第45話 四人だけの帰宅
彼、キャサリン、ヘレン、カリーの4人は基地の中のスカイライン社専用地区のゲート前まで送ってもらい、区画の中に歩いて入ると100m程を歩き飛行機に乗った。
直径30m程の球形飛行機に乗客は4人だけだった。
4人が並んで席に着き4人がシート・ベルトを締めた直後に飛行機が離陸を開始し曲線を描きながら上昇し高度15,000mに達すると水平飛行を五分続け飛行機は宇宙船が帰還する様に後部を先に向きを変えると減速に入りヘイウット゜家の広い駐車場に着陸した。
「あら、家に直接なのね、楽で良いわ、次からもこうしてね、婿殿」
「あの~乗って行った車はどうするのですか」
カリーが当然の問いを投げかけた。
「良い処に気が付いたわね、でも大丈夫よ、家に戻っているから」
「何方かが届けてくれる事になっていたのですか」
「誰かしらね」
キャサリンは車が自動運転で無人で帰って来たとは答えず答えをはぐらかした。
「ただいま~」
「お帰りなさいませ、奥様、キャサリン様、若旦那様、お客様」
「ただいま、ヨウコ、マサトはお元気かしら」
「はい、元気です、只今、サヴァランとパパナシの試作を行っております」
「わぁお~、楽しみだわ、私にも試食させてほしいわ」
「奥様、美味しいとは限りません、試作品ですから」
「料理人は完成品以外は食べさせたがらないのよね~、試作品を食べるのも楽しいのにね~」
「料理人は食べた人の美味しいの一言、満足の笑顔が楽しみで作るのです、だから自分が納得しない物は食べさせたくないのです」
「私の事を完成品を作るまでの仲間だと思ってくれれば良いのにね」
「・・・それは考えてもおりませんでした・・・相談してみます」
「お願いね、楽しみにしているわ」
話ながら居間に行き一旦ヘレンとカリーがソファーに座ったが彼とキャサリンは何時もの様にテラスのソファーへと向かった。
暫くすると当然の様に二人の前のテーブルにアイス珈琲が2杯置かれた。
「二人は本当に仲が良いですね、毎夜あそこでああしているのですか」
「夜だけじゃ無いでしょ、朝からなの見たでしょ」
「お話しする訳でもなく、只一緒にいるだけって幸せですね、案外テレパシーで話していたりして・・・ってね」
言った事を実際にしているとは夢にも思わなかった、但しテレパシーでは無かったが。
ヘレンはその事を想像出来たが、言う訳にはいかないので只黙って聞いていた。
<貴方、カリーに真実を伝えるのは何時なの>
その時、キャサリンと彼はカリーの処遇をアダムを通して話していた。
<彼女の経歴と資質は理解しているつもりです、まずはリフレッサー次にスーツ、貴方とお母さんと同じ順序で良いでしょう>
<明日、お母さんは議会です、明日にしましょう>
<マーグはまだとしてお父さんとお兄さんへは何時にするの、それとも打ち明けないの>
<いずれ時期が来れば、その時に>
<やはり家族に秘密を持つ事は辛い・・・>
<解ります、でも嘘を着いている訳では無いのです、只聞かれてもいない事をわざわざ言わないだけです>
<・・・そう言う見方もあるのね、成程・・・少し気分が、罪悪感が薄れたわ、ありがとう、あ・な・た>
<此処の処、遺跡に興味がある様ですが、基となる地質学や鉱物、他に量子、粒子、物理、宇宙などの知識も忘れずにいて下さい>
<はい、遺跡で私に関して開示制限が掛かるまで知識の蓄積をしています>
<知識の蓄積だけでは無く、ご自分の意見、感想、現状の説に対する疑問、特に貴方の仮説を述べる事も忘れずにいて下さい>
<はい、疑問と自説を忘れていました、修正します>
<疑問、自説を述べるとその欠点があればアダムが言ってくれます、それがより深い理解に繋がります>
<そうですね、私の理解度の目安が解りますね、そうします、ありがとう、貴方>
<いいえ、貴方はとても優秀だそうですよ、私もそう思います>
<知らなかった事ばかりで自信を失っていました、それを聞いても信じられません>
<私の知る限り貴方は世界で二番目の知識人ですよ>
<勿論、一番は貴方ですね>
その応えが無いのでキャサリンはアダムとの会話に戻った。
その間、二人の動きは呼吸している事が微かに解るだけだった。
「ただいま~」
「戻ったよ~」
「お帰りなさい」
「おぉ~、戻っていたか、やはり君が居ないと寂しいからな、戻って嬉しいよ」
「あら、嬉しい事を言うじゃないの、何だか最近の貴方は素直ね」
「そうかね~、私は昔から素直だと思うがね」
「心の中は同じでも口に出さなきゃ解らないわ、最近の貴方はちゃんと口にすると言う事よ」
