勇者カッピー小休止する。
さて、前回、スノーボードを存分に楽しんだ私達なんですけども、遊び疲れたのでとりあえず宿に帰って参りました。
いやはや、なかなか楽しかったです。
初めてのスノーボードという事もあり、ちゃんとできるようになるか心配でしたが、リーンさんが丁寧に教えてくださった事もあり、無事にコツをマスターすることができました。
「いやぁ、スノーボードって意外と楽しいんですね」
「カッピーちゃん上手くなったよねー! 滑るの!」
「だな、見事な上達ぶりだ」
「えへへ、それほどでも…」
私は照れ臭そうに笑いながら頭を掻いてにやける。
先生が良かったですからね、きっと、リーンさんじゃなかったらあんな風に上達できなかったかと思います。
さて、今晩はこのマウンテンパレスの街に泊まるんですけどもしばらく、二日ほど滞在しようかと皆で話し合って決めました。
山越えにはかなりの体力を消耗するというので、まずは長旅での疲れを一気にここで取り除いておこうという訳ですね。
「あ、皆さんはマウンテンパレスの食事でオススメとかあります?」
『せやなー、やっぱり山魚かな?』
『ツキマツタケがオススメやで』
『山ならベニアカシカの肉やろ』
私が視聴者の皆さんに質問すると次々と山の幸と思われる食材が流れてきます。
おぉ、なんとも旨そうですね。特に気になるのはベニアカシカの肉でしょうか? シカ肉なんて私食べたことありませんからね。
一方でリーンさんは今日はお酒が飲めると上機嫌でした、シーランドでは飲めませんでしたからね。
「うふふ、確かマウンテンパレスは山葡萄のワインがとても美味しいのよね」
「へぇ…山葡萄…」
「それは私も飲んでみたいな」
なんでも、マウンテンパレスのよく熟成されたワインは舌触りもよく、香りも最高に良いのだとか。
私も久しぶりにお酒を呑んで楽しみたいなとか思ったりしてます。たまに晩酌とかて一人で呑んでた事もあるんですよね、私。
そうして、私達は宿に着くとまずはスノボで着ていた服をカウンターに預けました。
湿気とか匂いとかが付いてますので、カウンターで預けておくと翌日、綺麗な状態で返ってくるそうです。
魔法の力って本当に便利ですよね、生活には欠かせませんし、主婦の味方ですよ。
ちなみに私はロクに使えませんけどね、はい、私生活は魔法を一切使わずわ一人暮らししておりました。
さて、そんな訳で私達四人は食事の前に宿にある露天風呂に入る事になりました。
山の景色を一望できるんですって、凄いですよね!
本当はこの喜びを視聴者さん達ともわかり合いたい気持ちはあったのですが、女子風呂ですからね、流石に撮影はNGでした。
「ふぃ…あー身体があったまるんじゃ〜」
「気持ちいいわよねぇ〜」
「脳が溶けそう〜」
「あへぇ〜」
極楽とはここだったのですね。
スノーボードで疲れた身体を露天風呂に浸かってゆっくりと癒すって本当に最高だと思います。
私達四人は並んでだらしない顔をしながらグラナダ山を見つめつつ言葉を溢します。
筋肉痛もジワジワ来てたのでこれは本当に長旅には最高の薬になりますよね。
じんわりと身体が温まってきた頃、ナッチーは私とリーンさんの胸をジーと見てきます。
「…カッピーとお姉ちゃん…でっかい」
「あら? そうかしら?」
「な、ナッチー! 一度見たじゃ無いですか! 貴女!」
「私は初見だが、…確かに見事だな」
私とリーンさんの胸を見ながら、下手したらグラナダ山より絶景かも、とか言い始める二人。
いや、山より絶景な胸ってなんですかね、確かにでかいのは認めますけど、そんなに言うほどじゃないですよ? 私のバストサイズは。
リーンさんのも私と同じくらいですから、普通です。
「いやいや、これは事件ですぞ、シーちゃん殿」
「確かにそうだな、とりあえず、ナッチー並んで見てくれないか?」
「はい?」
そう言って、ナッチーをわざと私とリーンさんの間に挟み始めるシーちゃん。
そこには見事な凸凹が出来ていた。悲しいかな凹のところは最早言うまでもないだろう、察してあげてください、皆さん。
この悲惨な光景に耐えられ無かったシーちゃんは涙を流しながら口元を押さえる。
「うっ…! すまない、胸囲の格差社会がこんなに悲惨だなんて…」
「おいこら、何やってんだお前」
涙を流すシーちゃんに青筋を立てるナッチー。
私は青筋を立てるナッチーを見つめて、先日のことを思い返す。
そう言えば、私も言われっぱなしでしたからね、ここいらで一発くらいかましといてもバチは当たらないはずだ。
私はナッチーの胸を見ながら渾身の一言を送る。
「かなりまな板だよ、これ」
ナッチーからグーパンが飛んできた、流石に酷いと思う。
いや、確かに悪意はあったけど、グーパンが飛んでくるとは思わなんだ、結構、良い感じにクリーンヒットしましたからね。
それを聞いたリーンさんとシーちゃんは大爆笑。
ナッチーは顔を真っ赤にしながらプルプルしてました。
私もね、ナッチーくらいの慎ましい胸で良かったんですよね、正直に言うと、何でこんなに成長したのか自分でも謎です。
「あー! クソー! 誰がまな板じゃあ! 私の胸は成長期だし! それなりにあるんだからね!」
「あ…うん…」
「胸が痛い話だな、板だけに」
「あんたぶっ殺すわよ」
混じりっ気のない殺意って怖いですよね、シーちゃんお口チャックです。
こうして、散々ナッチーを弄り回した後、私達は風呂から上がります。リーンさんは終始爆笑してました、口押さえて笑うようにしてたみたいですが、普通にバレバレです。
幸いな事は視聴者さんが現場を見てなかった事ですね、そりゃナッチーが貧乳で弄られる事なんかになった日にはカメラが一台ぶっ壊れる覚悟をしなくてはいけなくなりますからね。
さて、風呂から上がった後は食事です。
「おー! しゅごい!」
「ツキマツタケにグラナダシャケの刺身か!」
「うわぁ! これ美味しそう!」
『飯テロや!』
『あーお腹すいた』
『俺のマツタケはどうだい?』
『↑そのシメジ仕舞えよ』
こらこら、ご飯食べるって時に下ネタぶっ込んでくるんじゃないよ。
何はともあれ、私達は豪華に並ぶ食事の前に座り手を合わせます。いやはや、こんな食事が食べれるなんて旅をしていなくては考えられませんでしたよね。
お酒を注いで、皆でグラスをつけあわせます。
「かんぱーい!」
「いえー!」
「お疲れー!」
「呑むぞー!」
『ええなー』
『今度、マウンテンパレス行くか』
『かんぱーい』
コメント欄も私達を労うように便乗して乾杯してくれました。
それからは呑んで食べて、ワイワイと賑やかな話で盛り上がります。まだまだ、旅が始まってそんなに時間は経ってはいませんが話すことはつきませんね。
これから先、どんな旅になるんだろうとか、視聴者さん達の事についてとか、いろんなことをお話ししました。
そんなこんなでお酒をガンガン飲み過ぎて、その後はだいぶカオスな状況になってしまいましたね。
私もなんか、記憶が曖昧でそこから先は覚えていません、ただ唯一覚えているのは、呑み過ぎたせいで皆でトイレで吐いた事です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます