第73話 競技会 参加

翌日も皆で朝食を取ってヘンリーとデビッドとカリーは会社へ出掛けて行った。

カリーは何だか貿易に興味を持った様で喜んで出掛けて行った。

彼とキャサリンが定位置のテラスで微睡んでいるとヘレンがやって来て二人の向かいのソファーに座った。

直ぐに、ヨウコがヘレンの飲み物を持って来てテーブルに置いた。

「ありがとう、ヨウコ」

ヘレンは二人と同じアイス珈琲を飲みながら暫く二人を見ていた。

「まさか、二人で何処かへ行くんじゃ無いでしょうね」

「・・・」

「どうなの、キャシー」

「・・・」

「何か言いなさい、キャシー」

「・・・」

「何か」

「はぁ~・・・」

「人に物を尋ねる人の言葉では無いです、そんな言葉には答えたく無いのは当然です」

「・・・」

「・・・」

「悪かったわ、では、お尋ねします、教えて下さい」

「私はまだ聞いていません、でも、彼は時々彼の秘密を私に一つづつ証してくれます、でも、お母さんが一緒だと、それはありませんね」

「彼のひ・み・つ~・・・、何かあるの、教えて貰ったの・・・言えないわよね」

「勿論」

「あぁね、そうそう、彼は100メートルを何秒で走るのかしら」

「何、突然、お母さん」

「フロリダの競技施設への訪問依頼が来ているのね、でも、あまり行きたくないのよ、それで、彼が一緒に行って走ってくれたらと思ってね、貴方も早くなっているんじゃないの」

「彼が本気で走ったり飛んだりした処は見たことも無いし、スーツ無しは・・・ね」

「そうよね~、スーツを脱ぐ時って無いわよね、スーツを着ていたら世界新記録は間違い無いものね」

「でも、スーツを陸上競技のウェアーに替えれば良いのかも・・・」

キャサリンは立ち上がると普段着から赤の短パンとスポーツ・ブラジャーとスパイク姿になった。

「キャシー、その姿ではスーツの力は使えないでしょうね」

「そうね~、服の部分の汗を抑えてはくれるだろうし、疲れも取ってくれる・・・靴は凄い働きをするでしょうね」

「それでは駄目よ、スーツをオフにしなくっちゃね」

「そうね、スーツをオンのままだと世界新記録を出すかもね、私でも」

「彼はスーツ・オフで100メートルを何秒で走るのかしら」

「多分、9秒位じゃ無いのかな~」

「えぇ~、世界新記録じゃ無いの」

「いいえ、キャサリン、お母さん、7秒です」

「な・な・7秒~」

「貴方、7秒なの、スーツ無しで~」

「勿論、スーツ無しで、ゆっくり走ってです」

「ゆっくりって、どう言う事なの、婿殿」

「言葉通りですよ、全力では無いと言う事です」

「・・・」

「・・・」

母と娘が目を丸くして彼を見詰めた。

「何ですか、キャサリン、君も全力では世界記録を越えられますよ、スーツ無しでね」

「うっそ~」

「私が貴方に嘘を言った事がありますか」

「・・・」

「4Gで通常に近い動きが出来るのです、走る全ての競技、100メートルからマラソンまでの全てと幅跳び、高跳び、ハンマー投げ、砲丸投げ、槍投げなども貴方が地球上の女性で一番です、水泳もですね、後は格闘技もでしょうか」

「はぁ~あ」

「えぇ~、本当・・・ちょっと待ってね」

キャサリンの驚きの後に母・ヘレンも驚いたが何かを考えた様子だった。

ヘレンは携帯電話を取って電話を掛けた。

「あぁ、ハロー、ジェレミー、ヘレンよ、そう、ヘレン、お願いがあるの、そう、全米で今日、陸上の競技会が何処かで無いかしら、調べてくれない、もしあったなら、無理やりでも、大統領特権でも命令でも使って娘を出場させてくれないかしら、キャサリンの方よ、マーグは土いじりでしょ、そう、お願いね、返事を待っているわ」

「えぇ~、私が陸上競技に出るのぉ~、貴方、良いの」

「良いよ、但し、様子を見て下さい、本気を出すと大変な事になりますからね」

「婿殿、どう言う事???」

「世界新記録、それも桁違いの記録になります」

「100メートルは何秒で走るのかしら」

「私の予想では、キャサリンが本気で走ると8秒台でしょう」

「うっそ~、男子よりも早いじゃないの、そんな馬鹿な」

「アダム、お母さんは体育館での100メートルの最速は何秒でしたか」

<はい、ミセス・ヘレンは9秒65でした>

「えぇ~、私も男子の記録を超えているの」

その時、ヘレンの携帯電話が鳴った。

「ハロー、えぇ、ジェレミー早いわね、無いの、イャ~、イエス、本当に、えぇ~、嘘でしょう、ちょっと待ってね、婿殿、オレゴンで陸上総合大会ですって、それでね、キャシーが出られる様にしたから、大統領も見に行きたいんだって、だから、此処からホワイト・ハウスに行ってからオレゴンで良いか、ですって、どう良いのかしら」

彼は目を瞑ったままに親指を立てた。

「ジェレミー、オーケーよ、此れから直ぐに行くわ、じゃあ、後でね」


アメリカのオレゴン州は1859年に33番目に州に昇格していて、西海岸の州で北にワシントン州、南にカリフォルニア州、東はアイダホ州、南東はネバダ州で北はコロンビア川、東はスネーク川で州境となっている。

最も人口の多い都市はポートランドである。

彼らが向かう競技場はヘイワード・フィールドと言う競技場でユージーンと言う都市にある。


自宅を出た彼、キャサリン、ヘレンは飛行機でホワイト・ハウスに降り立った。

出迎えたのはジェレミーと大統領の家族と警護官たちだった。

飛行機の搭乗口で二人の乗り込みを待っていると大統領の家族全員がやって来た。

「いや~、ヘレン、貴方の話をしましたら、私も僕も私もと言うものでね」

「良いですよね、お姉さん」

「良いですよね」

「宜しいでしょうか」

大統領の息子と娘と妻が順にヘレンに尋ねた。

「まぁ~、お姉さんだなんて、嬉しいわね」

「お母さん、冗談に決まっているでしょう、こんにちは、さぁ、さぁ、乗って下さいな」

大統領が妻と子供たちを先に乗せて自分が続き、最後にジェレミーが乗りドアが閉まった。

外側のドアが閉じヘレンが歩き出し壁に近づくと壁の一部が消えて出入口が開いた。

ヘレンが部屋から出て大統領たちを招いた。

大統領は家族に押されてヘレンの後に続き、左右を覗くと家族を呼んだ。

廊下に出た大統領と家族は左右と回りを見渡した。

「ダディー、マミー、この飛行機は普通のとは違うわ」

「そうだね」

ヘレンは廊下を歩き立ち止まると右の壁が消えて部屋の中へ入って行った。

皆が後に続き、中で待っていた彼を見つけた。

「ミスター、お久ぶりです」

大統領が駆け寄り握手して再会を喜んだ。

大統領の妻も子供たちも驚いて見詰めていた。

「ミスター、私の妻と子供たちです」

「妻のクリスティーンです、ミスター・・・」

「あぁ、クリス、彼はミスターで良いのですよ」

「息子のジョンと娘のニコールてす」

不思議な事にニコールが無言で両手を上に伸ばし彼に近づいた。

彼はニコールを抱き上げると左手で抱えた。

ニコールは両手を彼の首に回すと彼の耳元で何かを囁いた。

彼はニコールの両手を持って振り回し上に放り上げて受け止めて又左手に抱えた。

ニコールはきゃきゃと笑い彼の頬にキスをした。

「あらま~」

「何と、何と」

母と父の驚きの声だった。

「上院議員、彼は女性を虜にする魔法でも使えるのですか」

「ファースト・レディ、私の事はヘレンとお呼び下さい、いいえ・・・そうかも知れません」

「ヘレン、とちらですか」

「大統領、何故か、彼に会うと女性は皆、彼の虜になります、私もです、でも彼は娘・キャサリンの夫です」

「少し違いますよ、ヘレン、彼は男も虜にしますよ、ジェレミーは私よりも彼の言う事を大事にすると思います」

「申し訳ありません、大統領」

「構わないよ、ジェレミー、私も彼を尊敬、崇拝している」

横にいる妻のクリスティーンは驚きの顔で夫の大統領を見ていた。

「不思議かい、クリス、まぁ、君も彼に接すれば解るよ、ニコールはもう解ったようだがね」

「ニコールのあんな姿は初めて見たわ、何故かしら」

「正確には解らない、が、彼のピュアな精神が子供は掴むのが早いのでは無いのかな」

「あら、ジョンも彼に興味がある見たいね」

彼らが見詰めていると彼がリコールとジョンに何かを聞いていた。

二人が頷くと彼が両手を後ろに両手を回し前に戻すと両手にケーキを持っていて、それを見た二人が飛び上がって喜び彼の後に回って覗き込んでいた。

彼が何かを言うと二人が素直に椅子に座りテーブルに置かれたケーキを食べようとするとまた彼が何かを言うと二りの子供は両手を合わせてお辞儀をし彼を見詰めて彼が頷くと二人がケーキを食べ始めた。

