第5話 出逢い
次の日の登校中、また
連日話しかけることは珍しいが好都合だ。
「陽悟、実は昨日な………」
陽悟に
「……なるほどな。久米さんがそんなことを」
「あぁ。お前に少し手伝って欲しいんだが」
「
おぉ……頼みを聞いてくれるのは嬉しいけど、そんな嬉々として言うことか……?
放課後になり、俺を入れて部室には三人集まっている。
「なんで陽悟くんがここに?」
「だってお前、そのサッカー部の先輩と繋がりないんだろ。だったら顔が広くてサッカー部の奴で、間を取り持ってくれそうな奴呼ぶしかないだろ」
陽悟は良い奴だ。
きっと誰とでも仲良くできる力がある。
こんな俺にも話しかけてくる胆力の持ち主だし。
サッカー部でもクラスと同じくそこそこの地位を築けているんじゃないかと思ってここに連れてきた。
まぁ他に俺が頼めそうな人なんていないから、今の理由は後付けだね!
「サッカー部の先輩は陽悟に任せるとして、後は告白場所だな」
「久米は今までどこで告白されたり、していたんだ?」
俺の質問に久米は考える。
「………教室がほとんどかな」
はいはい青春だね。
若干というかかなり自分にもぶっさる回答だった。
聞き流すのが最適解ですね。
「今回は学年が違うからな」
陽悟が会話に入る。
俺が陽悟の言葉の後を継いで話す。
「大体どこのクラスか、も分かんないんだろ。じゃあ別の場所で告白するしかないな」
そしてしばらく思案した結果。
「どこにいるか絶対わかるのは、サッカー部の活動中だな」
「おぉ、校庭かぁ」
久米の呟きに俺があることを思い出す。
「あ、俺そういえば最近、人目につきにくい場所見つけたんだ」
俺の発言に二人がこちらを見る。
……じろじろ見んじゃない。
園芸部の活動場所、体育館と校舎の間。
そこに移動してロケーションを確認する。
「へぇ!ここなら良いかも!」
久米が色々なところを見て、確認している。
「校庭からも繋がっているし、これなら呼びやすいだろ」
「あぁ、そうだな」
陽悟も肯定的な返事だ。
ここで良いんじゃないか、と、そんな感じ。
「じゃあ明日、サッカー部の活動中に陽悟がここに連れてきて、久米が告白だな」
そんな感じで一日が終わり、そして当日を迎えた。
久米はあらかじめ告白場所にスタンバイして、俺は更にその後ろで隠れている。
サッカー部の活動が始まり、陽悟から『今連れて行く』とメッセージが届く。
茂みからバレないように顔を出し、陽悟とサッカー部の先輩を確認する。
「おい、もうすぐだぞ」
と小声で前にいる久米に確認する。
「……うん」
とたった一言返された。
なんかすごい冷めてるように見えるんだけど、女子の告白ってこんな感じなのかな……?
向かってくるサッカー部の二人。
そこに話しかける奴が現れた。
女子が数人、か。
見れば近くで女子テニス部が活動していた。
その中で活動的な奴らがこっちに来たんだろう。
まぁあり得ない話ではない。
二人ともルックスが良い。
一緒に歩いている所を見れば、話しかけたくもなるだろう。
話は盛り上がっているようで、 サッカー部の先輩は楽しそうだ。
一方陽悟は少し困っているように見える。
多分陽悟が困っていると気づいたのは俺だけだな。
女子たちは構わず話しているし、先輩もそれに合わせている。
陽悟も悪い印象を与えないよう頑張っているみたいだ。
まぁあいつは器用だから、なんとか話を切り上げてこっちに来るだろう。
と思っていると、
「やめた!」
俺のすぐ前から声が聞こえた。
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