「そうかなぁ~、君が言うのならそうなのだろう」
カリーとデビッドが仲の良い夫婦を呆れ顔で見ていた。
そんな二人がお互いに気付き「にやり」と笑いあった。
「今日はね、エリア51に現れたピラミッドを見に行ったのよ、そのピラミッドはね、黄金よ、黄金」
「黄金凄いね~、でも極秘事項だろ、私に言ってはいけないだろう」
「誰に言って良いかを決めるのは上院議員の私よ・・・何てね、大丈夫、極秘プロジェクトのリーダーに許可を得ているのよ」
「リーダーは誰かも極秘だよね」
「ええ、極秘よ、婿殿って言う事はね」
「えぇ~、彼が、彼が日本人の彼がアメリカの極秘プロジェクトのリーダーなのかい」
「そう、超・超・超極秘のね」
「彼が私達二人に知らせても良いと・・・」
「だってマーグもプロジェクトのメンバーになっちゃったから旦那と息子の二人だけと言うのもね~、だからかな」
デビッドが確認する様にカリーを見つめるとカリーがこくりと首を縦に振り確かだと認めた。
「エジプトのカイロでは金色のピラミッドの置物が作られて大売れらしい、私もエリア51ので作ろうかな」
「駄目よ、極秘、極秘なのよ」
「そうか、そうだね、商売人の性(サガ)だな、極秘情報を知っていると言うのも厄介な事だな・・・君はいっぱい持っているのだろうに良く耐えられるな」
「慣れよ、慣れ」
「えぇ~、夫にも極秘事項は内緒なのですか」
カリーが驚きの余り質問をした。
「当然よ、エリア51に宇宙人がいる何て教え慣れないでしょ」
「えぇ~、宇宙人がいたのですか、あそこに???」
「カリーったら冗談よ、冗談、私の知る限り居ないわね、第一居たら今頃人類は火星に住んでいるわよ」
「でも、そんな事を言われると本当はもう火星に人が居るんじゃないかと疑ってしまいます」
「う~ん、そう言われると私にも自信は無いわね、米国政府は秘密や陰謀が好きだから・・・あ、私もその政府の一員だわ、あらあら、困ったわねぇ~、政府の一員としては信じたいわね」
「上院議員の君が知らないのなら火星にはまだ人類はいないな」
「居ないわね」
「居ませんよね」
「居ないだろ、お母さんが変な冗談を言うから可笑しな話になったんだよ」
「はい、はい、お母さんが悪う御座いました、御免なさい」
「えぇ~・・・お母さんが謝った、謝ったよね、お父さん」
「あぁ、確かに謝った・・・君はやっぱり最近変わったね、勿論、好ましい方向にね」
「何度も言うけど、私は変わったとは思っていないわよ」
「何だろうなぁ~、素直になった、だと以前は素直じゃ無かった事になるから違うし・・・そうだ、以前より自分の気持ちを言う様になったんだ、だから素直と感じてしまうんだ」
「お父さん、そうだね、以前は何を考えているのか解らなかった、考えは今も解らないか~、嬉しい、楽しい、喜んでいるの表現が良く見られる様になったんだ」
「う~ん、そう言われると楽しいわね、最近は・・・彼が家に来てからかしらね」
「見た目も綺麗になったしね、女性は特に自分が綺麗だと楽しい、嬉しいのかなぁ~」
「それは当たり前でしょ、ね~、カリー」
「私には解りません、だって自分が綺麗何て感じた事がありませんから」
「何を言っているのですか、貴方はとても美しい方ですよ、ね~、父さん、母さん」
デビッドがカリーに力説した。
「えぇ、カリー、貴方はとても綺麗で魅力的で理知的な女性ですよ、同性の私から見てもね」
「イタリアの男性は女性を誉める事で有名ですけどフランスの男性も同じなんです、もう誰にでも綺麗、美しいって言うんです、私も言われていますが皆と同じです」
「可哀そうね、本当に綺麗な人が自分の美しさを知らないなんて、私なんて、毎朝、鏡を見て神様に美しさをありがとうって感謝しているわ」
「うん、良い事だね、その気持ちが維持に繋がると思うよ」
「ありがとう、貴方」
「はい、はい、ごちそう様です」
これはジェームズが日本語で言ったのでカリーには解らなかった。
ジェームズには日本語の御馳走様に相当する英語が思い着かなかったのだ。
「さてと、私は夕食前にお風呂に入ってくるわもカリー貴方もそうしたら」
「はい、そうします」
「お父さん、僕たちもそうしましょう」
「そうだな、じゃ~皆、また後で」
四人はそれぞれの部屋へ向かった。
ヘレンはスーツがあるのでお風呂もシャワーも必要は無かったが長年の習慣は捨てられなかった。
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