元カノと俺の異世界転生話

冴えないkitoki

プロローグ ゴミみたいな神みたいな出会い

「危ない!」

秋葉原からの帰り道、後ろから聞こえた。俺は今日、アニメ〇トなどの専門店に行き、グッズを買い漁った。

普段の俺の運の悪さは、尋常じゃない。

道を歩けば、工事現場の方が上空からスパナを落とし、野球をすれば必ずデッドボールが来る。そのせいで陰で、「裏金製造機」とか呼ばれてんだぞ。体育で買収するやつがいるか。第一、陽キャなら「何だよ、そのあだ名~」とかいう謎過ぎるハイテンションで誤魔化せるんだろうが、友達がいな・・・少ないせいで、完全なる蔭口となっている。

まあ、そんな俺だが今日はメチャクチャ運が良かった。ガチャ引けば欲しいもの全部当たるわ、フィギュアが安値で売ってるわで完璧な一日だった。

そんな日の帰路に、危ない!なんて聞こえれば相当の覚悟はしなければならない。

ナイフが頭に当たっても大丈夫なように、ヘルメットは常備しているが銃弾は防げないぞ?何が来る・・・

恐る恐る振り向くと見慣れたパッケージのカップラーメンが宙に浮いていた。これで、「ラッキー、痛くない」と一瞬でも思ってしまった俺は傍から見れば相当な変わり者だろう。ま、熱さなら我慢できる・・・

ラーメンのスープが輝き、俺の頭に落ちた瞬間。

「熱いーーー!」

やっぱりできなかった。いや、だって熱いもん。ビンタされるってわかってからされるのと、不意打ちでされるかの違いでしかない訳だよ。しかもなんかヌルヌルしてるし、何だよこれ・・・道路に落ちてるパッケージを拾うと、納豆味と書かれていた。マズそうだなー。

待て、何か忘れてないか?今日俺は秋葉原に行って・・・

はっ、右手で持っていた袋を咄嗟に見ると当然グッズは、ぐっちょぐちょだった。フィギュアはまだ箱の中だからマシかもしれないが、お年玉をはたいて買ったTシャツはもう着れそうにない。しかも臭いし。

うわー、やっぱり今日最悪だったわ。

カップラが飛んできた方を憎しみと悲しみの目で見ると・・・

とんでもない美少女がいた。本当にヤバイ、そこらのタピオカだ何だ言っている女子とは生卵とオムライスぐらいの、違いがあった。いや、俺生卵嫌いなんだよ。

まあそれは置いといて、清楚さと力強さを同時に象徴するような儚く美しい目、滑らかで、流れるような黒髪ロングヘアー、まさに神の領域だ。

オタクとしては、非常に悪い選択だが俺はグッズの怒りなどすっかり忘れ、その子のことをじっと見ていた。

「あのー、だ、大丈夫ですか?」

言いたいことはただ一つ。

「俺とデートしてくれ」

こうして、俺たちは出会った。

その後交際に至り、彼女が死に、俺もその一年後に死んだ。

ここで人生は終わりだとばかり思っていたが・・・

そして、転生し

俺たちの異世界転生の話が始まる。

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