異界大戦 3

「みんな! これで最後にしよう! 邪神龍を封印するよ!」


グルフェルは拳を掲げみなに力強く声を掛けると、6人の姫達は揃って大きく頷く。

7人は、揃って前を向いた。

そこには、天にも届きそうなと言う言葉そのものの様にそびえ立つ、龍がグルフェル達の様子を伺うように睨んでいた。


「それじゃあ行くよ!」


グルフェルが掛け声と共に前に出ようとしたのだが、そこにクティナから待ったがかかった。


「その前に旦那! この戦いが終わったら私ら全員、嫁にもらってくれるんだよな!?」

「え? ええ!? い、今、それを言うの?!」

「あったり前じゃん! それ確認しとかないとやる気に関わるんだよ!」


鬼人族のクティナが、その荒っぽい言い方の割には顔を赤くしながら、場違いな事を聞いてきた。でもそれは、どうも他の女子も同じだったようで、全ての視線が真ん中に佇む少年グルフェルへと注がれていた。

グルフェルは、困った表情ながらもみんなを見回して、一呼吸すると、小さくだがしっかりと首を縦に振って頷いた。


「よっしゃあぁぁ!! がぜんやる気が出たぞ!」

「主様が、旦那様・・・」

「ふん! とうぜんね」


鬼人族のクティナと、吸血鬼のサリダ、そして水人族のノフィエルがそれぞれの言葉で表し、獣人族のカダエルダと、魔人族のパルフェルカは、無言だけど顔を赤くしほころばせていた。


「グルフェル様、皆、あなた様をお慕いもうしあげております」


ラリーアが、前方に注意を向けながらも、これ以上のない笑顔を向けてくれた。


『さて、人間共よ。余興は終わったのかの?』


突然、頭の中に大きく響き渡る声が7人全てに届いた。

あまりに突然だった為、皆が耳を押さえ、しゃがみこんでしまった。


「な、何じゃ?! 今の声?」


吸血鬼族のサりダが片目をなんとか開いて辺りを警戒しながら、聞いてくる。


「邪神龍!?」


『正解だ、少年。なかなかの観察眼だな』


「褒めてもらって嬉しいんだけど、いきなり何か用なのか? 今まで一ぺんも話に応じなかったお前がどうして・・」


グルフェルは遥か上にある邪竜の顔を睨みつけながら、問い返していた。


『ふん! アマラスの加護を受けたといってもたかが人間と思っておったが、この龍神である私をここまで追い詰めるとは、考えを改めないといかんな』

「別にあんたに褒められたいとは思わないよ。それよりこのままあちらの世界に戻ってもらえませんか?」

グルフェルは冗談のつもりで聞いたのだが・・・

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