食べ終わるとニコールが何かを彼に言うと彼が両手を合わせて何かを言い、ニコールとジョンがまねをした。

「あれは何だったのかね、ヘレン」

「あれは、材料を作ってくれた人からスプーン、お皿、全てを作ってくれた人へのお礼と食べ終わった後の感謝です」

「それを子供の二人が理解し真似たのか、素晴らしい」

「それもそうだけど、私たちもあのケーキを食べたいわ」

「ファースト・レディ、あのケーキで良いのですか、大人用のとても美味しいケーキがあるのですが」

「ヘレン、私の事はクリスと呼んで、勿論、大人用をお願いしたいわ」

キャサリンがワゴンを押して人数分のケーキ、サヴァランを持って来た。

「ヘレン、これってもしかしてサヴァランじゃないの」

「ご存じでしたか、他のものに替えますか、クリス」

「飛んでもない、私の大大大好物よ、早くたべましょう」

クリスが子供たちを見ると壁のテレビで地球の地図を見せて彼に何かを尋ねている様だった。

「本当に彼は不思議な人ね、二人はもう彼に夢中みたいよ」

などと言いながらクリスはサヴァランに手を付けていた。

「うん、うん、やっぱり美味しいわ、もう何年振りかしらねぇ~」

「さぁ、大統領もジェレミーもお食べになって」

ヘレンもそう言いながら大好物のサヴアランを頬張った。

大統領とジェレミーとキャサリンも食べ始めた。

「クリス、美味しいな、うん、美味しい」

「あぁ、美味しかった、ありがとう、ヘレン」

「どういたしまして、と言いたいのですが、彼の選んだケーキなのです」

「彼が~選んだ・・・」

「そう、世界中のサヴァランで一番美味しいらしいです、他にも彼が選んだものがあるのですよ」

「ええ、まだ、あるの、何時食べさせてくれるの~」

「私も彼が選んだ他のケーキが食べたいものだ」

「ヘレン、子供たちが食べているケーキも美味しいのでしょうね」

「勿論です」

「ヘレンは食べた事があるのね」

「勿論です、そりゃ~もう、美味しいですよ」

その時、彼が子供たちを連れて彼らの処にやって来た。

「皆さん、着きました」

「えぇ~、もう着いたの」

二人の子供と手を繋いで歩き出した彼の後を無言で通し彼を見詰め続けていたキャサリンが続き、その後を大統領と妻のクリスが続き、その後をヘレンとジェレミーが続いた。

飛行機のタラップを降りるとキャサリンの何時もの車が有ったがリムジン型になっていた。

キャサリンが先に回り込み後部席と助手席のドアを開け運転席のドアを開けると、そこに座った。

彼はキャサリンが開けてくれた助手席に大統領の二人の子供を乗せて自分も座った。

後部座席には大統領と妻のクリスとジェレミーとヘレンが乗った。

全てのドアが閉まるとキャサリンが車を発車させた。

車内には静寂が続いたが、彼が何か言ったのか、子供たちがきゃっ、きゃっと笑った。

「心配だわ、貴方」

「何がだね、クリス」

「子供たちが彼と別れる時の事を考えると・・・」

「・・・なる程、確かにな」

「大丈夫ですよ、彼はそれも上手ですから」

運転席からキャサリンが答えた。

「キャシー、初めての事では無いのね」

ヘレンが娘に尋ねた。

「えぇ、初めてでは有りませんので、ご安心下さい、大統領夫人」

「どうするのかしら」

「それは私も知りませんが、彼が何かを言うと静かになります、催眠術では無いと言っています」

「解りました、彼を信じていますので、お任せします、話は変わりますが、この車の乗り心地は最高ですね」

「貴方もそう感じますか、大統領専用車は世界の最先端のはずですよね、その車よりも乗り心地が良いなんて、どう言う車ですの、ヘレン」

「私には解りません、娘の車ですから」

「娘さんの車はもっと小さい車のはずですが・・・」

そこで大統領は気が付いたのか、それ以上の追及をやめた。

「ヘレン、お聞きしても良いかしら」

「何でしょうか、ファースト・レディー」

「ヘレン、私の事はクリスと呼んで下さい、貴方の娘さんのキャサリンは競技の経験は何があるのですか」

「クリス、それは後の楽しみに取って置きなさい、きっと君が驚く事が起きるからね」

「処で、ヘレン、勝手ながら彼も出場登録をしました、ご迷惑だったでしょうか」

「あらまぁ、婿殿、どうしましょう」

「貴方、一緒にでましょうよ、ねぇ」

「君の頼みでは断れ無いか」

「わぁ~、嬉しいわ、大好きよ、貴方」

「全く~、大統領、クリス、申し訳ありません、二人は回りを気にしませんので、お許し下さい」

「羨ましい事です、私たちも見習いましょう、貴方」

「そうだな、クリス」

競技場の裏口には嘘が冗談と思いながらも大会関係者が二人待っていて、車かせ降りた大統領を見て非常に驚き皆を貴賓室に案内した。

「驚きましたも大統領、要請道理に、お二人の選手登録をして御座います。

大変、申し訳御座いませんが100メートルの予選が直ぐに始まります、準備き間に会いますか」

彼とキャサリンが鞄を持って貴賓室を出て出て行った。

暫くクラウンドを見ていると、100メートルの8レーンにキャサリンが現れた。

予選だけに準備も完結で直ぐにスタートとなった。

8レーンのキャサリンはスタートが少し遅れたが5歩、6歩で先頭に立ち、回りを見る余裕を見せて一位でゴールした。

次の彼も同様にスタートが少し遅れたが5歩、6歩で先頭に立ち、回りを見る余裕を見せて一位でゴールした。

キャサリンの記録10秒65で、彼の記録は8秒65だった。

突然、アメノカに世界に新星が現れた。

各テレビ局も来ていたが予選を記録している処は無く、出場者の家族が撮った携帯電話のカメラとビデオ・カメラの録画があるだけで、勿論、その録画は高値で各局が購入した。

キャサリンの選手登録名はキャサリン・ヘイウッドと本名だったが、彼はセイイチ・ヘイウッドと登録されていた。

彼の記録は予選会でもあり、余りの速さに時計の不備とされ非公認となった。

彼は出場を手配してくれた大統領の顔を立てて100メートルに一度出場したが以後の競技には出場せず、貴賓席エリアに戻り子供たちと遊ぶ事を選んだ。

キャサリンは次に走り幅跳びに出場し一回目で7メートル50センチを飛び、後の跳躍を拒否した。

彼女の幅跳びはその飛び方がユニークで踏切板の三歩前からの跳躍でのものだった。

次にキャサリンは200メートルの予選に出場し100メートルと同じ様に5、6歩で先頭になり、21秒40の記録を残した。

この時にはテレビ局も異常な記録に気が付き録画を開始していた。

彼女は係員に走り高跳びを2メートルから開始すると伝えていた。

走り高跳びの参加選手で1メートル98センチが最高で2メートルを三回の試技で成功した者はいなかった。

キャサリンが走り高跳びに呼ばれた。

キャサリンはバーの正面から走り出し、皆が背面飛びをするものと思って見ていると、何と彼女は真っ直ぐ上に飛びバーを越えると空中で前転し足から着地し、体操の着地の様に両手を斜め上に上げてポーズを決めた。

