passiver'S

アリエッティ

第1話 受け身な私

 子どもの頃からおかしな子だった。

体が丈夫というか、打たれ強いというか、とにかく怪我をしなかった。


異常な程に。

一緒に遊べば周りが傷付いた、だから一人で過ごすのが好きだった。

トラックに轢かれた事もあったけど、目を開けたらトラックが潰れていた。


〝痛い〟を体験した事が無い。

良いことだけど、世界は狭い。

「安全と楽しいは違う」

 普通の人とは違う、誰を見てもそう思った。だから目を背け続けて、独りに没頭した。


「君も〝ムジナ〟なんだろ?」

「……。」

だけどその日あった夕暮れの放課後の男は、目の前にいても違和感が無い。


一目みてわかった、「変わり者」だと


「教えてもらおうか。

一体いつから君は目覚めた?」

細い男の銀の瞳が私を惹きつける。

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