第10話 勇者カッピー港町を楽しむ


 

 ナッチーに過去のことを打ち明けてから翌日。

 

 私達は小休止するために港町シーランドを少しばかり散策する事にしました。

 

 どうやら、いろんな名所があるみたいですし、シーランド、特に魚介類が豊富に取れるので美味しんだとか。

 

 一応、港町ですしね、ここ、季節がもうちょっと暖かくなれば泳げたり出来たかもしれません。

 

 

「よーし! それじゃショッピング楽しむぞー!」

「まずはご飯でしょう!」

「うむ、ブレックファーストは大事だな」

「朝食ね」

 

『お! 良いねーどんな朝食なんだろ』

『楽しみだね』

『とりあえず今朝はカップメンでした』

『↑泣いた』

 

 

 そんな感じで目を覚ました私達はとりあえず朝食を取りにお店に行く事にしました。

 

 海が綺麗ですねー、潮の香りがします。オーシャンビューってやつだなこれ!

 

 そして、私達が来たのは砂浜からずっと続くようにして海上に建てられている海上レストランです。めちゃくちゃオシャレですよね、私も驚きました。

 

 あれ? これ、キヌッターに上げれるんじゃないだろうか?

 

 という事で早速、ブレイバーズの皆で写真撮影をする事にしました。

 

 

「はいチーズ!」

「イェイ!」

 

 

 写真を他の人に撮って私を中心に写るメンバー達。

 

 皆それぞれ良い笑顔で写っていました、なんだか、シーちゃんだけぎこちないけど、それでも、可愛く撮れてるし問題ないでしょう。

 

 では、早速そのレストランで朝食を取ることにどんな食事が出るか楽しみですねー。

 

 

「うわ! みんな! 蟹だよ蟹!」

「ナッちゃんこれキングロブスターじゃない?」

「あ、本当だ」

 

『キングロブスター先輩!』

『生きたまま焼かれてる!』

『あのコックサイコパスやで』

『ひぇ!?』

 

「こらこら、やめなさい」 

 

 

 そう言いながら他愛ない会話を皆とやり続けながら朝食を待つ私達。

 

 しばらくして、出てきたのはロブスターの身を油で揚げて出来たロブスターカツサンドと、ロブスターやイカなどが入った新鮮な野菜を使ったシーフードサラダだった。

 

 おふ、こんな豪勢な朝食は見たことないですよ、写真撮ってあげなきゃ(使命感)。

 

 こんな事してると完全に観光客っぽいですよね、私達。後、原付バイクで4900mも走るなんて考えられないなぁ(遠い眼差し)。

 

 まあ、なんにしろ、今は小休止なのでゆっくりと身体を休めたいと思いますね。

 

 その後、私達は色々と必要な物や買い物を済ませます、この先の旅は長いですからね。

 

 あ、ちなみに今日の昼食は焼き魚と焼き貝を皆で卓を囲んで食べました。

 

 あれ? 私もしかしてリア充してないですかね?

 

 あんなに憧れだった陽キャラに私がなっている! とはいえ、本質は変わらず陰キャラなので中身は変わらないんですけども。

 

 

「見て見て、貝だよ! 貝! デカくない?」

「なかなか卑猥な形を…ナッチーのとどっちが…」

「言わせねぇよ!」

 

『淫キャラになったカッピー』

『真夏の夜の陰夢』

『やっぱりホモじゃないか』

『女の子やぞ』

 

 

 コメント欄は私の言葉に色々ツッコミを入れてくれます。

 

 うむ、流石よく訓練された方達ですね、素晴らしいと思います。顔を真っ赤にしてるナッチーも可愛かったので私としては大満足です。

 

 お酒を飲みたかったところなんですが、この後、原付バイクの運転が控えてるため一旦お預けに。

 

 リーンさんが血の涙を流した時は肝が冷えましたね、リーンさんってあんな風にしっかりしたお姉さんに見えて結構お酒が好きなんですよ。

 

 テンション上がっていた人が絶望のどん底に落ちるところを間近で見た気になりました。

 

 しかしながら、次の街に行けばね少しゆっくりする余裕も出てくると思うのでそこでぜひ飲んでいただきたいなと思います。

 

 

「あーん、今日は飲めると思ったのにぃ…」

「リーンさん、次の街で飲みましょう? ね?」

「はぁ、まあ、資金的にも今のところ早く移動していくのが無難だしね、仕方ないよ」

 

『リーンさんに秘蔵酒を分けたい』

『聖女殿、意外と飲兵衛なんやね』

『こうしてまた原付バイクの旅が始まるんやなぁ』

 

 

 野営だとかに必要なものを買い揃えて原付バイクに跨がる私達。

 

 さて、次の目的地なんだが、どこになるんだろう? ちょっとナッチーに聞いてみようかな。

 

 私は地図を広げてるナッチーのとこに近寄ると覗き込みながら彼女にこう問いかける。

 

 

「次の目的地は?」

「えーとね、次はは山の街マウンテンパレスだね」

「はぇー、マウンテンパレス?」

「そうそう、距離はここから300kmくらいかな? 多分野営も挟まないといけなくなると思う」

 

『あーあの街か』

『自然が綺麗よね』

 

 

 次の目的地は山の街、マウンテンパレスというとこらしい。

 

 うん、目的地はなんとなくわかったんだけども、なんでそもそも山の街に寄る必要があるんだろう?

