しかし、すぐに表情をいつものように剽げた調子に戻してしまわれました。

 お父様たちは、ライオット様の言葉に従って席へと座り直します。


「……ところで、座っても良いだろうかね? やあやあセドリック、久しいね。まさかこのようなところで君とまた肩を並べることとなるなど人生とは分からないものだ」


 そのように仰いながらライオット様はセドリック様の方へと足を進めて、彼の隣の席へと座ろうとしました。後を追ったトニーが慌てて席を引きます。

 声を掛けられたセドリック様は、軽く呆れた様子の笑みを浮かべておりました。

 私はその様子を目にしながら、自分の席へと戻ります。


「……それにしても、なんとも芳しい香りだろうね」


 席に掛けたライオット様は開口一番そのように仰い、戯れたご様子で私に視線を向けました。


「……ライオット様も、お食事をいかがですか?」


「おやおや、前触れ無く訪れた俺などに、そのように気を遣わなくともいいのだよ……まあ、頂けるというのなら、是非お願いしたいね。捜査局から王宮――こちらへと、食事をする暇もなかったのでね」


「あからさまに催促しておきながらよく言う……」


 私の斜め前で先生がボソリと呟きます。

 そのご様子に、私は少し笑みを浮かべて口を開きました。


「丁度、マリーズのために用意した分が残っておりますので……トニー。チーシャに言って先ほどの分を、ライオット様に……」


「畏まりました奥様。すぐに準備させます」


 トニーはそのように言うと、足早に部屋から退出して行きました。





「いやいや、料理は初めて頂いたが、やはりメルゾン・カーレムを思わせる素晴らしい料理だね。俺は特にこの臓物の煮込みトリッパが好きだな。元々私は臓物ハチノスの歯ごたえのある食感が好きでね。それにトルムトマトの酸味の効いたソース。その中にある薄い辛みを、一緒に煮込んだ豆の淡泊な味わいが巧い具合に旨味へと変えている。しかし、これはなかなか臓物の処理に手間の掛かる料理のはずなのだが……。もしかして明日出す予定で仕込んであったものを急遽出したのではないかねえ……」


 アンドルクの方々が館から去り、また戻るまでの間、私も、お母様と料理をしておりましたが、このように手の込んだ料理をしたことはございません。

 以前アルドラが、煮込み料理は大量に作った方が味が良くなると言っておりましたが……貴宿館の厨房で下ごしらえをしてあったのでしょうか?


「そのような御託はどうでもいいライオット。……セドリック卿、君の話をフローラに聞かせてやってくれないかな」


 ライオット様の料理に対する口上に、辟易としたご様子のアンドゥーラ先生が、そのようにセドリック様に促しました。


「いやいや、本当に手厳しい……セドリックの話とはもしかしてあの時の事かな?」


「そうだ…………そういえば、あれも君が原因ではなかったか?」


 先生が何かを思い出したように、銀光の滲む薄紫の瞳でライオット様をジロリと睨みました。


「おお、藪蛇藪蛇……うん、とりあえず俺は静かに食事を楽しませて頂くよ」


 ライオット様はそのように仰いますと、食事に集中し始めます。

 その様子を横目に、呆れたような笑みを浮かべていたセドリック様が、表情を引き締めて私たちへと向き直りました。


「それでは失礼して。……私はクルークの試練の中でバジリスクの毒をくらったのだが、この甲の力で即死の毒は逃れることが叶った。しかし、遅効性の毒はグラードル卿と同じように防ぎきれなかったのだ。だが身体に毒が入ったことは甲の力で理解した。それですぐにサレア殿に癒やしの力を使って頂いた。そのおかげで毒は消えたのだが、流石にバジリスクから直接受けた毒なのでね。その時の内臓の損傷は今のグラードル卿より遙かに悪かっただろう。まあ、私の場合は、その後はこの甲の力で回復したので、感覚としては症状が逆になって行くと考えてもらえばいいかもしれない」


 そのように、ご自分が毒を受けたときのことをセドリック様は語り出しました。


「おそらく今のグラードル卿は、身体のだるさと微熱が常にある状態だろう。気を張っていれば普通に生活できないこともない。だが、次第に頭痛と目眩を伴うようになり、それが酷くなっていく……さらに内臓の機能が弱まってゆくので、肌色が酷く悪くなってくるだろう。最後には喀血をするようになると思うので、そこまで行ってしまったら……それこそ七代竜王様や、その竜王様たちを生み出したという神にでも奇跡を祈るしかないだろう。私も、この甲を他人に渡せるものだったら、グラードル卿に貸してやりたいのだが……このようにこれは私の身体の一部なのでね。それも叶わない」


