俺/ボク達の軍隊料理法

一条 灯夜

諸言《しょげん》

-1-

 あん? ここになんて書いてあるか、だと?

 ああ、クソ、旧字ばっかじゃねえーかよ。いいか? この俺様が、お前でも解り易いように簡単な言葉に直して読んでやるから、一発で覚えろよ。

 もう準備はいいな?

 ……二度はないからな?

 よし。


 諸言しょげん

 んん? ああ、諸言しょげんってのは前置きみたいなのだ。前置きってのは、最初に言っとく注意事項! 了解りょうかい? よし、じゃあ続けるぞ。

 軍隊の料理は、贅沢ぜいたくであったり、派手な盛り付けはいらない。ただ、料理法を研究せずに、単調で旨味がないメニューが続けば、予算が豊富で材料が新鮮であっても、軍隊は育たない。だから、この本で、和洋料理の概要がいようを示す。いたずらに……。あ? 徒にってのは、無駄むだにって意味だ。無駄に、腕を競い合って奇抜――変な物を作らず、常に戦場の困難を忘れるな。


 ……以上だ。

 んで、ほんとにこれを再現する気なのか?

 小学生のやる内容じゃねえぞ?

 ヤるからには、最後までしっかりヤらせるからな。それが我が一族の教育方針だ。

 ……それでも、決心は変わらんのかい。ったく、お前は本当に俺に似ちまったんだな。

 ああ、ったく、めんどくせえ!

 だが、しゃーねーな。俺の弟分だからな、お前は。この俺が直々に導いてやろうではないか! キサマの夏休みの宿題を!

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