その頃には、競技場のほぼ全員の眼が彼女に注がれ、テレビ・カメラも彼女に向けられていた。

彼女が着地のポーズを決めると会場中から大歓声が起き、彼女は青いマットの上で四方にお辞儀をして応えた。

彼女は次に400メートルの予選に出場した。

100、200メートルと同じでキャサリンは一瞬遅れて立ち上がり、5、6歩で先頭に追い付きキャサリンはたの者たちを置き去りにして大差を開けてゴールに近づいた。

だが、コールの直ぐ手前で立ち止まり後を振り向くと皆の到着を待ってトップで後向きにゴールした。

彼女のタイムは47秒ぴったりだった。

その後、彼女の行動は全国放送で流れ賛否両論の論争を巻き起こす事になった。

予選を好記録で通過したがキャサリンは貴賓室に戻って来た。

「大統領、ありがとう御座いました、もう十分です、お母さん、もう良いでしょう」

「そうね、これ以上は何かと問題になるわね、お手数をお掛けしました、大統領、ジェレミー、ありがとう」

「ヘレン、君の娘さんは何者かね」

「大統領、私の娘であり、彼の妻ですからね」

「あぁ、そうですね」

「あぁ、そうですねって貴方、それで良いのですか」

「クリス、すまないね、夫婦と言えども国家機密は話せないのです」

「今のが国家機密なの~」

「では、大統領、官邸に戻りましょう、我々は官邸にいる事になっていますから」

「そうだね、ジェレミー、戻りましょう、ヘレン、お願いします」

「はい、大統領、では、婿殿、キャシー、お願いね」

部屋に居た大会関係者に帰る旨を伝え様と二人を見ると二人は驚異的な記録を出したキャサリンと彼に眼が釘付けになっていた。

「便宜を図って頂いて感謝します、お二人にご迷惑が掛かる様でしたら、正直に答えて下さい、大統領、私の依頼により参加させました、詳しくは官邸に聞いて下さい、とお答え下さい」

「・・・は、はい、ありがとう御座います」

「では、我々は官邸に戻ります、ありがとう」

ヘレンを先頭に大統領と家族、ジェレミー、普段着に戻したキャサリンと彼が部屋を出て行った。

車までの通路で大統領を見かけ声援を送る人達に大統領と夫人は手を上げて応えた。

競技場の出口の直ぐ外に車が止まっていたが、皆は何も言わずに来た時と同じ席に乗り込んで出発した。

助手席では彼と二人の子供が小声で楽しそうに何かを話していた。

「ヘレン、私の夫が若返りました・・・国家機密ですね、只、大統領である夫が彼を信頼する意味が私にも少し解った様な気がします、ありがとう」

「いいえ、大統領夫人、貴方は頭の良い方ですね、大統領には任期が有ります、ですが、大統領は任期を終えた後も世間に対して影響力を持っています、貴方も影響力を持つ事をお勧めします」

「・・・解りました、御助言ありがとう、ヘレン」

ヘレンは暗に大統領夫人も若返りたかったら世間への影響力を強くする様に進言した。

「クリス、私も協力しよう」

「ありがとう、貴方」

「大統領、一つの方法として夫人が大統領になる策もある事も含めて下さい」

「おぉ、ヘレン、ありがとう、それも含めて考えます」

ヘレンはにこりと微笑み感謝の言葉に応えた。

車は、あっと言う間に飛行場に着き斜路を登って格納庫に入った。

外との境の扉が閉まると次の瞬間には飛行機は飛び立ったが乗っている者には、その動きは感じられなかった。

車から皆が降り、又、ヘレンが壁に近づくと格納庫から廊下への扉が開き、皆は廊下に出て、以前に使った部屋へ皆が入って座った。

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