 そういって、セドリック様は騎士服の袖を上げます。これまで手甲だと思っていた彼の左手は、なんと左の上腕の中程からその手甲と融合しているように見えました。

 私は、旦那様がこれから辿たどるという症状を頭に浮かべてしまい、身体が震えるのを押さえられません。

 そんな私の様子を、皆様が心配顔をして見ております。

 しかし今は、旦那様の代わりとしてこの場所に立っているのです。私はそれを思い懸命に心を鎮めました。


「……ありがとうございますセドリック卿。このように話を伺わせて頂いてとても参考になりました。それにセドリック卿のお心遣いには感謝のしようもございません」


 セドリック様は、そのように言う私を慈愛の滲む瞳で見つめておりました。


「エヴィデンシア夫人。私はあの茶会の折、貴方たち夫婦が互いにとても愛し合っていると感じました。このような事態に夫が見舞われたとき、普通の女性ならば取り乱してしまい、今のように私たちに対応することなどできないでしょう。……貴女は立派な女性ですね」


 いえ、違いますセドリック様……。私は、旦那様を救うことが叶うかも知れない可能性に縋っているに過ぎないのです。でなければ旦那様の未来に絶望して気が触れていたかも知れません。

 しかし、今の私にそのことを口にすることは叶いません。先生たちに相談できればどれほど気持ちが楽になるか……。

 私は、セドリック様の過分の言葉を、静かに目礼して受け入れます。


「セドリックの話は終わりかな? ではではでは、俺の話をしていいかな?」


 セドリック様の話が終わるのを待っていたようにしてライオット様が切り出しました。


「どちらにしても君は話すのだろう、とっとと話してしまいなさい」


 相も変わらず、アンドゥーラ先生のライオット様に対する態度は突っ慳貪つっけんどんで容赦がございません。


「まったく、君は……俺たち攻略者の中では一番の年下だというのに、何故そうも目上の者に敬意がないのだろうね」


「その文句は師に言ってくれないか、幼少期から師の言動を目の当たりにして来たのでね。私の言動が問題あるというのならそれは全て師のおかげだよ」


 ライオット様の文句を、先生はしれっとブラダナ様へ放り投げてしまいました。

 静かに食事を楽しんでおられたのに、突然そのように言われたブラダナ様は、なんとも不機嫌そうなお顔になってしまいました。


「なんでアタシが、馬鹿弟子の責めを負わねばならないんだい。アンタのそれは、アタシと出会ったときからじゃないかい」


「あの皆様……食事の席での歓談は、料理の良き調味料にもなりますので結構でございますが、そのような言い合いは料理の味を落とします。それは料理を作ってくれた料理人たちに対して大変申し訳ないと思うのですが?」


 突然お母様が静かに微笑んでそう仰いました。それを見て、先生もブラダナ様を初めとするこの場にいる皆も息を呑みました。

 私、知っております。この状態のお母様が一番怖いということを……。

 お母様の威圧感ある微笑みに、気圧されて皆様が一様に席の上で姿勢をただします。


「……流石に、フローラの母上だ……」


 ボソリ……と先生が小さく呟きましたが、いったいどういう意味でしょうか?


「……ああ、いや、コホン。それでは話させて頂くよ」


 ライオット様が、チラリとお母様の方を見て口を開きました。

 私、怯んだライオット様を初めて目にしたかも知れません。


「さてさてさて、あの時グラードル君が倒れた後の事なのだがね。シェリルというルブレン家の侍女がいたろ、申し訳ないことに彼女を取り逃がしてしまったのだよ。あの女、ローデリヒがあのようなことになって起こった客の恐慌に紛れてしまってね。局員たちには目を離さないように言い含めておいたのだがね。あの女、どうやらただの侍女では無かったようだね」