 

 実はそこが結構に大事な事でもある。ナッチーの言葉を聞いたリーンさんは首を傾げながらこんな事を呟き始めた。

 

 

「ナッちゃん、もしかしてだけど、山脈越えしないといけなくなるのかな?」

「うん、向こう側に行くなら避けて通れないかな」

「この時期に山脈越えだと!?かなりハードだと思うぞ!?」

 

『ひぇ…』

『探索隊なら任せとけよ』

『無理しちゃダメよ』

 

 

 そして、ナッチーの言葉に驚いたような声をあげたのはシーちゃんである。

 

 あ、そっか、シーちゃんは従軍経験があるから山脈越えとかもした経験があるのかな、もしかしたら。

 

 でも、もしそうだとしてもシーちゃんがそこまで言うには何か理由があるのかもしれない、引きこもりだった私には山自体を今まで見たこともないんだけどね。

 

 だから、ちょっとだけどんなものなのか興味がそそられる。

 

 

「よし、それじゃ皆行こうか!」

「山脈越えの話はまた後で改めて聞かせてもらうぞ? ナッチー?」

「えぇ、構わないわ、とりあえず出発しましょうか」

 

 

 そう言って、全員、原付バイクに跨がると港街シーランドを後にした。

 

 またまた、長い距離を原付バイクで走る旅がこうして始まる訳なんだけども、これはこれで慣れてきて割と楽しくなってきている自分がいる。

 

 港町から離れる事1時間、ナッチーは原付バイクを運転したままこんな話をし始めた。

 

 

「そういやさ、視聴者の皆とかキャンプとかすんのかな?」

「冒険者が多いだろうしな、するんじゃないか?」

 

『溶岩流れたりしてたな』

『砂漠のど真ん中とかな』

『ワイ将、海底でキャンプしてる模様』

『みんな頭おかしくて草』

 

「どんなキャンプなのそれ!? 大丈夫なの!?」

 

 

 そう言って、視聴者さん達のとんでもない発言にびっくりするナッチー、最後なんて海底とか、どうやってキャンプするんですかね?(白目)。

 

 だけど、コメント欄では割と普通みたいな感じで皆、話をしていた。やっぱり冒険者って頭おかしくないとなれないんやね(偏見)。

 

 さて、そうこうしているうちに日はだんだん暮れてくる訳なんですけども多分、今日は100kmくらい走ったかな? そろそろ私達も野営をするところを決めなくてはいけなくなってまいりました。

 

 私にとっては初めての野営って事になるんですけどね、楽しみ半分、怖さ半分って感じです。

 

 だって女の子だけでキャンプってなんだか怖いじゃないですか、モンスターだって出ますし、前みたいな盗賊が出ることだってある訳だしね。

 

 

「おうふ、お尻が痛い…」

「結構走りましたからね」

「よし、そろそろ休もうか」

 

『長旅ご苦労!』

『原付バイクって意外と大変なんやね』

『そらそうよ』

 

 

 丁度、小川が流れてるいい感じの場所に着いたので皆は一旦乗っていた原付バイクを止めて降りる。

 

 結構、クタクタになるなぁ、普段から家から出ないとこういう長旅がしんどくなるものですね、もうちょっと個人的に何かしら身体を動かしておけば良かったなと思います。

 

 すると、ナッチーは自信満々に小川の近くに立つと私達に振り返り、ドヤ顔をしながらこう告げ始めた。

 

 

「ここをキャンプ地とする!」

 

『草』

『言ってみたかっただけだろ』

『ドヤ顔ナッチー可愛い』

『ドヤナッチー』

 

 

 なんか、急に野営地宣言をしはじめたナッチーに顔を見合わせる私達。

 

 いや、うん、皆、そのつもりだったんだけども、そんな自信満々に言うことでもないと思うよナッチー。可愛いから別に良いんだけども。

 

 こうして、原付バイクから降りた私達はとりあえず野営の準備に取り掛かる事にした。

 

 野営とか初めてだからどうしたら良いんだろう? ナッチーやシーちゃんに聞きながらやってみよう。

 

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