 ライオット様は、少し申し訳なさそうな視線を向けて軽く息をつきました。


「それから、ルブレン侯爵に協力して頂いて調べたのだがね。あの女はルブレン侯爵の奥方、メルベール殿のご実家のつてで雇い入れたのだそうだよ。そのせいで先のボンデス君の件では引っかからなかったのだねえ。しかも、あの女が雇い入れられたのは一〇年以上前であったそうだよ。これは俺の想像なのだが、いずれ政敵になりかねないルブレン家に、バレンシオ伯爵が間者として放っていた者を、今回利用したのかもしれないねぇ」


 まさか、それほど……旦那様も仰っておりましたが、本来のバレンシオ伯爵はそれほどに慎重に事を運ぶお方であったのですね。

 旦那様が邪杯の欠片と仰っていた物を、ローデリヒ様が何故手にしていたのか……。どちらにしましても今回の事件は、その欠片によって彼らの妄執が暴走した結果であったということでしょうか。


「あと、あの茶会と時を同じくしてバレンシオ伯爵が子飼いとして使っていたヲルドというならず者の集団を検挙しに向かったのだがね。首領を含む数名を取り逃がしてしまった。本当になんと言ったらいいのか……エヴィデンシア家のお二人には、これ以上もないほどの活躍を頂いたというのに、捜査局が足を引っ張ってしまったようなものだよ」


 ライオット様が珍しく、軽く苦々しい表情を浮かべます。しかし、すぐにその表情はいつもの調子に戻ってしまいました。


「ただ、朗報といえば、エヴィデンシア家の仇敵であったバレンシオ伯爵は、本日の昼前に毒を頂いて、その生を終えたということかねえ」


「……そうですか」


 私は静かに目を閉じます。我が家にとってはお祖父様から続いた因縁が一つの決着を迎えました。

 なんと呆気のないことでしょう……このような思いが浮かび上がるのは、彼の死を目の当たりにしなかったからでしょうか?

 若いとき、彼のことを按じたお婆様やお祖父様のお心の結果が、このような結末を迎えるなどと誰が考えたでしょう……。

 彼がもし、初めからお婆さまとお祖父様が婚約者であることを知っていたのならば……、そのような事は考えても仕方のないことですが、もし……という言葉が頭の中に浮かび上がってしまいます。


「おやおや、嬉しそうではないねえ。ご両親もそうだが、君たち一族は本当に情けが深いのだねえ」


 ライオット様の言葉に、目を開いて両親を見ますと、お父様たちもお辛そうな表情でテーブルの一点をただ見つめておりました。


「そういえば、アンドゥーラ先生方はライオット様が第二王子ライオス様であったことをご存じだったのですか?」


「ああ、クルークの試練を達成した後、王の御前で伺ったよ。彼の出自についてもね。その後は口裏合わせに協力させられているわけさ。まあ、シモンとアシアラは王宮に上がるのを辞したので知らないがね」


 それで、旦那様がお訪ねになったとき、すんなりと誤魔化されたのですね。


「だが、この男が捜査局長などという職に就いていたことは、本当に知らなかったよ」


 私が考えていたことを先回りするように先生が仰いました。

 先生の言葉にライオット様へと視線を向けましたら、彼が何かを思い出したような顔をいたしました。


「……そうだ、これはグラードル卿に聞きたかったのだがね。あの茶会の折り、どうしてアンドゥーラ卿やサレア殿たちが君たちを守るために配置されていたと確信したのかね。エヴィデンシア夫人、君にはどうしてか分かるかね?」


「……おそらくは、アンドゥーラ先生がワンドを持っていたからだと思います。茶会の出席者は、剣もワンドの持ち込みも禁止されておりましたから……」


「なに!? では、あの逆鱗の記憶を見せてくれと言われたあの時に気付いたというのかい……」


 先生が、驚きに目を見開きました。

 あの時の旦那様は、これまでの経緯で、本当に何気なくアンドゥーラ先生に仰ったのだと思うのですが、先生がスッと胸元からワンドを取り出した事に違和感を感じたのでしょう。


「相変わらず、彼はよく見ているね。なるほど、これで疑問がひとつ晴れたよ」


 ライオット様の疑問という言葉に触発されたからでしょうか、私も、以前から不思議に思っていた事柄が口を突いてしまいました。


「ところでアンドゥーラ先生。私、昔から不思議だったのですが、先生はワンドや片眼鏡モノクルをどのようにして、その……胸の谷間に保持しておられるのですか?」


 言ってしまってから、私は何をこのような場所で聞いてしまったのだろうと恥ずかしくなってしまいました。

 けれど先生は、私に向き直りますと真面目な顔で仰います。


「良いかい……フローラ。女性の胸の谷間には、神秘が満ちているのだよ……」


 そう仰った後。先生はとても良い笑顔を浮かべます。『私はいま良いことを言った』という感じでございますが、申し訳ございません先生……。

 私――同性ですがマッタク理解できません。

 しかし、周りを見回しますと、この場の女性陣は皆、薄く微笑んでおられて、男性陣はウンウンと首を縦に振っておられます。……お父様まで!?

 えッ――もしかしてその神秘とやらを理解できないのは私だけなのですか!? マリーズは皆様に合わせているだけな気もいたしますが……。

 私は驚愕のまま、先生やサレア様、お母様の胸元に視線を走らせます。

 振り返って私は……。

 …………何でしょうか、とても傷ついた心持ちがいたします。

 以前にも、同じような心持ちになったことがあった気がいたしますが、その時よりも衝撃が強いかも知れません。

 ……いえ、大丈夫。きっと大丈夫です。なんと言いましてもお母様の娘なのですから……。


「皆様のお話は終わったご様子ですので、私の話をしてもよろしいですか?」


 微妙な雰囲気を振り払うように、マリーズが切り出しました。

 この場の皆の意識がマリーズへと向けられます。

 ひとつ呼吸をおいて彼女は口を開きます。


「と言いましても、私の話はサレア様へのお願いなのです。サレア様……私に癒やしの術を教えて頂けませんか」


 マリーズのお願いに、サレア様がマリーズを思いやるようなお顔をいたしました。


「マリーズ……良いのですか? 癒やしの術を身につけるということは、魔法を使うことを諦めるということですよ。貴女はそちらにも興味があったようですが……」


 確かに、専門学部の選定期間にマリーズが最も多く授業を受けていたのが魔導学部でした。

 それに、どういう訳かは判りませんが、魔法と癒やしの術は相克らしくどちらか一方しかその身に収めることができません。

 特に、癒やしの術を学び始めると、才能があっても魔法は一切使えなくなってしまいます。


「ええ……ここ一月の間考えました。私、還俗復飾する気がございませんので、神殿に残るのであれば癒やしの術を収めた方がお役に立てると思うのです。……それに、先ほどのお話。私が癒やしの術を覚えれば、サレア様の負担が少なくなると思うのです」


 マリーズの言葉に、私は胸に熱いものが込み上げてきました。


「ああフローラ。別にグラードル卿のためというわけではございませんよ。それは友であるフローラの旦那様ですから、少しは頭にありますけど……あの時グラードル卿を癒やすサレア様の姿を見て私、初めてこの方のようになりたいと、憧れというものを得た気がするのです」


 そのように言ったマリーズの表情は、貴宿館で天真爛漫に振る舞っているときのものではなく、確かに聖女だと認めざるを得ない気高さに満ちておりました。

 しかし、その様子を見ていたアンドゥーラ先生が、少し心配顔で口を開きます。


「だがそうなると、聖女としての力を失うかも知れないが、大丈夫なのかい? 私は聖女の力は体内で常時拝受はいじゅの魔法を発現しているのではないかと考えているのだが……」


 そういえば、以前先生がそのような事を言っておられました。マリーズが初めて魔導学部の授業を受けたときだったでしょうか?

 ですが先生の言葉を聞いたサレア様が意外そうな表情を浮かべました。


「まあ……アンドゥーラでも、間違えることがあるのですね」


「どういうことだいサレア?」


「神殿の記録では四代前の聖女様が竜王様の声を聞いたのは、癒やしの術を収めた後です。神殿では聖女の力は魔法とはまた別の力であると考えています」


 サレア様の表情は、まるで妹に教示する姉のようで、お二人の関係性の深さを思わせる瞬間でした。


「なに!? ……そうか、そのような記録があるのならば、私の考察が外れていたということだね。これについてはまた、別の考察をしなければならないな……」


 アンドゥーラ先生はサレア様の、表情には気付かずに、腕を組んで自分の思考の中へと沈んでしまいます。

 結局その後は、食事を終えるまで取り留めもなく、皆様の話を聞くこととなりました。

 そして、館のエントランスにて、皆様を見送った私は、今日はなんと訪問者の多い一日だったのでしょうと、静かに息を吐きました。

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